SAO ~属性を操りし豪剣士~   作:ALHA

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誰か~、タイトル代りに考えてぇ~~!

じゃなくてすみません。ようやっと新話投稿に漕ぎつけました。
前置き長いのは嫌いなので早速どぞ~!


第三二話 ~赤の影~

キリトside

 

「くそっ!」

 

 時刻は夕暮れ。今日は朝はヨルコさんから「圏内事件」を解く為にギルド「黄金林檎」が解散に至った事件について聞き、グリムロックという犯人の目星は付いたがトリックに関しては分からない。そこでアスナに頼んで昼間に歩くSAO辞書こと、ヒースクリフに今回の事件のことについて今俺が持つ情報から考えられる「圏内事件」の真相候補を聞いてもらい、全てがシステム的にあり得ない事を確認した後、今度は事件に何らかの関与をしていると思わしきシュミットに話を聞きに「聖竜連合」のある51層に行き、指輪の件に関して聞いた。 ヨルコさんから聞いた話と矛盾はなく、その場で考えてても埒が明かないので、グリセルダさんの婚約者と言うグリムロック氏の所在を聞き出そうとした。そしたら向こうも条件を出し、ヨルコさんとの対談を望んできた。圏内、しかも室内であれば流石に安全だろうとヨルコさんが滞在している部屋で話し合う事となった、までは良かった。

 ヨルコさんがシュミットに対して言いたい事を全て言ったような絶妙のタイミングで事件が起きた。窓から飛来した短刀は彼女の背中に刺さったのだ。

 一瞬何が起きたか分からなかった。だが、短刀が刺さった彼女の体が崩れ落ちたと同時に反射的に手を伸ばしたが間に合わなかった。彼女の体は窓から投げ出され地面に落ち、そして散った。

 

「そんなに自分を責めるな、キリト。僕だって迂闊だったのは事実だ」

 ケイタが言うが、俺と違う点が一点だけある。それは現場を見ているか否か、だ。俺は先日圏内殺人を直で見ているが、ケイタはそうじゃない。ケイタは現場を見ていないから“圏内は安全”というこの世界の掟を捻じ曲げた事実を理解できていなかったかもしれない。が、俺はあの時はっきりと見たんだ。圏内で人が死ぬ瞬間を。頭では理解していた筈なのに、圏内、しかも室内だから大丈夫だと高をくくって油断していた。俺のミスで彼女を殺してしまった事に相違ない。

「せめて、窓を閉めるくらいのの対処は取れた筈なんだ。いや、どころか転移結晶で安全な場所で話を聞くことだってできた筈なのに、俺は……」

「……無駄だ」

 その時、声が聞こえた方を見ると部屋の隅に場所を移したシュミットが膝を抱えてうずくまっていた。

「オレは一瞬見た。ヨルコが落ちた時向かいの屋根に立ったローブの奴を……。あのローブはリーダーが出かけるときにいつも着ていたもんだ。つまり、あれはリーダーの幽霊なのさ。ハハッ、幽霊なら何でもありだよな。アンチクリミナルコードをすり抜けて攻撃する位朝飯前なんだよ。転移結晶でどこへ飛ぼうがあいつは俺達を見てるのさ……」

 

「「……」」

 

 そんな事はないと言いたかった。が、事実そのローブの奴は俺の目の前で一人のプレイヤーを短剣で消し去っている。短剣は一発あたりの威力は低い。しかも、それを投げて使った訳だから当然与えるダメージ量は小さくなる。しかし、その条件下ですら中層プレイヤーのHPを消しさるなんていうのは圏内でダメージを与えるという事を差し引いても通常プレイヤーに出来る範囲を超えている。……どういうことなんだ? 一体。

「なぁ、あんたら。悪いが俺をホームまで送ってくれないか……。一人で帰れそうにないんだ」

 その言葉を俺達は臆病などと罵る事は出来なかった。

 

 シュミットを送り、別れ際彼から約束通りグリムロック氏がよく通っていたというレストランの場所を書いたメモを貰い、いざその場所へ行こうとしたときメッセージが入った。

「サチから、全員黒鉄宮へ? なんだこれ」

「とりあえず呼び出したからには何かあるんだろう。行ってみよう」

 

