大人VGファイターが集う、ダークステイツ限定大会 作:いちのさつき
インターネットという混沌の海。とある広告がSNSで静かに流れ始めた。
『ダークステイツ限定杯【18歳以上】
開催場所:大阪市浪速区○○△ ゲームショップ「あるごのーずむ」
開催日時:〇月××日(土)13:00~17:00(32人限定)
優勝賞品:白から紅の世界に染まる
準優勝:永久の箱庭
参加賞:あるごのーずむお手製ヴァンガードパック(RR以上1枚確定)
※もちろんダークステイツ限定の大会です。
※優勝賞品と準決勝はハートフルボッコの類です。
※本大会は18歳未満の方は参加できません。紳士という名の変態が集まる大人の大会です。
※年齢確認を行います。学生証や免許証など、18歳以上であることが分かる身分証をご持参ください。
※「プロファイターは絶対来ません。来ても困ります」
参加希望者はあるごのーずむ公式HPか電話でエントリーを。先着順なのでお早めに。
お問い合わせは電話にてお願いします。
あるごのーずむ店長(@arugo_tencho)』
この時代となると、あっという間に新しい情報が流れ、目立たなくなる。店長はそれでも構わないと考えている。一応、ショップ大会でも、軽くポスターを出したのだから。地道な宣伝で構わないという考えも持っていた。
『ダークステイツ限定杯【18歳以上】
少しずつ参加者が集まってきています。今のところ、身内と書いてオタクと読む同志たちが集まっているぐらいでホッとしています。牽制が効いているようで何より。
今も参加者募集していますので、エントリーお待ちしております。
あるごのーずむ店長(@arugo_tencho)』
自分の目論見通りだと店長はそう思いながら呟く。SNSでの告知を何度も繰り返しながら、少しずつ参加者を集めつつあったのだった。それを見ている人が18歳以下だとしても。
とある日の昼休み。加賀の高校に通う、白髪の男性生徒――呼続スオウも対象外であり、だからこそ、凹んでいた。何事かと友達達がスオウを囲う。前よりも寒くなりつつあるのか、屋上にいるメンバーは男子のみとなっていた。現役アイドルも仲のいい後輩も教室で食べていることだろう。
「おーい。スオウ?」
紺色の髪に特徴的なメッシュ?がある男子生徒――明導アキナはスオウに声をかける。スオウはアキナに反応することなく、ぼそぼそと呟く。加賀から遠い。お金が足りない。まだ俺は18歳になっていない。参加できない。それは呪文のようで、誰もが苦笑いする。
「何を言ってるんだか」
何も理解できない。アキナは首を傾げながらも、弁当のおかずである唐揚げを口に入れ、咀嚼する。スオウは改めてスマホの画面を見る。現実だ。そう認識し、ため息をつき、ようやく、はっきりと言葉にする。
「参加したいのに出来ない」
言葉にしたことで、スオウは更に沈んだ。ケントも明導アキナも苦笑いしてしまう。顔が良くて頭がとてもいい研究職に片足を突っ込んでいる男子高校生――藍川クオンはスオウのスマホ画面を見る。ちょっと微妙な顔になった。その反応にケントとアキナは傾げる。
「仮に参加できたとしても俺が止めるよ。友達として」
まさかのクオンのガチトーンである。クオンの真剣な声に誰もが瞬きをしてしまう。
「なんで?」
純粋なケントの質問にクオンは無言でスオウのスマホの画面を見せる。ああ。見た二人は納得する声を出す。
「俺には分かるぜ。これ。ほぼ身内かオタクの集まりだろ」
うんうんとケントが頷く。アキナは別の文章に突っ込みを入れる。
「つか。プロファイターは絶対来ません。来ても困ります。って牽制かけても来る人いるんじゃ?」
「いや……それは流石にないよ」
クオンが苦笑いして手を振って否定した。
「明らかにヤバい集まりっての分かるしね?」
はっきりと優勝賞品などにろくでもない作品であることが明記されている。これだけで一般人ファイターは避けるはず。それがクオンの考えである。
「クオン。そういうの分からない大人だっていると思う」
何かを察したケントの言葉を聞いた誰もが、まさかあとゲラゲラ笑ったのであった。
さあ。参加しそうな有名人ファイターをイメージしてみよう!