貞操逆転世界の僕は田舎での生活に感覚が麻痺して、都会に引っ越しもそのままでいたらなんか危険人物と認定されていました。 作:主義
「2組の田中くん、ヤバいらしいよ」
「え、やっぱりそうなの!?」
「うん、なんかヤバすぎるって。あと生徒会が『危険人物』って認定したって」
「…そんなになんだ」
「で、でも…いいな」
「わかる!男の子からフランクに話し掛けてくれて、ボディタッチにも耐性があるらしいし、まさに理想の男の子!」
「…だけど、生徒会の人たちが田中くんの周りを固めていて、近付けないみたいよ」
「まぁ…そうなるよね。残念」
女子生徒の間でそんな噂が広まっていた。
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男は守られる対象であり、女は男を守る者。
この世界で当たり前の常識であり、幼い頃から女は男を守るために生きている。そしてその常識は生まれた頃から植え付けられる。
なぜそんな風なのかと言えば、それは男女比の圧倒的な偏りが存在するからである。男と女の比率だと100人子供が生まれたとしたら男は一人生まれればいいぐらいの比率だ。そうなると必然的に男の比率は減っていく。
そして男の価値が高まって行けばこれも必然的に奪い合いが始まる。社会的に影響力のある人は金で男を集めたりするのだ。
男は生まれた瞬間から特別なのだ。
幼稚園や保育園から大学まで男には様々な選択肢が与えられる。男だけの生活にいることもできるし、共学の学び舎に入学することもできるのだ。
さすがにそれだけだと圧倒的に男だけの生活になるので、政府は共学に入学してくれた者には一人当たり1000万円という高額な報酬。政府としては男が入学することで少しでも男に耐性のある女を作りたいのだ。
なぜと思うかもしれないが、この世界で男を巡る犯罪は後を絶たない。痴漢や強姦など挙げればキリがない。だからこそ少しでも男に慣れさせるために共学も設立された。
そういう意味でも男が共学に入学して、少しでもコミュニケーションを取ることで、犯罪予備軍を作らないようにしようと考えているのだ。その考えが正解か不正解かはまだ共学が設立されて短いため、何とも言えない。
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そしてその日、田中理という男が高校に転入した。
「田中理です、今まで田舎で過ごしていたので都会のことはあんまり知りません。少しでも皆と仲良くしたいのでよろしくお願いいたします」
普通の挨拶。別に特段、おかしいところもない。
だが、その普通がすごいのだ。この世界の男を分類を分けるとしたら『女に対して恐怖心を抱いている男』か『女を圧倒的に下に見て接する男』のどちらかだ。それなのにさっきの挨拶はどれにも当てはまらないため、クラスメイトはしばらく茫然とした後で、隣のクラスにまで聞こえるぐらいの拍手で迎えた。
そしてクラスメイトが田中理という男が如何に普通の男ではないのかはすぐに知る事となった。
それは一限目の授業で、田中はまだ転入したばかりということもあって教材がまだ届いていなかった。
普通であれば教師にそれを説明すれば許されるのに、田中は隣のクラスに行き「現代文の教科書、持っている人がいたら一限だけ貸してくれたりしないかな?」と聞きに行ったのだ。これは今までの常識から考えればあり得ない。男が女が使っているものを借りようとするなんて、普通じゃない。
結果として貸してくれる人がいたため、田中はそれを借りて授業を受けた。しっかりと一限と二限の間に返したのであった。
次は三限の授業もまだ教材が届いていなかった。さすがに何度も借りるのは悪いと思ったのか、田中は隣の女子生徒に対して「教材まだ届いていなくて、良かったら見せてくれない?」とお願いしたのだ。
それだけでもあり得ないことなのに席と席をくっ付けるのだ。隣の女子生徒の顔がどんどん赤くなっていく。そんなことお構いなしに田中はくっ付ける。
これらの行動から田中理という男は普通の男ではない。女に対して恐怖心を抱くこともせず、接し方も普通の友人のよう。
本人は普通にやっていることでも周りの人たちは明らかに困惑しているのだ。
これは田中理という男なのだ。