 俺らが到着した時にはまだササマルとテツオは来ていなかったが呼び出したのが緊急性のある話が高かったので先に聞く事にした。

「で、サチ。急に呼び出したのはどういうこと?」

「うん。私とダッカーはヨルコさんやカインズさん、黄金林檎のことを調べていたでしょ?それで人づてに何人かに聞いてきたんだけど、おかしいの」

「おかしいっていうと?」

「黄金林檎を知ってる人達に聞いたんだけどね。スペルが違うの、“カインズ”の。ヨルコさんに聞いていたスペルは“Kains”だったでしょ。でも、実際聞いてると、黄金林檎にいたのは“Cayns”ってプレイヤーネームの人らしいの」

 首をかしげた俺にサチが補足を入れる。続いて、ダッカーも。

「で、それを聞いた後にここにきてな。その“Cayns”ってやつのネームに横線は入ってないんだよ。つまり、黄金林檎のカインズは死んでないんだよ!」

 死んでない……?ちょっと待て。だとすると……。俺は急いで生命の碑のYの段を見ていく。

 

 すると……

「……あった」

 俺はホッとすると同時に疑問に思わざるを得なかった。彼女の話からちょくちょくパーティーは組んでいた訳だから、一字違いなら勘違いも分からなくはないが、それがハナから間違ってるのであれば、意図的に俺達に間違ったプレイヤーネームを教えたことになる。だけでなく二回目の圏内殺人も、間違いなく意図的に行われたものだ。つまり―――

「彼女とカインズはグルで、俺達を騙していた事になる訳、か」

「そういうことになるね。でも、動機はさておき、これでトリックの方は解決だね。この事件、何が一番信じられないって“圏内で人が死ぬ”この一点だけだからね。尚且つ、生命の碑のお墨付きまであってだ。恐らく、この“Kains”っていうプレイヤーは去年の圏内事件同日に貫通系のダメージで殺されたんだろうな。恐らく偶然に」

 ケイタの言葉にその場にいた黒猫団の全員がうんうんと首を縦に振り、サチが補足を付け加える。

「一応、“Kains”って人がいつ亡くなられたかについても調べたら間違いなく去年の今頃に亡くなられたって聞いたから間違いないと思う」

 当然去年の今頃に亡くなられているのなら、彼女達が真相追及の為、意図的に殺したというのはない。グリセルダさんが亡くなられたのは半年前だ。時系列が合わない。

「……要するにこの事件は2人、いや、恐らくグリムロック氏も協力しているだろうから3人か。その3人の大芝居だった訳だな」

「で、今まで言ってきたのはササマルとテツオにも言って今検証して貰ってるトコなんだ。

そろそろ……」

 

「「実験成功!」」

 

 いいタイミングで入ってきたのは当然ササマルとテツオだった。

「みんな揃ってるな? 見てな。これはさっき雑貨屋で買ってきた手袋なんだけどな。当然この圏内じゃ手袋をした右手には刺さらない。けれど圏外で貫通継続ダメージを発生させる武器を刺したまま圏内に入ると、自然に抜けるなんて事はなく刺さったまんまになるんだ。こんな具合に」

 ササマルの左手を見ると左手には白い手袋に細長い針のような武器が刺さっている。そして刺された部分からは貫通継続ダメージを表す赤いエフェクトが見える。この辺りの事はヒースクリフにも聞き出してプレイヤー自身にダメージが発生しない事は分かっている。

 と、次の瞬間付けていた手袋だけが弾け、あとには刺された生の左手だけが残っていた。

「ってな訳で、鎧が継続ダメで壊れる瞬間に転移結晶系を使えば“圏内で人が死んだ”風に見せる事は出来ると思うぜ」

 これでトリックに関しては実証も含めて完全解決だな。

 

 だとすると、動機の方は―――

「つまり、あれは犯人へのメッセージだった訳か。あんな演出をしたのは話題性を持たせる為。少なくとも“圏内殺人”なんて方法で人が死んだとしたら噂にしろ何にしろそういう事件はあったという情報は方々まで駆け巡る。そうなれば、いずれそういうオカルトな事件が起きたことは犯人の耳にも入る筈だからな。尤も、ヨルコさん達も犯人の目星は付けてたみたいだけどな」

「……シュミットか」

 あぁ、とケイタに同意する。

「事件の詳細を聞いたときに彼の名前が出てきたのもそういう事なんだろう。それに目の前でヨルコさんが刺された時のあの動揺は、昔のメンバーだったにしろ、自分があの事件で指輪売却に反対した一人だったとしても明らかに動揺がひどかったからな。何かしらには関係してたんだろう」

 

