【ONE PIECE】電気(ことわり)を統べる者 〜海賊王の右腕となる雷の能力者〜 作:フォレスティアル
第46話は、ドラム王国を出航したメリー号の船上からスタート!
ルーサスが提示した「絶対電脳空間(VR)」の全貌が明かされ、一味全員が巻き起こす大爆笑のリアクション芸から、世界の強者たちと刃を交える「VR戦術演習」へ!
ナミの容赦ないドヤ顔自慢、ビビが抱く「真の自由と冒険」への激しい感動、、そして砂漠のアラバスタ到着までを描く超大ボリューム回です!
どうぞお楽しみください!
ドラム王国を無事に出航し、ゴーイング・メリー号は一路、南へと舵を取っていた。
冬島の極寒の気候が徐々に和らぎ、暖かな海風が帆を揺らし始める船上にて――大事件が起きていた。
「ええっ!? なんだよそれズルいーっ!!」
甲板に響き渡ったのは、ウソップの羨ましさとショックが入り混じった大絶叫だった。
「ルーサス! お前ナミだけにそんな天国みたいな場所を提供してたのかよ!? なんだよその『電脳空間』って! 俺だって一回治ナミの時に見せてもらったけど、そんな南国のビーチで寝そべりながらカクテル飲める隠し機能があったなんて聞いてねぇぞーっ!!」
ウソップが床に突っ伏して足をバタバタと暴れさせる。
「俺だって納得がいかねぇぞルーサス!」
サンジもタバコを噛みちぎらんばかりの勢いで詰め寄る。
「ナミさぁ〜んが一人で甘いスイーツを食べながら贅沢なソファで寛いでいたなんて……! なぜ俺をそのお給仕係として一緒にログインさせなかったんだ! レディの給仕は俺の至高の天職なのにーっ!!」
「ニシシ! ルーサス、俺にもあの肉食わせろ! 腹減ったーっ!!」
ルフィに至っては、ルーサスの肩を両手で激しくガタガタと揺さぶっていた。
「……やかましい。静かにしろ」
ルーサスは心底呆れたように溜息をつき、眼鏡のブリッジを指先で押し上げた。
「そもそもあれは医療用の精神隔離プロセスだ。ナミのケスチア病における薬効副反応と痛みを排するための緊急措置に過ぎん。……だが、仮ではあるがビビも含め、貴様らは正式に我が一味の構成員(クルー)だ。相互理解と精神疲労の回復、そして『戦闘パラメータの底上げ』のため、全機能を解禁して体験させてやる」
ルーサスが足元に青白い幾何学模様の『絶対領域』を広げ、静かに右手をかざした。
「VR拡張アクセス――『全乗組員(クルー)同時ダイブ』」
――パチンッ!
ルーサスが指を鳴らした瞬間、一味の視界が白銀の海から一変した。
◇
「……う、うわあああああああ!??? なんだここはーーーっ!!??」
目を開けたウソップとゾロ、サンジ、ビビ、そして新船医のチョッパーが同時に跳び上がった。
そこに広がっていたのは、澄み渡る青い空、どこまでも続くエメラルドグリーンの美しきビーチ、そして心地よい潮風が吹き抜ける常春のパラダイスだった。
「す、すっげぇぇぇぇええええ!!? なんだこれ!? 前に見せてもらった時より格段に広いぞ!? っていうかここあんまし何も無い空間じゃなかったのか!?」
ウソップが自分の手を握ったり開いたりしながら目を丸くする。
「……触感も、匂いも、風の温もりも完璧だ。幻覚の類じゃねぇぞ……どうなってやがる」
