放課後俺ことユア・ルゥムは学園長に呼び出されていた。
「まさかノートとアミアと三人でお風呂に入ったことがバレたか。」
ノートの未だに成長を続ける果実に驚愕し、アミアの青色の果実に何故だか目頭を熱くしたものだ。
「避妊だけはちゃんとしておくようになユアにゃん。」
此方をにゃんこ呼ばわりするのは学園長室こと魔族のNo.1魔王妃トリア・セイン。
「兄様とお風呂……良いなぁ。」
「ふっ、お任せくださいウルル様既にユア様の入浴時間は調べがついております。これでウルル様が出遅れることはありません。」
人のプライバシーを軽く無視している二人。小柄で金髪の少女はウルル・カジュタ。竜族王家の金竜最後の生き残りであり竜王女。
そしてそれに付き従うのは俺が知っている中でも最強の銀竜の従者ことオペラ・ハウス。
どうやら彼女たち竜族コンビも学園長に呼び出された様である。
「それでわざわざこんな話しをするために呼び出したわけではないんでしょう学園長?」
「まぁ、勿体ぶる必要もありませぬな。ユアにゃん、それに竜姫殿。近々行われる迷宮試験、共に迷宮を進むパーティーメンバーの選抜ははかどっておられるかと思いましてな。」
「ウルルは既に一階級の竜族の子とアミアちゃんと一緒に進む約束をしていますよ。」
そういえばウルルは妹のアミアと結構仲が良かったことを思い出す。よく訓練と言ってクレーターを製造しては俺がそれを復元させたのは一回や二回ではない。
『そうですか。じゃあユアにゃんはどうなんだ。』
「俺に対してとウルルに対しての言動に酷い差を感じるんですけれど。」
「まぁユアにゃんだからな。」
「兄様ですから。」
「ユア様ですからね。」
こいつら俺を舐めているな。だがここは大人な俺が華麗にスルーして話しを進めるとしよう。
「一応ノートと魔族の馬鹿と潜る事になってはいますが。」
「そうかではやはりユアにゃんに任せるとしよう。」
俺の言葉を聞いた学園長はまるでサラダに掛けるドレッシングを選ぶかの如く軽さで何かを任せて来やがりました。
「嫌な予感がするんですけど一応聞きます。一体何を任せるんですか?」
「なに簡単な事だ。ユアにゃんのハーレムもといパーティーに二人程世話をしてもらいたい。」
「それは少々勝手が悪いんじゃないんでしょうか?」
確かにウルルの言うとおり勝手の知れたメンバーにいきなり未知の人選なんて正直勘弁してもらいたい。
「ただでさえノートとあの馬鹿の手綱握るだけでも面倒なんです。これ以上厄介事を増やさないでくださいよ。」
「まぁまぁユア様、お話だけでもお伺いしてはいかがですか?」
こちらの心情を察してくれたのかオペラさんが合いの手を差し入れる。ありがたいのだがその表情は愉快な物を見つけたとばかりに歪んでいた。
「それで誰を入れればいいんですか?優秀な人材……なわけないか。」
「いや、優秀だ。二階級でも私が目を付ける程にな。名前は白鷺姫に白川紅。二階級の人族だ。」
白川紅その名前に聞き覚えはなかったが白鷺姫そちらの名前には聞き覚えがあった。そして彼が話に絡んだ事で学園長の魂胆を理解することが嫌々ながら出来てしまった。
「何も俺を恋のキューピッドにしなくてもいいじゃないですか。」
「そう言ってくれるな。あれは不器用な娘なんだよ。」
「兄様、誰の話ですか?」
「ん?あぁ、ウルルと同じ位可愛い黒のお姫様の話だよ。」
不思議そうに首を傾げ耳をピクピクと動かすウルルの頭を軽く撫でて、そう答える。
「すまないが頼んだぞユアにゃん。」
「了解しましたよ学園長。……だそうなのでお互いに頑張ろうや親友。」
前者は不適な笑みを浮かべる学園長に。後者を机の中で必死に身を隠す親友へと向けるとウルルとオペラさんを置いて学園長室を出て行った。
「まぁ、さすがに気付くとは思いましたが……。」
神族の第一王子が去り、それを追って竜王女と従者が出て行き静まり返った室内。
それを机の下から現れた燃える炎の様な真紅の髪の少女が崩す。
「ぐふっぐふふふふ。さっきまであの子がここにいたのよね。何か良い匂いがするわ。」
赤髪の少女に続く様に現れたのは感情一つ垣間見せない彼女とは対照的に表情をとろけさせた黒髪の少女。
「全くどこでどう道を間違えたらなるものだろうな。」
黒髪の少女を呆れた表情で、けれどもどことなく嬉しそうな表情でトリア・セインは見つめる。
「……借りは返しますよユア・ルゥム。」
そんな二人を一瞥した後赤髪の少女はそんな呟きを残し学園長室を後にした。
「飲まずにはいられない!」
学園長室から離脱後俺ことユア・ルゥムは下町の露天でジュースを買って、まるで八つ当たりでもするかの如く一気に飲みほそうとして……。
「えほっ!コホッ!」
咽せていた。
「くそっ、どいつもこいつも友達がいのない。」
あの後手持ち無沙汰になった俺はウルルを誘って遊びに行こうと考えてはみたが当の本人は用事があるからと俺を軽く振ってぎこちない笑みを浮かべて去って行った。
