SAO ~属性を操りし豪剣士~   作:ALHA

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どんどん、ネタが思いつかなくなっているALHAでございます。

ホント何週間前というレベルで投稿してませんでしたがなんとか完成しました。

では、早速新話どぞ~!


第二十話 ~豪大剣~

 2024年1月1日午前11時俺はいつものようにギルドの定例会議を開いた。

 

 俺らのギルドホームは入ってすぐに巨大な円卓がありそれを囲うように椅子が9脚ある。奥の椅子に俺が座り、そこから時計回りにリズを筆頭とする生産班の職長4人に俺の向かいにデルタ、そしてシリカ、コペル、カイという風に座っている。いつもなら生産班の売上だったりそれを踏まえた上での今後の方針を決めたり、各持ち場からの意見だったりを発言したりしてだいたい終わるが、俺はそれが終わるとすぐに切り出した。

 

「さて、では会議もそろそろ終わりといきたいが、今日は最後にお前らに言っておくことがある。今日の情報屋の新聞を見た奴はいるか?」

 俺の言葉に反応して、手を挙げた奴はコペルとデルタの二人だけだった。

「……そうか。OK、じゃあ知らない奴の方が多いと思うが今日の新聞にふざけた記事が載ってやがった……『レッドギルド“ラフィン・コフィン”設立』……非常にまずい事態だ」

「フレッドさん、レッドギルドっていうのは?」

 俺に質問したのは料理スキルの職長であるマリアという女子のプレイヤーだ。彼女は現実世界でも料理の心得があるらしく、ナーブギアが与える味覚パラメーターを全部自分の舌で確認し、この世界でしか出せない不思議な味を俺らに毎度提供している。クリスマスパーティーの時に用意した料理は彼女の味付けでなかなかに好評を得ていた。俺自身正直に言って美味と感じるんだが、醤油やマヨネーズがそろそろ恋しくなってきてる俺としては複雑だ。

 さて、話がずれたな、戻るか。

「“レッドギルド”こいつらが勝手にそうやって名乗ってるだけだ。単刀直入に言えば殺人ギルドのことだ」

「「「「「!?」」」」」

 まぁ、新聞を読んで知っていたコペルとデルタ、それにカイの奴は特に驚いたようでもなかったが、他がショックがあったのか相当に驚いていた。

 そんな中シリカが最初に呟いた。

「そんな……人殺しだなんて……」

「確かにな、ありえないって思いたくなるのもわかるが、事実だ。この“ラフィン・コフィン”とかいうギルド、自分達が殺人ギルドだと分からせる為に昨晩圏外に出てBBQをしていた準攻略組ギルドを……皆殺しにした。これに関しては“鼠の”が裏を取った。間違いないらしい」

 誰もが知っている、この世界で死んだら現実世界でも死ぬ、という事実。その事実を知って尚以前のMMORPGの様に殺しを働くプレイヤーがいるということに誰も驚きを隠せなかったみたいだ。

 とは言ってもここに居るのはMMORPG自体がこのソードアート・オンラインが初めてというやつばかりでそういう風に考えているのはそうはいないだろうな。

 大体は単に身近に殺人者がいる……そういう認識かね。

 オレンジのプレイヤーなら食料調達とかの時に見かけることはしばしばある。大方俺らを中層プレイヤーと勘違いし、略奪を働こうとした馬鹿どもだろうが、その度《牢獄》送りにしてやっていた。

 オレンジならばこの状況から生き延びる手段として犯罪に手を染める気持ちも分からなくはない。普通のプレイヤーはそもそもが他のプレイヤーに攻撃することすら躊躇われる。そこを狙ってHPゲージをレッドに持ち込み、金品を強奪する。大体のオレンジはそのあとは放置だ、自分自身殺人者にまでなりたくないからだろうが。

 しかし、レッドともなると考え方からしてまず違う。あいつらは殺すために殺している。殺すことこそ至上の目的になっている。

 故にそんなギルドをのさばらせておいていいわけがない……だが。

 

