といっても、まだ主題にこれっぽちも触れないという……
あと、3~4話程度で主題に触れていきたいなと思っとりますので、それまでご容赦を
では早速どぞ~!
第十二層フィールド
フレッドside
「しかし、あのクエストの内容、曖昧すぎね?」
こんなセリフを吐くのは腰に《カタナ》を差すカイだ。
つい先日、念願のエクストラである《カタナ》スキルを手に入れ、第十一層のボス戦で大暴れしLAすらも手に入れ、名実と共に、攻略組トッププレイヤーの称号を手に入れたばかりで、割とご機嫌ではある。
「とはいっても、あの二層のボス戦以来、迷宮区近くのクエストはすべて攻略して少しでもボスの情報を集めようってことになったからしょうがないって、ねぇピナ」
「きゅ~ん」
こっちはシリカだ。
第八層でたまたま会った《フェザーリドラ》をたまたま持っていたこのMobの大好物を上げたら
故に主街区にいる時は基本フードつきのケープをつけないと、歩けない状態だ。
とは言っても、ピナの存在は鬱陶しく思わないどころか、シリカにとって家族のようなものらしくピナをテイムした日はそりゃあ騒いだもんだった。
ちなみに今はコペルはいない。
ギルド全体の仕事で中間プレイヤー連れて食料探索に出かけている。
あいつも槍と盾を使うようになり、まさに
俺自身も9層ボスのLAで得た両手剣《ブレイブ・アップ》……意味的には、「湧き上がる勇気」って感じか?のおかげで、しばらくは武器の性能には困らないので、俺らのパーティーはすぐにでもボス戦を行ってもいい状態なんだが、アスナちゃんやキバオウ、特にリーダー格のディアベルが、シリカの言う通り第二層の失態(真のボスが別にいた)の為、それ以降はなるべく全ての迷宮区近くのクエストを情報屋と共に攻略組どうしが協力して潰していこうということになったんだが、正直たりぃ~。
今行ってるクエストは「謎の作物食い荒しMobを駆逐せよ」っつーもので、内容はタイトルそのものなんだが目撃情報が一致しないため、情報がほぼ何一つない。
ある奴は「でかい鳥」、ある奴は「虎みたいな猛獣」、ある奴は「ウサギみたいな小動物」……と。
こんなんで探せって方がまず無理な話だ。
たまに出てくるMobも猛獣型というよりは獣人型が多く、一致しない。
故に俺含めて結構なだらけ具合になってるわけだ、俺らのモチベーションが下がるのはごく仕方ないことといえよう。
そんな時俺らの真正面からグリーンの反応をいくつか確認した。
視認できる距離に近づいた時、俺のこの世界で数少ない呼び捨てで呼び合う奴のグループと遭遇した。
「おぅ、ディアベルじゃねえか」
「やっぱり、フレッドか。3人パーティだから多分そんなところだろうって思ってたよ」
俺の目の前にいる青髪爽やか笑顔ことディアベルも今じゃ、《ドラゴンナイツ》というギルドの頭を張ってる。
青い布地のインナーに肩・胴・腰に金属鎧を纏い、背中に青いマントを羽織りその上に金属製のタワーシールドと片手のロングソードを背負う姿はまさに中世の騎士団の長を思わせる出で立ちだ。
「そっちも今クエスト中ってところか?」
「あぁ、と言っても今終わったところさ、あとは依頼主に報告してクエスト完了だな」
「こっちも早く終わりたいよ。俺んとこはターゲットが分からないスロータークエやってんだぜ?そろそろだれてきた……」
「それは、ご愁傷様だな。まぁ、頑張ってくれ」
「あぁ、頑張らせてもらうよ。報酬は良さそうだしな。それはそうと迷宮区のマッピングって今どんな感じよ?」
「あぁ、リンドをリーダーにして探索を進めてるけど、こっちのマッピングは最上階の70パーセントは埋まってる感じだな」
「もぅ、そんな進んでるのか。俺らも早く迷宮区へ行きたいもん……!?」
「!?」
俺とディアベルは索敵スキルを持っている。
故に近くに紫に近い赤にカーソルを確認した。
つまり俺らのレベル(ちなみに俺は27)より格上のMob……負けるとは思わねえが連れがいる状態だとめんどいな。
「ディアベル、カーソル確認したか?」
「あぁ、この層で俺たちよりもレベルが高いとなるとボス級モンスター、しかも多数なんて初めてだ。ここは引いたほうが得策だろうね。全隊静かに街へ戻る!」
「俺らもだ。ちょいとレベル的にまずいモンスターが近づいてきている。静かにそして速攻で帰んぞ!」
