【ONE PIECE】電気(ことわり)を統べる者 〜海賊王の右腕となる雷の能力者〜 作:フォレスティアル
第7話は、ルーサスの科学チート能力全開の無双回です!
燃え盛るグレイ・ターミナルを救うため、熱運動の強制停止(絶対零度領域)による一瞬の消火、ブルージャム一味の圧倒的撃破、そして革命家ドラゴンとの運命的な出会いを描きます!
紅蓮の炎が、不確定物の終着駅(グレイ・ターミナル)の夜空を不気味なまでに赤く染め上げていた。
「助けてくれぇぇ! 火が……火が逃げ道を塞いでる!!」
「子どもだけでも逃がしてくれ! たのむ、助けてくれ!!」
黒煙と爆風が吹き荒れるゴミ山の中で、貧民たちが悲痛な叫びを上げながら逃げ惑う。
その周囲を取り囲むのは、嘲笑を浮かべたブルージャム海賊団の無法者たちだった。
「ひははは! 逃げ惑えゴミども! お前らの命も家も、全部燃やして国をきれいにしてやるんだよ!」
「許せねぇ……! 許さねぇぞクソ海賊どもがぁぁ!!」
エースが血を吐くような叫びとともに鉄パイプを構えて飛び出そうとした。
だが、俺は静かにエースの肩を掴んで制した。
「下がっていろ、エース、ルフィ。炎の熱圧と毒煙でお前たちが傷つく必要はない。……この大火災(現象)ごと、俺が止める」
俺は一歩前へ出ると、片手を前方へ静かにかざし、全神経の生体電流と『電磁界』を地球の磁場と完全に同調させた。
前世の熱力学において――「熱」とはすなわち「物質を構成する原子や分子、電子の乱雑な熱運動(振動)」に他ならない。
ならば、その電子の荷電粒子運動を俺の強力な電磁界で干渉し、強制的に制動(減速)をかければどうなるか?
答えは至極単純だ。熱エネルギーは存在を許されず、消滅する。
『――【熱運動減速・絶対零度領域(ゼロ・ストップ)】』
シュゥゥゥゥ……ッ!!
俺の手のひらから、爆発的な勢いで白く立ち上る濃密な『冷気と霧』が放出され、地を這う津波のように全方位へと一気に拡散していった。
次の瞬間、世界からあらゆる「音」と「熱」が消え去った。
「な……なんだこの白い霧は……!? 急に寒気が――」
ブルージャムの手下たちが牙を鳴らして震え出した刹那。
ゴーッと吹き荒れていたゴア王国の数キロに及ぶ大火災の炎が――冷気の波に飲まれ、あたかも時間を巻き戻されたかのように、一瞬で、完全に鎮火した。
黒煙すら白く凍りつき、熱風は一瞬にしてマイナス数十度の極寒の冷気へと反転する。
燃え盛っていたゴミ山やボロボロの家々は焼き尽くされることなく、極寒の霜を纏った状態で完璧にその形を留めていた。
「……は? ほ、火が……消えた……? 一瞬で……!?」
「バカな……!? 街一つ分の火の海が……あの白い霧に包まれただけで全部消えたのか……ッ!?」
ブルージャムの手下たちが目玉を飛び出させ、腰を抜かして地面にへたり込む。
住民たちも、何が起きたのか理解できずポカンと口を開けていた。
「熱とは分子の運動エネルギーだ。その運動(電子の振動)を完全に静止させれば、いかなる大火災であれ物理的に燃焼を維持することはできない」
俺は冷徹な眼光で、呆然と立ち尽くす船長・ブルージャムを見据えた。
「な、なんだお前は……化け物か……!? 撃て! 撃ち殺せぇぇぇ!!」
錯乱したブルージャムの命令で、手下たちが一斉に銃を構えて引き金を引く。
放たれた数十発の鉛の弾丸。だが――
『――【磁界偏向弾き(ベクトル・リフレクト)】』
バチッ!
