どんどん更新速度が遅れている……
まぁ愚痴はさて置きとりあえず新話どぞ~!
キリトside
2024年1月31日
第50層主街区アルゲード広場
「では、第50層ボス攻略会議を始めます。攻略指揮は私、血盟騎士団副団長アスナとヒースクリフ団長が務めます」
「よろしく」
このデスゲームが始まって一年と約二ヶ月、遂にハーフポイントか。
2番目のクォーターポイント戦だけあって今回ボス戦に集まってくれたプレイヤーは俺達“月夜の黒猫団”含めて2レイド分、つまり96人集まっている。
前回のクォーターポイントは“軍”が主導してその“軍”のプレイヤーの多くが命を落とした。故にそれを警戒して攻略組からも何パーティーかは攻略に参加しないと思ってたんだけどそういったところは少なかった。唯一、今までのボス戦でほぼ出席していたフレッドがいないというのを除いてはいつもどおりな感じだ。
今回ボス戦を主導するKoBからヒースクリフ団長がまとめる防御部隊のA1,A2班、アスナがまとめるダメージディーラー部隊のA3,A4班、ディアベル率いるドラゴンナイツとFamigliaの攻略隊3人を加えた混成部隊のA5班に、集まったソロだったりギルドを組むまではいってなくても友達同士だったりといったグループの中でも防御に特化したプレイヤーで構成されるA6,A7班にクライン率いるギルド風林火山のA8班。
そしてもう一レイドから今回最大規模で攻略に参加するホーリーセーバーズよりギルドマスター・ブランシュがまとめるB1,B2,B3のダメージディーラー部隊に防御部隊のB4,B5班にソロ友達連合の中でもこっちは攻撃主体のB6班、今回から新規のギルド“プロメテウス”のB7班に俺達月夜の黒猫団のB8班という構成だ。
作戦としてはA班全体で防御且つ戦闘モーションの確認を行い、A班が回復時に全体でのスイッチ、次いでB班がその情報を元に攻撃主体の攻略を行うという手法だ。
今回の相手は《THE Iron of Thousand Hands》……千手の鉄塊と言ったところか。偵察班の調べだと見た目は金属質の千手観音みたいなやつで武器や取り巻きは無し、攻撃方法はその多腕から繰り出されるラッシュ攻撃が主、バーは3段と少なめ。
今回の偵察には二回目のクォーターポイントということもあって回避主体のメンバーで行われ死者は出さずに済んだが、逆に強いはずのボスに25層のボス時のような特殊な攻撃が当然無い訳はないだろうということでそこに若干の怖さはある。
「どうした、キリト?ビビってんのか?」
と思っていたところで横から考えを中断させる声が聞こえる。
俺が所属するギルド月夜の黒猫団のシーフことダッカーからだ。
「まぁ近い感じかな。ここ50層はハーフポイントだ。ボスも何らかの特殊能力があるべきだと俺は思ってる。だから今回は必要以上に警戒して臨んでもしすぎって事って思ってたところだよ」
俺の言葉にリーダーのケイタがうんうんと頷いてつなげてきてくれた。
「確かに。僕達は25層のボス戦は聞き伝でしかないけど大変だったって話は聞いている。十中八九クォーターポイント毎に特殊なボスがいる、となればこの層でも何かあるってのは確かだと思う」
25層ボス…叫びの鍛冶師と名付けられた今まで戦ってきた49体のボスの中でも最悪の能力を持っていた奴だ。総合ステータス的には力が強いってだけで前半は大したことないやつだと思っていた。だが、後半になってそのボス戦で死んだ者の声を使ってプレイヤーを精神的に攻撃を躊躇させるという技を使ってきた。声が聞こえるということはもしかしたら助けられるのかも?と言った誘惑に負けたプレイヤーを次々と屠り史上最大の死者数を出した、今でも寒気のするボスだった。結局そのボスを倒しても声の主達は帰って来ず、生命の碑で死亡が確認された。
「まぁそういうことなんだ。俺達はB班に所属しているからA班の動きを見てから討伐に臨めるけども、ゲージが一段減る毎に、っていうレベルで警戒して攻略するべきだと思う」
黒猫団の皆が首肯すると、中央から再び声が上がった。