全員の顔に緊張感が浮かぶ。
といっても相変わらず、カイの奴は余裕そうな顔をしているから腹が立つ。
「つっても、あんたら二人がいれば大体のMobは倒しちまうだろ?最終兵器としてカタナ使いの俺がいるわけだし?」
「そうは言っても、カイ君。君が武器系統で恐らく初のエクストラスキル持ちといっても、油断は禁物だよ?実際オレのサーチングには紫がかった赤のカーソルが見えているんだ。用心するに越したことはないだろう?」
「うっ!ったく、ディアベルの旦那は頭堅ぇから苦手なんだよな、全く……」
ナイス、ディアベル!ざまぁねえな、カイの奴。
っとそんなこと考えてる場合じゃねえな、さっさと移動しねえと。
だがここで、俺の予想の上を行く事態が発生してしまった。
突如現れたグリーンカーソルが激強カーソルの方に接近しているのである。
この辺りのマップの構造上、道はこっちにつながる一本道もしくはエンカウントしそうになってるプレイヤーが進んでいる獣道とも言えないところしかないわけで……。
それを考えた直後最悪……というより予想通りの事態が起きちまった。
「わぁあああああああああ!!」
つまりはこっちの道にそのローブを被ったプレイヤーが逃げてきたわけで、必然的に俺らも
「に、逃げろぉおおおおおおお!!!」
ということになるのは仕方のないことだろう。
この発言からおよそコンマ一秒後、フードをかぶったプレイヤーと共に巨大なキマイラのような……言ってしまえば双頭のライオンに翼が生えたMobを筆頭に、ワニみてえな鱗を持った体にコウモリの翼、鹿の角が生えたドラゴンみてえなMobや、上半身魚っぽいモノに下半身人間っつー魚人みてえのが多数と、幻獣・珍人のオンパレードが俺らとエンカウントした。
「誰だぁああああああ!!トレインしやがる奴ァああああ!!!」
「お、その声はフレッドの旦那カ?いや、この件はホントにごめんナ」
「アルゴォオオお、てめえ!俺の前に格上Mobトレインするたァいい度胸だな!!覚悟できてんだろうなぁああ!!」
俺が《鼠の》に文句を言ってると向こうも反論してきやがった。
「オレっちだって別に悪意持ってトレインしたわけじゃないサ。クエスト終わって疲れてたトコに近くにいた敵の前に出ちまっただけダロ。あんま怒るなッテ」
「怒りたくもなるわ。ただでさえ、クエストのターゲットが分からないところでイラついてんのにこんな格上共連れてこられたらこうなるわ!……とは言っても、このままじゃ逃げ切れるか微妙だな……ディアベル!戦闘準備行けるか!?」
「ポーションとかの回復系が少ないから微妙だな……、できれば回避したい」
……チッ、仕方ねえ。俺一人だったらなんとかなるかね……、おし!
急旋回して、武器をストレージにしまい、《跳躍》を発動する。
「ふ、フレッドさん!?何するつもりですか!?」
「ちょいと、タゲ取って戦ってみる!おめえらその間に逃げな!」
「旦那、それ死亡フラグ!」
「っせえ!余計なこと言ってんじゃね!」
会話中にもジャンプで奴らの頭上に来る。
「
叫ぶと同時に、俺は一番でけえ、キマイラの双頭の内の一つを見定める。
この跳躍走は《体術》と《跳躍》の複合スキルで《跳躍》で跳んで相手を踏みつけた場合のみ体術の《
とりあえず上にいるときに、大体のルートを定めて、最初のライオンを踏みつけた――――――つもりだった。
すり抜けたのだ、俺の体が透けたわけではなく、奴らの体が一瞬透明化したような感じがし、俺の《剣術》は地面を抉った。
「な、なんだと!」
奴らのゲージにもちろん変化はねえ、どういうことだ。向こう側でも逃げるよりどういうことかざわめいてる感じだ。
「……待てよ。ってこたァ……」
俺はやつらを注視する。すると奴らの足元にあるべき影がねえ、つまりは……
「こいつらはニセモンだ!」
「偽物……だと?」
「あぁ、こいつらには影がねえ。カーソルに騙されてたがよくよく考えたら変な話だ。この層で俺らよりレベルが上?まずそっからおかしい。ボス戦ですら俺ら攻略組からしたら紫に近ぇ赤になることはそうそうあるもんじゃねえ。それが、名前を見たら定冠詞がねえ、つまりはボスでもねえMob達が最前線とは言え攻略組である俺らよりレベルが上ってのはゲームバランスがおかしいどころの話じゃねえ。恐らく、セキュリティプログラムの類が検知してすぐに消去にかかるだろうさ。でも、それが行われねえ……となると、こいつらは幻であるという推測が成り立つ」
