ズドオオォン!!
凄まじい衝撃が、森の中に轟いた。
地面が爆ぜる。
土砂が舞い上がり、周囲の木々が大きく揺れた。
『――グゥオオオオオ!!』
その巨体は、まさしく暴力の塊だった。
赤い毛皮に覆われた筋肉質な身体。
丸太のように太い四本の腕。
そして、岩すら砕く巨大な拳。
そんな怪物を相手に、たった一人の女冒険者が立ち回っていた。
「――ふっ!」
セネカは地面を蹴った。
振り下ろされた拳を紙一重で回避し、横へ跳ぶ。
直後、彼女が立っていた場所が大きく陥没した。
「――ぶねぇなあ、オイ!!」
軽口を叩く。
しかし、その表情に余裕はなかった。
額には汗が浮かび、呼吸は早い。
一撃でもまともに受ければ、それで終わり。
そんな極限の状況で、セネカは必死に怪物の動きを見極めていた。
『――グルゥゥオオオオオ!!』
暴虐狒々が四本の腕を振り回した。
巨大な拳が次々と襲いかかる。
右。
左。
そして、上から叩き潰すような一撃。
セネカは身体を捻り、地面を蹴り、時には転がるようにして攻撃を避け続けた。
それは、決して華麗な剣舞ではなかった。
泥臭く、必死で、余裕の欠片もない。
だが、無駄は少ない。
十一年間、冒険者として生き抜いてきた経験が、彼女の身体を動かしていた。
「――はっ! 案外動きが単調なのねぇ!」
セネカは不敵に笑った。
怪物の動きは速い。
だが、その巨体ゆえに、攻撃の軌道は読みやすかった。
力任せに振るわれる拳。
大きく踏み込む脚。
そして、攻撃後に生まれる僅かな隙。
そこを突けば、反撃の機会はある。
『グオオオオッ!!』
セネカは、それを見た瞬間に地面へ身体を投げ出した。
ズザザザッ!
迫り来る巨体の股下を、スライディングでくぐり抜ける。
土と枯れ葉が舞い上がった。
そして、すれ違いざま。
「――そこっ!!」
ザシュッ!
返す刀で、怪物の脚を斬りつけた。
『グォッ!?』
赤い毛皮が裂け、太い脚に一本の傷が走る。
セネカは素早く立ち上がり、距離を取った。
「へー!? 通るんだ! インパルスボアよりは柔いのねぇ!!」
思わず声が弾んだ。
昨日討伐した
それに比べれば、暴虐狒々の皮膚はまだ刃を通しやすい。
少なくとも、傷を負わせることは可能らしい。
しかし。
(けど、決定打にゃならないよなぁ! むしろ怒りを買っただけか!)
傷口から血が滲んでいる。
だが、それだけだった。
暴虐狒々は倒れるどころか、怒りに満ちた目でセネカを睨みつけている。
そして。
ブオォン!!
「――っ!?」
巨大な二本の腕が、セネカの頭上を掠めていった。
髪が激しく揺れ、頬に鋭い風圧が走る。
あと数寸、頭の位置が高ければ。
その首は、胴体から消えていただろう。
(――ヤベェ!! 死ぬ死ぬ死ぬ!!)
セネカは全身の筋肉を総動員して後方へ跳んだ。
足元の土が抉れる。
肺が悲鳴を上げる。
心臓が、胸の内側から叩きつけるように脈打っていた。
(――とにかく逃げ回るのよ、セネカ・ロッソ! ニッペが応援呼んでくるまで耐えてみせろ!)
勝つ必要はない。
倒す必要もない。
ただ、生き延びればいい。
相手が自分に執着している間、ニッペは逃げられる。
そして、ギルドへ辿り着けば、救援を呼べるはずだ。
それまでの時間を稼ぐ。
それが、セネカの唯一の勝算だった。
『グオオオゥ!』
暴虐狒々が咆哮した。
そして、突然。
ブウゥン!!
