SAO ~属性を操りし豪剣士~   作:ALHA

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長らくお待たせいたしました。

しばらくモンハンとかモンハンとか、あとモンハンにはまっておりました。申し訳ない。

今後は活動報告に書いた通り毎週日曜交互更新を心がけるつもりです。変更があればその時は活動報告にて。では、二九話どぞ~

追記:修正完了です


第二九話 ~圏内事件~

キリトside

 

 突然聞こえた悲鳴に呆けていた俺の頭は急激に覚醒し、次の瞬間には駆け出していた。悲鳴の聞こえた広場へと。

 俺が全力ダッシュをして到着した頃には悲鳴を聞きつけた野次馬が既にチラホラと集まっていた。そして、その視線の先にはありえないものがあった。

 この広場の西側には教会がある。その窓から男が首にロープをくくられ宙吊りになっていた。だが、この世界でロープ等のアイテムでは首を絞めても窒息して死ぬ、なんて事はない。驚いたのはその男の胸から生えていた《短槍》の方である。

 その短槍に貫かれた胸からは血のように赤いポリゴンの欠片が今なお噴出している。つまり、未だにあの槍は《貫通継続ダメージ》によって男のHPを蝕んでいることに他ならない。

「何をぼぅっとしてるの!? あの人を助けるわよ!」

「あ、あぁ!」

 いつの間にか来ていたアスナの声でハッとして吊るされている男の方へ駆け出し、彼に向かって叫ぶ。

「早く抜けぇ!」

「!?……!」

 男は引き抜こうとしているのだが、胸に刺さっている短槍は見て取れる程に目立つ逆刺があり、思うように抜けないらしい。それだけじゃない。この圏内(・・)で貫通継続ダメージが発生するというありえない現象と刻一刻と迫るHPバーが0になるという恐怖のせいで力も思ったっ通りに出せないんだろう。

 

「(この位置なら……!)」

 俺がピックを投げてあのロープに当てる。そして、落ちてきたところを受け止め、俺が槍を抜く。そうすれば、あの男は助かるはず。だけど俺の腕はピックを取り出そうとした瞬間、硬直した。もし、狙いが逸れてあの男に当たったら? それが止めの一撃になってしまったら? それを考えると安易に投剣する事はできなかった。

「君は下で受け止めて!」

「あぁ、分かった!」

 アスナが俺の腕を見ていたからやりたいことも分かっていたんだろう、俺ができなかった理由も同時に察したのか、アスナが向きを変えて教会の方へ走っていく。

 

「がぁっ……!!」

 男が声を出す。決して胸に刺さった槍を引き抜こうと気合の声を入れたわけじゃない。彼の顔は胸ではなく右上の虚空を凝視していた。言うまでもない、自身のHPバーだ。考えている間にも男の呻く声はどんどん焦りを帯びて、そして―――

「――――――!!」

―――消えた。青いガラスが砕け散るように。消える瞬間、男は何かを叫んだ気がしたが、消滅エフェクトに紛れて何も聞き取れなかった。

 そして、男が消えた場所にはロープが垂れ下がり、命を奪った凶器は地に落ちた。

 

「どういう事なんだ……」

 教会の一室、男をぶら下げていたロープが出た部屋に今俺とアスナがいる。当然ながら犯人と思わしき人物は発見できず、ここで可能性を考えているところだ。

「普通に考えれば、《完全決着モード》のデュエルを受けて胸に槍を突き刺して首にロープを括らせて窓から放った、って考えるけど」

「だが、俺が見た限り、いや集まっていた輩にも頼んだが、ウィナー表示は見つけられなかった」

「だけど、それはありえない。あなただって分かってるわよね?」

 そう、圏内ではHPは減らない。これはこの世界での絶対のルールの一つ。死ぬか100層の頂を見るまでこの世界から出ることができないのと同じ。

 

 俺たちは顔を見合わせたまま再び沈黙した。ここで気づいたが表が騒がしくなってるみたいだ。

「うーん、やっぱり情報が足りないな。ちょっと目撃者から話を聞くしかないな」

 