「ま、そんなギルド、俺と旦那で急襲かければ余裕だろ?襲ってきたら逆ボッコだ」

「俺もそうしたいのは山々なんだが、そこのギルマスが“PoH”ときてる。今の俺の実力じゃ残念だが潰すのはほぼ無理だ」

 俺の言葉に過剰に反応したのは以外にもラフコフ潰そうと提案してきたカイのやつだった。

「おいおい、マジかよ……」

「大マジだ。事実、俺はあいつに一度敗北を喫している、認めたかねぇがSAOのトップ剣士の一人ってことはまず違いない」

「…………」

 場が静まり返った。まぁ自分達のトップがそんな弱音言やぁこうにもなるか。ギルドのリーダーとしては情けない限りだが、事実を伝えなきゃなんねえ。PoHが本格的に動き始めたって事は、殺人行動にも今までより更に拍車がかかるはずだ。

 

「って事でだ。俺はしばらく一人になる。その間はお前ら圏外に出るな」

「ハッ!?ちょっと待てよ!旦那が一人になるってのも理解できねえけど、なんでその間圏外に出るなって話になんのさ?」

「まぁ、殺されかけた以外の時に俺は一度あいつと会っていてな……、そん時に恨み買ってんよ。で、俺のギルドのメンバーってバレるだけで十分に危険と言える。ってな訳で圏外へは出るな。……とは言ってもこれに納得がいかない奴が、まぁいるだろう」

 当然、カイだ。まぁ、このホームの設定で出れないようにするんは可能だがぶっちゃけた話、ギルドから脱退すればそのルールは適用できない。ここで脱退されて、挙句以前俺の仲間だったからで殺されちゃ胸糞悪いってもんじゃねえ。

「つー訳で、さっき会議始まる前にディアベルに連絡しといた。攻略組のお前ら3人に限ってはディアベル率いる攻略隊に混ぜてもらいな。アイツなら滅多にパニクらないから信頼できるし、頭もキレる。問題はないだろう」

「……でも、だったらフレッドさんも一緒に行動したらいいじゃないですか。フレッドさんが一人になる必要は……」

「大アリだ。勿論シリカの言うようにずっとドラゴンナイツと提携してやっていくっつー手もある。だが、あいつには一度苦汁をなめさせられてんだ。俺個人としてあいつは潰さねえと気が済まねぇ、っつー訳でわかってくれ」

 俺はそこに限っては強く言わせてもらった。何より自分より強い明確な敵が居ながらに退くのは俺的に絶対にありえない。

 

 それを察してくれたのかコペルがまとめに入ってくれた。

「……まぁ分かった。とりあえずはそうしよう。僕達攻略組はドラゴンナイツと提携、食材班はしばらく活動休止、で生産班は聴いてる限りだといつも通り。けれどどんな理由があっても圏外には出るな、って事で合ってる?」

「OKだ。この内容はあとで各自他のメンバーに伝えてくれや。で、メッセージは届かないことが多いと思うが緊急時は録音結晶をギルドの共有ストレージに入れろ。これに関してはフィールドに入ってようが届くから問題はないはずだ。俺もこっちはなるべく見るようにするからな。じゃ、そういうことだ、また一ヶ月後に……!」

 俺は会議を強制的に終わらせ、ホームを出た。

 

 

 

第45層迷宮区

 

 さて、じゃ、一人になったからその特権を十分に活かすとしよう。

 まずは、対PoH戦用のスタイルを確立させること。それが最優先事項だ。

 しかし、アイツと会ってから既に半年か……、腹立たしいな、さっさと過去を清算したい。

 

 

 

