【ONE PIECE】電気(ことわり)を統べる者 〜海賊王の右腕となる雷の能力者〜   作:フォレスティアル

8 / 10
ご覧いただきありがとうございます!
第8話は高台の貴族街突入&サボ救出編です!
サボを檻に閉じ込め、不確定物の終着駅を焼き払おうとした腐った貴族どもを叩きのめすスカッと展開に加え、ルーサスの科学知識による「鉄の電気分解・インゴット精錬による金策」まで描いた盛りだくさんの内容です!



第8話 『高台の鉄砲玉と、錬金術の資金調達』

不確定物の終着駅(グレイ・ターミナル)の大火災を鎮圧したその足で、俺たちは高台にある『中心街』の巨大な鉄門の前へと到達していた。

 

高さ十メートルを超える頑丈な鉄製の城門。その上からは、銃や槍を構えた王国の兵士たちが俺たちを見下ろし、慌ただしく叫んでいた。

 

「な、なんだあのガキどもは……!? どこから入り込んだ!?」

「待て、グレイ・ターミナルが燃えていないぞ……どうなっているんだ!?」

 

動揺する兵士たちを見上げ、俺は静かに前へ出た。

 

「おいガキ! ここは高貴なる貴族様の街だ! 貧民が入っていい場所ではない、失せろ!」

 

兵士の隊長らしき男が威圧的に叫ぶ。俺は冷たい視線を向け、全身の細胞から放たれる生体電流を一瞬で収縮・爆発させた。

 

「高貴、ね。他人の命や家を平気で焼き払う連中のどこが高貴なのか、物理的に教えてやる」

 

シュバッ……!!

 

青白き雷光が弾けた瞬間、俺の姿はその場から消え去っていた。

音すら置き去りにする『電磁瞬間移動』。

 

「な……消え――!?」

 

兵士たちが目を疑う間もなく、俺は一瞬にして城門の頂上、隊長の目の前へと出現していた。相手が恐怖で顔を引きつらせる間もなく、その胸元に手のひらを軽く添える。

 

『――【流水・掌打(ベクトル・ブレイク)】』

 

ドガァン!!

 

「ぐはぁっ!?」

 

隊長の身体は砲弾のような勢いで吹き飛び、背後の巨大な見張り櫓を破砕しながら崩れ落ちた。

 

「ひ、ひぃぃぃっ!? 撃て! 撃ち殺せぇぇぇっ!!」

 

パパンッ! パパンッ!

 

動転した兵士たちが一斉に引き金を引く。だが、下にいたエースとルフィが、それを嘲笑うように飛び出した。

 

「誰が俺たちの邪魔をしていいって言ったよ……!」

 

エースが鋭い踏み込みで兵士たちの間合いへ侵入し、身につけた特訓の成果で鉄パイプを振るう。銃身を叩き折り、兵士たちを豪快に叩き伏せていく。

 

「サボを返せーーっ! 『ゴムゴムの――ピストル』!!」

 

軸を完璧に固定したルフィの一直線の拳が、押し寄せる兵士たちの腹を正確に穿ち、次々と吹き飛ばしていった。

 

兵士たちが二人に気を取られている隙に、俺は城門を固定する巨大な鉄のかんぬき(閂)へと手を触れた。

 

前世の化学における『電解腐食(電気分解)』――水分を介して高圧の直流電流を流せば、金属のアノード酸化が急速に進行し、鉄原子(Fe)は一瞬で電子を奪われてイオン化する。

 

『――【超局所電解腐食(アノード・ブレイク)】』

 

バチチチッ……!!