 俺とアスナは教会を出て更に集まってきた野次馬に向かって叫んだ。

「すまない。この中で、この事件を最初から見ていた人がいるなら話を聞かせて欲しい」

 再びざわめきが聞こえてくるが誰も出てこない、と思ったら群衆の中から女性のプレイヤーが出てきた。

「ごめんね。恐い思いをしたばっかりなのに……」

「いえ……」

「ひょっとして最初の悲鳴は……」

「私です」

 そのあと彼女に聞いた事は、彼女の名前はヨルコ、殺されたのはカインズという男。昔同じギルドにいた為、たまに食事とかも一緒にしていた。今日もそういう事でこの57層に夕飯を一緒に食べに来ていた。ちょっと目を離したらはぐれてしまった。探していたら、悲鳴が聞こえ周りを見たらあの光景が。その時、彼の後ろに人影を見た気がする、と。

 

 情報を聞いた俺達は一人で戻るのが怖いと言った彼女をホームまで送った後、再び、今度は主街区で悩んでいた。

「話を聞いて更に分からなくなったわね。事前までヨルコさんと歩いてたとなると睡眠PKの線はないだろうし」

 確かにそうだ。となるとこの事件の真相としてありえる線は三つ。正当なデュエルによるもの、既知のスキルの組み合わせによる抜け道、もしくは未知の……アンチクリミナルを無効化できる……ん?

 

「なぁ、アスナ。この主街区って基本的に人や物を傷つけようとすれば紫の障壁がシステムガードとして出てくるよな」

「? 何を今更。当然でしょ。この主街区の中ではそれが絶対の……!? あなた、まさか!」

 アスナも俺の意図に気付いたみたいだ。この世界で紫の障壁を唯一叩き壊すことができる存在に。

「フレッドなら可能なんじゃないか?あの《豪大剣》ってスキルは《眼前の物をすべて粉砕す》るんだろ?」

「ありえない……って言いたいけど、一般に知られているスキルじゃないから私達がどうこう言える話じゃないわね。それに、あの人の性格考えると……」

 

『俺はスリル求めてんだ。だから人殺して今度は犯罪者になってやったぜ!!』

 

 う~ん、俺としてはコペルや自分を1層の時助けてもらってるし、黒猫団もかなりお世話になっているんで命に対して良識はあると思ってる、はずなんだが……。いつもスリルだ何だ言ってる人間だからこんなセリフを言ってるアイツが容易に想像できてしまう。若干俺主観のフィルターが入ってることは認めるが。

 アスナも同じ想像をしていたのか二人揃ってため息。そして彼女が切り出す。

「ねぇ、あなたはフレッドさんとフレンド登録してるのよね?」

「ん?あ、あぁ。まぁ、不本意ながら結構世話になってるからな」

 

 そこで再び彼女は考える仕草を取り、数秒後彼女はこう言った。

「申し訳ないけど、この事件の解決あなたに任せられないかしら?」

「別に構わないけど、あんたはどうすんだ?」

 珍しい事もあればあるもんだ。攻略隊で見る彼女は責任感と正義感と気が強い女性だと思っていたからこの事件の解決にも一役買うのかと思っていたんだが……

「何か手伝ってほしい事があるのなら協力はするわ。だけど、この事件が解決するまでずっと攻略に参加できないってなると話は別。私は強くならなきゃならないから……」

 その時見た彼女の顔は何かに怯えるような、そんな顔に見えた。

 

 

フレッドside

 

「なぁ、流石に安すぎねえか?」

「いいじゃないか。これでも値段は釣り上げてる方なんだぜ、ダンナ」

 エギルのヤロー、今のところ攻略組しか行かないような場所でしか採れない金属10個セットを5000コルで売れと?納得いかねぇ。だが、ギルド全体で世話になってるから他のとこへは行きにくい……それを知ってコイツは値段をできるだけ下げる……腹が立つ。

 くそ、最前線の依頼を食材班と俺で解決してその報酬としてインゴットを数個貰ったのはいいが、全部速度系のモノ、カイやシリカあたりなら使えるだろうが、既にお気に入りの武器があるから遠慮、じゃあ売りに行こうと思ったら、いい加減ボス戦ちゃんと参加しろやと他の攻略組連中にデュエルを挑まれたのを両手剣オンリーの上で瞬殺で降参させ、やっと売れると思ったら値段低い……しょうがない。

「じゃあ、いいさ。食材班の武器制作用にリズに渡しとくから!じゃあな!!」

 

