改名前は二次創作を色々投下していたものです
今回はオリジナルに挑戦しようと思って戻ってきました。
楽しんでいただけると幸いです
異世界の終わり
「はぁ、はぁ」
とある場所で一人の青年が歩いていた。そこは所々が今にも崩れそうな石造りの遺跡。
何時崩れても可笑しくないにも関わらず大きな振動が青年が進む度に発生している。
音の響き方から遺跡の外で何かが爆発している様だ。
「……げほ、ごふ」
そんな遺跡の中を歩く青年の姿はとても痛々しい。右腕は使い物にならないほど傷だらけ。両足も辛うじて機能しているが青年が立って歩いているのが不思議なほどズタズタになっている。
それでも青年は歩き続け、やがて大きな扉の前に辿り着く。
「……ここ、か」
消え入りそうな息を吐きながら青年は呟く。そこに目的の場所に漸く着いた安堵ではなく、当たって欲しくない予想が当たった苦々しさが込められていた。
「…………」
青年は無言で扉を開き始める。ゆっくりと開かれていく扉の隙間から目も眩むほどの金色の光が溢れ出した。
「来たんだ」
光の向こう側から少女の声が聞こえてくる。青年はその声の主を見るために目を凝らした。
「……カナ」
「そんなに無理してまで来ること無かったのに」
「死んだら無意味になっちゃうよ」そう言って桃色の髪を頭の高い所でポニーテールにしているカナと呼ばれた小柄な少女は巨大な魔法陣が描かれた部屋の中央で微笑みながら青年を見つめていた。
「……お前は、何をするつもりだ?」
「何って決まってるよ」
なんでそんな分かりきったことを聞くのか、そう言いたげに少女は告げる。
「私を生贄にしてトモキを元の世界に帰す儀式だよ」
自分の命の使い道を
「そんなこと――」
「望んでない?」
青年――トモキの考えをカナは理解している。
「だとしても、止める気は無いよ」
それでも止める訳には行かない
「だってトモキは本来、無関係だったんだよ? この世界を守る義務なんてなかった。それでも戦ってくれた」
「だから、俺は、最後まで――」
「でも、私達は
それは彼女のできるせめてもの贖罪
「異世界の住人に助けを求めた上で負けた。完全敗北だよね。だって生き残ってるの私だけみたいだし」
「もう皆、燃料にされちゃったのかな?」カナは残酷な現実を先程と変わらず微笑みを浮かべながら話し続ける。その表情に込められているのが只々諦観であることはトモキも理解している。それでも諦めたくなかった。
「……それでも、何か方法が……!」
もしかしたら救う方法が有るかもしれないと足掻くのを止めたくないとトモキは消え入りそうな声で叫ぶ。
「もし方法が有るとしても」
二人は気づいている。遺跡の外で鳴っていた爆発音が近づいてきている。ここも長くは持たない。
「ここじゃもう見つからないよ」
「…………」
その言葉にトモキは何も言い返せない
「だから、もし助けてくれるなら元の世界で方法を探して欲しいな」
「だったら、カナも一緒に……!」
「ゴメンね」
床の魔法陣が輝き出す。儀式が実行される合図だ。
「カナ……!」
「安全に世界を移動するなら誰かが生贄にならないと足りないみたい」
「だったら俺が――」
「ダメ」
カナは笑顔でトモキの提案を却下する。
「さっきも言ったよ。ここはトモキの世界じゃない」
トモキの体が徐々に透けていく。元の世界に帰ろうとしているのだ。
「この世界と心中するのは私の役目だよ」
「カナ!!」
その叫びと共にトモキはこの世界から消えた
「……あー失敗した」
そう言ってカナは後ろに倒れ込む
「最後にキスぐらいしとけば良かった」
カナの表情は暗がりで見えない。泣いているのか笑っているのか、あるいは本人すらも理解していないかもしれない。
「よくよく考えたらデートもした覚えないや……ずっと戦ってたからなー」
カナの四肢から力が抜けていく。命が失われていっているその感覚に不思議と恐怖は感じていなかった。
「まあでも、殺される前に送れたから良かったよ」
そしてカナの前に異形の存在が現れる
『セイメイタイ、ハッケン』
『カイシュウサギョウヲカイシスル』
トモキ曰く、生物が混ざっているように見える機械と評されたそれらを見ながらカナは告げる。
「悪いけど燃料になる気はないよ」
「最期は派手に花火を上げるつもりだから」
そう言うとカナの心臓付近が輝き始める
『イジョウエネルギーハンノウ』
『ログカクニン、ジバクトスイテイサレル』
機械達はカナを殺そうと動き始める。だが――
「遅いよ」
手遅れだった
「バイバイ」
そして世界は閃光に包まれた。
――――
「早く起きなさい」
そう言って少女は目の前で机に突っ伏している幼馴染の少年を叩き起こした。
「イタッ!?」
頭を叩かれて思わず悲鳴を上げる少年。彼の名は
「もう放課後よ。いつまで寝ているの?」
彼を起こした少女、
「……ああ、悪い」
「じゃあ、私は下で待ってるから」
そう言って千晴は教室から出ていった。
「……夢か」
教室に自分以外誰もいないのを確認して友喜は呟く
「……行くか」
そう言って友喜は鞄を手に取って立ち上がり千晴の後を追った