エセゴンクエスト ~アバンの大奔走~   作:never learns

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元になる文章はちょいちょい自筆してますが、ここから基本AI作成です(エセ預言者の発言以外)


第01話 未来を(強制的一方的に)知ってしまった青年

アバンは、ただただひたすら茫然自失であった。

 

目の前にいたはずの、全身をローブとフードで覆った人物は、いつの間にか姿を消していた。

 

顔は見えなかった。

 

声も、男なのか女なのか判然としない。

 

それなのに、語られた内容だけは、嫌になるほど鮮明に頭の中に残っている。

 

魔王ハドラー。

 

大魔王バーン。

 

竜の騎士バラン。

 

その息子、ディーノ。

 

ヒュンケル。マァム。ポップ。そして、ダイ。

 

自分が勇者となり、魔王を倒し、その後も戦い続けるという未来。

 

そして、最後には自分ではなく、ひとりの少年が世界を救うという話。

 

「…………」

 

アバンは、ゆっくりと息を吐いた。

 

「……いえ、待ってください」

 

誰もいない場所で、思わず声が出た。

 

「待ってください、というのも妙ですが……」

 

当然、返事はない。

 

「そもそも、私はまだ魔王を倒していませんし……」

 

自分の言葉に、アバンは口をつぐんだ。

 

そうだ。

 

自分はまだ、魔王ハドラーを倒していない。

 

仲間もいない。

 

旅の目的はある。魔王を倒し、世界を救う。そのために剣を磨き、知識を蓄えてきた。

 

だが、預言者が語った歴史は、その先をあまりにも細かく知りすぎていた。

 

単なる予言ではない。

 

未来に起きる出来事を、すでに見てきた者の話し方だった。

 

「……エセ預言者、ですか」

 

アバンは、あの人物の名乗りを思い出した。

 

自分で「エセ」と付ける予言者。

 

あれは謙遜なのか。

 

皮肉なのか。

 

それとも、予言者という肩書きそのものを茶化しているのか。

 

「わかりませんね……」

 

アバンは、頭を抱えた。

 

しかし、ひとつだけ確かなことがある。

 

あの人物は、未来を変えるために自ら動くつもりはない。

 

ただ、こちらに情報を渡した。

 

そして、どうするかはアバンに委ねた。

 

「……随分と無責任な方ですね」

 

苦笑した。

 

それでも、腹は立たなかった。

 

あの人物が言ったことが真実ならば。

 

この情報は、世界を救うための手掛かりになる。

 

そして、もし嘘ならば。

 

自分が信じなければ、それで済む話だ。

 

「まずは、整理しましょう」

 

アバンは、腰の鞄から手帳を取り出した。

 

そして、預言者の言葉を思い返しながら、ひとつずつ書き留めていく。

 

魔王ハドラーを倒す。

 

ハドラーは復活する。

 

その背後には、大魔王バーンがいる。

 

自分はメガンテを使う。

 

カールの守りがあれば生き残る可能性がある。

 

そして、四人の弟子。

 

ヒュンケル。

 

マァム。

 

ポップ。

 

ダイ。

 

「……本当に、私が弟子を取るのでしょうか」

 

アバンは、思わず笑ってしまった。

 

まだ誰かに教えを授ける立場になるとは思っていない。

 

ましてや、四人もの弟子を育てるなど。

 

しかし、笑いはすぐに消えた。

 

ヒュンケルの話。

 

彼は、地獄の騎士バルトスの義理の息子。

 

自分がバルトスを倒したと誤解し、卒業の証を渡す場で襲いかかってくる。

 

その結果、川へ落ちて行方不明になる。

 

「……これは、避けなければ」

 

アバンは、強くペンを握った。

 

バルトスの死そのものを防ぐのは難しい。

 

だが、ヒュンケルが誤解したまま、自分に憎しみを抱くことは避けられるかもしれない。

 

魂の貝殻。

 

地底魔城の隠し部屋。

 

バルトスの遺言。

 

「まずは、そこですね」

 

まだヒュンケルとは出会っていない。

 

地底魔城へ行く理由も、今の自分にはない。

 

だが、いつか出会うことがあるならば。

 

その時に備えておくべきだ。

 

アバンは、手帳に一文を書き加えた。

 

『ヒュンケルと出会ったなら、バルトスのことを確かめる。可能な限り、早く』

 

そして、次の頁へ進んだ。

 

竜の騎士バラン。

 

王女ソアラ。

 

その息子、ディーノ。

 

アルキード王国の滅亡。

 

バランの闇堕ち。

 

「…………」

 

今度は、ペンが止まった。

 

魔王を倒すだけではない。

 

未来には、魔王以上に恐ろしい悲劇が待っている。

 

竜の騎士が、人間の敵になる。

 

その意味を、預言者はわざわざ強調していた。

 

「……バランさんとソアラ王女」

 

アバンは、まだ会ったことのない二人の名を口にした。

 

「どうにかして、悲劇を避けなければなりませんね」

 

だが、今すぐに動けることはない。

 

アルキードの場所も、王家の事情も、バランがどのような人物なのかも、実際には知らないのだから。

 

知っているのは、預言者から聞いた歴史だけ。

 

その情報を、どこまで信じてよいのかもわからない。

 

「……焦ってはいけません」

 

アバンは自分に言い聞かせた。

 

未来を知っているからといって、何もかもを一度に変えられるわけではない。

 

むしろ、知らないことが多すぎる。

 

まずは、自分自身が強くなること。

 

そして、実際に人と出会い、世界を知ること。

 

その上で、必要な時に行動する。

 

「……よし」

 

アバンは手帳を閉じた。

 

その表紙に、しばらく考えた末、題名を書き入れる。

 

『エセ予言の書』

 

「……随分と大げさな題名になりましたね」

 

自分で名付けておきながら、アバンは苦笑した。

 

本人が「エセ預言者」と名乗ったのだから、こちらもそれに合わせただけだ。

 

もっとも。

 

あの人物が語った歴史が本当ならば。

 

この書物は、いつか自分の人生を大きく左右することになるだろう。

 

アバンは手帳を鞄へしまった。

 

そして、まだ誰も知らない未来へ向けて歩き出す。

 

彼はまだ、勇者ではない。

 

まだ、仲間もいない。

 

ただひとり、未来の歴史を知ってしまった青年だった。

 

 




細かい設定の間違いは致命的なものでない限りスルーで(このお話ではそうなってるということで)お願いします
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