「なるほど、じゃあこのカーソルも……」
「そう、この近くで幻を見せてるMobの能力と考えられる。しかも、姿の一致しない目撃情報……俺らのターゲットの可能性が非常にたけぇ!」
「OK!じゃあさっさと倒しちまおうぜ!で、旦那そいつどこにいんのよ?」
カイが聞いてくるが、それに俺は答えることができないので首を横に振る。
「あぁん?なんでわかんねーんだよ。旦那のレベルのサーチングに引っかかってねえってぇのかよ、そのMob」
「残念ながらな。ディアベルそっちも反応ねえよな?」
俺は同程度のサーチングができるディアベルに答えを求めるが、あいつも首を横に振る。
「あぁ、こっちにも今見えてるやつら以外の反応はない」
「……分かった。これは恐らく俺らのクエだ。ディアベル達巻き込むわけにいかねぇし帰っててくれ。ポーションの類も少ないんだったらなおさらだ」
俺はディアベルに俺らもろとも脱出という退路を断たせ、帰るように誘導する。俺の策がうまくいったのか、アイツはしばし悩んで言った。
「すまない。じゃあ、ここは任せるよ。全隊撤退!」
とりあえず幻獣集団が文字通り、幻と推測した今、こいつらはお化け屋敷のお化け達となんら変わらねぇ。
怯える奴はこの場に一人もいなかったのでディアベルたちの撤退はスムーズだった。《鼠の》も引く時に「後で情報をタダで売ってやるヨ」と言い去って行った。
……まぁ、後でとびきりの情報をねだってやろうと思いつつ、幻獣たちの方へ向き直る。
まったく俺としたことが、こんな子供だましに引っかかっちまうとは情けねえ……
「カイ、シリカ!てめえら今から少し黙ってな!俺がこの辺り一帯を検索する!」
このセリフに応じたのか、戦闘態勢に入っていた二人もとりあえず休めの状態になる。さすがにこの4か月チョイで俺の思考は分かってきたみてえだな。
もしくは、お仕置きと称する罰が怖いか、だな。
さて、と
「…………」
俺は耳を澄まし周りの……自然の音を極力取り入れる。
システム外スキル《聴音》だ。
周りの音の中に不規則なノイズを探す。
正直、幻と分かった後にすら襲ってくる幻獣たちが鬱陶しいことこの上なかったが、極力意志の外に置き、無視する。
1分ほど経った後、微かだが周りの規則的な自然の音に混じって不規則な音を見つけた。
ここから三メートル程離れた所、前方2時の位置……そこに微かだが、ノイズとそれに混じる妙な気配も感じた。
システム外スキル的に言えばこの気配を感じるのは最もオカルト的といわれる《
俺はそこに《跳躍》+敏捷値ブースト全開で突っ込む。
「Gau……」
「なっ……!?」
見た目は猫系統の猛獣の子供、ただ頭から木の枝みてぇのが生えてる……
こいつがあの幻全部作り出してたってのか?
俺がその猫もどきの首根っこを掴むと、その幻たちの動きが活発化した。
どうせ幻ごときなら何も出来ねえと思っていた俺の耳に響いたのは、確かな空を切る音、幻じゃ……、ない!
俺はギリギリでそれをかわし、幻だったものの攻撃は俺のすぐ後ろの地面を抉り取った。
「――――――ッ!!っぶね!」
俺は猫もどきの首根っこを掴んだまま、カイたちがいる方向へゴロゴロと転がっていきあいつらの近くに膝立ちでストレージから両手剣を出し構える。
「どういうことだ、旦那!?幻じゃなかったのか?ありゃ!?」
「あぁ、確かに途中までは確実に幻だった。攻撃が透けてたしな。だが、こいつを掴まえた瞬間から、奴らの攻撃が実体化しやがった」
待てよ?この世界では俺が見つけた《同士討ち》の如くMobがMobを攻撃可能でありゲージもちゃんと削る。
今、俺が持ってるこいつがこの幻覚の主だと仮定してなぜ今になって実体化したんだ?
勿論、幻たちは本体にダメージを与えないという設定なのかもしれないが、俺らを追い払う為なら最初から実体化していた方がよっぽど効率が良かった筈なのに……
幻を実体化させる事自体にエネルギーを消費するっつー考えもあるが、だとするとこの猫もどきは何で怯えてんだ?
今、俺に触られてることよりも、どっちかっつーと幻たちから逃げたい方が強いような……
ってぇとこいつは、幻の主じゃ……ない?