怪物が、地面へ腕を叩きつけた。
「――なっ!?」
衝撃で、乾いた土と枯れ葉が一斉に舞い上がる。
視界が茶色く染まった。
「ゲホッ、エホッ……!」
セネカは咄嗟に腕で顔を覆った。
(目眩まし!? 猿の癖に要らん知恵を……!)
視界が利かない。
敵の姿が見えない。
そして、何より。
巨大な足音が、近づいてくる。
(――しまっ)
ドゴオオン!!
次の瞬間。
セネカの身体が、宙を舞った。
◇
「……うっ、ぐっ。エホッ……」
口の中に、鉄の味が広がっていた。
セネカは倒れたまま、何度も咳き込んだ。
視界が揺れる。
耳鳴りがする。
身体のあちこちが、焼けるように痛かった。
(……ギリギリ、致命傷は避けたか……けど)
セネカはゆっくりと呼吸を整えようとした。
しかし、息を吸い込むたびに、脇腹へ鋭い痛みが走る。
(骨……何本かイったわね、これ)
直撃ではなかった。
咄嗟にバックラーを構え、身体を捻ったことで、拳の中心からは外れたのだ。
それでも、衝撃までは殺しきれなかった。
盾を構えた左腕は痺れ、胸の奥では嫌な痛みが続いている。
肋骨。
少なくとも、数本は折れているだろう。
それでも生きているだけ、運がよかった。
セネカは荒い息を吐きながら、周囲を見回した。
どうやら、怪物の一撃でかなり遠くまで吹き飛ばされたらしい。
折れた枝。
抉れた地面。
そして、自分の身体がぶつかったと思われる木の幹。
少し離れた場所から、暴虐狒々の唸り声が聞こえてくる。
(……あいつ、こっちを見失ってる)
怪物は、周囲を見回していた。
どうやら、勢い余ってセネカを遠くへ吹き飛ばしてしまい、獲物の居場所が分からなくなったらしい。
「……ハハッ、ばーか。派手に飛ばしすぎなんだよ……」
セネカは掠れた声で笑った。
口元から、血が一筋流れた。
(……今のうちに移動しよう。ここから離れるだけでも大分違う)
身体を起こそうとする。
しかし。
「――っ! あ、っ゛ううう……!」
脇腹に激痛が走った。
思わず膝をつく。
視界が白く弾け、額から冷や汗が噴き出した。
痛い。
呼吸をするだけで痛い。
身体を動かすたびに、骨の奥が軋む。
それでも、ここに留まるわけにはいかない。
セネカは歯を食いしばり、近くの木に手をついた。
『――グオオアアアアアアアアッ!!!』
暴虐狒々の咆哮が響いた。
直後、凄まじい破砕音が続く。
怪物が、周囲の木々をなぎ倒し始めたのだ。
獲物を見失った怒りを、森そのものへぶつけているらしい。
太い幹が折れ、枝葉が地面へ降り注ぐ。
(……野郎、ヤケになってやがる。このままじゃ見つかるのも時間の問題だ)
セネカは剣を握り直した。
だが、その手には先ほどまでの力が入らない。
脚も震えている。
立ち上がるだけで精一杯だった。
(……あー、くっそ)
セネカは唇を噛んだ。
情けない。
十一年も冒険者をやってきて、このざまだ。
いや、違う。
相手はA級魔獣。
B級冒険者が単独で相手をして、ここまで生き延びているだけでも十分すぎる。
頭では分かっている。