ゾロすらも刀の柄に手をかけたまま、信じられないといった様子で周囲を見回している。
「ふふ〜〜ん! どう? スゴいでしょ!」
ビーチチェアの上で高級なオレンジジュースをストローで飲んでいたナミが、サングラスをずらしながら圧倒的なドヤ顔で胸を張った。
「私は病気の間、ずーっとここでこうやって寛いでたのよ! あんたたちが外で吹雪に打たれながらバタバタ走り回ってたんでしょ? 悪いわねーっ! 私だけ極上のスイーツ食べて、ふかふかのソファで天国みたいな時間を過ごしちゃってさーっ!」
腰に手を当てて「ふふん!」とこれでもかと自慢するナミ。
「くっそー! 羨ましすぎるだろナミ!!」
「ナミさん! 俺が手作りした特製パフェをここでも再現しますからねーーっ!!」
そんな中、ルフィは砂浜を縦横無尽に走り回っていた。
「うっひょーーーっ! 凄ぇ! 凄ぇぞルーサス! 走っても走っても疲れねぇ!! 飯だ! 飯を出せーーっ!!」
「……リクエストを受理した」
ルーサスが空中で指を滑らせると、目の前の巨大なテーブルの上に、湯気を立てる山盛りの骨付き肉と、極上の海賊料理がズラリと実体化した。
「「「「うおおおおおおおおお!!???」」」」
ルフィ、ウソップ、チョッパー、ビビ、さらにはゾロまでが目を輝かせてテーブルに群がる。
「うンめぇぇぇえええ!! なんだこれ! 本物の肉の味がするぞ!?」
「噛みごたえも油の旨味も完璧だ……! 一体どんなシステムなんだ!?」
「ひょえぇぇ! お肉が無限に出てくるぞーーっ!!」
チョッパーが泣きながら肉を頬張り、コミカルに目を飛び出させて驚愕していた。
「……この空間は、脳波シグナルを直接書き換えることで、視覚、聴覚、触覚、味覚の全五感を100%の精度でシミュレートしている。ここで食した満足感は脳に蓄積されるが、現実に胃を圧迫することはない。完全な栄養補給・精神休息プロセスだ」
◇
「――『過去のアーカイブ閲覧』」
ルーサスが空間の空中に向かって手をかざすと、広大な空が巨大なスクリーンへと変貌した。
そこには、ルーサスがこれまでに記録してきた【麦わらの一味のこれまでの軌跡】が、超高画質・3D立体映像として再生され始めた。
ローグタウンでの処刑台の落雷、リトルガーデンでの巨人たちの死闘、そしてドラムロックの猛吹雪を反重力結界で駆け上がり、暴君ワポルを圧倒的な科学とゴムの拳で叩きのめした瞬間の映像が、圧倒的な臨場感で映し出される。
その光景を、ビビは呼吸を忘れたように見入っていた。
アラバスタの王女として生まれ、国の重圧を小さな肩に背負い、バロックワークスへ潜入してからは誰にも弱音を吐けず、常に恐怖と孤独の暗闇を一人で歩んできたビビ。
だが、いまスクリーンの中で輝いているのは、死線を潜り抜けながらも、どこまでも青空のように眩しく笑い合うルフィたちの姿だった。
(なに……これ……! こんなの……見たことない……!)
ビビの胸の奥が、激しく熱く打ち震える。
(これが……これが自由……!? これが本物の『冒険』……!? これが、ルフィさんたちの、何にも縛られない自由な『海賊の生き方』なんだ……!!)
