【ONE PIECE】電気(ことわり)を統べる者 〜海賊王の右腕となる雷の能力者〜 作:フォレスティアル
第58話は、ジャヤ編の最高潮決着から空島突入までを一切の短縮なしで完全統合した超巨大スペシャル回です!
サウスバード捕獲から戻った一味を待ち受ける惨劇、クリケットたちの誇りを奪ったベラミーに対するルフィの魂の一撃!
さらに、ルーサスが潤沢な資金と分子ハックを用いてメリー号を「超科学錬金装甲」へと劇的進化させ、垂直にそびえ立つ破滅の激流「ノックアップストリーム」を『絶対領域』のフルパワーで完璧に乗りこなして白銀の「白海」へと到達するまでを網羅しました!
どうぞお楽しみください!
ジャヤ島の深く生い茂る鬱蒼としたジャングルの中――。
空島への方角を正しく指し示し続ける奇妙な鳥「サウスバード」の捕獲を終えたルフィ、ゾロ、ナミ、ウソップ、サンジ、チョッパー、ロビン、そしてルーサスの一行は、満足げな表情で東の海岸へと足早に戻っていた。
「ししし! 捕まえたぞサウスバード! こいつがいれば、ノックアップストリームの発生ポイントまで迷わずに行けるな!」
ルフィが変な声を上げて暴れるサウスバードを抱えながら笑う。
「ふぅ……それにしても変な鳥だったわね。これで準備は整ったかしら」ナミが汗を拭う。
「……待て」
前方を歩いていたルーサスがピタリと足を止め、眼鏡のない冷徹な瞳を細めた。
左腕の『アーク・リアクター搭載・トレードマークアームレット』が微弱な警告振動を発生させている。
「……前方120メートル地点。生物構造の損傷反応および大量の出血反応を感知。……海岸のバラック小屋が破壊されている」
「え……!? なんですって!?」
一味が慌ててジャングルを抜け、海岸の砂浜へと駆け出した。
そこに広がっていたのは、見るも無残な光景だった。
難破船の残骸を繋ぎ合わせて作られていたクリケットのバラック小屋は跡形もなく粉々に打ち砕かれ、浜辺には血を流して倒れ伏すモンブラン・クリケット、そして猿のマシラとショウジョウたちの痛々しい姿があった。
「おっさん……!? マシラ! ショウジョウ! 一体何があったんだ!?」
ルフィが駆け寄り、血まみれのクリケットの身体を抱き起す。
「……ハァ……ハァ……。す……すまねぇ、麦わら……」
クリケットは苦しげに咳き込み、血の混じった唾を吐き出しながら、悔しさに唇を噛み締めた。
「モックタウンの……『ベラミー』の野郎だ……。俺たちが……命を懸けて海底から引き揚げた……ノーランドの証拠である『黄金の金塊』を……全部奪って行きやがった……」
「なんだと……!?」ウソップが息を呑む。
「俺たちが叩きのめされるのはどうでもいい……! だが……あいつらは……先祖の誇りを……ノーランドの真実を笑いながら踏みにじりやがったんだ……っ!!」
クリケットの目から大粒の悔し涙が溢れ落ち、砂浜を濡らす。
400年間、世界中から「嘘つき」と嘲笑され続け、それでも「ご先祖様は一度も嘘をついたことがない」という信念だけを胸に、潜水病で体が破裂する危険を冒しながら海底からサルベージし続けた黄金の遺物。それを、ベラミーたちは嘲笑い、暴力で奪い去ったのだ。
ルフィの麦わら帽子の影で、瞳が静かに、そして凄まじい怒りの炎で黒く燃え上がった。
ルフィはそっとクリケットを砂浜に横たえさせると、無言で立ち上がった。
「……ルフィ?」ナミが不安そうに声をかける。
「待てよ、おっさん。すぐ取り戻してくる」
ルフィの低く冷たい声。その背中に、ウソップが叫んだ。