分かっているのだが。
(……もうちょっと、時間稼がなきゃ……)
ニッペは、無事に逃げられただろうか。
町へ向かって走っているだろうか。
あの巨大なリュックは、ちゃんと捨てただろうか。
そんなことを考えていた、そのときだった。
「だいじょうぶですかぁ? セネカさぁん」
「――は?」
聞き覚えのある声がした。
あまりにも場違いな、のんびりした声だった。
セネカは、ゆっくりと顔を上げた。
そこにいたのは。
ニット帽。
マフラー。
厚手の青い服。
そして、丸みを帯びた幼い顔。
見間違えるはずがない。
「あ、アンタ……! なんで、ここに……」
ニッペだった。
先ほど、町へ逃がしたはずの少年が、目の前に立っていた。
「ごめんなさぁい。セネカさんのこと、やっぱり見捨てられなくてぇ」
「そうじゃなくて……!」
「荷物は遠くにおいてきましたぁ」
「お、応援は……呼んでないの……!?」
「セネカさんのこと、ほおっておけなくて」
「――んの馬鹿が……! アタシが何のために……!」
セネカの声が震えた。
怒り。
困惑。
そして、どうしようもない恐怖。
そのすべてが、胸の奥で渦巻いていた。
自分は何のために残ったのか。
何のために、この怪物と戦ったのか。
何のために、骨を折られてまで時間を稼いだのか。
全部、この少年を逃がすためだった。
なのに。
その少年が、戻ってきてしまった。
「アンタに、何が出来る……! そんな、包丁一本でアレとやろうってのか……!」
セネカはニッペを睨みつけた。
しかし、その目には、もはや怒りよりも悲しみの方が色濃く浮かんでいた。
「逃げろっつったろ……! 何を犠牲にしてでも……!」
「…………」
ニッペは何も言わなかった。
ただ、静かにセネカを見つめている。
いつものように首を傾げることもない。
にこにこと笑うこともない。
ただ、彼女の言葉を聞いていた。
「あたし……を犠牲にしてでも……い、生きろって……なのに……」
セネカの目尻に、涙が溜まっていく。
痛みのせいではなかった。
恐怖のせいでもなかった。
目の前の少年が、どうしても理解できなかったのだ。
「なんで、無視したぁ!! アンタまで死んじまうでしょうがぁ!!」
「…………」
「――なん……で、なんで、アタシを……助けにくんのよ……」
声が掠れた。
涙が、頬を伝った。
「アタシはぁ! アンタと会ったばかりの赤の他人でしょうがぁ!!」
それは、セネカの本心だった。
昨日出会ったばかり。
一緒に冒険したのも、今日が初めて。
互いのことなど、ほとんど知らない。
そんな相手のために、どうして命を懸けられるのか。
どうして、逃げろと言われたのに戻ってくるのか。
どうして。
「……なんで――」
「すくわれたからです」
小さな声が、セネカの言葉を遮った。
「――え?」
ニッペは、静かに続けた。
「うちは、セネカさんにすくわれたんです」
「…………」
セネカは瞬きをした。
何を言っているのか、分からなかった。
自分が、この少年を救った?
いつ?
どこで?
