〜ファクトリー〜
目を覚まし、上半身をゆっくりと起こす。
見渡すと素朴な木製の机と今俺が横たわっているベッドだけが置いてあるだけの部屋だった。足に違和感を感じ掛け布団をめくると足枷が着いていた。
「アレからどうなったんだ?」
目隠しは?耳栓は?武器は?
もう一回見渡すがどこにも見つからない。
ちなみに今着ている服は以前から着ていた物じゃなく上下白い服だ。
「やべぇ、じっとしてらんねぇ」
仕方がない、腕立てするか…
ベッドから離れ床にうつ伏せになり右手を腰の後ろに置き、左手の親指だけで体重を支える。
「1…2…3…」
体を上下に動かす。
「まだまだ…4…5…6…」
〜ブラン視点〜
私を襲った謎の人物を物置き部屋に入れてから3日たった。
「もうそろそろ起きているはず…」
そう思っている内に彼の居る部屋へと着いた。金属のドアノブに触れる。ドアノブの冷たさが私の緊張感を煽る。
そしてドアノブを捻り、扉を開けると…
「998…999…1000…‼︎」
どこぞの範馬さんの様に汗を大量に流し、、片指片腕で腕立て伏せをしていた。
「ん?地上最強だって?照れるなぁ」
「…」
ツッコム気にもならない。
「それより、どうだ俺のperfect bodyは」
片腕で力こぶを作り私に見せつけてくる…中々ね。
「やべぇ…暑いな」
すると彼は着ていたシャツに手を掛け始めた。
「ちょっ…テメー‼︎何してんだ⁉︎」
「ん?暑いから脱ぐんだよ」
「デリカシーってもんがあるだろうが‼︎」
「そうだな、遠慮は必要だよな」
彼は掴んだ手を元に戻す。私も安心したのかホッと息を吐く。
「だけど手遅れさ」
「なっ⁉︎」
シャツは脱ぎ捨てられ、汗で濡れた上半身が露わになる。
「muscle」
やけにマッスルの発音が良い割に全然マッチョでは無い。どっちかと言うと細マッチョが似合う。
「ふっ…俺の筋肉美が凄過ぎて何も言えないか」
「…。」
ここはスルーして本題に入ろう。
「あなた、何故こんな状況に置かれているのか分かっている?」
「?」
「…分かって無いみたいね」
私は辛うじて動く右手で紙切れを渡す。
「えーと、なになに?先日あなたがやった地形の歪化、女神の反逆行為により、あなたを無期懲役に処する…?」
「今の感情を出◯風にリアクションすると…?」
「ヤバイよ‼︎ヤバイよ‼︎ヤバイって‼︎」
「…。」
思った以上に余裕そうに見える。
「って言うか、俺が闘ってた相手ってアンタだったのかよ」
「そうよ…」
右のコートの袖を捲り、包帯で巻かれた右肘を彼に見せつける。
「マジで女神なの?」
「マジよ…」
目から光が無くなり、どっかのボクサーの様に白く燃え尽き不気味に笑う。
「どうする…?」
「どうするって、どうしようも無いだろうが。アイ○ルに頼めってか…?」
これはもう末期状態ね…。
「助かる方法が一つあるわ…」
「えっ?何?」
「それは…」
「それは…?」
「倒して欲しいの…」
「えっ?誰を?」
「とりあえず付いて来て」
「あ、あぁ分かった」
私は黒いロングコートとジーパンと赤いインナーを手渡し、彼は足枷を外し、着替え始めた。
…えっ?外せたの?
〜ファクトリー〜
ルウィーの教会から出た俺らは雪で覆われた街中を歩いていた。
「で、倒して欲しい奴はどんな奴なんだ?」
「すごい強い剣術の達人よ。」
「達人?」
「ええ…」
「それなら俺じゃなくても、あんたが倒せば良いじゃねーか」
「誰かさんのお陰で戦えないのよ」
「…。」
最悪だ。
「じゃあ別の奴に頼むのは?」
「それはやったわ。けど眼帯の空手家や片足が義足の中国拳法家も惨敗したわ」
マジかよ。ってか今回刃牙ネタ多くない?