どんな過酷な絶望を前にしても、仲間を信じ、笑って拳を突き出すルフィ。
その自由で温かい絆の眩しさに、ビビの瞳からポロポロと涙が零れ落ちた。自分を「一味の仲間」として当たり前のように受け入れてくれたルーサスたちの信頼が、固く閉ざされていたビビの心を深く解きほぐしていく。
「……ありがとう、ルーサス。私……こんな風に笑えたの、うんと久しぶり……」
それを見たナミも、ドリンクを置いて嬉しそうに目を細めた。
「あら……! これ、私たちが戦ってきた記録……!?それと 私が眠ってる間に、みんなこんな凄い大冒険をしてたのね……!」
ナミは自慢げだった表情を柔らかく和ませ、ルフィやルーサスたちを見つめた。
「ふふっ、私がVRで最高の気分でくつろいでる間にも、あなたたちったら本当にかっこよくていい冒険をしてたじゃない! 頼もしい仲間を持って、私もしあわせね♪」
◇
だが、ルーサスの意図は単なる思い出の鑑賞にとどまらなかった、まだ他にも前世の技術やこの世界の調べて知ってる気候とかもあるが次は本格的な実戦体験である、
「……さて。ここからはこのプロセスの真の機能――『戦術シミュレーター領域』だ」
ルーサスが指をタップすると、穏やかなビーチが一瞬にして広大な【漆黒の闘技場(コロシアム)】へと変貌した。
「な、なんだ!?? 周りの景色が変わったぞ!?」ウソップが身構える。
「ゾロ。お前がこれまでに刃を交えた強敵の運動ベクトル、および空間斬撃データを再現した。――演習を開始する」
フッと影の中から立ち現れたのは、かつて海上レストランバラティエでゾロの野望を完膚なきまでに打ち砕いた世界最強の剣士――**『鷹の目の男(ミホーク)』**の完全な仮想擬似体(VRアバター)だった。さらにはキャプテン・クロの高速移動『勺死』、アーロン一味の六刀流ハチの物理データまでが実体化する。
「……ッ!!」
ゾロの眼光が、一瞬で狼のように鋭く跳ね上がった。全身の皮膚が粟立ち、口に和道一文字を噛み締める。
「おいおい……マジかよルーサス……! あいつの斬撃の感覚まで本物と全く同じじゃねぇか……!!」
ゾロが獰猛な笑みを浮かべ、刀を抜いてミホークの擬似体へと飛びかかった。
「自分が見てきたり予想ではあるが、手応えも物理衝突も100%だ。怪我をしても肉体的な死はない。……気が済むまで刀を研ぎ澄ませ」
「言われなくても、最高のアゲハだぜ……!!」
ゾロとミホークの仮想体がぶつかり合い、凄まじい鉄の衝突音が空間を揺らす。
「すっげぇぇぇ!! ゾロが鷹の目とまた戦ってるぞ!!」
ルフィが目を輝かせて叫ぶと、ルーサスはルフィへ視線を向けた。
「……ルフィ。お前にも見せるべきデータがある。俺の解析データベースおよび世界や知識的な知見から構築した、『世界の頂点』に位置する強者たちの仮想エミュレーションだ」
ルーサスが手をかざすと、闘技場の中心に二つの巨大な影が立ち現れた。
一つは、**巨大な鉄拳を握り締め、背中に『正義』を背負う恐るべき覇気を纏った老海兵の影**。
もう一つは、**左腕を失いながらも、ただそこに立つだけで空間の分子を歪ませるほどの圧倒的な気迫(覇王色)を放つ、赤髪の男の影**。
名前こそ明かされない。しかし、その二つの影が発する圧倒的な存在感に、空間全体の空気がビリビリと重密度の圧力を帯びた。
「な……なにこれ……!? 息が……できない……!?」
ウソップとチョッパーが恐怖で歯をガタガタと鳴らし、膝を折る。サンジもタバコを落とし、冷や汗をダラダラと流してその影を見つめた。
「こ、こんなバケモノが……世界にはいるってのか……!? 同世代や今の俺たちなんて、足元にも及ばねぇぞ……!!」
しかし、ルフィの反応は違っていた。
ルフィはその二つの影を見上げ、全身のゴムの血を激しく滾らせると、ニカッと最高の笑顔で口を裂けたように開いた。
「うっひょーーーーっ!! スッゲェ強い気配だ!! じいちゃんやシャンクスみてぇな強さの奴らが、世界にはまだまだ山ほどいるんだな!! 燃えてきたぞーーっ!!」
さらにルーサスは、ルフィの熱量データから過去の生体波動を逆算し、もう一つのホログラムを展開した。