 

俺の手元から放たれた青白い電流が鉄の閂を包み込んだ瞬間、ジジジと不気味な溶解音が響き、頑丈な鉄の表面が瞬時に赤サビだらけの脆い物質へと変質。そのままボロボロの砂のように崩れ落ちた。

 

「な……!? 巨大な鉄の閂が一瞬でサビて腐ちただと……!?」

 

警備兵が絶望の悲鳴を上げる中、支えを失った巨大な城門が豪快な音を立てて内側へ開かれた。

 

「門は開けたぞ。行くぞ、サボの屋敷へ!」

 

「「おう!!」」

 

◇

 

高台の奥深くに佇む、豪華絢爛なオウタ伯爵邸。

 

「お、おい! 街の警備兵が全滅しただと!?」

「貧民のガキどもがこちらへ向かって……ひぃぃっ! 扉を補強しろ!」

 

屋敷の中は、パニックに陥った貴族や私設用心棒たちで大混乱に陥っていた。

 

その中心で、サボの父親――オウタ伯爵は顔を真っ赤にして怒鳴り散らしていた。

 

「なんなのだあの貧民どもは! 警察は何をしている! 私の財産と格式を脅かす者は全員死刑にしろ!」

 

そして、部屋の隅の鉄格子に閉じ込められていたサボに向き直り、冷酷な蔑みの目を向けた。

 

「サボ! 見ろ、あんな野蛮なガキどもとお前はつるんでいたのだ! 恥を知りなさい! お前はこの屋敷で、私の言う通りに勉強し、完璧な貴族の跡取りになればいいのだ!」

 

「……うるせぇ」

 

サボが低く、冷ややかな声で言い放つ。

 

「何だと!?」

 

「うるせぇって言ったんだ……! お前らの考える『格式』も『幸せ』も、全部吐き気がするほど汚ねぇんだよ! 俺は……お前たちの人形にはならねぇ!!」

 

「この面汚しがぁっ! 誰のおかげで不自由なく暮らせていると思っているんだ!」

 

激怒した父親が鞭を振り上げた――その瞬間。

 

ドドォォォォン!!

 

豪奢な屋敷の正面ドアが、壁ごと一瞬で爆破されたかのように粉々に吹き飛んだ。

 

「がはっ!?」

 

爆風と瓦礫が部屋中に吹き荒れ、用心棒たちが悲鳴を上げて転がり出る。

 

煙の中から悠々と姿を現したのは、手をポケットに入れた俺と、鉄パイプを肩に担いだエース、満足そうにニシシと不敵に笑うルフィだった。

 

「よお、サボ。迎えに来たぞ」

 

「ル……ルーサス!? エース! ルフィ!!」

 

サボが目を見開き、感極まった声を上げる。

 

「な……何だお前たちは! 兵士! 警護の者を呼べぇぇっ!」

 

狼狽する父親の前に、俺は閃光とともに一瞬で間合いを詰めた。

 

「無駄だ。外の警備も、この屋敷の用心棒も全員沈めた」

 

俺は冷徹な眼光でオウタ伯爵を見下ろす。その威圧感と、前世から鍛え上げられた冷徹な気迫に、伯爵は「ひっ……!」と引きつった声を上げて尻餅をついた。

 

「き、貴様ら貧民の分際で……! 警察に言えばお前たちなど一族郎党――」

 

「自分の息子を『道具』としか見ず、自分の保身のために数千人の命を焼き払おうとしたクズが……どの口で威張っている?」

 

俺は左手で静かに生体電流を練り上げ、伯爵の胸元へ指先を突きつけた。

 

『――【放電・気絶波(ショック・パルス)】』

 

バチッ!!

 

「あがががががっ!」

 

致死量に至らないギリギリの電圧と衝撃が伯爵の全身を駆け巡り、白目を剥いてその場に崩れ落ちた。激しい失禁とともに、かつての格式など見る影もない惨めな姿を晒す。

 

「へっ、ざまあみろ」

 

俺はそのままサボを閉じ込めていた鉄格子の太い鍵穴に指先を触れさせた。先ほどと同じように超高速の電解腐食を発生させると、カチャンと音を立てて頑丈な鉄の錠前が一瞬でサビついて崩れ落ちた。

 

扉が開き、サボが外へと飛び出してくる。

 

「みんな……! 助けに来てくれたのか……!」

 

「当たり前だろ! 俺たちは『兄弟』だぞ!」ルフィがサボの手を力強く握りしめる。

 

サボは溢れ出る涙を拭おうともせず、ニッと最高の笑顔を浮かべた。

 

「あぁ……! 俺はもう逃げねぇ。この狭ぇ国を出て、広ぇ海へ行くんだ!」

 

