「孤独のグルメ」×「リコリス・リコイル」クロスオーバー 作:黒猫アプロ
喫茶リコリコは本編終了、ハワイから帰還後という時間軸になっています。
【東京都足立区北千住】
荒れ模様だった今年の夏も終わり、もう秋になった。
この年になると1年が過ぎるのが早く感じるな。
・・・などと感傷している場合ではない。
まずは仕事だ。
今日の1件目、
古いレコードの注文だ。
滝山から「相手は大柄な外人なんだ!頼むよ!」と妙な言い訳で回された案件だ。
別に外国くらい、お前、よく行っているじゃないか、と思ったが、
今回はイロをつけると言っていたし、ま、貸しだな。
え~っと、この辺りか。
喫茶リコリコ・・・
あった。
「ごめん下さい。」
「あ、いらっしゃい!
たきな、お客さんだよ!」
高校生くらいかな?
店員さんに歓迎される。
なんか、すごく元気だな・・・
「あ、すみません。
私、滝山さんから紹介されて、レコードのお届けに上がった
井之頭というものです。
ミカさん、いらっしゃいますか」
「そうだったんですか!
先生、お届け物だよ!」
赤い着物の女の子が呼んでくれる。
「今、行くよ」
どうも地下らしいところから、杖をついて、
大柄なアフリカ系の男が上がってきた。
「あれ?
ミカさんって、あのミカさん?
パリでインターナショナルスクールの先生やってらした?」
「おぉ、五郎じゃないか!
久しぶりだな!」
なんだ、大柄な外人っていうから警戒しちゃったじゃないか。
知り合いだよ。
「日本にいらしてたんですか。
まさか喫茶店やられたとは。」
「あぁ、成り行きでね。
座ってくれ。」
カウンター席に案内される。
よく見ると、店員さん多いんだな。
昼間なのに、もう突っ伏している若い女性、
黄色い着物を着ている小さな子もいる。
「これが頼まれていた品です。
アンドリュー・シスターズのオリジナル版
Bei mir bist du schoen です。」
「おぉ、あったか!
なかなか日本じゃ見つからなくてね。
よかったよ。」
「お役に立ててなによりです」
「せっかくだから、一杯どうかね。
もちろんコーヒーを」
「えぇ、いただきます」
ミカさんはコーヒーを準備しにキッチンへ向かう。
すると、例の赤い着物の子が話しかけてきた。
「五郎さん?でいいんですか。
先生と知り合いだったんですね。」
「えぇ、パリでね。
昔、フランスの雑貨の勉強でパリに住んでまして。
その時、知り合ったんですよ」
「雑貨!
じゃ、こういうの扱ってませんか!」
カタログを持ってくる。
食器のもので、コーヒーカップやお皿のもの。
「えぇ、扱ってますよ。
なんでしたら、ヨーロッパ以外も。
見てみますか?」
パソコンを出して見せてみる。
そこにミカさん、戻ってくる。
「千束、まず、ちゃんと挨拶しなさい。」
「あぁ、ごめんなさい。
わたし、錦木千束。
こっちは井ノ上たきな。
よろしくお願いします!」
赤い着物の子と青い着物の子の名前がわかった。
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
いれてもらったコーヒーをいただいていると、
「ところで、五郎、もう一つ入手してほしいレコードが
あるんだが、いいかな。」
「えぇ、どんなものでしょう」
「マリア・カラスのファーストプレスなんだ。
マダム・バタフライの初回公演。
前から探していてね。」
「・・・それは希少ですね。
探してみますが、確実に、とは言えないですね。
一先ず探してみて、ご連絡しますが、
それでいいですか。」
「あぁ、ダメもとだと思っているから、
とりあえず結果だけ教えてくれると助かるよ」
「わかりました。」
すると、2人の店員さん、どうも食器をオーダーしてくれるらしい。
「あの、五郎さん、この、ミントンのカップ、
5セットほどお願いできませんか。」
「・・・えぇ。お急ぎでなければ。
在庫を探してみますので」
「お願いします!」
青い着物の子、たきなちゃん、からお願いされてしまった。
「じゃ、ご依頼の件、承りました。
コーヒーごちそうさまです」
「いやいや。お粗末さま」
それでは、といって、五郎さんは出て行った。
「またねー、五郎さん!」
千束が手を振る。
五郎の姿が通りの向こうに消えると、千束は振り返った。
「ねぇねぇ、先生、
五郎さんって、関係者なの?」
「いや?
そうじゃないよ。
彼が言っている通り、輸入業者、雑貨商だよ。」
「でも、随分、体幹がしっかりしていましたし、
動きにキレがありましたよ。
何か武道でもやっていたような。」
「あぁ、そういえば、何か、昔やっていたとか
言っていたような・・・
空手だったかな?」
「ミズキは珍しく、反応しなかったな」とクルミ。
まだ突っ伏したままのミズキは答える。
「どうせ、妻子もちでしょ・・・
あの年で、あのスペックで独身なんて
あり得ないでしょ・・・」
「いや、五郎、独身だぞ?」
がばっとミズキが起き上がる。
「本当?」
「でも、あいつ、独身主義だったような・・・」
「絶対落としてみせる!!」
「やめときなよ~
この前のカナダだかの人にもそんなこと
言ってなかった?」
「ミズキは諦めってことを知らないからな」
千束ばかりかクルミにまで突っ込まれる。
「うるさいよ!」
今日もにぎやかなリコリコだった。
「食器、あるといいな」
たきながぽつりと呟いた。
多少、書き貯めがあるので、当初は週イチ投稿ですが、すぐ不定期投稿に戻ります。
なお、リコリコ世界の抗争はあるかもしれませんが、五郎さんが巻き込まれるのは
極めて珍しい(はず)です。