スーパーサイバーパンクヒーロー×ウルトラミラクル天使 作:割とエタりがち
なんでだ?
「ねえ、デイブ。終わったよ」
なんでこうなった?
「私、デイブを助けたよ。助けるって、こういうことでいいんだよね?」
どうして俺は今こんなところにいる?
「ねえ、デイブ」
「次は、どうすればいい?」
どうして、俺はこんな選択をしちまった!?
§
その日の俺は、リーダーが持ってきた依頼の説明を受けてた。
「今回はこの建物に……セキュリティはクライアントが片付けて……ブツを回収したら……追手は始末して……」
リーダーはいろいろ言ってるが、俺は簡単な作戦も覚えられないくらいバカだ。だから現場でリーダーの説明を聞く。つまり、別に今聞かなくたってリーダーがあとで教えてくれる。
「おいデイブ、聞いてんのか!?」
「うっす、聞いてないッス」
「テメこら……まあお前はそういうやつだけどよ」
周りの仲間たちが笑う。馬鹿にされていると感じるが、憤りはない。俺はバカなのは俺もよく知ってる。
「まあ……今回は簡単な仕事だ。割もいいし、気楽にやっていこうや」
オー!と掛け声が上がる。今回の仕事は簡単らしい。俺のやることは変わらない、現場でリーダーの言うことを聞くだけだ。
「ぐぁっ!?」「なんで自動追尾弾を……!」
自動追尾と言っても、結局のところ銃器か銃器に接続した使用者の視界で判断してる(らしい)。つまり、メチャクチャ素早く大きく、壁とか天井とか走ったりすればロックは外れる。
そしたらカタナでぶった斬る。あとはそれを続けて、終わりだ。
「リーダー。終わりましたッス」
「おーありがとよデイブ。さーてこの部屋のパスは確か……」
リーダーが扉を開けるために色々やってる。俺は何もしない。何もわからないし、何も言われてないからだ。
「よし、開いた。デイブ、お前先いけ」
「ウッス」
部屋の中に入る。特に自動兵器類はないし、人影も見えな……いや、部屋の中央に一人?
でもこれは……人間なんだろうか。
背中から六枚の翼が生えてる。髪は白い。そいつは床にぺたって座って、下を向いて目を閉じてる。寝てんのか?
と思ったら、そいつが目を開けた。そんで俺の方を見る。
「あなた、誰?」
聞かれた。聞かれたけど、答えていいんだろうか?リーダーは何も言ってくれなかったし。
「おーいデイブ、中は大丈夫か?」
「ウッス、特に問題なさそうなんすけど、部屋の真ん中になんか変な奴が居るッス」
「変な奴だァ?」
リーダーから聞かれたんで答えてたら、翼の奴が急に立ち上がった。
「デイブ。それがあなたの名前ね」
そう言って、俺に近づいてくる。俺はカタナを構える。こいつはどうするべきなんだ?斬っていいやつなのか?
「デイブ、私は何をすれば───」
「お、それだそれだ!」
リーダーが近づいて来て、翼の奴に近づいていく。
「デイブ、これが頼まれてたブツだ。斬らなくて偉いぞ。こいつを外の待機組のところに持っていく。わかったか?」
「ウッス」
リーダーから言われたんで、俺は「ブツ」の手を引っ張る。「ブツ」は特に抵抗もせず、俺についてくる。
あとは、これを外に持っていけば、俺の仕事はひとまずそこで終わりだ。
「クソ、おいジェシー起きろ!目を閉じんな!」「話が違う!クライアントは確かにセキュリティ切ったって……!」「裏切られたんだよ!それしかないだろ!」「デイブ!追手をさっさとやれ!」「ヤバイ車のタイヤ撃たれた……!」「嘘だろ……ジェシーが死んじまっ───」「オスカー?おいオスカー!」「デイブ!後ろの車撃ち抜け!」「あいつらまさかウチらに体当たり仕掛けてくるんじゃ、ッ!?」「デイブ、デイブ!」
ヘリの羽音が遠い。世界のすべてが遠く感じる。
俺とリーダー以外死んじまった。ジェシーも、オスカーも、ゴライアスもセレナもだ。
「クソ……テメェら……木っ端企業のカス共の癖して……!」
「あらベレスタ、今アタシにそんな口きける状況って理解してんノ?これだからギャングってダメネ~」
ベレスタ。うちのリーダーの名前。今、オカマに銃を向けられてる。俺もオカマの仲間に体を押さえつけられてる。
「俺はここで死ぬかもしんねぇがな……俺のバックがテメェらに対して───」
「あラ、あなたのバックってコイツらかしらン?ハーイ、コレ写真」
「なっ……」
「これネ、うちの別の班が今送ってきた写真。よかったわネ~アンタももうすぐ同じところに行けるわヨ」
「糞……畜生……!」
写真がちらって見えた。うちのチームにたまにやってくる人だ。死んでた。その上の人も死んでたし、その人たちのボスも死んでた。
「お疲れ様です、対象を確保しました」
「ハーイ、それじゃア、ここいらで撤収と行きましょうか」
アーマーを着た男が「ブツ」を連れてきた。連れていかれるんだろう。
ここで俺の人生も終わりだ。次の人生では、もっと頭がよくなりたかったな。
「デイブ」
「ブツ」が、俺に話しかけてきた。今更なんだよ。
「ちょっト、アンタ急になにヲ……」
「私は、何をすればいい?」
何を?何をって、なんだよ。俺は今まで、言われたことばっかりやってたんだ。「何」なんて、思いつけるわけがないだろ。
でも……そうだな。折角最後なんだ、俺もなんか、言ってみるか。
俺は俺の体を押さえつけるヤツを見る。オカマを見る。リーダーを見る。
「なあ」
「うん」
「助けてくれ」
「わかった」
ブツがまず自分を縛る拘束具を壊した。それから何もわかってない連行役を翼をぶつけて吹き飛ばした。俺がギリギリ見える速さだから、きっとみんな何をしたのか見えやしなかっただろう。
「なっ……ふざけんじゃねえぞこの腐れ(ピー音)が!」
オカマが憤って、拳銃を向ける。そんで銃を撃った。
でも無駄だった。「ブツ」が手を翳したら、全部あらぬ方向に向かって行ったからだ。
「なんなんだよ、なんなのヨ、アンタ……!」
「焼却開始」
掌に光が集まる。「ブツ」の手から、光の線と呼ぶにはあまりにも太いそれは、大砲を思わせた。
「あ……」
その声が出たのは、俺かリーダーか。オカマは光に呑まれた。近くにいたリーダーも巻き込まれた。
俺の体を押さえてるやつが、叫びながら走り去っていく。逃げるつもりだ、とあまり働かない頭で思った。
「ブツ」が手を向けると、逃げてる男の動きが止まる。そのまま、宙に浮かび始めた。
「ブツ」が大きく上へ腕を振り上げた。男も上に吹き飛んで、上空に浮かんでたヘリにぶつかった。
爆発。墜落。マンションに当たって、火災。
現実に見えなかった。今日のすべてが、夢に感じた。
なんでだ?
「ねえ、デイブ。終わったよ」
なんでこうなった?
「私、デイブを助けたよ。助けるって、こういうことでいいんだよね?」
どうして俺は今こんなところにいる?
「ねえ、デイブ」
「次は、どうすればいい?」
どうして、俺はこんな選択をしちまった!?