俺の前方に展開された透明な電磁バリアに触れた瞬間、すべての弾丸が完全に軌道を反対方向へ反転し、放った手下たちの手首や膝を正確に穿った。
「ぐああぁぁぁっ!?」
「手、手がぁぁぁっ!!」
「最後はお前だ、ブルージャム」
俺は『剃』による超高速移動で一瞬にしてブルージャムの懐へ侵入した。
相手が恐怖で顔を引きつらせる暇すら与えず、手のひらに超高圧の収縮電磁波と、前世の寸勁による波動を溜め込む。
「自分の欲望のために罪のない人々を焼き殺そうとした罪……その身で味わえ」
『――【流水・浸透電導波(パルス・ブレイク)】』
ドガァァァァン!!
「ガハッ……!?!?」
表面に傷一つつけず、ブルージャムの体内に直接叩き込まれた波動と電流が、内臓と神経系を完璧に破壊した。
ブルージャムは白目を剥き、巨体を折り曲げて数百メートル先の巨大なゴミの山へ砲弾のように吹き飛び、二度と動かなくなった。
「船長が一瞬で……!? ひ、ひぃぃぃ! 逃げろぉぉっ!!」
残った海賊たちは悲鳴を上げて蜘蛛の子を散らすように逃げ出していった。
◇
「す……すっげぇぇぇぇ!! 白い煙がブワッて出て、大火災が全部固まったぞー!!」
ルフィが目を輝かせて跳びはね、エースも戦慄しながらも笑みを浮かべた。
「へっ……相変わらずメチャクチャな奴だぜ、ルーサスは!」
大打撃を免れた住民たちが涙を流して感謝の声を上げる中、俺は見聞色の感覚に触れた「異質な風の気配」に気づき、静かに振り返った。
燃え残った広場の影――緑のローブを深々とかぶった一人の男が、静かにたたずんでいた。
その圧倒的な存在感、顔に刻まれた不気味な刺青。
世界の変革を目論む男――革命家ドラゴン。
「……見事な手際だな、少年。悪魔の実の能力か、それとも異端の理(ことわり)か……一瞬でこの大火災を鎮め、悪を裁くとは」
ドラゴンの深遠な声が響く。エースとルフィが警戒して身構える中、俺は静かに前に出た。
「……革命軍のトップが、こんな東の海の辺境に何の用だ? 世界政府を倒すための『風』を吹かせに来たのか……革命家ドラゴン」
俺がその名を口にした瞬間、ドラゴンの鋭い瞳が微かに光った。
「ほう……俺の存在を知っているか。タダのガキではないな」
ドラゴンは一瞬だけルフィの方へ目を向けたが、父親としての素振りは一切見せず、ただ静かに口元を緩めた。
「この国は……世界の未来の縮図だ。不要なものを切り捨て、偽りの美しさで飾られた胸糞悪い世界。……俺は、この理不尽な世界を変えるために立ち上がった。少年、お前ほどの力と聡明さがあれば、世界を動かす大きな力となるだろう」
勧誘とも取れるドラゴンの言葉に、俺は不敵に笑って首を振った。
「誘いはありがたいが、お断りだ。俺にはここで育てるべき『未来の怪物たち』がいる。……それに、世界を変えるのは革命軍だけじゃない。これから俺たちが創り出す『新しい時代』を、遠くから見守っているといい」
俺の後ろで、何も知らぬルフィとエースが誇らしげに胸を張る。
ドラゴンは一瞬呆気にとられたように目を見張った後、ハハハと低く豪快に笑った。
「……面白い。なるほど、良い目をしている。……ならば俺も、己の果たすべき使命を全うするとしよう。また会おう、理を統べる参謀殿」
一陣の突風が吹き抜けた瞬間、ドラゴンの姿はまるで風に溶け込むように消え去っていた。
「……凄ぇ圧迫感のあるオッサンだったな。誰だったんだ?」エースが息を吐く。
「知らん! だけど風みたいでカッコよかったぞ!」ルフィが鼻をほじる。
俺は去っていったドラゴンの風を感じながら、夜空を見上げた。
「さて……大火災は防いだ。次は、高台の檻に閉じ込められている俺たちの兄弟――サボを救い出しに行くぞ!」
「「おーーっ!!」」
高台の腐った貴族どもへ反撃の牙をむくため、俺たち四人の絆は、夜明けの光に向かって走り出すのだった。
ご覧いただきありがとうございました!
面白かったら評価やブックマークをしていただけると、すごく執筆の励みになります!
次回はついに高台の貴族街へ突入! サボ救出作戦と、ゴア王国貴族たちへの爽快なスカッと制裁編です!