異能力者が暴力で支配する現代社会、覚醒した主人公はあらゆる異能力者を圧倒的な力で蹂躙して欲望を発散させる、現代ファンタジー   作:三流木青二斎

1 / 1
第一話

 

 

 

 

仕事を終えた後、事務所へと足を踏み入れる鳴無ユキネ。

部屋の中では来訪者を持て成す為に、彼の『親』である女性がお茶を用意していた。

 

白鞘キリエ。

異能者である鳴無ユキネに力を与え、使い方を教えた異能の親である。

 

「お疲れ様です、ユキネ」

 

彼女はテーブルの上にお茶を置く。

芳醇な香りが立つ湯気を揺らしながら緑茶が前に出された。

湯呑の中身を見つめた末に、彼は小さく舌打ちをする。

 

「あんたに労って貰っても嬉しくはねぇよ」

 

出された茶を拒否しながら彼女を見下ろす。

立ち尽くす鳴無に対して白鞘キリエは本革ソファに座りながら静かに茶を啜る。

 

「そう言わずに、あなたは相応の働きをしてくれたのですよ?」

 

微笑みを浮かべる彼女の表情。

子に対する特別な執着をほのかに香らせる柔和な顔だ。

 

そんな彼女の顔つきに、脅威なと感じ得ない。

このまま寝首を掻く事すら出来る適度な距離。

であるのに、警戒すらしていない。

 

親と言う絆を重視している為だろうか。

どちらにしても、その気の抜けた表情は鳴無にとっては癪に障るものだ。

 

だが、その状態で手を出す程、鳴無も馬鹿では無いが。

 

「たかが異能者の徒党をぶっ潰しただけだろうが、なんならもう一つや二つ潰してきてやろうか?」

 

やんちゃな子供の発言の様に捉える白鞘は、ほっと息を漏らす。

 

「ふふ、それは楽しみです、ですがそれは今後に期待するとしましょう」

 

湯呑をテーブルの上に置いた状態。

そこで白鞘は今回、彼を呼んだ理由を、本題を口にする。

 

「今回、あなたにご褒美を与えようと思っています」

 

ご褒美。

彼女が所有する土地により発生した異能者の暴動。

それを止めた鳴無に対する特別ボーナスの支給である。

 

本来ならば謹んで受け取るものだろうが。

 

「要らねぇよ、この時代だ、欲しいものは分捕るだけだ」

 

鳴無は彼女からの賜り物を頂く前に拒絶する。

当然、白鞘は鳴無の性格を知っているが故に特別支給の不要を読んで、次に答える。

 

「しかし、それでは他の者に示しは尽きません、現物支給は必ず受け取って頂きます、望むものがあれば、如何様にでも」

 

上の立場、仕事としての絶対。

鳴無ユキネは彼女の理のある言葉に対して、再度舌打ちをする。

 

「我を通されてる様で気に食わねぇ……が、欲しいものがあるとすりゃあ」

 

今、自分が手に入らないものを考える。

異能者として覚醒した現在では、武力を以てすればある程度の欲は満たされる。

闘争の意志、武力行使の欲求、血沸き肉躍る戦闘に対する狂奔。

 

であれば、彼が望む事、願いは至極簡単である。

その妙な思い付きを察した白鞘は、彼が欲しいものを思い浮かんだと知り聞く。

 

「なんでしょうか、私に出来る事ならばなんでも」

 

彼女の言葉に、鳴無ユキネは頬を釣り上げる。

縫いつけた皮膚の末端が裂けそうになりながら、鳴無は彼女に視線を向けた。

 

「そうさ、これはあんたしかできねえ事だ、オレは、アンタが欲しい」

 

その要求は至極当然のものだった。

戦う事でしか生を実感出来ない。

強き相手と戦う事こそ、生まれてきた意味を知る。

 

しかし、真に強き強者との戦闘は未だに実現出来ていない。

そう、それこそ、白鞘キリエとの闘いである。

親であり、子である以上、その暴力は真摯に取り合って貰えない。

 

例え反旗を翻したとしても、白鞘キリエはそれを受け入れて親殺しを成就させてくれるだろう。

 