【コルボ山/幼少期の記憶/熱量の成長曲線】。
画面に映し出されたのは、幼いルフィと、猛々しい炎見たいな覇気を纏って巨獣を倒す**『黒髪の少年(エース)』**、そして**『貴族の帽子を被った少年(サボ)』**の荒々しくも圧倒的な戦闘ログだった。
さらには、その黒髪の少年が成長し、海へ出て世界に名を轟かせている「現在の圧倒的なメラメラの実熱量」が予想した数値として可視化される。
「ひょえぇぇ……!! 同世代に……ルフィの兄貴分にこんなバケモノたちがいたのかよ……!!」
ウソップが頭を抱えて叫び、チョッパーも目を丸くして感動と恐怖に震えていた。
「……そうだ。世界は広い。だが、俺たちの到達すべき頂はさらにその上にある」
ルーサスが眼鏡の奥で冷たく、しかし熱い光を宿して言い放った。
「さぁ、ルフィ。……この仮想強者たち相手に、どこまでセーブせずに自分の力を試す?」
「ニシシ! 決まってんだろ! 全開でぶつかるぞーーっ!!」
ルフィが全開の笑顔で仮想体の頂点たちへ向かって拳を突き出し、ゾロも斬撃を繰り広げ、船上での『電脳戦術演習』は最高潮の熱量へと達したのだった。
◇
【ドラム王国/ヒルルクの桜/チョッパーの出航】。
演習の興奮が冷めやった後、ルーサスは最後にそのファイルを広範囲に展開した。
空一面に広がったのは、先ほど自分たちがドラム島を飛び立った瞬間の、あの『ドラムロックに咲き誇る巨大なピンクの桜』の完璧な立体ホログラムだった。
「さ、桜だ……!! ドラム島の……ドクターの桜だ……!!」
チョッパーが大粒の涙をボロボロとこぼした。
「ここ……ここに故郷がある……! ドクターの桜が、いつでもここにあるんだ……!!」
チョッパーはその場にへたり込み、画面の中の桜を見上げながらボロ泣きした。
ルーサスは静かにチョッパーの傍らに歩み寄ると、その頭にポンと手を置いた。
「……お前の記憶の中から自由に自分の意思で恩師記憶や遺言を出せるし、あの国の奇跡は、俺のサーバーに永続保存された。いつでも見に来るといい」
「ルーサス〜〜〜〜っ!! ありがとう〜〜〜〜っ!!!」
チョッパーが涙と鼻水を撒き散らしながらルーサスの足にしがみつく。
ビビもその光景を見上げながら、温かい涙を浮かべて強く胸の中で誓った。
(私……この人たちと一緒に戦えて、本当によかった……!)
◇
「――ログオフ」
ルーサスが現実世界へ意識を戻すと、一味全員がメリー号の甲板の上で「はぁ〜〜〜……凄まじい時間だった……」と汗を拭いながら横たわっていた。
「よし! VRの特訓も最高だったけど、現地の冒険も楽しみだぞ!!」
ルフィが船首に飛び乗り、前方を指差した。
水平線の向こうから、カンカンと照りつける太陽の熱気と、黄砂を孕んだ熱い風が押し寄せてくる。
そこに広がっていたのは、広大な砂砂漠の海岸線――アラバスタ王国の港町『ナノハナ』だった。
「着いたわ……! あれが私の故郷……アラバスタ王国よ!」
ビビが力強い決意に満ちた表情で拳を握りしめる。
「よーし! 砂漠の国に上陸だーーっ!! メシ食うぞーーっ!!」
クロコダイルの陰謀が渦巻く砂漠の王国。
そして、この町でルフィたちを待つ「義兄弟達」との出会い、さらにはルーサスの超スケール科学が解禁される新たな激闘に向け、麦わらの一味は力強くアラバスタの地に第一歩を踏み出すのだった――!
ご覧いただきありがとうございました!
第46話をお読みいただきありがとうございます。
ルーサスのVR世界(絶対電脳空間)での全乗組員ダイブ、ゾロの強敵挑戦、名前の明かされぬ「世界の頂点」たちの圧倒的仮想バトル、ビビの「真の自由」への感動、そしてチョッパーの故郷の桜の記憶アーカイブ保存はいかがでしたでしょうか!
次回第47話からは、いよいよアラバスタ編が本格始動!
港町ナノハナでのルフィの義兄弟との感動の再会とルーサスとの会話、そしてスモーカー率いる海軍の追撃が描かれます!
どうぞお楽しみに!
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