 そもそも、PoHとは黒猫団に稽古を付けると言った数日後に出会ってしまった。

 当然の如く俺は別にそれまでにあった過去の殺人誘導計画の犯人を追っていたわけでもなく、普通に夜狩りに出ていた。それまでと違う事といったらその時に限ってカイがいなかったことだろうか。当然といえば当然なのだが、その日は30層のボス戦があった日で流石にその後の夜狩りは精神面で消耗が激しかったので俺が外出禁止を言い渡していた。

 

 そん時会った……てか見かけたのが、攻略組の一人の男性プレイヤーだった。彼は元々軍に所属していたのだが25層の軍攻略組より脱退を受けてソロへ転向した男だった。度々、攻略会議で顔を見たことがあったので間違いはない。

 名前は……聞かなかった。俺自身、そいつに興味があったわけじゃないから声をかける意味もなかったし、あっちはあっちでレベル上げに夢中だったようで俺がいたことにはそん時は気付いた様子はなかった。

 

 故に俺としてはいつも通りの夜狩りを行っていたのだが、開始後2時間程度経った時、大人の男の悲鳴が聞こえた。

 まぁ、こんな最前線近く……てか、その日にこの層のボスが倒されたばかりだから最前線て言って問題ない上に、そんな場所で夜狩りをするような馬鹿がそうそういるわけでもなくすぐにさっき見かけた男が声の主ということには気付いた。

 悲鳴が聞こえたということは既に手遅れの可能性も考えたが、まぁそれ聞いといて何にもしないってのも見捨てた感じがして気分が悪くなることは目に見えて……仕方なく、その声の元へと急いだ。

 そして駆けつけた時、見たものこそが先ほどの男とそれを襲うPoHの姿だった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「何をやっている!」

 俺が襲っている男に声をかけると別段驚いてる様子を見せることなく淡々と語ってきた。

「Wow、これはこれは。Famigliaのボスのゴッドファーザー様じゃないか。見ての通り、ゲームさ」

「オレの顔も有名になったもんだな。で、ゲーム……ってのは?」

「聞いたままさ。強い方が生き、弱い奴が死ぬ。最もeasyなゲームだ。あんたも一緒にどうだい?」

「た、助けてくれ!し、死にたくない!!」

 襲ってる方の俺のようにフードを被ってるさながら死神のような風体の男は攻略組の男を足で踏み抑えながら俺ですら寒気を覚える言葉を平然と言ってのける。

 ……ここまではっきりしたPKに会うのはこの世界に来て初めてだな。今までこの世界で生きる為にMPKやPKをやる奴は見かけた。コペルがその例だしな。だが、目的そのものが殺人になってる奴は……俺の記憶にはねえな。少なくとも姿を見せてる奴の中にはいねぇ。

 目の前にいる男は言動から明らかだ。間違いなく殺しを目的とする真正のPKだ。

「まぁ遠慮しておこう。俺としては攻略組に死なれると困る。最前線の士気に直接関わるからな。そこのプレイヤー解放してもらえるかい?」

 形式上はそう言うが、捕まってるプレイヤーのHPゲージは既にレッドに到達している。正直、あのプレイヤーが助かるとは思ってない。

 だが、俺の予想に反してそのプレイヤーはすぐに解放された。

 

「へぇ~、割と聞き分けいいじゃねえか。どうしたんだよ」

「なーに、こういうことさ!」

「ガッ!!」

 俺のもとへ這いずりながら動いた瞬間、PoHが手元に持っていたソードスキルのライトエフェクトを纏った短剣をその男に投げつけ、ゲージを削りきった。

 俺自身その男に興味を持ってなかったことに加え予想外に簡単に開放したため拍子抜けしてたこともあって瞬間的に動くことが叶わず、目の前でプレイヤーが一人死んだ。

「Youみたいのは予想外なことが起きた方が、あいつを殺す上では障害が少ないと思ってねぇ。予想は見事的中したというわけだ」

 

