雪の駆逐艦-違う世界、同じ海-   作:ベトナム帽子

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「雪の駆逐艦 -違う世界、同じ海-」がお気に入り数30、UA5000を突破しました。ここまでお読みくださった読者の皆さんに感謝します。
 これを記念して、今まで作中の地の文で少しずつ説明してきた世界観や設定を章外で投稿していきたいと思います。


第1回はタイトル通り、「各国の状況」です。
日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オーストラリア、ロシアの状況について書いています。上からロシア、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、日本、アメリカの順番です。

※これはフィクションです。実在する組織・地名・出来事とは関係ありませんのでご注意ください。

 10/4 更新



章外 作品内設定(読まなくても良い)
各国の状況


ロシア連邦

 ユーラシア大陸北部の国家である。強大な軍事力と世界最大規模のエネルギー資源を保持する大国である。ユーラシア大陸国家で唯一、有人宇宙ロケットを開発できる国でもある。

 深海棲艦は気温、水温が極めて低い海域にはあまり進出しないため、深海棲艦が出現し始めた2000年以降も大きな損害はなく、大国を維持している。

 アメリカ合衆国の影響力がユーラシア大陸から消えた2015年現在では中国、日本、東西ヨーロッパに天然ガス、石油、ウラン、各種鉱物資源などを大量に輸出し、資源貿易大国としての一面を持つようにもなった。しかし、大幅に拡大した資源需要は生産量を超過し、輸出の滞りなどの問題が発生している。そのため、資源輸入国ではエネルギー資源などの分散化を図っているが、ロシア持ち前の軍事力により圧力をかけることもある。

 艦娘技術は日本から提供されたが、当初は必要性の観点から艦娘建造などは行わなかった。しかし、各国艦娘の活躍を鑑み、艦娘建造に着手。2015年現在、バルチック艦隊、太平洋艦隊に少数ながらも艦娘を配備している。

 

イギリス

 イギリス、またはグレートブリテン及び北アイルランド連合王国と呼ばれ、ヨーロッパ大陸の北西岸に位置する国家である。

 深海棲艦により先進国の中でも特に甚大な被害を負った国である。元々、多くの植民地が1970年代に独立したため、国際的、経済的に勢いが削がれつつあったが、2000年以前でもドイツ連邦と貿易収入で肩を並べる先進国であった。しかし、深海棲艦の出現により、各国との貿易は不可能になり、国内経済は極度に悪化、治安も悪化した。

 世界列強海軍の1つであったイギリス海軍は深海棲艦相手に2008年に壊滅。2013年にはイースト・サセックス州のロッティンディーンとケント州のハイスに深海棲艦が上陸を開始するが、日本から提供された艦娘技術をヨーロッパ各国の中でいち早く実用化。上陸した深海棲艦を壊滅、ドーバー海峡を奪還した。

 イギリスは海軍の再建を艦娘主体で目指しており、現在では日本に次ぐ艦娘先進国である。

 2014年にはヨーロッパ―喜望峰―東アジアの交易ルートを回復し、2015年5月には欧州連合軍でスエズ運河を奪還。貿易国としての回復の一途をたどっている。

 

ドイツ連邦

 ヨーロッパ中西部における国家である。

 深海棲艦による被害は先進国の中でも比較的少なかった国である。漁業や海軍は壊滅的被害を負ったが、元々工業立国であり、産業地域も内陸部にあったため、深海棲艦の空襲による被害は大きくなかった。そのため、地中海に深海棲艦が出現した2003年以降でも各国と貿易を続けているが、資源輸入先であるロシアに石油や鉱物資源などを足下を見られた価格で売りつけられている。

 2010年頃には深海棲艦上陸を恐れたフランス、イタリア、スペイン、オランダなどの海に面している国家に兵器を大量に輸出しており、死の商人としての一面も見せている。兵器技術は世界的に見ても最先端であり、2012年には巡航ミサイルの開発に成功している。

 2011年にはフランスのノルマンディーに上陸した深海棲艦迎撃のためにドイツ陸軍2個兵団を送り、フランス軍と共に迎撃を行っている。

 艦娘技術はイギリス、フランス、イタリアに遅れた形で2014年初頭に実用化。イギリス、フランスに追いつくため、日本海軍に艦娘を派遣し、日本海軍の運用・戦闘ノウハウを吸収しようとしている。

 2014年にはジブラルタル海峡を深海棲艦から解放。2015年現在、欧州連合軍、中東連合軍と共にスエズ運河を奪還した。

 

フランス共和国

 西ヨーロッパの領土並びに複数の海外地域および領土から成る単一主権国家である。イギリスと同じように海外に多くの植民地を持っていたが、1970年代に大半の植民地が独立した。しかし、元々ヨーロッパ最大の農業国であり、国内市場も大きく、イギリスのように大きくブレーキがかけられることはなかった。

