頭痛が痛い。モンハンしたい。頭がうまぴょいする。ドクターペッパーはいらない。
だめだ、思考がままならない。こういうときは素数を数えるんだったな。
螺旋の階段、カブト虫、廃墟の街、イチジクのタルト、カブト虫、ドロローザへの道⋯⋯ってそんなこと考えてる場合じゃねえ!大学行かなきゃ留年する!⋯⋯ってあれ?
「ここどこだよ」
物凄く見覚え⋯⋯というより、心当たりのある、見渡す限りの真っ白な空間。
正直俺がこれを経験するとは思わなかった。まだ決まったわけじゃないけど。
「よく来たな、神奈月ケイよ」
「あー、うん知ってた(諦め)」
突如として現れたのは異世界転生物でよく見かける爺さん風の神様っぽい人。というかこの流れで言うならほぼ間違いなく神様。
「意外に冷静じゃのう。まぁ薄々感じておるじゃろうが、おまえさんは死んでしまった」
「あ、そっすか」
「というわけで転生してもらおうかのう」
「流れ早いなおい」
しかし異世界転生って実在するのか。てっきりフィクションだけの架空の物語だと思ってたわ。
まぁでも夢にしては意識や感覚がハッキリしすぎているし、多分死んだことは間違いないだろう。死んだ瞬間の記憶とかいらないけど。
つ ま り だ。
俺にも異世界に転生してチート能力貰ってハーレム作るチャンスが巡ってきたのでは?
これまで普通に生きてきた俺がついに勝ち組になる時が来たのでは?
「ちなみにチート能力はなしじゃ。努力次第では最強になることは可能だがのう」
「あ、そっすか」
無いみたいです。
てかナチュラルに思考読まれたんだが?
神様だから当たり前か。
「さてと。お主の転生先じゃが……」
「イナズマイレブンの世界で」
「最近の若者は最後まで聞かんのう。まぁよい。円堂守世代と松風天馬世代、笹波雲明世代、そして自分だけの物語、どれを選ぶんじゃ?」
どれを……か。正直、めちゃくちゃ迷うな。
円堂守と共にイナズマイレブンとしての最初の伝説を作るか。
松風天馬と共にサッカー界に風を巻き起こすか。
笹波雲明と共に、円堂守とも松風天馬とも違う、新しい伝説を作るか。
正直、どれも捨て難い。
だからこそ今一度深く考える。
俺の本当にやりたいこと。それは────
「決めました。俺は───俺だけの物語を作りたい。誰かの脇役ではなく、円堂守にも、松風天馬にも、笹波雲明にも負けない主人公になりたい。俺の手で、新しい伝説を作りたい」
「……いいじゃろう。お主の思い、確かに受け取った。次の人生は楽しく幸せな人生を願っておる。では達者でな」
神様がそう言うと俺の身体が光に包まれ、そして意識は途切れた。