ファンタジアライフ・オンライン ~最強コンビのイチャイチャゲームライフ~ 作:サクラナイト
受験という人生の分岐点となる一大イベントを乗り越え、高校生という青春の始まりを迎えるそのひと月程前。
『あと10分ってとこか。ようやくって感じだなケーイチ。』
「だよな。ほんとようやくって感じだぜ。」
手に持つスマホから聞こえるのはボイスチェンジャーで変声した3年間共に色んなゲームを遊んだネッ友の声。
声の主、プレイヤーネーム『Akira』ことアキラは今か今かと新作ゲームを待ちわびるかのように───というか実際に待ちわびてるが、楽しげに話す。
かくいう俺───
世界初のフルダイブ型VRMMORPG『ファンタジアライフ・オンライン』。略称『FLO』、もしくは『ファラオ』。それが今日、正式にリリースされるのだ。
βテストの時点で完成度の高さから高評価の声と製品版への期待が殺到。かく言うβ経験者の俺からしても、現時点でのベストゲームランキングでぶっちぎりの1位に君臨するほど。
βの時は寝ても覚めてもFLOのことしか考えてなかったしな。
『それで、ソードダンサーだっけ?いやだなーあれ露出多いっぽいし。賭けで負けたからそれにするけどさー。』
「βに当たらなかった自分を恨むんだな(笑)。」
『この前天鱗出るまでどれだけかかったっけ?』
「その節は本当に申し訳ございませんでした。」
『いーよいーよ。高校入ってからジュース奢ってもらうって約束もしたし。高校入る前に今から会うことになるけど。』
「アバター姿でな。」
『それはそう。』
ちなみにだが、俺とアキラは同い年だったりする。中学までは別々の学校に通っていてお互いこうしてネットでしか繋がりはなかったが、高校からはアキラの誘いで同じ高校に通うことになっている。
もしかしたら受験の時にすれ違ってるかもな。知らんけど。
『っと、そろそろか。俺は先に準備してるわ。』
「オーケー。指定した先でなー。」
『おう!インしたらすぐ行くー。』
サービス開始まで間もなくといったところで通話を切り、専用のヘッドギアを装着してベッドに横たわる。
「さてと……始めますか。」
「アバターは……ベータの時のままでいいか。今更作り替える必要もないし、早く遊びたいしな。」
俺はベータ時代のアバター(と言っても髪型と髪や目の色をちょっと変えただけ)をそのまま読み込み、さっさと職業選択画面へと進む。
『守護戦士』や『魔戦士』、アキラにも勧めた『剣舞人』と豊富な種類があるが、俺はDPSと覚えられるスキルから『奇術師』を選択する。
あとはプレイヤーネームを設定するだけだが、これは他のゲームと変わらず『K1』。啓一だからK1、そのまんまだ。
全ての設定が整ったので、最終決戦ボタンを押し、かつて数週間ほど体験した剣と魔法の冒険の世界に、ログインするのであった。