まぁ、どっちにせよ……
「逃げろ!全速力だ!!何がどうなってるか分かんねえが、たぶんずっとは実体化できねえ!だったらここは逃げて時間稼ぎ、もしくは圏内に入っちまうぞ!」
「分かりました!ピナ、敵を惑わして!」
「キュー!」
シリカの呼びかけに応じて、幻獣たちの目の前で泡ブレスを吐き、《困惑》にする。
どうやら、幻どもには効果的だったらしく、密集していたためにぶつかり合って転倒する。
「おし、ナイスだ!シリカ、ピナ!さっさと撤退だ!」
「なんだよ、旦那?こんな奴らぐらいやっちまおうぜ!」
「確かに倒せなくはないだろう。だけど、時間がかかるし、幻と戦って経験値が入るかどうかも怪しぃもんだ。あとは確実性の面で若干不安が残る」
「わぁったよ!あんたがそう言いだしたら聞かねえからな……そうと決まれば」
全員回れ右をし、そして……
「Let's Escape!」
まぁ、当然全速力ダッシュですよ、うん。
とりあえずこの猫もどきは依頼人の元に連れてくとしよう。
俺の推測っつーか、勘が正しければこいつはキーMobなんだろう。
見た目が不定のターゲット、それに関連するかのように現れたこの層で初めて出た種のこの猫もどき、無関係と見ることの方が難しい。
依頼人の元に連れてきゃ、何かが起こるだろう。
何分逃げたっけ、とりあえずは巻いたみてぇだな。
「しかし、旦那。なんでそいつ連れてきたんだ?置いてきちまった方が簡単に逃げられたんじゃねえのか?」
まぁ、最もだ。
だが、それと同時に愚問だな。
「カイ、おまえ、この猫もどきが今回俺らが受けているクエストと何の関係もねえと思うか?」
「思わねえな、まぁだからこそ、旦那も連れてきたんだと思ってたよ」
「だったら余計なこと言わせるなや」
「一応の確認さ」
んにゃろう、相変わらず人を食ったような顔しやがって……
さて、まあいいや。
今更ながらに考えるとあのクエスト《圏内》で受けたもんじゃなかったな。
ってえと、やっぱしこのクエはあの猫もどきを連れてくのとそのまま放置で報酬変わる類のクエストなのかと根拠もない仮定を繰り広げていると目の前にこのクエストを受けた場所が広がっていた。
逃げてる時に、もうこんなトコまで来ちまったのかと、思っていたら依頼者が俺の目の前に歩いてきた。
「まぁ、その子が作物を食い荒らしていたのですか?」ケラケラ
「……多分な」
依頼人こと畑で働くおばあさんの質問に答える俺だが、なんだ、あの笑い方。
クエストを受ける前までは貧相ななりではあったが、上品な笑い方する人だったのに……。
「ではその子を引き渡して頂けます?」ケラケラ
「あぁ、ほらよ」
俺は首根っこを掴んだままの猫もどきをおばあさんに引き渡す。
「ほぅほぅ、この子が……最後の一匹」クスッ
?最後の……?
どういうことかと思ったその時、おばあさんの目に気付いた。
さっきまで黒目だったのに、いつのまにか血走った赤になっている。
俺は無意識にさっきまで猫もどきを掴んでいた手を再び猫もどきに伸ばしこっちに引き寄せる。
瞬間、さっきまであいつがいた場所にはおばあさんの……いや、オオカミの顔があった。
って何!?オオカミだと!?
「ひっ!」「な、なんだありゃ!?」
驚いたのは、後ろにいる二人も同じだったらしい。
「あらあら、渡してくれたんじゃなかったの?そのライオン」
「へぇ~、こいつライオンだったのか?で、あんた何もんよ?」
「そうねぇ~、改めて自己紹介しないとねぇ~……」
言うや否や、どんどん彼女だった者の体が膨れていき衣類が全て破ける。
そして、茶色の毛に、ずんぐりとした体、生々しい牙等々、どんどんオオカミらしき体になっていく。
そしていつの間に俺の視界に映るカーソルもNPCのそれでなくMobの赤へと変貌していき、ゲージと共に名前が現れる。
《THE Hope Hunter Wolf》――――――若芽摘みのオオカミ
それが俺の目の前にいるボスの名前だった。
話的には前編になる今回。
SAO見ていて思ったことは幻だのなんだのって出てきてないんじゃ……という思いから今回のお話作ろうと思いました。
後編は今日から明日には上げられたらと思っております。
今回はこの辺で……
ご感想・ご意見等は引き続きビシバシとお願いいたします。
ではでは!