それではダメなのだ。

本気で殺し合って貰わなければ、戦う意味がない。

故に、彼女が本気で戦う事を望む鳴無ユキネは、白鞘キリエとの闘いを願う。

 

「まあ……私を、ですか?」

 

流石に彼女も目を丸くしていた。

素っ頓狂とした表情に鳴無は声を荒げる。

 

「ああそうだっ!今更、無理だなんて言うなよ、オレァずっと前からあんたと一戦交えたかったんだッ!!」

 

そう言われた事で、白鞘キリエは目を細くする。

呼吸が乱れるのか、心臓が高鳴っているのか、酸素の消耗量が激しくなる。

 

「それほどまでに、ですか?」

 

うっすらと頬を赤くしながら、子からの熱望に興奮を抱く。

 

「あんたの下に拾われて、死ぬほどキツイ地獄の特訓を受けている間、ずぅっとあんたの事ばかり考えてたんだ、何時か必ず、オレの手で滅茶苦茶にしてやるってなァ!」

 

親子の関係ではある。

だが血の繋がりはない。

 

しかし、鳴無ユキネはその垣根を越えようとしている。

 

「なんと、……そこまで想っていた、だなんて」

 

胸部に手を添える。

今までの熱意は、全て情欲によるものだったのかと。

白鞘キリエはそう勘違いをしていた。

 

「逃げるなよ?オレがあんたを逝かせてやるからよォ」

 

鍛え抜かれた肉体を以て抱き上げられる。

そう考えるだけで、彼女は濃く赤面をして舌先で唇を舐る。

 

「……子供とばかり思ってましたが、ここまで情熱的だとは、ふふ、心が逸ってしまいます」

 

最早、彼の熱意に対して断る事はない。

鳴無ユキネと言う子を、男としてみる他無かった。

 

「分かりました、その話、お受け致しましょう、しかし私にも準備をする時間が欲しいのですが……」

 

当の本人、鳴無ユキネは彼女の勘違いに気づいていない。

 

「いいぜ、首を洗って待ってろや」

 

「首どころか、体の隅々まで、清めますから……それでは、お楽しみに」

 

目を蕩けさせながら、愛おしい子に色目を浮かべる白鞘キリエ。

 

「私のユキネ」

 

この身を貫かれる覚悟を決めた彼女は、甘い声色で彼の名前を呼ぶのだった。

 

 

鳴無ユキネは二年前に白鞘キリエに拾われた。

異能者が覚醒してから二十年が経過した時、法も秩序も無い暴力者が統治する地域にて生まれた彼は元々は非能力者として強盗や窃盗、暴力を使いながら生活を続けていた。

 

そんな中、白鞘キリエは彼の異能の可能性を見出し、自らの異能の力の一部を彼に流し込んだ。

 

見事に適合した鳴無ユキネは、その後、異能を賜った恩義を以て白鞘キリエの下に就くのだった。

 

今でもまだ、ユキネは彼女を超えたいという願望を抱いている。

今回、その願望が成就されると喜々としていたのだが。

 

そうして鳴無ユキネは彼女が指定した時間・場所へと足を赴く。

彼が見上げる先は、オガ区、白鞘会が陣地とする内地に位置し、非異能者に時間指定で安全を与える休憩所であるホテル。

その最上階に位置するスイートルームは、白鞘キリエ個人が所有する自宅でもある。

 

「……なんで自室に招いてんだ、あの女」

 

そう呟きながら鳴無ユキネはホテルの中へと入る。

フロント前では背筋を伸ばす白老の男性がフロントマンとして働いている。

当然白鞘会の組員であり、鳴無ユキネの顔を見ると共にエントランスを通した。

 

「白鞘組長、鳴無様がお見えです」

 

フロントマンが電話をした後、エントランスに設置されたエレベーターが動き出す。

彼はそのまま導かれる様にエレベーターに乗り込むと、そのまま最上階へと移動した。

 

「お待ちしてました、ユキネ」

 