「それじゃあ、そのまま放置で良いじゃねーか。」
「そう言う訳にもいかないのよ…ほら」
「えっ…」
ざわめいている人混みの中、そこには腰に刀を挿してシ◯ワちゃんがいた。
「あれって何て言うター◯ネーター?」
「通行の邪魔になっているのよ…しかも無視して横を通ろうとすると斬りつけてくるの…」
「おいおいカビゴンよりもタチが悪いじゃねーか」
サングラスの中が赤く光っているし、絶対強いパターンじゃん。とにかく、◯ュワちゃんを退かせば良いんだな…。
俺は人混みをかき分けシュ◯ちゃんの前に立った。
「よぉ」
「……。」
一応声をかけるが返事がない。そして鞘から刀を抜き、俺と向き合う。
肩と刀を持っている手首は無駄な緊張が無く、それでいて片手で刀を持っているのに全然重そうに持っていない。もはや達人の域に達している。
冷汗が頰から首筋へ流れる。
いかん…奴に呑まれるな。
俺も黒い西洋風の双剣を取り出す。
そして地面を蹴り間合いに入り、片方の剣を奴へと振りかざす。奴は読み通していたかの様に刀で受け止める。
「隙あり」
別の剣で奴の足を斬る。だが血は一滴も流れず、黒いオイルの様な液体が流れた。
そして俺の鳩尾に奴の足が入り、口から血を吐き出しながら後ろへ吹き飛んだ。
〜ブラン視点〜
傍観者達を掻き分け最前線に辿り着く。そこには口から血を出しながら倒れている彼がいた。
「ヤバい…すげぇ痛い」
そう言いながら彼は再び立ち上がるが、微妙にフラついている。
「大丈夫…?」
思わず背後から声をかける。その声に彼はこっちに横顔を見せる。その顔は安心させるかの様に笑っていた。
「No problemだ」
「…そのセリフはどちらかと言うとアッチの方が言うべきじゃない?」
「あぁ確かにシワちゃんの方が似合うな」
「シワちゃん…?」
「あいつのアダ名だ」
いつの間にかアダ名を付けていたのやら…
ホッと力が緊張が解れるが再び不安が込み上がる。
「勝てるの…?」
彼は視線をシワちゃんに向けながら答えた。
「分からん」
「分からん…?」
「あぁ、先程の闘いで分かったが奴の体は機械で出来ている。つまりサイボーグだ。クソッ!どこまでもシ◯ワちゃんに似せてきやがって…まぁ勝つように頑張るわ」
彼は再びをシワちゃんに立ち向かう。
「…頑張って」
〜三人称視点〜
「…頑張って」
(頑張って、か…しょうがない、勝つか。)
再びシワちゃんへ視線を向ける。
(サイボーグなら容赦はしない)
片足を前に置き、足を広げる。左の剣はサイの角の様に下から構え、右の剣は蛇の毒牙の様に上から構える。
「行くぞ」
下から奴の腹部を貫く様に突くが、やはり奴は刀で防いでしまった。
(足がダメなら首だ…!)
奴の首にファクトリーの剣が上から迫り来る。だが奴はイナバウワーの様に上半身を後ろを逸らし、攻撃を避ける。
(ちっ、ダメか)
ファクトリーは後ろに下がり再び同じ構えをする。奴は片手で持っていた刀を両手で構える。
(やっと本気か。なら5秒先、奴の攻撃を避ける。そして7秒先、首を切断)
奴が刀を上段に構える。
5秒、奴が縦に一閃すると同時にファクトリーは横に半歩移動し、攻撃を避ける。
そして7秒、双剣を互いに上から振り下ろす。
(終わりだ)
二つの剣が奴の首へと迫る。
…が、ファクトリーの体は地面にゆっくりと倒れていった。
(あれ?おかしい。7秒先はシワちゃんのクビをはねている筈なのに、何故倒れているんだ?)
地面には赤い血が川の様に流れていた。その流れを辿っていくと、そこはファクトリーの腹部からだった。
(馬鹿な…奴は上段斬りをした後、俺に気付かれない様に俺の腹を斬っていたのか?)
ファクトリーの意識は暗闇へと落ちていく。その中で奴の赤く光った目がファクトリーを見下ろしていた。
すみません。3まで続いて、まだ続きます。だけど次の4で終わらせます。