【ONE PIECE】電気(ことわり)を統べる者 〜海賊王の右腕となる雷の能力者〜 作:フォレスティアル
第51話は、レイン・ディナーズ脱出直後の絶体絶命のバトル回です!
構造破壊ハックで密室を破った一味の前に姿を現すサー・クロコダイル。ルフィの「武装色をすっかり忘れていた」という無邪気なリアクションとルーサスの科学的サポート、クロコダイルが「何をしやがった……!」と驚愕する迫力の掛け合い、そしてクロコダイルをルフィに託してアルバーナへ疾走する一味を描きます!
どうぞお楽しみください!
ズドドドォォォンッ……!!
ルーサスの放った『構造破壊ハック』によって、海楼石の格子もろともレイン・ディナーズの地下壁が盛大に崩壊した。
押し寄せた大量の海水と濁流が外へと吹き出し、ルフィ、ナミ、ゾロ、ウソップ、チョッパー、ビビ、そして隣の牢に閉じ込められていた海軍のスモーカーとたしぎが、激しい水しぶきと共にカジノのフロアへと吐き出された。
「ぷはぁっ……!! た、助かったあぁぁぁーーっ! 息ができるぞ!!」
ウソップが床に突っ伏して必死に空気を吸い込む。
「大佐ぁ! ご無事ですか!?」
たしぎが濡れた髪を拭いながらスモーカーに駆け寄る。
スモーカーは葉巻の煙を激しく吐き出しながら、水煙の向こうに立つルーサスを凄まじい眼光で睨みつけた。
「……てめぇ、『盤面の規格外』……! 海楼石の何かを能力で直接書き換えて粉砕しやがったな……。一体どんなバケモノじみた原理を使ってやがる……!」
ルーサスは冷徹な眼光で静かにスモーカーを見返し、淡々と応じる。
「構造の歪みに高周波の共振音波と高圧ベクトルを干渉させただけだ。物理現象に過ぎん。……無駄話をしている暇はないぞ、海軍大佐。宴の主催者がお出ましだ」
ルーサスの視線の先――カジノの瓦礫が巻き上がる天井の吹き抜けから、ゆっくりと人影が降下してきた。
巨大な黄金のフックを煌めかせ、葉巻の煙を燻らせる男――**『サー・クロコダイル』**だった。
「クハハハハ……! まさか海楼石の檻と水牢を自力で突破してくるとはな。『盤面の規格外』……噂以上の胸糞悪い規格外の能力者だ」
クロコダイルの邪悪な笑みが深まり、右腕がサラサラと音を立てて広大な『砂』へと変化していく。
「だが……ここでお前たちを生かして返すわけにはいかん。この砂漠の国で、俺の『スナスナ』の前に立ちはだかることがどういうことか、その身で知るがいい!」
「クロコダイルーーーっ!!!」
その瞬間、叫び声を上げて一直線に飛び出したのはルフィだった。
「ゴムゴムの―――ピストルっ!!!」
伸縮するゴムの拳が、猛スピードでクロコダイルの顔面へと打ち込まれる。
しかし――ガバッ! とクロコダイルの頭部が流体的な砂へと姿を変え、ルフィの拳は虚しく砂の粒子を突き抜けた。
「あ……れ? すり抜けたぞ……!?」
ルフィが首をかしげて自分の拳を見つめる。
「無駄だ小僧。自然系(ロギア)のこの身に、お前たちの物理攻撃は一切届かん。砂漠では俺の圧倒的な独壇場だ」
クロコダイルが冷酷に腕を振り抜き、巨大な砂の刃を形成する。
**「『砂漠の宝刀(バルハン)』!!」**
鋭い砂の斬撃がフロアを切り裂き、ゾロが抜刀して刃を相殺するが、砂嵐の衝撃波で周囲が激しく揺れ動く。
「ちっ……! 触れようにも砂になっちまいやがる。手応えがねぇ!」
その時、後方に立つルーサスが冷徹に呆れた溜め息をついた。
「……ルフィ。お前、以前俺が教えた『武装色』の出力を完全に失念しているだろう」
ルーサスにそう言われたルフィは、一瞬「へ?」と間抜けな声を上げた後、ポンと自分の手の平を叩き、白い歯を見せて「ニカッ!」と眩しく笑った。
「あーーっ!! そういえば『武装色』なんてあったな!! 東の海(イーストブルー)からずっと普通に殴れば効く奴ばっかりだったから、使う機会がなくてすっかり忘れてたぞーーっ!!」
「まったく、筋肉至上主義の単細胞め……」
ルーサスは静かに鋭い視線を巡らせながら、青白い幾何学模様の絶対領域(フィールド)をクロコダイルの周囲へと展開した。
「クロコダイル。お前の『スナスナの実』は、身体を二酸化ケイ素を主成分とする微細粒子へと位相変化させているに過ぎない。――ならば、その粒子間の運動エネルギーと表面張力をハックすればどうなる?」
「……あ……? 何をわけのわからない寝言を……」
クロコダイルが不気味な笑みを浮かべ、再びルフィへと向けて右腕を砂化させようとしたその瞬間――。
バチバチバチッ……!!