「では、これで攻略会議を終わります。明朝10時よりこの層のボス《THE Iron of Thousand Hands》を討伐に向かいます。各自最善の装備で挑んでください。一時解散」
コペルside
「はぁ……、あの人ホンット自由だな。一応50層攻略戦やるよってメッセ送ったら『お前らで進めててくれ。まだスタイルが確立してねぇんだ。不安だったら攻略戦サボれ』だもんな……はぁ」
今日何度目かもう覚えていないため息を吐きながら愚痴をこぼす。今日は50層ボス攻略戦だというのに僕らがリーダー様は未だ帰ってこない。理由は今言ったとおりだ……はぁ。
「まぁフレッドさんの自由癖は今に始まったことじゃないんですけどね。でも49層ならまだしも50層までとは……」
そうなのだ。シリカの言う通り、フレッドがギルド出てから49層のボス攻略戦もあり、その時もメッセを飛ばしたのだが、今回と似たような文章が返ってくるだけだった。まぁ、49層は特に問題ない攻略だったので気にしなかったんだが、第二のクォーターボス戦すらサボるつもりとは……
「まっ、それだけ旦那も俺らの実力信頼してるってことだろ?実際俺は超強ぇしな!」
「いい加減、その癖治したらどうだい? カイ。フレッドも似たようなトコあるからいつか言おうと思ってるんだけど、その内痛い目見るよ」
うん、普通はそう思うよな……、まぁフレッドに関してはもう無駄だって分かってるから絶対言わないけど。カイはそういう意味の分からないトコばっかりフレッドに似てきてるからある種心配ではあるんだけど。
一応、釘は刺しておくか。
「ディアベルの言うとおりだ。今回はクォーター戦……細心の注意を払って挑むべきだ」
「はいはい、何度も聞いてますよ。だけどさ、実際注意を払って戦闘しても杞憂に終わることがほとんどじゃねぇか。前のクォーター戦も大して強かなかったしさ」
注意を払って……ってカイがそんな事してた記憶ないんだけどなぁ。大抵異様なハイテンションでフレッドと一緒にボス戦で暴れてた気がするんだけど?死者が出ても気にした様子一切なかったよな?
しかしここまで来るとあとはフレッドと一緒だ。何を言おうとスリルだのそれが興奮するなどと言い結果、説得不可能になる。この時点で僕は説得を諦めた。ボス戦の前に余計な体力は使いたくない。
非常にタイミングが良いのか悪いのか、僕達50層攻略隊はちょうどボスフロアの前に到着した。それのおかげもあってこの話を中断できたことは僕の精神的にはプラスだろう。どうせ聞き入れないんだから話を引き伸ばすだけ無駄、だけどきっかけがないと終らせづらかったからね。
「では、これより50層ボス“THE Iron of Thousand Hands”討伐を開始します。攻略方針としては会議で決めた通り、基本は各小隊のリーダーの指示に従って行動。まずはA隊が先行、次いでA隊回復時B隊が全体スイッチこれの繰り返しで討伐を目指します。最後に私から一言……勝って生き残りましょう!」
アスナさんの言葉に集まったメンバーが皆頷くとそのまま彼女がボスフロアの扉を開ける。まずは僕らA隊がボスに突撃する為に構える。そして扉が開き切った瞬間、A隊総勢48名が部屋の中になだれ込む。
部屋の奥、妙に銀色に輝く物体が確認できる。見た目は前情報通りというより名前の通り千手観音を模した、だけど顔がリアルの千手観音像のように穏やかなものではなく、まるで聖域を侵した侵入者に対して激怒しているかのような、正に鬼の形相と言うのが正しいだろう表情をしていた。
「行くぜ!仏様よォ!!」
僕の横にいた筈のカイがいつの間にか消えており前を見れば、大声を出しながら突っ走っていく。……はぁ、まぁ分かってたよ。
「3班、4班!彼に続きます!1班2班は援護の準備をお願いします!」
「了解した」
「俺達も行くぜ、風林火山出陣だァ!!」
「「「おぉおおおおぉ!!!」」」
さて、他のグループもカイに釣られて動き出してるな。僕らも行かないとサボってるって思われるな。行きますか!