 で、俺が出ていこうとすると唐突にシステム音、どうやらエギルのとこにも来たらしく二人揃ってウィンドウを開く。どうやら情報屋連合のニュースのようだ。

『圏内で殺人か?57層主街区で大勢のプレイヤーの前でプレイヤーが消滅するという事態発生!!暫く要警戒』

 圏内で?殺人?ありえないって。圏内ではデュエル以外でHPを減らすことはできない。それは、現状この世界からログアウトできないのと同じくらいの真理。覆すことはできない。

「……ダンナ、これはどう思うよ?」

「単なる見間違え。そう結論する。圏外ではデュエル以外でHPは減らせない。それは間違いない。もしウィナーウィンドウが出なかったんであれば見間違え、錯覚。それ以外考えられない」

「でも、あんたの持ってるスキルみたいに特殊な例ってのは?それこそそのスキルはイモータル設定されてる物体叩き斬れるんだろ?」

「考えられはするな。だが、おそらくその線もない。真理はそう簡単には覆らない。イモータルをぶった切れるっつーのも結構条件が厳しいし、生命体は能力じゃ斬れない」

 だが、確かにその線も考えられるな。となると、俺の豪大剣はユニークの一つであると推定されてる今、不特定多数のプレイヤーが俺を疑うことは考えるべきか。それで一々「お前、やっちまったの?」的視線はゴメンだな。まぁ、俺をちゃんと知ってくれてる人間からすれば正面にいるエギルみたいに―――

「………」

―――あるぇ、なんでそんな複雑そうな顔してはるんですか?即効で否定してくださいな。まぁ、日常的にスリル云々言ってる人間って自覚はあるからこうなるのも多少は予測できたが、俺は()になって殺人なんてするほど落ちぶれちゃいねぇよ。

「ほんとは俺には関係ねぇんだけどな……。若干面倒そうな件ではあるし、仮にそんな圏内PK技を開発されたとあっちゃギルメンにも危害が加えられることが考えられる。仕方ねぇからこの件の解決手伝ってやんよ」

「その言葉で確信した。あんたはやっぱりやってないな」

 できれば、俺が解決に乗り出すって言うまでもなくと思ったんだが……、まぁ高望みはすまい。

「じゃあてっとり早く目撃者に話を聞くとしよう。つってもなんか向こう側から情報提供者が来そうな気がする―――」

 俺の言葉が終わる刹那、再びシステム音―――メールの着信を知らせるもんだ。送り主ははキリト君。

「……やっぱり、先に情報提供者が来てくれるみたいだな」

 

黒猫団ホーム

 

「全く、急に俺を時間指定して自陣に来てくれと言って呼び出すなんて偉くなったもんだな、キリト君」

「まぁまぁ、キリトも別に他意はなかったと思うよ。とりあえずそれは置いといてフレッドさんの話を聞きたいんだ」

 彼らのホームに入って早々に不満を垂らす俺をなだめるケイタ。まぁ確かに貴重な時間費やしてここにいる以上無駄な時間は省くべきだな。

「あぁ、大体の事情は分かってる。圏内でプレイヤーが死んだっていうあれだろ。で、紫の障壁すら貫通する俺の「オールデリート」を思い付き、それについて詳しく知りたい。そんなこったろ」

「ま、まぁそういう事なんだ。協力してくれないか?」

「無論だな。じゃなかったらメールで拒否って書いて送ってるさ。……とは言っても俺が提供できる情報は大してないと思う、むしろ目撃者である君から聞くことの方が多そうだがな」

「というと?」

 キリト君はちょっと不思議そうに首をかしげるが、構わず俺は続ける。

「簡単な話だ。この能力は自らの意思で動く物体、いわばこの世界で言うところの生命体には使用不可。一言で言ってしまえば「俺の能力でプレイヤーやNPCを圏内でぶった切るなんて芸当は出来ない」っつー事だ。俺としてはむしろ君らの様な「豪大剣なら斬れるんじゃね?」という考えを持ってるプレイヤーを根絶したい。手っ取り早い方法は事件を解決、犯人(ほし)を挙げる事。ってな訳で目撃者であるキリト君に話を聞こうと思ってね」

「なるほどな。だけど、俺含めて事件を最初から見てた奴がいるわけじゃないんだ。それでも?」

「構わねぇ。最初からそんな高望みはしてねぇよ」

 

 キリト君曰く第一目撃者のヨルコという女性プレイヤーも決定的な瞬間は見ていない。悲鳴が聞こえたから行ってみたら知人であるカインズという重武装の男性プレイヤーが教会の窓から胸に短槍が突き刺さった状態でぶら下がっていた。しばらく苦悶した後ゼロ間際のHPバーを見ながら死亡エフェクトの後消滅、と。