思い当たることなど、何もない。
「あの日の夜に――」
「あっ――?」
ニッペは、少しだけ俯いた。
そして、ゆっくりと口を開いた。
「うちはですね? 本当はこわかったんです」
その声は、いつものようにのんびりしていた。
けれど。
そこには、これまでセネカが聞いたことのない感情が滲んでいた。
「一人で旅をするの、こわかったんです」
セネカは黙っていた。
「こわくて、こわくて、しにそうだったんです」
ニッペの小さな手が、ぎゅっと握られた。
「いつもは従姉弟や仲間たちがいたから、さみしくなかったんです」
雪国。
彼が生まれ育った場所。
そこには、従姉弟がいた。
仲間たちがいた。
きっと、賑やかで、温かな毎日があったのだろう。
けれど、今は違う。
彼は一人で旅をしている。
見知らぬ土地を歩き、知らない人々と出会い、知らない場所で夜を迎える。
それがどれほど心細いことなのか。
セネカは、考えたこともなかった。
「でも、一人になったとたん、こわくなりました」
ニッペは顔を上げた。
「人は孤独になると、しにたくなるというのは、ほんとうなんですね」
「―――」
セネカは息を呑んだ。
目の前にいるのは、いつもにこにこと笑っている少年だった。
料理が得意で。
荷物を運ぶのが好きで。
空をふよふよと浮かび。
どんなときでも、のんびりとした口調で話す少年。
そんな彼が。
孤独を恐れていた。
たった一人になることを、心の底から怖がっていた。
「セネカさんは、そんなうちをすくってくれたんです」
ニッペは微笑んだ。
それは、いつもの笑顔だった。
けれど、セネカには、なぜか違って見えた。
「あの日の夜、セネカさんは、うちに一緒に冒険しようって言ってくれました」
酒場『酔いどれ』。
酔いつぶれた女冒険者。
そして、偶然出会った雪国の少年。
セネカにとっては、酔った勢いで交わした口約束に過ぎなかった。
翌朝には、頭を抱えて後悔したほどの、無謀な約束。
けれど。
ニッペにとっては、違った。
「一人じゃなくていいんだって、思えたんです」
小さな声だった。
「うち、うれしかったんですよぉ」
その言葉に、セネカは何も返せなかった。
自分にとっては、ただの気まぐれ。
酔った勢いの、何気ない一言。
けれど、その一言が。
誰かを救っていた。
「セネカさんは、うちのえいゆうさんなんですよ?」
「―――」
涙が流れた。
セネカの頬を、熱いものが伝っていく。
英雄。
その言葉を、彼女は知っていた。
幼い頃から憧れていた存在。
冒険者ルタ。
千年前、世界各地を救ったと伝えられる偉大な英雄。
セネカは、そんな英雄譚が好きだった。
いつか自分も、誰かを救える冒険者になりたいと思っていた。
けれど、現実は違った。
冒険者として生きるうちに、何度も理想を捨ててきた。
助けられなかった者もいた。
見捨てなければならなかった者もいた。
生き残るために、綺麗事を口にすることをやめた。
それが、十一年間の現実だった。
なのに。
こんな自分を。
英雄と呼ぶ者がいる。
「だから――」
ニッペは、ゆっくりと振り返った。
『――グルルルルルゥ……』
森の向こうから、低い唸り声が響いてきた。
暴虐狒々が、こちらを見つけたのだ。
四本の腕を地面につき、赤い巨体がゆっくりと近づいてくる。
その瞳には、獲物を見つけた獣の凶暴な光が宿っていた。
しかし。
ニッペは逃げなかった。
「――あのおさるさんは、ゆるせません」
ニッペは、怪物を見つめている。
その小さな背中には、もう巨大なリュックはなかった。
代わりに、その右手には一本の包丁が握られていた。
料理をするための、ごく普通の包丁。
魔獣を討伐するための武器ではない。
ましてや、A級魔獣の分厚い筋肉を貫けるような代物でもなかった。
それでも、ニッペは包丁を握りしめ、暴虐狒々の前に立っていた。
「セネカさんをいじめたおさるさんは、ゆるせません」
「――まって……」
セネカは震える声を漏らした。
あんな包丁一本で、何ができるというのか。
相手は、自分ですら歯が立たなかったA級魔獣なのだ。
「うちが、やっつけます」
「やめろ……」
セネカは必死に手を伸ばした。