 しかしよぉ、とササマルが自らの左手に刺したピックを抜きながら意見する。

「よく出来た話だよな。グリセルダって《黄金林檎》のギルドリーダーが何らかの方法で殺された。その後、ギルドは解散になった。で、その後ある時に誰が知ったかは知らないけれどカインズと読めるプレイヤーがちょうど昨日の日付でこの事件を起こすにぴったりな貫通継続ダメージで殺されていた。そしてその事を知った昔のメンバーに協力を仰ぎ、シュミットを引きずりだせたってのはさ」

「確かにな。だけど、グリムロックさんにしてみればグリセルダさんの遺志の賜物と思ったろうさ。最愛の人を殺した犯人が昔のメンバーに協力を仰げば特定できるかもしれないって状況になったんだからさ。まぁ損得勘定抜きに協力したヨルコさん達も凄いと思うけどね」

 この事件の最大の欠点は、知り合いに生命の碑に行かれて確認されてしまえば偽装だった事はすぐに分かってしまう事だ。犯人はギルド内だけの秘密を知っていた人物、もしくはその人物に頼まれたレッドでほぼ確定だ。つまりシュミットでなくとも犯人が生命の碑を見るような事があれば一瞬でバレてしまう。そうなれば指輪の為に人を殺す様な奴だ。口封じの為に殺されることもあり得なくはないが……

「シュミットのあの様子を見る限りじゃ安心だな。犯人か、その協力者か。どちらにしろ今頃はグリセルダさんの縁の土地か墓前で許しを請うてるんじゃないか? と」

 

 メッセージ?差出人は……フレッドか。そういやあの人も捜査はしてたんだよな。一応、報告はしておかないとな。

『ハローキリト君。そろそろ事件の真相が分かった頃合いと見てちょっと君らに頼みがあるんだが――――――』

 あの人め、この書き方からしてさては結構前に事件の真相分かってたな、やられた。ったく。で、頭のいいフレッド殿からどんな頼みをされる事……!?

「どうしたの、キリト。そんなに驚いて?」

 サチが心配そうに見つめているが、正直それどころじゃない。ここに書いてあるフレッドの予測が外れてくれる事が俺としては嬉しいが、確かにその可能性はあり得る。そして奴の策に乗るのであれば、ここにいる全員を巻き込む……いや、違うな。俺は又同じミスを犯すところだった。この事について彼らに問えば問題はない。そして、誘いに乗るならば……。俺は意を決して尋ねた。

 

「……皆、聞いてくれ。……殺し合う覚悟はあるか?」

 

 

PoHside

 

「ワーン、ダウーン」

 重い音を立てて、大の男が倒れる。

 ふっ、Sからの情報は正しかったみてぇだなぁ。《竜騎士》んトコのタンク部隊の隊長がこんな場所に一人+αで来るたぁチャンスじゃあねぇか。

「まさか、こんな所で《竜騎士》様の幹部と会えるとはなぁ。さぁて、どうやって遊んでやろうか」

「ヘッド。三人もいるみたいだし、こいつとそこの二人で戦わせて勝った方だけ助けてやるゲームにしやしょうよ」

 麻痺らせた褒美にジョニーに乗ってやっても良いが……

「んな事言って、おめぇ、この前残った方も全員殺しちまったじゃねぇか」

「あぁ、言っちまったらゲームにならないじゃないすか……」

 ネタばらしをしてジョニーを黙らせて、二人組の方を向く。

「そこの二人が起こした《圏内殺人》……中々wonderfulだった。だが、死んでねぇのはよくねぇ。よくねぇよなぁ。この世界での殺人はgame and art!!! 殺しはゲームでtargetが死んで完結するart!! そいつを汚すのはよくねぇ。だから、死に損なったおめぇらをartとして! 完結させてやらなくちゃなぁ」

 二人の方へ歩き出すオレの脚を這いつくばっているタンクが掴む。……はぁ。

「お呼びじゃねぇンだよ!!」

「がはっ」

 そのタンクを後方へ蹴り飛ばす。オメェはあとまわしだ。

「ザザ……抑えときな」

「……」

 無言でザザが抑えつけるのを確認した後、再び歩み寄る。

 

 …………はぁ、又いらねぇ連中が来たみてぇだ。

(パカラっ、パカラっ!)

 こんな所には馬型のモンスターなんていねぇ。誰かが騎乗してるってこった。

 見えてきたのは馬のような影とそれに乗る黒い影が一対。あぁ、そういや解決に乗り出してるnonsenceな連中がいたなぁ。

(ヒヒ―ン!!)