「お、俺も行くぞルフィ! あんな奴らブッ飛ばしてやる!」
だが、ルフィは振り返らずに手を挙げた。
「いや……俺一人で十分だ」
その静かな決意に対し、ルーサスが一歩前へ踏み出し、手元の端末で時刻を確認しながら告げた。
「ルフィ。ノックアップストリームの発生予定時刻まで、残り1時間42分だ。モックタウンまでの往復距離と交戦時間を計算すると、お前に許された時間は極めて少ない。無駄な物理運動をしている余裕はないぞ」
ルフィは帽子を深くかぶり直し、ニカッと不敵な笑みを浮かべて背中で応えた。
「――一瞬で終わらせてくる」
ドンッ!! と地面を蹴り飛ばし、ルフィの影は疾風のごときスピードでモックタウンの街へと消えていった。
◇
夜のモックタウン。
海軍の目が届かない無法地帯の酒場では、相変わらず下品な狂騒と高笑いが店外まで響き渡っていた。
「ギャハハハハハハ! 見ろよこの眩い黄金! あの間抜けな栗頭が命がけで海から拾い集めたゴミ宝だ!!」
酒場の中央で、黄金の金塊を掲げて大酒を煽っていたのは、『ハイエナのベラミー』だった。
手下の海賊たちも大声で笑い転げ、宴を繰り広げている。
「空島だの黄金郷だの、まだそんな夢にすがってる負け犬どもから宝を奪うのは最高に気持ちがいいぜ! 時代の波に乗れねぇ奴らは、俺たちの踏み台になればいいんだよ!」
その時だった――。
バシャアァァァンッ!!!!
酒場の頑丈な木製の扉が、一瞬にして木っ端微塵に粉砕された。
夜風が吹き込む入口の煙の中から、一人で佇む少年の姿が現れた。
酒場の海賊たちが一斉に視線を向け、静まり返る。
「おいおい……見ろよ、昼間の田舎者じゃねぇか」
「殴られても手も足も出せなかった『麦わら』が、何しに戻ってきたんだ?」
ベラミーは不敵な笑みを浮かべ、手に持った酒瓶を床へ投げ捨てて歩み出た。
「ハハハ! どうした麦わら? 昼間はビビって一発も殴れなかった腰抜けが、黄金が欲しくて命を捨てに戻ってきたのかかい!?」
ルフィは一切の言葉を発さず、静かにベラミーを見つめ、低く告げた。
「ベラミー……。おっさんの金塊を返せ」
「返せだぁ……!? ギャハハハ! 奪ったものは俺たちのものだ! 悔しかったら力で奪い返してみろ!!」
ベラミーの両脚が突如として巨大な金属のスプリングへと変貌した。
スナスナの実や他の悪魔の実とは異なる、超高弾性エネルギーを蓄積する『スプリングの実』の能力!
ドスン! ドスン! ガンッ!!
ベラミーは酒場の床、壁、天井を縦横無尽に超高速で跳び跳ね始めた。
跳ね返るたびに運動エネルギーが何倍にも増幅され、酒場全体の木造建築が悲鳴を上げて崩れ始める。
「『スプリングホッパー』!! これが新時代の海賊の力だ!! 追えるか小僧!! 空島を目指すようなロマンチストのお前なんぞ、このスピードと圧倒的な破壊力で一瞬で塵となれーーーっ!!」
音速に近いスピードで空間を縦横無尽に駆け巡り、上空からルフィの頭上へと牙を剥いて突進してくるベラミー!
だが――ルフィの瞳には、一切の迷いもブレもなかった。
ベラミーの描く弾道、運動ベクトルの到達点……そのすべてが、ルフィの研ぎ澄まされた野生の直感と『見聞色』の覇気によって、止まっているかのように鮮明に見えていた。
逃げない。構えもしない。
ルフィは静かに右拳を突き出し、全身の覇気をその一拳へと集約させた。
「ゴムゴムの――――」
間合いが重なった、まさにその瞬間。
「――『銃(ピストル)』!!!!」
ドゴォォォォォォォンッ!!!!!!