 

「(……なるほど、想像してみると中々刺激的な光景だ。)とりあえず事件のあらましは聞いたが、そうだな。疑問点は二つ、「本当にカインズという男は死んだのか?」「なぜ、カインズは重武装をしていたのか?」この二点だな」

「一点目は今ダッカーが確認しに行ってるからそろそろ連絡は来ると思う。でも二つ目はなんでだ?」

 ……仕方ないな。キリト君の質問に答えるとしよう。

「簡単だろ。ただ食事に行くだけなのに重武装をする必要はあるまい。カインズはそのフロアで狩りをした直後とかそういうケースだったんか?」

「いや、特にそう言う事は聞いてないな。確かに言われてみればと言う方が強いけど疑問ではあるか……。でも急にデュエルを挑まれたら?俺の考えでは完全決着でのデュエルを受けてカインズ氏が負けた線が一番強い気がしてるし」

「僕も同意見だな。デュエルを挑まれれば武装をする事は当然ある話だし、圏内ではデュエル以外でHPを減らす手段はない。もし、この《圏内殺人》が事実だとしたらそれ以外に線はないと思う」

 キリト君の意見にケイタが同調する。まぁ一見筋が通るようには思える。だが。

「完全決着デュエルを挑まれカインズが敗北した。その為に武装をしていた、と君らはこう主張するか。だけどその確率は限りなく低いな」

「理由は?」

「そもカインズは食事に来てたわけだろ?なのに急にデュエルを挑む、もしくは挑まれて、それを受ける……どういう状況になったらそんないかれた行動起こすんだよ?しかもデート中の彼女を放って」

「デートって……」

「事実だろ?それに仮にデュエルを行ったとしてなぜに完全決着か?普通に《初撃決着》なら百歩譲ってデュエルを行うのは良いが、カインズとその相手が自分の命を賭してまで《完全決着》を行う理由は何か?」

 沈黙が訪れる。数秒後それを破ったのはケイタだった

「まぁ、そうなんだよ。僕達も悩んでるのはそこなんだ。わざわざデュエルを受ける意味が分からない。強いて言えばそれだけ殺したい相手が自分の目の前に現れたから、ってのが有力だと思ってる」

 ケイタの考えに俺はなるほどと思う。確かにそれならばデート中彼女を放って行くのも頷けなくはない。だがそれを考えると―――

「どんな因縁があるか気になるとこだな。まぁ君らはその線で調べるんだな。俺は別の線を当たるとするよ」

「別?何か考えがあるのか?」

「まぁな」

 キリト君が語ってくるが深くは言うつもりはない。そっちの線も十分にあり得る話だから二面作戦で行けば解決は早いだろう。

 俺は出ようとしたとこで一つ気付きキリト君に尋ねる。

「なぁ、カインズのスペル教えてくれねぇか?」

「あ、あぁ。K・A・I・N・Sだ。これはヨルコさんに確認済みだ。でも、何に使うんだ?今ダッカーの方から連絡あって確実に死亡してるってメール来たぜ」

「百聞一見。自分で確認出来る事は自分でしねぇと気がすまねぇ性質(たち)なんでね。なんか分かったらそん時は教えてくれや、んじゃっ」

 俺はそう言ってその場を後にした。

 




ってなわけで二九話終了です。


で、とりあえず圏内事件編ではアスナさん外します。彼女のファンの方申し訳ない。何故彼女が原作と違った行動したのか?まぁ見れば分かってくださる事をホント切に願います……、伝わってれば幸いです。

で、圏内事件は実際フレッドが原作に居たら真っ先に疑われと自分は思ってます。イモータル破壊できるし、何よりあのキャラ見てると、ね。

さて、またも業務連絡です。ホントはデジモンも更新したかったんですが、ちょっと時間なさそうなのでこれは来週の更新に回します、待ってて下さった方、申し訳ない。そう言う訳で来週はデジモン、再来週はSAOという風に更新して行きたいと思います。まぁどっかで急激に執筆スピード上げないと永遠に終わらない気がするので、又変更はあると思いますが、とりあえずこれ以上は遅くならないように気をつけます。

今回はこの辺で失礼いたします。ご意見・ご感想などございましたらお気軽に感想板もしくはメッセーじにて。ではでは!
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