 深海棲艦が出現してからは他国と同じように漁業、海軍は壊滅。2011年にはノルマンディーに深海棲艦が上陸し、首都パリ近郊まで侵攻されるが、陸ではドイツ軍、海では艦娘技術をいち早く実用化したイギリス軍の支援を受け、2014年初頭に深海棲艦を海へ追い落とした。

 艦娘技術はイギリスの協力もあり、2013年末に実用化。2014年にドイツ海軍ともにジブラルタル海峡解放作戦を実施。2015年現在はヨーロッパ連合軍、中東連合軍と共にスエズ運河の奪還に成功した。

 

イタリア共和国 

 地中海に面する南ヨーロッパの単一主権国家である。1950年代までは農業国であったが、北部に近代的で多様な産業基盤を整備し、ヨーロッパの国内総生産第4位にまで発展した。

 地中海の深海棲艦出現により、イタリアは経済衰退しかけたが、国営企業を民営化、企業の規制緩和、麻薬取引や売春、密輸などの地下経済の上手な利用などにより、国内経済、治安を維持することに成功した。

 地中海は太平洋、大西洋に比べ、深海棲艦の出現が遅かったため、イタリア海軍は深海棲艦に対応した艦艇、兵器や戦法を開発し、壊滅の憂き目からは逃れている。そのため、2015年現在の通常艦艇保有数は日本海軍に次ぐ、世界第2位である。

 艦娘技術もフランスよりも早く実用化。2015年現在、地中海での覇権を握っている。

 イタリア海軍は深海棲艦との戦闘に、艦娘と通常艦艇と混成して運用している。これはイタリアが開発した対深海棲艦戦法によるものも大きいが、イタリア人男性の女性崇拝(女好きとも言う)によるものである。ある海軍軍人は「なぜ通常艦艇が前線に出るのですか?」と取材されたときにこう答えた。

「少女達が戦っているのに男はキスして見送るだけなのかね?」

 このため、通常艦艇や軍人の被害は日本、イギリス、フランス、ドイツに比べるとかなり大きい。

 地中海の覇権を握ったイタリアは密かにローマ帝国再建を企み、日本は東アジア、太平洋、北オセアニアをまたがる大帝国を築くとにらんで、スエズ運河奪還作戦の後、日本との友好を深めるため、イタリア戦艦艦娘2隻を日本海軍に派遣している。

 2015年現在は欧州連合軍、中東連合軍と共にスエズ運河の奪還に成功した。

 

オーストラリア連邦

 オセアニアに位置する連邦立憲君主制国家。英連邦加盟国であり、英連邦王国の一国。

 麦や牛肉、羊毛などの農業、石炭、鉄鉱石、ボーキサイト、天然ガス、ウランなどの鉱業の食料・エネルギー資源が豊富な国であり、それらの輸出とサービス業などの第三次産業の市場を持つ経済大国である。しかし、石油類は産出しておらず、市場も小さいため、第二次産業は発達していない。

 深海棲艦が出現してからは、他国と同じように漁業、海軍は壊滅し、資源輸出はできず、経済状況は悪化し、治安も悪化した。

 2007年にフリーマントル、2008年にポートワインに少数の深海棲艦が上陸し、オーストラリア陸空軍は反撃したものの、フリーマントルとポートワインの周辺地域はほぼ制圧されてしまった。これはオーストラリア軍の装備不足からである。

 軍の装備はほとんど輸入品であり、輸入が不可能になった2000年以降、戦車や野砲は2006年からコピー生産で数を増やしつつあったが、航空兵器は技術ノウハウが全く足りず、コピー生産は不可能だった。このため、少数の深海棲艦に押し切られてしまったのである。

 2013年末には日本軍がニューギニアまでを深海棲艦から取り戻し、空路によって艦娘技術が伝えられた。しかし、2015年現在でも艦娘技術の実用化のめどが立っていない。日本の艦娘いわく、オーストラリア海軍は私達(艦娘)の世界では自国建造艦は少なかったためではないか、とのこと。

 幸いながら2015年現在、深海棲艦は砂漠に進出することができずにおり、フリーマントルとポートワインの周辺地域のみ占領されている。

 

日本

 東アジアに位置する日本列島及び、南西諸島・小笠原諸島などの諸島嶼から成る島国。

 東アジアでは最大の経済規模を誇り、2000年以前はエネルギー、地下資源はほぼ輸入に頼っているものの、工業は世界的に見ても高い水準のものを生産していた。しかし、食糧自給率は60%ほどと高くはなく、輸入に頼っているものも多い。

 深海棲艦が出現した2000年以降は他国と同じように漁業、海軍は壊滅。しかし、宗谷海峡と対馬海峡、紀伊水道、豊後水道、関門海峡に大量の機雷を敷設することによって、日本海と瀬戸内海での漁業は維持された。食料統制を徹底したことにより、幸いながら餓死者などは発生していない。