「痛!」

「はん、馬から落ちるたぁ、随分恰好悪い登場だな。《黒の剣士》様よぉ」

「ほっとけ。お前こそ相変わらず悪趣味な装備だな」

「全身黒ずくめに言われちゃしまいだなぁ。で、てめぇはまさかこいつ等を助ける為に駆け付けたknight様って言うつもりか」

「まぁな。どうする? 退くってんなら見逃してやっても良いぜ」

「状況が分かってねぇみたいだな。こっちは3人でテメぇは1人。勝ち目があると思ってんのか?」

「あぁ。ここにお前が居ることも想定してさっき知り合いに声かけてここに後10分もすれば攻略組約30人が来る予定さ。さっき耐毒ポーションも飲んできたし、解毒結晶もできる限り持ってきた。あんたら3人相手でもそれくらいは耐えられるさ」

 哀れで仕方ねぇなぁ。まぁ、《黒の剣士》に仲間が30人程度加わった所でオレ達のgameは終わらねぇって事を分からしてやらないとなぁ。

「ひゃひゃひゃ。キリト、テメェ分かってねぇな。オレ等がたった3人だけだってホントに思ったのかよ?《回廊》オープン!!」

 ジョニーに預けてあった《回廊結晶》……そいつのセーブ先は俺らのアジトの一つに繋げている。

「頭!こいつら4人を血祭りにあげりゃいいんすか」

 そのアジトにゃ100人を超す部下もいる。当然回廊の先から出てくるのはそいつらだ。

「黒の、剣士。もう一度、同じ事、言ってみな。10分、耐えられる、かな」

 流石に絶句したみてぇで、中々に驚いた顔してくれるじゃねぇか。

「ハハッ、驚いたな。まさか、ここまであいつの読み通りかよ。乗って正解ってとこか」

「あん?何の話をしてやがる?」

 

 

「その話ってのは多分、俺の読みに関しての事だと思うぜプーさんよぉ」

 

 

 突然、黒の奴の後ろから声が聞こえてきた。この腹立たしい声は間違いなく……

「……《ゴッドファーザー》!!」

「はーい。俺も読みが当たって嬉しい限りだぜ。前に俺がハッタリとはいえ多数攻めの作戦を取ったから有能なプレイヤーが一人増えたら、そっちも同じく多数攻めで来ると思ってたぜ? だからさ……《回廊》オープン!!」

「!?……なるほどな」

 回廊の穴、そこから《KoB》《竜騎士》共に他何十っつー単位のプレイヤーが出てきやがった。

 

 

「レッドギルド《ラフィン・コフィン》あなた方の数々の悪行、この場で悔い改め、大人しく縛に付きなさい!」

 

 

 指揮は甘ちゃんの《閃光》か。好都合だな。だが……

 

「ご免だなぁ。それより、あんまり興味はねぇが、《ゴッドファーザー》テメェ、なんでオレ等が出てくると踏んだ?」

「簡単な事さ。まずはグリセルダが殺されたのは《圏内PK》が広がる前の話。その時点でテメェらが噛んでいるのは分かった。次に指輪の件。あれはギルド内だけの秘密だった情報だ。この時点でギルドの中に情報提供者(スパイ)がいて、そいつがオメェらに殺人を依頼した可能性がある。そいつは事件を解決しようとしていた二人を疎ましく思い消そうとしている。それで、攻略組優秀プレイヤーの位置情報を教える代わりにそいつらを消すよう依頼した。で、オメェらが出張ってくると踏んだのさ。さて、長話は俺の性に合わねぇからな。とっとと……Killぜ!」

 




後書きは長いぜ!

えぇと、まずは言い訳させて下せぇ。大量の原作コピペを生まない為にフレッドが真相を話した日のキリト君達の行動を全てダイジェストでお送りいたしました。まさか小説でダイジェスト書くと思いませんでした、申し訳ない。

なので、原作読んでない方にはこの話さっぱりかもしれません。詳細は原作8巻もしくは動画で確認して下せぇ。手抜きになって申し訳ないです。ただ、これが原作の事件最後ですので、恐らくこういう事は今後ないと思われます。

そして自分があと一つ強烈に思ったのが、PoHの地の文、難っ!!そしてこのPoH誰だ状態……
自分はホロウフラグメント持ってるのでそこに出てくる彼を参考に考えたんですが、なんかアルベリヒが混じってる気がしないでもない。

で、真、言い訳が長くなりましたが、次回は遂に対決、PoHvsフレッドと思いきやまずは前菜としてPoHの部下の有象無象vs攻略組を堪能頂ければと存じます。やっぱりメインディッシュは最後でしょ。

では次回もよろしくお願い致します。ではでは!
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