怠惰な聖女は現状維持を主に求める 作:あるき
「はぁ……」
ここ数日、身体がなぜか怠い。いや、この倦怠感は回復魔法を使った事による疲れなんだけど。不思議な事に私は最近回復魔法を使っていない。だから、この疲れは本来ありえない。だとしたら、これは何か新手の流行病か何かなのかもしれない。
なんて考えベッドでうだうだしていると、主からのモーニングコールが脳内に直接響いた。こちらの事情なんか関係ないんだなぁ。何様だろう、ああ神様か。すみませんね。
そんなくだらない事でどうにかして痛みを和らげ。ぎごちなく身体を動かして着替えを済ませる。階段を下る最中、それすら億劫になっている事に気付く。このまま全てを捨てて寝てしまいたいと言う欲求を必死に抑える。
「もう少々お待ち下さい」
待ちきれない様に、まだかまだかと脳内に流れるメッセージと頭痛のマリアージュに顔を歪めつつそう答えて。いつもの待ち合わせ場所で今日も私は神に祈りを捧げる。
「……なんか今日のマジデダ様。なんか色っぽいと言うか」
「あぁ、聖女様でしょ?分かります。時折息を吐く仕草だったり、咳をしながら、それでも神へ祈りを捧げる姿を見るとこう何かが来ると言うか……」
「貴方は、もうシスターの私にも救えないくらい手遅れですね」
「えぇ?そんなことは無いです。ただ、聖女様に憧れを向けているだけです!」
「憧れね。まぁ、それで良いわ。私の問題じゃないし……」
なんかここのシスター色々と面倒臭そうな匂いがしますね。関わらない方が良さげです。何なら、彼女達から逃げる為に遠方へ逃げるのも考えた方が良いかもしれません。まぁ、それはそれ。今は、何故だかいつもより機嫌が良いみたいでお口も絶好調なマシンガントークを聞く事にしましょう。
「はい、ちゃんと聞いていますとも。にしても今日はテンションが高いですね」
へぇ、仕事が上手くいきそうなんですか?そう、それは良かったですね。え?いや、別に何も思ってないと言えば嘘になりますが。神に隠し事は許されない?いや、いくら神とは言え、それは横暴なのでは。
「じゃあ思った事を言っても良いんですね。ずっと仕事なんてしてないで毎日遊んでる物だと思っていました」
ほら、怒ったじゃないですか。だから言うのを、やめようとしたんですよこうなるから。と言うか、なんで私にこんな構うんですか。他にいるでしょう。教会の人間なんて。
「……神と話せる人間は、数えるほどしかいない。そしてその人間達は皆忙しいと」
だから私にやたらと絡んできたんですねと納得した。すると、自然と体から力が抜けた。本当、どうしたんだろう。私の身体……。なんでこんな怠いんだろう。
座っていることすら辛くなって、ついにその場で倒れた。そして瞼をゆっくりと閉じた。やっぱり今日は休めば良かったなー。もし、次があればそうしようと心から誓った。