「なるほど。まんまとあんたの術中に嵌っちまった訳か、情けねえ話だ」

 俺はそう言って目の前で十字を切り、死んでいったプレイヤーに黙祷する。

「ん?あんたみたいのは死んだら頭に血が上るタイプとでも思ってたんだが、どうやら違うらしいな。なかなか見所がある。どうだ、俺と一緒にこの世界を引っ掻き回さないか?」

「……ま、俺自身大層な主義や目的なんてもんはサラサラねぇよ。強いて言えばこの世界を楽しむ……それしか頭ん中にはねえ。だから別にお前と組んでこの世界引っ掻き回すんもありはありだろうな」

 俺がそう告げると目の前の男は嬉々とした口調で喋りながら、俺に手を差し出す。

「だったら俺達と来い。SAO(この世界)に最高にスリリングでエキサイトなショウを起こそうぜ」

 

 俺はその言葉を聞き終えると溜息をしながら差し出された手を取ろうとして―――払う。

 

「……なんのつもりだ?」

「スリリング、エキサイト……実に興味深い言葉だ、お前とはもっと前に会いたかったよ。だが非常に残念なことに今更になってギルメンを“裏切る”ことはできねぇからな。裏切りは俺の中で最も赦しがたい事だ。あいつらはこの世界から出ることが一番の望みらしい。だとしたらギルマスである俺が一番に裏切ることはダメだろう」

 

「Suck、お前も結局はそういう奴なんだな。SAO解放を目指す一介のプレイヤーでしかないんだったら用はない、ここで……消えろ!」

 俺の言葉を聞くと目の前のやつはこれまた俺と同じように溜息をしながら寒気のするような声で俺を罵りつつ攻撃をしてきた。

「おっと、危ないな。いきなり攻撃たぁ穏やかじゃないな。だったら俺も殺す気で行かせてもらおう!」

 

 

 殺し屋と戦闘を開始して既に明け方、空が黒から白へ移り始めてきた。間違いなく、こっちに来てってか人生で初めての戦闘継続時間になってるだろうな。

 しかし、正直に言って分が悪い。俺が使うのは勿論両手剣の《アルティマハイト》対して向こうは《短剣使い》と来ている。体捌きは俺も向こうもだいたい同じくらいときてるが、こっちは力、あっちは速さ……リーチこそこちらに分はあるが必然的に俺の方が防戦を強いられている。勿論普通の短剣使いなら何ら問題はなかった。だが、相手はそれこそ攻略組級の強さ、下手したらそれ以上だ。身近にいる短剣使いことシリカだってここまでの短剣捌きはできない。

 だからと言って、こっちが一方的に分が悪いわけじゃない。俺の的確なガードであいつも決定打といえる一撃は浴びせられていない。

 

 とは言ってもそろそろ疲れたな。決めに行くか!

 俺は奴の短剣を躱すと同時に剣を奴に向かって放る。それを当然奴は避けてくるが一時的にそれは俺の次の行動の目くらましにもなる。

「どうした!自棄にでもなったか!?」

「いや、勝利への一手さ!」

 俺の剣に一瞬目を引かれた殺し屋の鳩尾に回し蹴り《デュアル・スマッシュ》をHITさせアイツを吹っ飛ばす。

「くっ、やってくれんなぁ!」

「ふ、言ってる場合か?俺の攻撃はこれから加速するぜ!」

 俺は奴に跳躍の瞬発力で迫り体術の連続攻撃を奴に浴びせようとするが、流石に奴も反応し、奴の得物で防御をする。

 と同時に、あいつは俺に反撃の蹴りを見舞おうとするが俺もそれを足で対処する。

 

 だが、それが甘かった。

 俺がそれに対処しようと目を一瞬奴の手から離した瞬間、俺の肩に不快な感じが走る。……斬られたか。

 ここで俺は自分のミスに気づいた。体術対短剣、スピードではこちらに分があるが、防御術の多様性に欠ける。

 さっきまでは両手剣で完全にガードできてた攻撃が無刀になったところで、武器による防御ができない。必然的に防御は体でいなす形を取らなければならないが、ダメージが両手剣の比ではなく多い。

