大人VGファイターが集う、ダークステイツ限定大会 作:いちのさつき
数か月ぶりに帰って来た。私の故郷の日本。というのも大阪にいるヴァンガードファイターが外国の食材を扱うらしく、その通訳として仕事に来たのだ。それ……他の人でもよくない?なんて思ったりもするけども。旅の資金が潤うので、ありがたい話ではある。
「やっぱ大阪だと面白いのがたくさんあるね。ほい。カゲツン」
「そのために俺を呼んだのか」
仕事が終わったから、カゲツを呼んで、食い倒れだ。そう思った時だった。おもちゃ屋さんがあった。大人も子供も入り混じる懐かしい雰囲気。いいねぇ。
「お。賑わってる」
小さいレースが大盛況。狂気的な熱の波がこっちにも来ている。ギアを上げる音。レースから脱線して壁に衝突する音。だいぶカオスだけども。
「今もやってるとは……てか、改造ひでえ」
子供の頃と違って、スピードも段違いだった。む。あるポスターが目に入る。ダークステイツ限定杯【18歳以上】。なんで18歳以上?傾げてしまう。ハートフルボッコという意味の分からない言葉はあるけれど、こういうものは大体トラウマになるやつと見た。
「すげえ。アングラな大会があるもんだな。都会こっわ」
カゲツも察していたようで、少しだけ引いていた。それ以外は普通のショップ大会のはず。それならばと私は誘う。
「カゲツン、参加しようぜ!」
「いやいや! なんで!? 俺はブラントゲートで、お前はストイケイアだろ!」
それもそうだ。カゲツは幻真獣を多く採用したブラントゲート、私はナナクリルを主軸にしたストイケイア。どちらも別国家。ただ大都会でツテはいくらでもある。ノーマンタイ。
「準備すれば問題ナッシング! うん。カゲツンが言いたいことも分かる」
また、優勝賞品とかろくでもないのが多い。あとVG以外でゲームなんて、しなくなったから、私もカゲツも持ち帰りづらい。ならば交渉あるのみ。
「あれ。二人ってデラックスに出てた」
およよ。バレちゃった。子供達が近付いてくるね。よし。
「カゲツン。頼んだ」
カゲツの背中を押す。
「おい待てこら」
子供達がカゲツのところに集まっている隙に、私は店員に聞きに行く。おっと。店員がびっくりしている。仕方のないことだけど。
「私とカゲツンも参加したいんだけど。その前に聞いてもいい?」
「賞品とか?」
あらま。バレてた。
「およ。分かるんだ」
「こういう時の想定はしてるんで。付き添いで巻き込まれるなんて、割と日常茶飯事です」
いつもことならば、普通のショップ大会でいいんじゃ? 思わず言ってしまう。
「それ……撤廃した方がいいんじゃ?」
「交流の面があるからなぁ。オタク同士じゃないと、喋れないこともあるわけで」
なんかお邪魔してるようで悪い気がするけど、あの感じは普段から話してそうだ。問題ないよね?
「とりあえず名前書いておけばOK?」
「ああ」
ふと疑問が浮上してきたので、聞いてしまおう。
「ところでさ。人数埋まってるの?」
「全部やない。ただその。予想外なのことばかりで」
……誰が参加するのだろうか。けれど。あの感じは。プロファイター結構いそう。違う意味でストレスたまってそうだ。非プロファイターだけども、私もその原因だろうな。
「当日はシクヨロ。カゲツン、こっちこっち!」
カゲツも申し込めたし、あとは準備するのみ。明日だし、急遽となると、友達からデッキを借りるしかない。暇なファイターに連絡を取って、待ち合わせをして、テストプレイをしておきたい。使うデッキをどうするのか。考えるだけでも楽しい。
「どんなファイトができるのか、楽しみだなぁ」
私はそう言いながら、くるりと回る。何故か店員が癒されているという顔になっていて、カゲツが呆れた顔になっていた。なんでさ。ファイターとして楽しみなだけなのに。そう思ったけど、本当にアングラ感満載なのだろうなと分かってしまった。