【ONE PIECE】電気(ことわり)を統べる者 〜海賊王の右腕となる雷の能力者〜 作:フォレスティアル
第48話は、スモーカーの追撃を振り切った麦わらの一味が、アラバスタの広大な砂漠へと踏み出す砂漠越えの旅!
しばらくの間行動を共にするエースとの賑やかな兄弟の掛け合い、ルーサスが反重力と気象制御で砂漠の過酷さを完全に無効化するチート級の移動サポート、砂漠の夜の語らい、そして乾き果てたオアシス「ユバ」への到着と老人トトとの出会いまでを描く超大ボリューム回です!
どうぞお楽しみください!
海軍本部大佐スモーカーとの交戦をエースに任せ、麦わらの一味は港町ナノハナを離れ、広大無辺な砂砂漠へと足を踏み入れていた。
「うおおおすっげェ!! 見渡す限りの砂、砂、砂だーーっ!!」
照りつける太陽の下、ルフィは砂漠の熱気などどこ吹く風とばかりに先頭を切って駆け出していく。
だが、その背中を追うナミやウソップ、チョッパーたちは、容赦なく体力を奪う過酷な熱風にすでに息も絶え絶えだった。
「はぁっ、はぁっ……! なんなのこの暑さ……! 汗が一瞬で蒸発して皮膚が焼き切れるわ……! 冗談抜きで死んじゃうっ!!」
ナミが日傘を指しながらフラフラとよろめく。
「あ、暑い……! 干からびて干物になっちまうぞおい……!」ウソップが砂に膝をつきかける。
そこに――ふらりと気だげな足取りで、オレンジの帽子をかぶった男が追いついてきた。
「おっと、置いていくなよルフィ。……にしても相変わらずすげぇ暑さだな、ここは」
「あ! エースだーーっ!!」ルフィが振り返って満面の笑みを浮かべる。
スモーカーとの小競り合いをあっさりと切り抜け、一味に合流したエースは、ヒョイと軽やかに砂の上に着地した。
「エースのお兄ちゃんだぁ!」とチョッパーが目をハートにして駆け寄り、サンジも「おや、火拳の旦那。レディたちのために冷たい飲み物でも用意したいところだが、この有様だ」と苦笑する。
「ま、俺のメラメラの体温調節機能がなきゃ、今頃は全員干からびてただろうな」とエースがカラカラと笑ったその時だった。
「……愚問だな。生身の体温調節に頼るなど、文明的トポロジーの観点から見て非効率の極みだ」
冷徹な声と共に、ルーサスが眼鏡のブリッジを押し上げた。
ルーサスは右手を前方にかざし、大気中の微粒子と電磁ポテンシャルへ干渉するためのコードを脳内で構築する。
「――気象・重力環境ハック。『絶対領域・エリアコンフォート』展開」
ズウン……ッと、微かな低周波の振動が周囲一帯の空間を包み込んだ。
次の瞬間、メリー号の航海士ナミや一味の頭上に、ピタリと計算された『人工的な局所涼風ドーム』が出現した。さらに、一味全員の足元の重力ベクトルをわずかに相殺する『反重力浮遊ソール』が起動する。
「……え?」
足を踏み出したナミが、目を丸くして自分の足元を見下ろした。
「な、嘘……!? さっきまであんなに重かった足が、まるで羽みたいに軽い……! っていうか、あの肌を刺すような殺人的な熱風が、心地よい初夏のそよ風に変わってる……!?」
「すっげぇぇぇぇええええ!!? 涼しいぞこれ!! 砂を踏んでも足が沈まねぇ!!」
ルフィが飛び跳ねて大はしゃぎする。
ウソップとチョッパーも砂に突っ伏して歓喜の涙を流した。
「生き返るぅぅぅ! ルーサス様! 神様仏様ルーサス様ぁぁぁ!!」
エースも自分の周囲を撫でる冷涼な風を感じ取り、呆れと感心が入り混じった笑みを浮かべた。
「相変わらずぶっ飛んだ科学力だな、ルーサス。自然の摂理をこうも簡単に快適な気候にしやがる……これなら砂漠の真ん中でもピクニック気分だな」
「自然現象とは単なる物理的パラメータの集合体に過ぎん。調整可能な変数に過ぎないものを、人間が勝手に『過酷』と決めつけているだけだ」
ルーサスは涼しい顔で淡々とそう言い放ち、完璧に温度管理された空間を作り出しながら砂漠の行軍を先導した。
