異世界で変な物ばかり作る発明家のおじさんやってるけどなんか質問ある? 作:あー
「出来た!」
その声は、奥で作業をしていた私の方にまで聞こえるぐらいには大きかった。あまり聞きたくはないのだけれど、聞かなきゃ聞かないで後が面倒臭くなるのは目に見えている。先手をとるか後手をとるか。少し考えた後、私は大きく息を吐いた後。声がした部屋へ向かい、声を掛ける。
「博士、今日は何が出来たんですか?」
「お、助手。気になる?気になるか。仕方ないなぁ、特別に一番最初に教えてやろう!」
初っ端から聞いた事を速攻後悔してしまう様な顔に、少しだけ背けながら微笑む。
「もううぜえ」
「今ウザいって言った!?」
「もう凄えって言ったんですよ。博士は毎回毎回突飛で使い道に困る様な意味不明な物ばかり作れて凄いですね」
「まぁ、それほどでもあるかな」
「……」
「何も言われないと言われないでしんどいよ?」
無視である。そのまま博士の方を見つめ、早くしろと無言でアピールする。それを理解したのか懐からガラス瓶を取り出してこちらに見せた。中にはなんとも言えない怪しげな液体が入っている。
「それは?」
「な〜んd。……分からないからって暴力で解決しようとしないで欲しいんだけど」
「そんな野蛮な考えで殴った訳ないじゃないですか〜。いやだなぁ博士は。それよりも何ですかそれは?」
「分かった。すぐ言うから笑顔で拳突き出すの辞めよう?フッフッフッ!聞いて驚くが良いっ!世紀の発明品。全世界が驚くであろう大発明その名も。ゴブリンになる薬だ!」
「は?」
まぁた変な物作ったよこの人。ゴブリンってあの?
「子供みたいな身長で緑の肌で棍棒持って多人数で意気揚々と襲ってくるけど、ある程度の実力を持った冒険者には簡単に倒されるアイツらですか?」
「そうだ。凄いだろう!!」
ドヤ顔の博士がこちらを見ている。うーん、確かに凄いのかもしれない。けれど、一つ疑問があった。
「それ、何の役に立つんですか?」
「へ?」
博士が作る通称【お薬シリーズ】(私が勝手に言っているだけ)は殆どの確率で役に立たないと言うか、恐らくその場のノリと勢いで出来た物が多い。前に偽
その他にも透明になる薬(髪の毛だけ)、魔力増強剤(体への負担が激しくて立っている事すらままならない)。とかそんな感じの物ばかり、博士は作ってる。ハッキリ言えば役に立たない物ばかりだ。こんな物ばかりでどうやってお金を稼いでるのだろう。一番の不思議だ。今度博士の生態を調べてみようか。
「分からないや」
さて、長い回想で時間もあった筈なのに。この数文字で片付けられる私はどうすれば良いんだろう。殴っても良いかな?良いよね。
「待った待った!例えばゴブリンが多くいるところへ潜入する時とかに役立ちそうじゃない?スタンピードとか起きた時のスパイとして」
「普通に見分け付かなくて殺しちゃいそうですね」
「確かに。じゃあ、あれだ。もし使う事になったら犯罪者に飲ませてゴブリンのスパイをさせて、用が済んだらそのまま殺そう」
「うわ、博士ってたまに平然とマッドサイエンティストになりますよね」
いつもは近所の頭おかしいおじさんなのに、温度差で風邪引くわ。
「そう?誰だって思いつく様な普通の考えでしょ」
「思い付いたところでブレーキが掛かるんです普通は。アクセル踏んでどうするんです」
「駄目かぁ」
「駄目です。そんな事よりも、やるべき事があるでしょう?」
まさか忘れてしまった訳じゃあるまい。
「分かってるよ、異世界転移の方法。簡潔に言えば、僕と君がいた元の世界への帰り方だ。それもちゃんと考えてるから安心してよ。でも、それには時間が掛かりそうだ。だから、生きる為に色々作って金に変えなきゃいけないのさ」
そう言って、博士はまた何かを作り出そうとしている。私は止めずにそっと部屋から出る事にした。
面白かったり、続きを読みたいと思って頂けたら高評価感想が続きを書くモチベーションに繋がるのでお願いします。