酒場全体を激震させる凄まじい衝撃波が巻き起こった。
スピードも、スプリングの膨大な跳ね返りエネルギーも、新時代を豪語していたベラミーのプライドも――ルフィの解き放った圧倒的な武装色の重拳によって、正面から木っ端微塵にブチ砕かれた。
「ガハッ……!???」
ベラミーの顔面は深く歪み、吐血と共にその巨体は床を何層もぶち抜き、地響きを立てて沈黙した。
酒場全体を支配する、静寂。
さっきまで大声で笑っていたベラミーの手下たちが、ガタガタと膝を震わせ、腰を抜かして失禁しかけている。
ルフィは倒れたベラミーを一瞥すら見れず、床に転がっていた金塊の袋を無言で拾い上げた。
そして、一度も振り返ることなく、静かに酒場を後にしたのだった。
◇
一方、ジャヤ島の東の海岸では――。
「よし! メリー号の改修作業、これより第二段階――超科学構造変換(アルケミー・システム)へ移行する」
傷の手当てを受けたモンブラン・クリケット、そしてマシラとショウジョウたちが用意した大量の鉄くず、チタン合金、モックタウンでルーサスが潤沢な資金を使って買い占めた最高級の船舶用特殊鋼板やレア金属の山を前に、ルーサスが静かに両手を掲げた。
「ルーサス……? 一体何を始める気だ?」ゾロが目を細める。
「ジャヤで調達した数億ベリー分の鉱物資源だ。マシラたちの木造補強だけでは、垂直にそびえ立つ数万トンの『ノックアップストリーム』の重力・水圧破砕力に耐え切れん。……メリー号の分子構造そのものを錬金ハックする」
バチバチバチバチッ……!!
ルーサスの左腕に装着された『アーク・リアクター』が狂おしいほどの青白いプラズマ光を放ち、絶対領域がメリー号全体と周囲の金属の山を完全に包み込んだ。
「――【分子結合再配置・電磁錬金術(アルケミカル・フォージ)】」
次の瞬間、積まれていた数トンの鉄やレア金属の山が一瞬にしてドロドロの超高熱液体金属へと解融!
さらにルーサスの完璧なベクトル計算により、その金属はメリー号の木造船体を傷つけることなく、分子レベルで木材の隙間と繊維構造へと浸透・重合していった!
「うわああああっ!? 船が……船が輝き出したぞーーーっ!?」
ウソップとチョッパーが目玉を飛び出させて叫ぶ。
メリー号の表面には、プラズマ光を反射する流体形状の「超高密度複合エアロ・アーマー(防空装甲)」が美しく形成され、側面には電磁力で可変する滑空用の「純白の超合金ウイング」が瞬く間に構築された。船首の羊の頭部も、衝撃波を前方へ受け流す電磁バリア流線型装甲へと完全進化を果たす!
「す、凄いな……! 木造船の軽さと弾力を維持したまま、表面硬度がチタンの十倍以上に強化されてる……!」ウソップが手すりに触れて震え上がる。
ルーサスは冷徹に眼鏡のない瞳を輝かせ、手元の端末をパチンと閉じた。
「構造変換、完了。……現在のメリー号は、水深一万メートルの水圧にも、マッハの衝撃波にも耐え得る超科学戦術船だ」
「ルーサス……お前、最高にバカでカッコいいなぁっ!!」
ルフィが大爆笑しながらメリー号の装甲を叩き、船員全員が歓声を上げた。
◇
ゴゴゴゴゴゴ……!!
ジャヤ島全体、そして周囲の海原が、地底からの不気味な大振動に見舞われた。
空が瞬く間に黒く染まり、上空には光すら届かない巨大な漆黒の「帝王雲(積乱雲)」が垂れ込めていく。
「――ターゲット補足。発生シミュレーション時刻と完全一致。全員、直ちにメリー号へ乗船しろ!」
ルーサスの鋭い声が海岸に響き渡る!
「みんな、ありがとなー! 行ってくるぞーーっ!」
ルフィたちが新生メリー号へと飛び乗り、船は沖合の巨大な漆黒の雲の下へと突進していった。
海面が不気味に盛り上がり、半径数キロに及ぶ超巨大な逆巻く「渦潮」が周囲のすべてを呑み込み始める。
「ナミ! カジを固定しろ! 渦の『中心』へ突っ込むんだ!」ルーサスが指示を飛ばす!