部屋の中に入った時、彼女の声が聞こえてくる。

初めて彼女の部屋に入った時、黒に統一された落ち着きのあるデザインに目を向ける。

薄型のテレビからは、古めかしい恋愛映画が垂れ流しになっていて、英会話が良いBGMになっていた。

そんな中で登場する彼女の姿に、思わず鳴無ユキネは声を漏らす。

 

「……なんでエロ下着なんて着てやがんだ」

 

黒を基調とした下着姿である。

加えて彼女の胸部を強調しており、渓谷の様に深まった谷間に視線が吸い込まれてしまう。

 

「今宵の為に、特注しておきました、ユキネはこういうのは好きですか?」

 

指先を滑らせながら丸みを帯びた乳房をなぞる。

官能的な動きに対して、興奮を覚える一方、怒りが彼の額に筋を浮かばせた。

 

「違ェだろうがッ!オレは、アンタと戦いたいって話だってのにッ!!なんだその浮ついた格好はッ!」

 

拳を強く握り締めながら滾る力の発散を求める。

彼の熱き要望に対して、白鞘キリエは首を傾げていた。

 

「戦うとは……つまりはユキネ、殺し合いをしたいという話だったのですか?」

 

そこでようやく、両者の勘違いが発覚する。

歯軋りをしていた鳴無ユキネは緩慢を覚え肺に溜まる鬱憤を溜息として吐き出す。

 

「……やる気が失せた、興が削げた、くっだらねぇ」

 

戦闘意欲が萎えた所で落胆の言葉を口にする。

だが、彼の失望の声に対してキリエの視線は一点に集中していた。

そして彼の言葉とは裏腹に怒張の跡が浮き彫りになっているのを見て嘲笑する様に表情筋を綻ばせる。

 

「その様に申している割には……この身に対して劣情を抱いている様子ですね?」

 

一応は女として認識されている事にキリエは嬉しく思っている。

下着の中で溢れそうになっている乳房、摂食を心掛けたくびれが出来てる腰。

太く好ましい臀部から太腿にかけての滑らかなボディライン。

 

それが眼前に出されれば……興奮を禁じるなど不可能に近いだろう。

 

「私ではやはり、興奮しませんか? もっと他の女性の方が趣向に沿いますか? 私はユキネに誘われた時、この体を弄んでくれると思い歓喜に震えました、分かりますかユキネ……無理矢理にしてほしいのです、滅茶苦茶にしてほしいのです、あなたの欲望を私の臓腑に染み込ませて欲しい……」

 

甘えた声色で鳴無ユキネを招くキリエの声。

彼女の足取りが猫が歩行する様に音もなく彼の元へ近づく。

手を伸ばし、彼女の指先が鳴無ユキネの首に腕を回し始める。

目と鼻の先にキリエの顔が近づく、そんな彼女の娼婦の真似事に対して手を伸ばす。

 

「この映画、音がデカすぎんだよ……アンタの声が聞こえ難い」

 

その言葉を最後に、ユキネはテレビに映る映画に一瞥をした。

 

 

 

 

まあ……こんなところで、まだ廊下、ですよ?

ん……そんな、ダメ、  ダメです  っあ

 

あっ……  そちらは  違いま っ ぁん

 

    大きいなど 言わないでください……

 

 開  ひ、ぃて、  みない  で  ~~~っ

 

恥ず……   ぃっ   っ

 

 した   ぺろぇ だめ  っぁ  っ~~~ッ

 

~~~っ、んっ   んぅ……ふっ

 

   ?!

       おっ 、  入りません、 そんな  

 んあっ!!   はひゅっ  っ ~~~っ

 

あっ  つい   熱い   ゆき、ね……っ

 

  うご……  んぅうううっ!!

 

い ぅ ~~ひゃぅ っ  だゃあ?!

 

 も、  もう   ですか  っ  ぁんっ

 

ん  どうぞ  ……んんっ、 大丈夫、です。ユキネ―――。

 

あなたが 

  好きな   場所、  に……

 

ぃっ ~~~っ  んぐっ……んっ

 

~~~~~~~っ。

 

 

映画の音と部屋の音が混ざり合いながら、その日、一夜が明ける。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。