牢に閉じ込められ早くも1ヵ月が経った。
今や俺は不死人となり北の不死院へと収監された。俺はここで世界が終わるその日までここで過ごすことになるのか…
鳴き声が聞こえる。見ると既に亡者化したネズミが一匹這い回っていた。
更に物音。
ドスン、という鈍い音と共に亡者の死体が落ちてきた。反射的に上を向く。
外見から察するにアストラの上級騎士だろうか。兜越しに目が合うとどこかへ消えた。
死体に目をやる。何らかの鍵を持っているようだ。拾い上げしばし黙考する。試しに牢の鍵穴に入れてみた。すんなり入る。そのまま回す。
…開いた。
また俺は考えた。すぐにここから脱獄するか、それともおとなしく入っているか。後者ならばチャンスを窺いいつでも出られる。鍵はこちらにあるのだから。
俺は前者を選んだ。あの上級騎士は名も知らぬ俺に鍵を渡した。そこには何か意図があるのではないか、と考えたからだ。外の様子を窺う。見張りらしき者はいない。
俺はそばに捨ててあった折れた直剣を持った。ほとんど柄の部分しか残っていないが素手よりはマシだ。
ドアを開け地下牢を出た。途中亡者が数体いたが襲ってくる気配はない。
直進し、梯子を登りようやく地上にたどり着いた。
近くに篝火があった。不死人の骨が焼かれエストを産み出す。このエストを体内に取り込むことによって。不死人は傷が癒えるのだ。休憩し、目の前の扉を開けた。
進むと、ドスーン!!という音と共にデーモンが落ちてきた。手には大槌を持っており今の装備で敵う相手ではない。
俺は左にある細い通路を見つけた。あそこなら攻撃は届くまい。必死で逃げる。行く手を邪魔をする壺を割りながら必死に走った。通路に入った時、後ろで通路の鉄格子が閉まる音が聞こえた。
通路を抜けた先には篝火がある部屋があり、半分以上が浸水している。
「歩きにくいな…」
水場では足を取られ思うように歩けない。
部屋から出た俺はさっきとは違う通路を歩いていた。
その時、矢が俺を掠めた。
「くそっ…!」
急いで横穴に入る。そばにあった死体を漁ると、レザーシールドを見つけた。
矢を盾で防ぎつつ、前進する。弓兵のそばの死体からはシミターを見つけることが出来た。逃げる弓兵の背中に思い切りシミターを刺し、引き抜く。弓兵亡者のソウルが俺の体に取り込まれていったのがわかった。
出口にかかる白い霧を抜けると最初の篝火があった部屋の2回にたどり着いた。右手に階段があるのを見つけた俺が登ろうとした瞬間、鉄球が転がってきた。罠か。俺は慌てて飛び降りる。まともな受身も取れず背中をしたたか打ち付けてしまったが、鉄球に潰されるよりはマシだ。
鉄球が当たり壊れた壁の向こうには人影があった。近寄るとこちらの存在に気づいたのか途切れ途切れの声で話かけてきた。見るからに瀕死でもう助からないだろう、と思った。
「ああ…君は亡者じゃあないんだな…君に頼みがある。聞いてくれるか?」
「ああ。何だ?」
「恥ずかしい話だが…頼みとは私の使命だ。私の家に伝わっている、選ばれし不死は古い王たちの地にいたり、目覚ましの鐘を鳴らし、不死の使命を知れ…よく聞いてくれた…これで希望を持って死ねるよ…。ああ、そうだ、これを君に託しておこう不死の宝、エスト瓶だ。それと…これも…そこの階段上の扉の鍵だ。死んだ後君を襲いたくはない…行ってくれ。…ありがとうな」
俺は去った。同一人物かは分からないが、俺を助け、その後の使命も託された。彼は亡者化するだろう。俺にできる恩返しはその使命を知り、なし得ることだけだ。
階段を登り亡者を倒す。さっきもらった鍵で扉を開ける。ついでに階段下の扉も開ける。
進むと亡者が2体襲いかかってきた。そいつらを倒し、奥の弓兵を倒す。そして中央の霧を抜けると、デーモンの真上に出た。これはチャンス。
俺は飛び上がると脳天めがけてシミターを振り下ろした。本来の威力だけでなく、落下の勢いもあるからかなりのダメージが入った筈だ。背中を踏み台にし、軽くジャンプして着地する。刹那、大槌が右から迫ってきた。後ろに跳び、距離をとる。俺は一気に距離を縮め、肉薄し、2、3回斬りつけ距離をとる。ヒット&アウェイで戦う。盾受けも考えたがあの威力では受け切れず吹っ飛ばされるのがオチだ。大槌が前方に振り下ろされる。横に跳びスタミナ限界まで斬りつけた。
しかし、攻撃に夢中で気づいた時は遅かった。体が砕けるかという衝撃と共に壁際まで吹っ飛ばされた。馬鹿か。長期戦を恐れ、焦った結果だ。自分を叱咤し、落ち着けと言い聞かせる。追撃を食らう前に距離をとり回復しなくては。幸いまだ距離がある。エスト瓶を一気に飲み回復した。またも前方への叩きつけ 。今度は後ろに回り慎重に斬りつけた。距離をとったところで左から大槌が迫る。だが距離があったおかげで掠りもしない。安堵しつつ攻撃に転じる。3回斬りつけたところでデーモンは力尽き倒れた。巡礼者の大鍵を拾い上げ出口に向かう。扉を開く。
久々に味わう外の空気。地面にはまだ雪が残っている。真っ直ぐ進むと…崖だ。どうするか考えていると巨大なカラスのような鳥が俺を掴んだ。
―――けれども古い伝承によれば、ごくまれに選ばれた不死だけが、彼の地への巡礼を許される。そこは古い王たちの地。
―――ロードランだ―――