しかし、傷ついた身体は思うように動かない。
ニッペは包丁を構え、小さな足で地面を蹴った。
「やぁああああああ!」
「やめてぇっ!! ニッペぇぇぇ!!」
セネカの絶叫が響く。
『グオオオアアアアアアアッ!!!』
暴虐狒々が咆哮した。
巨大な四本の腕が持ち上がる。
その拳が、小さな少年へ向けられた。
セネカは目を見開いた。
間に合わない。
助けられない。
今度こそ。
目の前で、誰かが死ぬ。
そう思った。
その瞬間だった。
「――ふぇ」
ニッペの足が止まった。
「――ぇふぇ」
鼻先が、ぴくりと動いた。
小さな顔が、くしゃりと歪む。
そして。
「――エックション!!」
次の瞬間。
世界が、白く染まった。
◇
衝撃。
暴風。
そして、冷気。
それらが、ほとんど同時に押し寄せた。
轟音が響き渡り、周囲の木々が激しく揺れる。
空気そのものが、一瞬で凍りついたかのようだった。
地面を覆っていた枯れ葉が、白い霜に包まれる。
草木の表面に氷の結晶が生まれ、枝先から細かな氷柱が垂れ下がっていく。
森を流れていた穏やかな風は、いつの間にか凍てつく突風へと変わっていた。
そして。
A級魔獣。
四本の腕を持つ、暴虐の怪物。
その巨体が。
凍りついていた。
『――――』
咆哮を上げた姿勢のまま。
四本の腕を振り上げたまま。
口を大きく開き、牙を剥き出しにしたまま。
怪物は、一瞬にして巨大な氷像へと変わっていた。
動かない。
指一本、動かせない。
先ほどまで森を破壊していた怪物が、今や完全に沈黙している。
それだけではなかった。
周囲の木々も。
地面も。
草花も。
すべてが白い霜と氷に覆われていた。
秋の森。
木漏れ日が差し込む、穏やかな森。
そこに、突然。
真冬が訪れていた。
「――ぅう、ズズ……」
ニッペが鼻をすすった。
「――――――」
セネカは、白目を剥いていた。
理解できなかった。
いや。
理解しようとすること自体が、間違いなのかもしれない。
つい先ほどまで、自分を殺そうとしていたA級魔獣。
十一年間の経験を総動員しても、まともに傷つけることすら難しかった怪物。
それが。
くしゃみ一発で。
凍った。
「――はぁ! なんだかすっきりしましたぁ」
ニッペは満足そうに笑った。
その顔には、先ほどまでの真剣な表情など欠片も残っていない。
いつもの、のんびりした少年に戻っていた。
しかし。
その周囲に広がる光景は、あまりにも異常だった。
白い地面。
凍りついた木々。
そして、巨大な氷像と化したA級魔獣。
そこにあったのは。
まさしく。
――『
「……あ、あん……あ、あぁ?」
セネカは口を開いた。
しかし、言葉にならなかった。
何かを言おうとしても、声が出ない。
頭の中には、無数の疑問が浮かんでいる。
今のは何だ。
魔術か。
特殊能力か。
どうしてくしゃみで森が凍る。
どうしてA級魔獣が一瞬で氷像になる。
どうして。
どうして。
どうして。
「? だいじょうぶですかぁ? セネカさぁん」
ニッペが心配そうに近づいてきた。
そして、いつものように首を傾げる。
こてん。
その仕草を見た瞬間、セネカの中で何かがぷつりと切れた。
いや、怒りではない。
呆れでもない。
ただ、理解を諦めたのである。
「あん、た……。何者なのよ……」
掠れた声で尋ねた。
ニッペは少し考えるように首を傾げた。
「? ん~」
そして。
いつものように、にこりと笑った。
「雪国からきましたぁ。ニッペともうしますぅ」
「……いや。もうそれいいから……」
セネカは、力なく項垂れた。
凍りついた森の中。
白い息を吐きながら、二人の冒険者が向かい合っていた。
一人は、命懸けで戦った末に満身創痍となったB級冒険者。
もう一人は、くしゃみ一発でA級魔獣を氷漬けにした、E級の荷物持ち。
どちらが本当に強いのか。
そんなことは、もはや考えるまでもなかった。
ただ、一つだけ確かなことがある。
セネカ・ロッソの冒険者人生は、この日を境に大きく変わることになる。
そして、彼女はまだ知らない。
この小さな雪国の少年がもたらすものは、凍てつく冷気だけではないということを。
それは、まだ誰も知らない、小さな奇跡の始まりだった。
第五話 了