「僕がカイのサポートに回る。この前と同じでコンビ組んで挑もう」
「分かった。リンド、君は僕と。シリカちゃん、君はゲイズとコンビを組んで一気に叩くよ」
「「「了解(です)!」」」
この流れが終了するまでに既にカイがもうボスの前にまで移動している。あいつ自身は動かないようでフロアの奥に堂々と座っている。まぁこの世界では100m全力ダッシュしたところでカイが疲れるような事象は発生しないけど、いつもこの調子でよくもまあ注意を払ってるって言えたもんだな……、少しはサポートする方の事も考えて欲しいもんだよ……
「最初はこんなんどうよ!《サイクロン・ゲイザー》!!」
カイの発動した剣技は仏像の足元を切り裂きそのままボスの後方まで走り抜ける。
しかしちょっと驚いたな。ここでサイクロン・ゲイザーとは……
あの《剣技》は頭上で武器を水平に回転させすれ違いざまに5HIT浴びせる連撃技だが威力は並の剣技程である。しかしアレの最も特筆すべき点は攻撃後の隙のなさである。攻撃後もしばらく惰力で回転し続ける武器は攻撃判定を持ち、硬直が解けるまで回り続ける。格好良くはないが優秀な技である。あいつ自身は優秀でもカッコがつかない技は基本避けるのに……多少は注意してるってのもあながち嘘じゃないっぽいな。
僕のサポートが間に合わないと判断しての選択だろうな。
いつもどおりの先制攻撃を当てもっとテンションがハイになって振り向くと思ってたカイの表情はしかし優れたものではなかった。
「……めっちゃ硬ぇな。俺の使うスキルん中でも大して威力無い技だけどよぉ……、1ドットたりとも減らねぇってのは正直予想外だわ」
表示されているボスのゲージを見ればなるほど、確かにまだ僅かな隙間すら空いていない。……こりゃ厄介だな、今までではカイの先行アタックは大なり小なりダメージを稼ぎ同時に攻略隊に倒せる相手だと知らしめていただけに士気が若干下がってるのが雰囲気で分かる。
僕はカイをサポートできる圏内に入ると、全体に呼びかけた。
「確かに硬い、だけどこういう敵は大抵どっかに弱点がある!まずはそこを探そう!それ以外は今のを見てわかったと思うけど《剣技》を使っても無駄撃ちで終わる可能性が高い!」
思い出したくもないが一層のブロッカンしかり、この世界の硬いやつってのはどこかしらに弱点がある、あいつであれば普段は隠れてる底面だった。
ホントはこういうのはフレッドの役目な訳だがないものねだりをしてもしょうがないので僕が全体に言う。
この一年とちょっとの間で一応攻略組としての顔も立ってきたようで、キリトの《黒の剣士》やフレッドの《ゴッドファーザー》のような二つ名こそないが(もらおうとも思わないけど、あんな恥ずかしいの)ある程度の信頼はあったのか、見える限りでは割と頷く姿が確認できる。
「1、2、6、7班は前方から敵の目を引きつけつつ攻撃に参加。それ以外はなるべく敵の目に当たらないように各所を攻撃、弱点の捜索を行ってください!」
僕の言葉を受けてなのか、隊全体の攻撃態勢を完成させたアスナさんが指令を出す。その時、僕の隣に一瞬寄り「ありがとうございます」と短くつぶやいた後、攻撃に参加していった。
……はっ、余計なこと考えるな!そんな暇あったら集中集中!
「ディアベル!僕とカイは前方の戦線に参加してヘイトを稼ぐ。そっちはどうする?」
わずかに湧いた煩悩を頭の奥底にしまいこみ、近くにいたディアベルと話す。
「分かった、僕も正面に行こう。リンド、ハフナー、シリカちゃんは後方から弱点と思わしき場所を狙って突いてくれ!」
「「「分かりました(了解)!」」」
その声を合図に僕らは各持ち場に散開する。僕はカイのサポートがあるのであいつの傍に、ディアベルは前方からの攻撃隊とは別の方向から攻撃して仏さんを錯乱するみたいだ。
と、考えていたとき、カイから声をかけられた。
「コペル!今から派手に広範囲攻撃やるからサポ頼むぜ!」
「あ、待て……」
ったく、ほんとに話聞かない奴だな。
アイツがジャンプで上行って、広範囲って言うと……アレか。だったら!