「こうなればやけ食いしかないだろうが!」
この辺りに存在する出店の食い物を食らいつくす勢いで叫び決意した俺は阿修羅すらも超越した特別な存在だとあったことすらない祖父も認めてくれるはすだ。
「さて、何から嫌らしく食らいつくしてやろうか。」
「でもあんまり食べすぎると太っちゃうよ。」
財布の紐を緩め悲しみに暮れた心を癒やそうとした俺に天空から舞い降りた天使の様な可憐な少女が声を掛ける。
「まさか貴様見ているな!?」
「残念シャルでした。こんにちはパパ。」
神族の少女シャル・ルトル。以前怪我をしていた彼女の治療をして以来凄く懐かれてしまい現在に至る。
「とりあえずパパ一緒に来て。」
シャルは此方の都合など関係ないと手を引きどこかへと誘導しようとする。
「とりあえずじゃないから。どこに連れて行くつもりだ。パパは今から食い倒れ王子になるから放っておいてくれないか。」
「もぅ!そんなことよりいちだいじなの!」
「なんだ親戚のおじさんが時間でもとめたか?」
「ううん。男の子二人がシャルをめぐって決闘してるの。」
この時の俺はまだ知らなかった。正確には子供の喧嘩程度の騒動だろうとたかをくくっていたのだが……。
「下郎Aか。貴様には関係ない。どけ。」
「まあ、関係ないんだけど個人的な意思で断らせてもらう。」
一人の人族を取り囲む多数の魔族。どうやら事態は俺が思ったより重かったようだ。
「それじゃあパパお願い。」
「パパ事態についていけない。」
ついてこそいけなかったが一つだけ分かる事があった。
(あの人族まさか白鷺姫か!?だとするならばこの状況はかなり不味いな。)
シャルに連れてこられてから感じてはいたが確実にこの近くに彼女の気配と凄まじい濃度の殺気が伺えた。
「仕方ない。流石に同族殺しをさせるのは不味いか。」
「がんばってねパパ。」
可愛らしい娘の声を背に受けて俺は騒ぎの渦中へと飛び込んだ。
そんな中彼等の状況を見つめる一つの影があった。
「どういうことよ!娘がいるなんて……私聞いてないわよ!どうして式に友人代表で呼んでくれなかったのよ。スピーチとか考えてたのに。」
その影はしばらく場違いな台詞を連呼していた。
「加勢するぞ少年!」
「き、貴様は!?」
「ユア・ルゥム。人呼んで阿修羅さえ凌駕する神族だ!!」
この時の俺の気持ちは敵に心を奪われた後にブシドーに目覚めた素敵な軍人さんだった。
「グ、グラン・ルナだと!?」
主犯格と思わしき眼鏡を掛けた少年が俺の姿に戸惑いを隠せずに悲鳴に近い叫びを上げる。
「白鷺姫助太刀するぞ!」
「あ、ありがとう?」
「おじいちゃんが言っていた。男にはやってはならないことが2つある。食べ物を粗末にすることと女の子を泣かせるこ「ひ、ひあぁぁあ!?」って最後まで言わせろやこらぁ!」
よく状況が分かっていない白鷺に俺は右手の人差し指を天に向けて掲げかっこ良く決めてみようとするが眼鏡の少年の取り巻き達が突然悲鳴を上げてそれを邪魔する。
「殺される。俺達、グラン・ルナ・ブラザー・コンプレックスに殺される。」
「い、嫌よ!何で私が殺されなきゃならないのよ!」
「ノート・ルゥムが来て俺達殺されるんだ。」
しばらく聞いていると悲鳴を上げて錯乱し始めている取り巻きの皆さんはユア・ルゥムに手を出す=ノート・ルゥムに殺されると仰っていられる様です。
「いや、ちょっと家の妹どんだけだよ!っていうか俺は手を出されてませんから!出されたのは白鷺姫だから!!いや、まあ状況がよく理解できてないのは認めるけど……。」
「ひぃ、イヤァ!!」
「じょ、冗談じゃねぇ!」
俺が取り巻きの少女に声を掛けるが少女は悲鳴を上げて背を向けて逃げ出す。そしてそれを皮切りに眼鏡の魔族少年と白鷺姫以外はこの場から散って行く。
「くっ、下郎A今日のところは見逃してやろう。この慈愛のラーロン様に感謝するがいい。」
そして魔族少年すらこちらに一瞥することもなく逃げる様にして去って行く。
「ねぇ!グラン・ルナ・ブラザー・コンプレックスってちょっとかっこ良いじゃなくて!お願いだから話しを聞いて!家の妹どういう話しになってんだよ!?」
もう誰も俺の問いに答えてはくれない。ただ……。
「大丈夫なのか?」
「大丈夫パパは何時もこんな感じだから。」
俺の背中には自称娘と白鷺姫の生暖かい視線だけが突き刺さっていたのだった。
ウルル・カジュタ
原作との違い
姫ではなくユア・ルゥムに助けられており兄として慕っている。
後ウルル様バンザーイ!!
オペラ・ハウス
原作との違い
オペラさんは最高です!
オペラさんまじパネェです。
シャル・ルトル
原作との違い
親の背中を見過ぎた。むしろ親を間違えた。
将来が心配。
最高にシャルってやつさ!!
白鷺姫
原作との違い
イケメンで強いのね。嫌いじゃないわ!!
大魔法ヴェル=セイン×10
下町……露店でいいのか?