そして――海底深くに圧縮された超高熱水蒸気が爆発した!
ズドォォォォォォォォンッ!!!!!!!!
海が、天に向かって垂直に爆発した。
数万トンの海水が、一直線に空へと吹き荒れる死の海流『ノックアップストリーム』!
普通なら一瞬で船体が木っ端微塵に砕け散る激流。
だが、超科学装甲をまとったメリー号は違った!
バチバチバチッ!
「――【絶対領域・流体力学ベクトルハック(ハイパー・サーフィン)】」
ルーサスの絶対領域と、メリー号に施された超科学装甲が共鳴!
垂直に押し寄せる数千トンの水圧衝撃は、装甲の表面で即座に滑空エネルギーへと力任せに変換され、メリー号は破滅の水の壁を『超音速のジェット機』のようなスピードで垂直に駆け昇り始めた!
「す、凄すぎるわ……!! 衝撃が全然船内に伝わってこない! 垂直の壁を信じられない速度で登っていく!!」ナミが叫ぶ!
「ししし! 行くぞぉぉぉーーーっ!! 空島へーーーーっ!!」
ルフィが超科学装甲で覆われた船首の上で、天を指差して魂の叫びを上げる!
1000メートル……3000メートル……5000メートル……!
高度10000メートル付近――メリー号はノックアップストリームの頂点へと到達し、上空を覆っていた漆黒の雲を、爆音と共に突き抜けた!
バリァァァンッ!!
雲を抜けた瞬間、全方位から眩い太陽の光が降り注ぎ、視界が一瞬にして白銀の世界へと塗り替えられた。
そこには――地上の海とは全く異なる、雲で形成されたどこまでも広がる真っ白な海『白海(はくかい)』と、澄み渡る美しい蒼穹が広がっていた。
パシャァン……! とメリー号が柔らかく白海の雲の上に海面着水する。
ルーサスは静かに眼鏡のない知的な瞳を細め、フッと不敵な笑みを浮かべた。
「……高度10000メートル到達。錬金装甲および気圧・重力バランサー制御完了。……空島圏(スカイピア)への進入に成功した」
「うわああああああっ! 空だ! 本当に空の上に海があるぞーーーーっ!!」
ルフィ、ウソップ、チョッパーが大歓声を上げて甲板を踊り回る!
金に糸目をつけない莫大な資金力と、物理法則をハックする圧倒的な錬金術。
参謀ルーサスの真の力によって最強の戦術船へと進化したメリー号と共に、麦わらの一味の『空島編』が堂々たる幕を開けたのだった――!
ご覧いただきありがとうございます!
第58話をお読みいただきありがとうございます!
ジャヤ編の最高潮決着から空島突入までを完全統合した大ボリュームスペシャルをお届けいたしました!
ベラミーを一撃でブッ飛ばすルフィの圧倒的爽快感、クリケットたちとの熱い絆、そして潤沢な資金とルーサスの『絶対領域』による分子錬金術装甲強化&重力ベクトルハックで、垂直のノックアップストリームを乗りこなして白海へ到達するクライマックスはいかがでしたでしょうか!?
次回第59話からは、いよいよ天空の国「スカイピア」への上陸、エンジェルビーチでの出会い、そして「神・エネル」の統治する全知全能の雷の世界とルーサスの超科学ハックの激突が始まります!
どうぞお楽しみに!
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【今後の更新ペースにつきまして】
これまで毎日複数話のペースで怒涛の更新を続けてまいりましたが、作品の今後の更新ペースを少し調整させていただきます。
今後は「不定期更新」で無理がない程度に自分のペースに投稿していく予定です!
楽しみにしてくださっている皆様には少しお待たせしてしまう形になりますが、ルーサスの活躍や一味の熱い冒険をより一層ハイクオリティでお届けできるよう執筆してまいりますので、引き続きお付き合いいただけますと幸いです!
今後とも
「【ONE PIECE】電気(ことわり)を統べる者 〜海賊王の右腕となる雷の能力者」をよろしくお願いいたします!