大人VGファイターが集う、ダークステイツ限定大会   作:いちのさつき

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社長兼プロファイター 清蔵タイゾウ

 大阪での出張が終わり、本社に帰ろうとした矢先だった。ヴァンガードの小規模大会に誘われた。ただし、デッキに制限がある。ダークステイツ限定。つまり。俺が使っているブラントゲートのヴェルストラが使えない。

 

「お前……正気か?」

 

 それ以前にキョウマからマジかという顔で言われてしまった。ああ。分かっているさ。優勝賞品その他諸々がろくでもないラインナップであることぐらい! ハートフルボッコという時点で、精神ダメージがデカそうだし。そもそも誘ってくれたファイターがあれだから、背に腹は代えられない!

 

「仕方ないだろ。取引先の幹部なんだぞ。誘ってきたの!」

「今回だけ断れ!」

 

 キョウマがはっきりと言った。立場が逆なら、多分俺がやっていただろう。しかし、チャンスがあるのなら、やらなければいけない。社長として。

 

「何かの商談に繋がるのなら、腹にくくる。それに」

「なんだ」

 

 既に先手を打っている。そのことを伝える。

 

「確認したけど……賞品をVGに変えても問題なかった」

「は?」

 

 キョウマの疑いたくなる気持ちは分かる。だが、俺はちゃんと確認をした。不安ながらも電話してみたら、案外分かる運営者で本当に助かった。店長曰はく「このメーカーじゃないとだめっていうオタクもいますし」「付き添いの非オタもいたりしますから」とのこと。これがなかったら、俺も普通に拒否していた。

 

「だが……タイゾウ」

 

 キョウマが言いたいことは「プロファイターは来ないで」という文章についてだ。

 

「ああ。分かってる。プロファイター来るなのあれだろ? 付き添いならば仕方ないですと。むしろ……憐みの言葉を投げられた」

 

 キョウマは呆れた顔になる。

 

「だから言っただろ。あれはまともじゃないと」

 

 誘ってくれたやつは見た目そのものは真面目な男だが、中身は本当に擁護できない。苦笑いしてしまうぐらいに酷い。

 

「趣味に口出しは良くねえぞ。あそこまでド変態なのは予想外だけどさ」

 

 キョウマがため息を吐いた。

 

「仕方ない。付き合ってやる」

 

 何だかんだ付き合ってくれる。くだらないことに協力したくないはずなのに。

 

「悪いなぁ……ほぼ茶番なのに」

 

 明日の朝から大会になる。今夜中に出来る限り、デッキを決めておこう。知り合いというか、友達の構築を参考にするか。結構な割合でダークステイツ使いがいることだし。土台になるデッキは大阪府内の支社にあるチームから借りればいける。最新のカードも入っていて、ある程度の調整はできているはずだから、何度かファイトをして微調整する。そうしよう。

 

 そう言えば……俺のように接待で強制的に参加させられたファイターはいるのだろうか。会社勤めのプロファイターの知り合いは大阪に数人いたはずだ。巻き込まれていないことを祈ろう。それ以外は知らん。

 

 

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