空間に展開された青い電流と磁場干渉波がクロコダイルの全身を包み込んだ。
「なっ……!? 体が……砂に解離しねぇ……!?」
クロコダイルが初めて動揺の色を浮かべ、冷たい汗を流す。
いくら意識を『砂』に変えようとしても、粒子同士が強制的に分子間力で強力に結合され、ただの「肉体」として固定されてしまうのだ。
「海楼石でもねぇのに……いったい俺の身体に何をしやがった……!」
クロコダイルが鋭い睨みを飛ばす中、ルーサスは表情一つ変えずに冷徹に言い放つ。
「――【分子結合固定(モレキュラー・ロック)】。大気中の湿度と微弱な電磁場を操作し、お前の砂粒子の表面に高密度の水分子膜を強制結合させた。水分を含んだ砂が固まるのは、初歩的な物理法則だ。お前の能力のカラクリなど、科学の前ではただの数式に過ぎん」
ルーサスのサポートを受け、思い出して拳を黒く硬化させかけたルフィの瞳がギラリと光った。
「ししし! ルーサスが固めてくれたなら、あとは思いっきり殴るだけだ!!」
ルフィが地面を強力に蹴り飛ばし、超至近距離からクロコダイルの胸元へと飛び込む!
「ゴムゴムの―――銃乱打(ガトリング)っ!!!」
「ガハッ……!?」
ドカドカドカドカアァァンッ!!
砂化による無効化を完全に封じられたクロコダイルの胸腔へ、ルフィの無数の重拳がダイレクトに叩き込まれた! 黄金のカジノの壁をブチ抜き、クロコダイルの巨体が外の砂漠へと吹き飛ばされていく。
「すっげぇ……! ルフィの攻撃がちゃんと効いた……!」
ナミとビビが目を見張る。
しかし、吹き飛ばされた瓦礫の中から血を拭いながら立ち上がったクロコダイルの全身から、凄まじい殺気が立ちこめた。
「おのれ……小賢しい真似を……!」
クロコダイルが両手を地面へ叩きつける。
**「『侵食輪廻(グラウンド・デス)』!!」**
ゴゴゴゴゴゴ……!!
カジノの周囲の地面、建造物、そしてすべての物質から水気が一瞬で奪われ、広大なレインベースの街の一角が、みるみるうちにサラサラの死の砂漠へと風化していく!
「きゃああああっ! 地面が砂になって崩れていくわ!!」
「チッ……! 街ごと砂漠化させやがったか!」
スモーカーが十手を構え、部下のたしぎを守るように前へ出る。
「ルフィ、ゾロ、一味全員撤退するぞ!」
ルーサスが一瞬で周囲の砂化速度を計算し、指令を下す。
「クロコダイルの大規模気象・崩壊干渉は、広域の乾燥化によるものだ。ここで付き合うのは物理的に非効率だ。本来の目的である『反乱軍の阻止』と『アルバーナの防衛』へシフトする!」
「待てルフィ! ここは俺が食い止める!」
ルフィが立ち塞がり、拳を強く握りしめた。
「クロコダイルは俺がここでブッ飛ばす! お前らはビビと一緒にアルバーナへ行け!!」
「ルフィ……!?」ビビが息を呑む。
ゾロがニッと不敵に笑い、刀を鞘に収めながら言い放った。
「余計な心配はいらねえ。――砂に邪魔される前に行くぞ、俺たちはアルバーナへ急ぐ!」
ルーサスはルフィの強い眼差しを一瞥し、静かに頷いた。
「……了解した。お前の生命反応と戦闘ログは、常時絶対領域で監視・サポートする。――ゾロ、サンジ、ビビを護衛し、アルバーナへ急行せよ!」
「おうっ!!」
一味はクロコダイルが引き起こす巨大な砂嵐の追撃を、ルーサスのベクトル偏向バリアで防ぎながら、バロックワークス最高幹部たちが待ち受ける決戦の地・王都アルバーナに向けて一直線に疾走を開始するのだった――!
ご覧いただきありがとうございます!
第51話をお読みいただきありがとうございます!
構造破壊ハックによる脱出から、ついに姿を現したサー・クロコダイルとの激突!
ルフィが「東の海では使う機会がなくて武装色をすっかり忘れていた」という無邪気なリアクション、ルーサスの科学的な分子結合固定にクロコダイルが「何をしやがった……!」と動揺する迫力の掛け合いを描かせていただきました!
次回第52話では、ついに王都アルバーナに到着した一味と、反乱軍・国王軍の衝突を防ぐための激闘、そしてバロックワークス最高幹部たち(Mr.1、Mr.2たち)との決戦の配置が始まります!
どうぞお楽しみに!
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