 ここは仕方ない……、少々危険だが肉を切らせてでも、骨を断つ。

 俺は向かってくる奴の剣をあえてよけずに突っ込む。胸に違和感が走るが俺自身も奴に単発重撃《掌撃破》を放ち奴を前方へ吹っ飛ばす。

 俺はすかさず跳躍フルブーストで奴に特攻を仕掛ける。右手にある指5本をまとめて伸ばす。この構えはゼロ距離重撃《エンブレイザー》相手のゲージはやっとイエローになったといったところだが、首にHITさせれば俺の筋力値も加味して殺すことができる。

 

 これが決定的なミスとなった。

 

 奴は吹っ飛ばされた体を即座に戻し、俺のライトエフェクトに包まれた手刀を躱しその先にある肘を掴み、一本背負いのごとく俺を足元に転がした。

「が……はっ!?」

 投げ落とされた次の瞬間には俺の直感が危険を伝えていた。目を開けるとそこには奴の得物のどす黒い刀身が俺の視界を占領していた。

「Gaaaaaaaaaaaaaa!!!!!」

 戦う前に茂みに隠れていたレオンから咆哮が聞こえた。この声のパターンは自然操作“ネイチャー・コール”。多分、俺と奴の間に木を生やしてくれようとしたんだろう。このネイチャー・コール成功率こそ低いがここ一番って時には失敗した試しはない。故に俺もそこで安心して次の手に出なかったのがまずかった。

 一瞬後何も起きなかった事で発動の失敗に気づいた俺は脳に右に勢いよく転がれという命令を送りアバターもそれ通りに動くはずだった。だが……

 

(動かない!?)

 

 体が思った通りに動かなかった。今までこんなことは一度もなかったというのに、だ。

 多少動きはしたがこの程度じゃ……やられる!!

 

ザシュッ

 

「がぁあああ!!」

 気合を込めできる限り自分を動かしたが、それでも足りなかったみてぇだ。左肩から先の感覚がない。先ほどの脳に命令した信号が今更になって届いたのか、俺は右に勢いよく転がっていった。その後、左肩を見ると切断面から血のように鮮やかな紅の光が漏れ出していた。部位欠損……そのアイコンが俺のゲージに現れていた。

 やべぇな……これじゃ体術を使うことはできても奴の短剣乱舞をいなすことはできやしない……、いなすことに集中しても攻撃できなきゃなんの意味もない。仕方ねぇ、不本意だが……ここは退くしかないな。俺はさっきレオンの声が聞こえた茂みの方へ後ずさりしながら奴を見据える。

「Hey、腕が片方しかなくなっちまったな?お前はそのまま四肢を全部切断しててめぇのギルドの前で晒しもんにしてやるよ。尤もその前に死んじまうだろうがな」

 悪趣味な!と思っても声には出さず、後退りを続けながらポーチの中からあるアイテムを掴む。

「結晶で逃げようとしても無駄だぜ?ゴッドファーザー。ここは結晶無効化エリア……俺がわざわざこんなところでPKをしてるのもこのエリアだからこそだしな。じゃあ、そろそろ……死んどけ!!」

「ごめん被るわ!!ハッ!!」

 死ねと言われて死ぬ奴なんざそうそういるもんじゃねえ。無論俺も()はその一人だ。ポーチからさっき掴んだアイテムを取り出し地面に投げつける。と同時にレオンがいるであろう茂みに跳びつき、俺の感通り、レオンをキャッチした。