僕はカイの着地に備えて予想点より若干後方に待機する。ぎりぎりスイッチが届く距離だったら僕の負担はあるが大したことはない。
「行くぜ!《
カイの発動した技はジャンプで到達した所から着地まで上下広範囲に最高で十連撃を浴びせるあいつの好きそうな見た目が異様に派手な水平回転斬りだ。しかもその一つ一つが単発のカタナスキルより威力が高いというおまけ付きなので派手だけじゃなくてボス級のデカさを持つ相手なら全段HITさせられるから威力ももちろんある―――ハズだったのだが。
「おいおい、いいかげんにしてくれよ!全段HITでも全然効かねぇってどういう硬さしてんだ、コイツ!?」
見れば、確かにほんのちょっと削れてはいる、だが他の攻撃部隊と合わせてやっと2,3ドット削れた程度だろう。
ガガガガガガっ
「くっ!!」
重い!カイと奴の間に潜り込んでガードしたはいいが今までで一番衝撃が来たのは間違いない。カウンター用に利き手の槍は《剣技》の準備をしていたのに完全に潰された。一発一発がそれなりのボス並みにある上にそれが連打となるとタンクにはきついかもしれない。
しかしカイを狙ってきてるってことはやっぱり一人一人じゃカイが一番ヘイトがあったって事。言ってしまえばまだ誰も弱点を攻撃できてないと……
その時だった。
「Gugyaaaaaaaaa」
目の前の怪物が自分の腕の一つを痛がる素振りを見せ、若干だがのけぞった。体勢を立て直しつつあったボスの怒れる視線の先にはディアベルの姿があった。
「皆、聞いてくれ!あいつの弱点は外殻の裂け目だ!よく見れば、あいつの拳には亀裂が入ってる場所がある。そこを的確に攻撃すればダメージを稼げる!!」
奴のゲージを見れば一割とまではいかないにしろ確かにさっきまでの攻撃部隊の連撃をたった2,3ゲージで済ませてしまったことを考えれば明らかと言って差し支えないだろう。
「ダンナ、ナイスだぜ!弱点が分かっちまえばこっちのもんだぜ!」
「とは言っても、動体視力が試されそうだな。今までのボスならまだしもこいつは50層のボス、あの拳一つ一つに弱点があるって訳じゃないだろうし……、どっちにしろ調子に乗んのは早いぞ、カイ」
「わぁってるって!どうせ、ゲージが減ってきたら攻撃パターン変わるだろうって思ってんだろ。だったらそれまでは存分に殴れんじゃん?ぶっ潰すぜ!」
……まぁ確かにここでいくら言っても無駄か。じゃあ、僕もパターン変わるまではカイのサポしつつ、日頃のカイやフレッドに対する鬱憤をこの仏様にでも晴らしてもらおうかな、八つ当たり的な意味において。
「……コペル、今心の中でめっちゃ失礼なこと考えなかったか?」
「さぁ、どうだったかな?戦闘に集中してるせいでそれ以外のことなんて全然覚えてないや。もし、そう思ってるんなら目の前の仏さんにでもぶつければいいんじゃない?」
「チッ、まぁいいや。それは確かにグッドアイデアだ。じゃあ、宣言通り存分に―――」
カイの目の前に拳が見えているが僕は動かない。あいつも迎撃態勢に入っているし、僕の目にははっきりと奴の拳に亀裂が見える。
そして拳がカイにぶつかる瞬間両薙の刀身が光り、次の瞬間にはボスの方が大きくのけぞるという傍から見れば訳の分からない事象が発生した。
あの技は《カウンター・ブラスト》2連重攻撃、名前から分かる通りのカウンター技だ。振りが速すぎてどういうことにってるかは定かじゃないが、弱点を的確に攻撃できなきゃあそこまでのノックバックは発生しなかっただろう異様に見極めがシビアな技だ。
そして攻撃が終わった後にカイがこれでもかっていう程の笑顔でボスに向かって告げた。
「ぶっ潰す!」
この仏さんを攻撃し始めて10分、B隊とスイッチすることもなく、最初のゲージが削れ奴が咆哮をあげた。
ちょっと中途半端かなって思ったんですけどここで一旦区切ります。
フレッドがいない中での討伐戦展開です。相変わらず集団戦闘が苦手です。まぁ、だからって他の描写が得意とかってわけじゃないんですが、中でも一番きついのがこれだと思います。
原作だとこの層にてヒースさんの《神聖剣》の件も入れないといけないわけで、難しいな……
三月中にもう一個あげたいなと思っとるんですがネタの思いつき速度が落ちに落ちている今の自分でどこまで早く書けるか本気で分かりませんが、生温かい目で見守っていただければ幸いです。
ご感想ご意見アドバイス等々ありましたらビシバシと言ってやってください。
今回はこの辺で……ではでは!