FOR THE FUTURE   作:烊々

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プロローグ

 

 人員輸送ヘリコプターから一人の女性が大地を見下ろすと、モンスターの群れが街へ向けて進んでいた。

 

「GPU戦闘部隊、目標地点に到着しました」

 

 『ゲイムギョウ界平和維持連合(通称:GPU-Gamindustri Peacekeeping Union)』。プラネテューヌ、ラステイション、ルウィー各国の新世代の女神の名の元に、平和維持の為の連携と軍備縮小を兼ねて創設された組織。主な任務は世界各地におけるモンスター害への対処や反女神組織の過激なテロ行動の鎮圧、各地に自然発生するアンチクリスタルの回収と廃棄などで、問題が発生した国や地域に派遣され、場合によってはそこの国の女神と連携し任務を遂行する。

 輸送ヘリに乗る兵士たちはGPUの戦闘部隊、その部隊を率いる隊長の名は『エフダッシュ』。プラネテューヌ教会からGPUへ出向している人員だ。

 

『えっ、もうですか?』

 

 エフダッシュが持つ通信機の向こうから、聞き慣れた女神の声が響く。

 

「ただちに降下、戦闘を開始します」

『はい! 私も向かっていますので、無理はしないでくださいね』

「了解」

 

 エフダッシュは通信を切ると、ヘリに乗る部下たちに方へ振り返る。

 

「一班は私と降下して戦闘、二班は近隣民の避難誘導。女神ネプギア様がこちらに向かわれているようだけど、あの方が出るまでもないわ。私たちで殲滅するわよ!」

「了解!」

「隊長、私たち三班は……」

「三班はヘリに残って後から来た女神に状況報告後、戦闘に参加。ある意味一番大事なのポジションよ。任せたわ」

「はいっ!」

 

 今回のGPU戦闘部隊の任務は、プラネテューヌ国境付近の町で蜂起された反女神団体のテロへの対処が任務だった。

 

「酷いわね……」

 

 反女神テロ組織が操るモンスターの群れの前に、現地の衛兵は後退を繰り返すことしか出来ず、町の半分は既に放棄され瓦礫の山となり、至るところで火災が起こっていた。

 

「さて、行くわよ!」

 

 隊長のエフダッシュがまずヘリから飛び降り、風魔法を使って後続の部下たちに緩やかな降下ルートを作る。

「デカいのは私がやるわ! 他は雑魚モンスターと構成員の制圧!」

「了解!」

 

 エフダッシュは前面のスライヌやシカベーターなどの雑魚モンスターをカタールで斬りつけながら道を開き、後方のエンシェントドラゴンに斬りかかる。

 

「冥界の炎を纏いし灼熱の斬撃……『烈火死霊斬』ッ!」

 

 カタールの刃とエンシェントドラゴンの鉤爪がぶつかり合い、鈍い音が響く。押し合いは拮抗しているが、カタールから発生した炎が鉤爪から伝い、エンシェントドラゴンの腕を焼く。

 

「ガァァァアッ!」

 

 エンシェントドラゴンは怒号が混ざった悲鳴を上げながら腕を振り払い尻尾を振り回すが、エフダッシュは手の上でカタールをクルクル回しながら軽やかな動きでその全てを回避していく。

 

「今から私が繰り出すのは……アイエフ様が遺した剣技が一つ。魔を以って天を穿つ流星の如き剣舞……『天魔流星斬』!」

 

 そしてエフダッシュはエンシェントドラゴンの懐に潜り込み、必殺の剣舞を放つ。魔力を含んだカタールの斬撃が、エンシェントドラゴンの頑丈な鱗を斬り砕いていく。

 

「名もなき竜よ……その命を散らすが良いわッ!」

 

 雑魚モンスターを一掃し、テロ組織構成員たちを拘束し終えた隊員たちは、エフダッシュが鮮やかな剣舞で身体が自分よりも二回り以上大きなエンシェントドラゴンを斬り刻んでいく姿に見惚れつつも、この謎の台詞回しさえなければ無条件で尊敬できるんだけどなぁ……というガッカリした視線も向けていた。そもそも目の前のドラゴンは『エンシェントドラゴン』という名前があり『名もなき竜』ではない。

 

「これで終わりよ!」

 

 エフダッシュが最後の一閃を振り終わると、力尽きたエンシェントドラゴンが青いポリゴンとなり消滅していく。

 

「こんなものね……哀れなモンスターたちよ、冥界にてその魂を浄化させ、次は無害な生命として生まれて来……」

「隊長、後ろ!」

「えっ……?」

 

 突如して先程のエンシェントドラゴンよりも更に身体のサイズが大きい『キングエンシェントドラゴン』が姿を表し、エフダッシュにその剛腕を振り下ろした。

 

「くっ……そんな愚鈍なる攻撃で私を仕留められると思わないことね!」

 

 エフダッシュは咄嗟に身体を動かして回避し、キングエンシェントドラゴンの方に振り返る。

 

(キングエンシェント……! 厄介な奴ね……!)

 

 いくら各国から出向された優秀な戦士が集まったGPUの戦闘部隊でも、超上位種のモンスターであるキングエンシェントドラゴン相手では苦戦を強いられる。

 

「総員撤退! コイツの相手は私がするわ!」

 

 エフダッシュの実力ならキングエンシェントドラゴンとの戦闘は成立するが、他の隊員や町を守りながら戦うのは苦難だった。

 

「グォオオオオッ!」

 

 キングエンシェントドラゴンの口から、ビーム状のブレスが放たれる。上位種を超えた最上位種のモンスターは属性を超越した高性能の攻撃が可能、当たれば無事では済まない。

 

「この……っ!」

 

 回避することは容易いが、後方の部下や街に被害が出ないよう、エフダッシュは魔法防塵を展開しつつ魔力をふんだんに含ませたカタールを前方で×字に構え、正面からビームブレスを受け止めて防御する。

 

「ぐ……くぅ……っ!」

 

 キングエンシェントドラゴンが更に力を込め、ビームブレスを押し込もうとした瞬間、空からビーム砲が降り注ぎ、キングエンシェントドラゴンに直撃する。

 

「え……? いや、このビームの色は……!」

 

 そして、次の瞬間、紫の光が戦場のど真ん中に落下し、光の中から守護女神が姿を現した。

 

「お待たせしました!」

 

 現れたのは、プラネテューヌの守護女神『ネプギア』。

 

「女神ネプギア、ただ今より戦闘に参加します!」

 

 そして、女神化した姿の名を『パープルハート』。

 

 

 

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