○登場人物
・九十九弁々 琵琶の付喪神。背はやや高め。冷静で大人びている……。
・九十九八橋 琴の付喪神。中背。勝ち気で無鉄砲……。
<九十九姉妹ハウス 寝室 昼 晴れ>
木目の映える、簡素な木製の四角いテーブル。その上に置いてある、白い箱。そのなかに並ぶ、生八ツ橋。
にゅっ、と色の白い手が伸びる。手は生八ツ橋を取ると、ゆっくりと口元に運ぶ。
小さな口を一杯に開けてかぶりつく。
弁々 「はむっ」
それでも、半分くらいしか減らない。
もぐもぐ。むしゃむしゃ。
簡素な木製の丸椅子に座った弁々は、至福の表情。
木製の窓枠。その近く、ふかふかとした絨毯の上に、弁々の本体である琵琶が立てかけられている。
その近くには、木製の簡素なベッド。
ふと、部屋の反対側を見る弁々。
マットを敷いたパイプベッドの上で、八橋が「機動戦士ガンダム」のハロのぬいぐるみとじゃれている。
同じくパイプベッドの上、やはり窓(金属製のサッシ付き)の近くに、八橋の本体である琴が立てかけられている。
弁々が八橋を見ていると、八橋も弁々に視線を返す。ハロのぬいぐるみをいじりながら。
無心の空虚なカオ。
残りの生八ツ橋を口に放り込んで、むぐむぐと口を動かす弁々。
その間も八橋は、弁々のほうに視線をやりながら、無心にぬいぐるみをいじり続けている。
ああ、と閃く弁々。
手についたニッキの粉を丁寧に舐めとった後、その手で、生八ツ橋入りの箱を、スッ、と八橋に差し出す。
弁々 「食べる? ……ああっと……」
八橋を見つめる、弁々の横顔に、だらだらと冷や汗。
弁々 「(ナレーション)っべー、この子の名前、なんだっけ?」
弁々 「(ナレーション)大体この子、存在感が無いのよね。輝針城キャラの中でも、イマイチキャラが立ってないっていうか。」
弁々 「(ナレーション)んもうっ、この特徴のないアンニュイ顔! 普段何食って生きてんのかしら、この子。おけらとか、なめくじとか喰ってんじゃないの?」
ぬいぐるみを抱きしめる八橋の、空虚なカオ。
弁々 「(ナレーション)顔からすると、ジミコとかネクラコとかっぽいわね。もしくは、しょうゆとか、きなことかかしら。あ、なんかそんな気がしてきた」
弁々 「(ナレーション)いやいやまてまて違う違う。たしか、あまーい、なんかのお菓子に似た名前だったような……」
視線を落とすと、手にした生八ツ橋が目に入る。
弁々 「(ナレーション)ああ……」
顔を上げ、悟ったように優しく微笑みながら言い直す弁々。
弁々 「食べる? おたべちゃん」
八橋 「(すかさず)八橋だよ、姉さん。確かに近いけどさ。」
ジト目で睨む八橋。
八橋 「いい加減、名前覚えてよ。」
膝に抱えたハロのぬいぐるみをぎゅむっと潰す。