◇
それから数日間の道中。
ルーサスの気象・重力ハックによる完全サポートのおかげで、一味の砂漠越えは過酷なサバイバルから一転して、極上の行楽ツアーの様相を呈していた。
日中、快適な反重力フィールドの上を軽快に進みながら、ルフィとエースは子供の頃の思い出話に花を咲かせる。
「なあエース、お前あの時、山賊のアジトの酒樽を全部ひっくり返してじいちゃんに怒られただろ!」
「お前だって途中で崖から落ちて大怪我したくせに何を言うか!」
そんな二人のやり取りを、ゾロやサンジ、ビビたちがクスリと笑いながら見守っている。
そして夜――。
砂漠の夜間は急激に気温が下がるが、ルーサスが展開した保温ドームによってテント内は春の陽気のように快適だった。
さらに、ナノハナ周辺で確保した巨大な砂漠トカゲの肉を、エースがメラメラの火で絶妙な温度管理のもとで焼き上げる。
「よっしゃ、極上の肉が焼けたぞ! 食えルフィ!」
「うめぇぇぇぇ!! エースの肉焼きスキルも最高だぜ!」
ルーサスはキャンプファイヤーの燃焼効率と熱の放射ベクトルを冷静に分析しながら、温かいコーヒーのカップを傾ける。
「……効率的なタンパク質摂取だ。エース、お前の炎の熱源制御は、料理の加熱プロセスにおいても非常に高い精度を誇っているな」
「ははっ、褒めても肉はやらねぇよ、師匠」とエースが豪快に笑う。
その賑やかな四兄弟の絆と、一味の温かい空気を、ビビは少し離れた場所から見つめながら、胸の奥に灯った希望の火を感じていた。
(ルーサスさんたちがいてくれて、本当にによかった……。この人たちなら、きっとこの国を救ってくれる……!)
◇
しかし、どれほど移動環境が快適であっても、アラバスタ王国が抱える根本的な悲劇の傷跡は、容赦なく一味の前に姿を現した。
進軍を続け、地平線の向こうに見えてきたのは、一つの巨大な集落の残骸だった。
吹き付ける砂嵐に半ば埋もれかけ、人の気配はほとんど感じられない。だが、中央の広場には必死に井戸を掘り続けようとした形跡が残されていた。
「ここが……ユバ……」
ビビが息を呑み、力なくその場に立ち尽くした。
かつては活気に満ちた美しいオアシスの町だったが、反乱軍の拠点と疑われ、クロコダイルの策謀によって水源を断たれ、砂に埋もれつつあるかつてのオアシス。
「水が一滴もない……。みんな、どこへ行ってしまったの……」
ビビの瞳から、悔し涙がぽろりとこぼれ落ちた。ルフィが無言でビビの肩にそっと手を置く。
「……待て、生存者の生体反応を感知した」
ルーサスが眼鏡を光らせ、集落の一角にある古びた建物へ視線を向けた。
その時、ガラリと古びた扉が開き、一本のスコップを手にした老いた男が姿を現す。
「……おや、こんな乾き果てた場所に、若い旅行者かい……?」
白髪混じりの老人は、砂まみれの服を纏いながらも、その瞳には諦めない強い光を宿していた。
彼こそが、このユバの町に残って一人オアシスを掘り続ける老人――トトだった。
トトとの出会いにより、一味はアラバスタ王国民が背負う本当の苦悩と、反乱軍が向かう悲劇の衝突の真実へと、いよいよ深く足を踏み入れていくのだった――!
ご覧いただきありがとうございました!
第48話をお読みいただきありがとうございます。
ナノハナを出発した一味の砂漠行軍、ルーサスの気象・重力ハックによる快適すぎる移動サポート、夜のキャンプでのエースとルフィの賑やかな兄弟の語らい、そして乾いたオアシスの町「ユバ」への到着と老人トトとの出会いまでを描かせていただきました!
次回第49話では、トトから語られるユバの過去と反乱軍の動向、そしてクロコダイルの陰謀に立ち向かう一味とビビの決意を描きます!
どうぞお楽しみに!
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