錬金術師のヒーローアカデミア 作:アルケミスト
「マスター! 駄目です!」
私はマスター……キャロル・マールス・ディーンハイムが最後の錬金術を阻む為にその身を投げ……マスターの氷錬金術が私の胸を貫いた。
「ガっ……」
「ッ!」
心臓が抉られ血を吐いて吐く私にマスターが術式を破棄して駆け寄った。だけど……あぁ……コレは……駄目だ……
「すみませんマスター……私……もう駄目です。助かりません」
「あの娘……どうして!」
マスターがあの装者達と争えばもう後戻りは出来ない。チフォージュ・シャトーは瓦解した。エルフナインが生きていればきっと今度は彼女がマスターを止めてくれる。今マスターを止めれば未来に……希望が……
「貴様は既にオレから全てを学び終えた! そんな……オレの弟子がそう簡単にくたばるものか!」
「やっぱり……マスターは……優しい人です……」
私の意識は……2度と戻れない深淵へと引き込まれた。
◆◆◆
「生き……てる……?」
私の意識が覚醒した。心臓を貫かれた筈だった。生きていられる筈がない。
「良かったわね琥珀……貴女の【個性】よ?」
「こせ……い?」
【個性】ってなんだ? というかなんで人間の身体が変質したり物理概念を逸脱した現象を起こしている?
「あはは……琥珀は個性が分からないのね。まぁ個性って人それぞれだものね」
「ふぇ……?」
私はどうやら未知の世界に転生したようだ。
◆◆◆
「んじゃあ母さん……今日も出かけて来るね」
「貴女は個性が個性なのだから気をつけなさいよ」
「わかってるよ」
少女として転生して14年……私は今中学生として過ごしている。
「なぁ聞いたか? オールマイトがこの街に現れたってよぉ!」
「オールマイトが!?」
「会えるのか!?」
「街が活気づいてるなぁ。そりゃあNo.1ヒーローが街に来るなら当然かぁ」
「おっ! 琥珀ちゃんじゃないか! 今日も修理を頼んで良いかい!」
「構いません! 私も自身の個性を伸ばしたいので!」
それが私の日常だ。
◆◆◆
私は趣味として街の骨董品収集と家電製品の修理をしている。骨董品は聖遺物を、家電修理は錬金術の鍛錬としては最適だ。錬金術の行程は【解析】・【分解】・【再構築】……マスターは世界の解析と分解の力を重点的に扱い様々なものを作り上げた。私もあの領域に至りたいものだ。
「【アルカ・ノイズ】【チフォージュ・シャトー】……まだ私には再現するだけの力も環境も無い。どうにかして……いえ、それでは足りないわね。錬金術師の悲願……【賢者の石】の完成も必要だ。そして……
この世界にも稀に聖遺物が存在する。あの世界の聖遺物とは異なるだろうけど存在するなら見つかる筈だ。自動人形の炉心になる聖遺物も……ってあれはなんだ? そんな事を考えながら朝の散策を続けると気になる光景を目にした。
「この海岸を掃除してるの? あれだけの廃材や廃棄家電を2人……いや少年1人が運んでる?」
私はその光景に足を止めたのはあまりにも異質な光景だからだ。
「ん〜……家電を1人で運ぶには彼の筋力が足りてるとは思えないね。あれは清掃活動なのか……それとも何かのトレーニングなのか……気になる」
気づけば私は少年達の元に歩み寄っていた。
「ゴミ掃除……君は凄いね。精が出る活動をしてるね」
「っのわぁ!?」
「む……? 目撃者!? まさか私のファンか!?」
2人の……特に大人の人の方が動揺してる。この人……有名人なのかな?
「オールマイト……声が大きいです」
「済まないな緑谷少年……私も動揺していたようだ」
「あの〜……私……廃棄家電を集めるのが趣味なんです。最近この近くで廃棄家電が積載するエリアの話を聞いて来てみたんですけど……もしかして取り込み中でしたか?」
「む……まぁ確かに緑谷少年がこの海岸の廃棄家電を集積し清掃するトレーニングを始めたが……君はどうしてこの場所に?」
「あっ……自己紹介が出来ていませんでしたね。私の名前は
「あっ……もしかして家電製品の中にある金属やレアメタルを集めてるかですか!?」
「そうなんです! 素材の鉄やアルミニウムは値段よりも分解の鍛錬になるのでそれはそれで集めてるんです!」
なんだかこの少年とは話が合いそうな予感がした。しかし……私は彼の邪魔をしているかもしれない。今回のスポットは見送るしか無いか……
「何やら大事そうなお話をしてそうなんでこのスポットは見送ります。すみません……」
「お……八木さん! 彼女はいても良いんじゃないでしょうか!?」
「しかし緑谷少年……それでは君の修行が……」
「修行……? どんな修行をしてるんですか?」
私は少年の手に持つ資料に目がついた。アレがトレーニングメニューって事かな。
「ゴメンね少年……ちょっと借りるね」
「あっ……ちょ……」
私も少年の手に持つ資料に目を通す。身体作りを目的としたトレーニングメニュー……大分本格的だな。
「もしかしてこのメニューをこなす為の清掃活動ですか?」
「む? まぁそうだが……」
「では提案させてください! 私は彼の邪魔をしません! なので見物させてください!」
「……というと?」
八木さんと呼ばれた人が首をかしげてる。もしかして交渉次第では手にはいるかも……
「そのままの意味です。彼が集めた廃品を私が回収します」
「しかし……回収したものは何処に置くつもりなのかね?」
「あっ……それには宛があります」
私は転移術式を構築する。正直錬金術師として極めるのに苦労した術式だったけど分解と並んで習得して良かったと思う術式だ。
「転送系の個性か!? しかもその年齢で!?」
「個性……ですけど……うぅ〜ん……まぁそうなりますね」
「君の個性は【解析】の個性と合わせて2つ……という事かね?」
「?? はい」
「そうか……わかった。君も毎日ここに顔を出しなさい。それと君の親御さんには外出している事は伝えておきなさい」
「わかりました。よろしくお願いします!」
こうして転生した錬金術師……四宮琥珀の新たな物語が始まった。
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