◇

 

サボを無事に救出し、屋敷をあとにした俺たちだったが、帰り際に俺は打ち倒された高台の鉄門と、そこに残された上質な鉄製武具の山を見つめた。

 

「ルーサス、どうしたんだ? 早く帰ろうぜ!」とエースが声をかけてくる。

 

「いや……この純度の高い鉄や金属、捨てていくにはあまりにもったいないと思ってな。今後の俺たちの『出航資金』に変えさせてもらう」

 

俺は倒れた巨大な鉄門と兵士たちの武器に手をかざした。

高圧電流による急速加熱と電磁制御。金属の不純物を分離しながら一瞬で溶かして成形する――『電磁精錬』だ。

 

ジュワァァァァ……ッ!!

 

一瞬にしてドロドロに溶けた鉄が、俺の電磁界の誘導によって綺麗な四角い型へと集約され、冷却の冷気とともに冷やし固められた。

 

目の前に現れたのは、磨き上げられたように光り輝く巨大な【高純度鉄インゴット】の山だった。

 

「「「うおぉぉぉぉっ!?」」」

 

「な、なんだそれ!? 鉄門が一瞬でピカピカの四角い固まりになったぞ!?」サボが目を丸くする。

 

「高純度の鉄は、船鍛冶や裏社会のブローカーに買わせれば金貨何千枚という高値で取引される。それに、不確定物の終着駅(グレイ・ターミナル)に山積みになっている金属ゴミも、俺の電解分解と精錬技術を使えば、銅や真鍮、高品質な鉄のインゴットとして無限に再利用できるんだ」

 

俺はニヤリと笑った。

 

「これからは山賊からカツアゲなんてしなくても、ゴミ山を精錬するだけで俺たちは数億ベリーの資金を合法的に手に入れられる。将来乗る自分たちの『最強の船』の建造費も、装備の準備もこれで万全だ」

 

「錬金術師かよお前は……! 凄すぎるだろ!」エースが爆笑し、サボも感服したように溜め息をついた。

 

「すっげぇぇぇ! これがあれば肉が無限に食えるぞーーっ!」ルフィが目を輝かせて大喜びで叫んだ。

 

◇

 

夜明けの光が、高台の街とコルボ山の森を優しく照らし出していた。

 

俺たちは崖の上の秘密基地に集まり、インゴットの山を前にして朝日を見つめていた。

 

「ルーサス、エース、ルフィ……俺、決めたんだ」

 

サボが帽子をかぶり直し、まっすぐな瞳で俺たちを見つめた。

 

「俺は海に出て、世界を見たい。この世界のすべてを書いて、本にするんだ! 誰にも縛られない、最高の自由を手に入れる!」

 

「へっ、言われなくても俺も海へ出るさ! 世界で一番有名な海賊になって、俺の生きた証を刻んでやる!」エースが拳を握りしめる。

 

「俺は海賊王になる!! 誰よりも自由な奴が海賊王だ!」ルフィが叫ぶ。

 

三人の熱い誓いを聞きながら、俺は不敵な笑みを浮かべた。

 

「いい度胸だ。お前たちが海に出るまでに、俺が持っている物理の理も、化学も、武術も、六式も、覇気も……全部叩き込んでやる。莫大な資金と絶対的な強さを揃えて、世界をひっくり返す準備を、この山で完成させよう」

 

「「「おう!!!!」」」

 

朝日を浴びながら、四人の咆哮が東の海へと届くかのように響き渡る。

ゴア王国の醜い闇を打ち破り、四人の怪物たちは、絶対的な強さと自由、そして莫大な富を携えて、さらなる高みへと駆け上がっていくのだった。

 




ご覧いただきありがとうございました!
第8話でゴア王国・サボ救出編は完全に決着となりました!
前世の理(物理・化学・武術)を駆使してサボを救い、莫大な資金源まで確保したルーサス。
次回からは数年後の青年期へ向けて、さらなる修行と圧倒的な成長を描く新章へ突入します!
面白かったら評価やブックマークをしていただけると、すごく執筆の励みになります!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。