 俺が投げたアイテムは地面とぶつかって破裂した瞬間、あたり一面を煙で覆い尽くした。煙玉、それが俺がさっきポーチから掴みだしたアイテムの正体だ。

「チッ、目くらましか……。ふざけた真似しやがって!!」

 これであいつは俺を追うことができなくなった。俺は即座に隠蔽最大をレオンに命じて茂みに身を潜めたからだ。

 そして茂みの中から奴の様子を伺うと煙が晴れた場所から殺人者の姿は消えていた。その代わり不気味な声が辺りに響き渡った。

「……まぁいい。俺はPoH、殺される覚悟ができたなら再び前に現れるがいいさ!!」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「あぁ、クソ! 思い出しちまったらなんだか腹が立ってきた!!」

 目の前に現れていた身の丈2mぐらいはありそうな獣人《ミディア・オーク》を3連重撃《スパークギロチン》で半ば八つ当たりに近い感じで消し去る。

 

「クッ、この前の俺の失敗したところが分かっているのになんで攻略法が思いつかねぇんだ。腹立たしい!!」

 この前俺が負けた原因は分かっている。あいつ相手に両手剣ではなく体術で攻めてしまった点、そして所々にあった油断だ。

 俺はあの時確実に勝てるっつー根拠もない自信があった。だが失敗してみて分かった。あれじゃ俺はPoHに勝てない。両手剣では決定打を与えるのはほぼ無理、だからといって体術にすれば防御する術を失いジリ貧。俺の攻撃系統のスキルは主にこの二つだ。つまり、このままじゃ俺に勝ち目は……ない。

 だが、あいつ相手に付け焼刃な武器は意味ねぇ、手詰まり感が半端ない……はぁ。

 

 それに、だ。あの時以降たまに出る謎の動けなくなるバグ……感情が昂った時に出やすいみたいだが、アレも戦いの中で出たら致命的だ。つっても、それがシステム的なバグなら一介のプレイヤーでしかない俺がいくら考えてもどうしようもないこと……か、はぁ。

 

 

 そんなことを考えている俺の目の前に再びMobがPOPする。このエリアでは最強と言っても過言ではない《ネオ・サイクロプス》とは言ってもこのエリアのMobは俺の中では全部雑魚に等しい。

 このエリアに来たのはスピード系の人型Mobが出、PoHの戦闘練習できるからと踏んだんだが、どうやら当てが外れたな。

「さて、一つ目野郎。俺は今非常に腹が立っている。そんな俺の前に現れたこと、後悔させてやるぜ!」

 俺は口上の最中に迫っていた敵の拳を躱しすれ違いざまに真一文字の斬撃を当てる。俺の攻撃はそれだけでは終わらず斜めに切り上げる。それでもサイクロプスは拳で俺を叩こうとするが俺の3擊目がそれを妨害しつつ、全斬撃でAの字に斬りつける。両手剣用3連擊《スラッシュ・エース》。その瞬間、サイクロプスの両腕を体から切り離し、ポリゴン片へと変える。

 サイクロプスは悲鳴を上げながら、尚も俺に向かってくる。……はぁ、全くしょうがねぇな。潰すか!

「そんな体になってまで俺に刃向かう度胸、買ってやるぜ!はぁあ!」

 繰り出すは俺の十八番《ジェットライナー》、その剣先は奴の心臓があると思わしき場所を一突きにし、最後にデータの欠片となって消え去る。

 

 消え去ったのを確認すると俺の前にウインドウが現れる。レベルが70になったことを知らせるメッセージだ。

 そういえば最近ステータスを開くことがなかったな。たまには新しいスキルでも入れてみるか。勿論少しでもPoHに対抗できるようなモノを。

 俺がスキル選択欄からどんなものがあるかを順に見ていくと一番下にあったスキルが目に止まった。

 

 そのスキルこそ10層で噂になっていたユニークスキル《豪大剣》だった。

 

 




さて、やっと名前だけ出せました、《豪大剣》。
今回の話、詰め込み感が半端ないんですがそこはご了承願います。

次は……はい、課題の集団戦闘、五十層ボス戦になると思います。

ご感想・ご意見・アドバイス等々ありましたらぜひぜひ感想欄までお願い致します。
今回はこのへんで……ではでは!
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