 一番の問題は石油などのエネルギー資源が輸入できなくなったことである。エネルギー需要を賄うために、閉鎖していた炭鉱などの復活、バイオエネルギーの活用などが推進された。しかし、経済状況は悪化の一途をたどり、治安も比較的悪くなった。日本海軍が完全に壊滅した2006年には深海棲艦上陸に備え、徴兵令も発令された。

 2013年初頭に日本海軍の深海棲艦研究所が深海棲艦と同じ力を持つ艦娘の建造開発に成功。関東方面の海に生息していた深海棲艦を駆逐した(1-1)のを初めとして、カムラン半島やボルネオ島への油槽船団護衛(1-2~4)を成功させ、東シナ海、南シナ海制海権(2-1~3)を回復させた。そして2013年4月末の九州上陸をしようとしていた深海棲艦の大群を撃滅(2-4)。深海棲艦の大泊地である真珠湾に陽動(2013年春)をかけ、南方進出。南シナ海やカレー半島の安全を図るため、カレー洋の深海棲艦を排除(4-1~4)。ロシアの頼みと北洋漁業のためにカムチャッカ半島までの制海権を確保(3-1~4、ロシアには奪還した場合、ガスパイプライン建設の全費用をロシア持ちにすると持ちかけられた)。

 2015年8月にはニューギニア方面に強行偵察を行い、(2013年夏)、オーストラリアからの資源輸入などを行うために、太平洋とオーストラリアを遮断する為にサーモン諸島攻略に乗り出す(2013年秋)が、消耗戦となり、攻略を断念。

 2013年12月末には東京湾に霧の艦隊と称する謎の敵対勢力が砲撃を行う。日本海軍は深海棲艦以上の脅威と認め、艦娘を総動員して排除(2013年冬)。これを霧事変と呼称する。

 2014年初頭にはシーレーンを脅かしているオーストラリアのフリーマントル、ポートワインを拠点にする深海棲艦の脅威を排除するためにインドネシア方面の海域を制圧、ポートワインに攻撃を行う(2014年春)。

 8月には孤立していたアメリカに艦娘技術を伝える為の前段階としてAL/MI作戦(2014年夏)を発動。アルフォンシーノ列島に陽動のAL作戦、ミッドウェー諸島制圧のためにMI作戦を実行。ミッドウェー諸島制圧は成功したものの、艦娘が出払った隙を深海棲艦に突かれ、橫須賀鎮守府を砲撃され、橫須賀鎮守府は壊滅する。

 2014年10月には再びサーモン諸島攻略に乗り出す(5-1~5)が、戦艦レ級などの新型深海棲艦が出現し、艦隊は大被害を受け、攻略を断念する。勢いに乗った深海棲艦はパラオ方面に侵攻する(2014年秋)が、日本海軍は渾作戦を発動。パラオを死守する。

 2015年1月に吹雪達、第十一駆逐隊と艦娘技術者達がアメリカに艦娘技術を伝えるためにアメリカへ強行渡航。

 2014年の終わりには日本国内は経済状況が2000年以前に回復し、大陸国相手の貿易で黒字を出し始める。しかし、国内原発の燃料棒が枯渇しはじめ、ロシアからウランを輸入しようとするが、ロシアはウランをヨーロッパに売り払ったばかりであり、在庫がなかった。そのため、日本政府はオーストラリアから輸入を画策し、核輸送船団の脅威となるサーモン諸島の深海棲艦を壊滅するために艦娘、最新通常艦艇をトラック泊地に集める。しかし、それを察知した深海棲艦は全力で艦隊集結地であるトラック泊地を強襲(2014年冬)。日本海軍は迎撃を行い、トラック島を死守できたが、サーモン諸島攻略のための資材はなくなってしまう。そのため、サーモン諸島には大和型戦艦を中核とする部隊で陽動をかけた上で、強行核輸送作戦を実行する。作戦は通常艦艇数隻が沈没するも作戦は成功した。

 2015年4月、中東からの石油シーレーンを復活させるために、欧州連合、中東連合のスエズ運河奪還作戦と同時にカレー洋方面制圧作戦である第十一号作戦を開始。カレー洋に展開する深海棲艦の大半を駆逐し、シーレーンの回復に成功した。またイタリアから戦艦2隻が派遣される。

 8月にはサーモン海域の深海棲艦を殲滅するために第2次FS作戦を発動。大量の艦娘と、最新鋭の通常艦艇、通常航空機をフル活用し、サーモン海域から深海棲艦を追い出すことには成功した。

 

アメリカ合衆国

 50の州及び連邦区から成る連邦共和国である。地続きの48州及びワシントンD.C.は、カナダ及びメキシコの間の北アメリカ中央に位置する。

 先進国かつ世界最大の国民経済を有し、豊富な天然資源及び高い労働者の生産性により支えられている。

 全世界の軍隊を相手にしたとしても負けないとまで言われる質・量ともに優れる軍隊を保持しており、深海棲艦との戦いでは2008年まで海軍が壊滅しなかった。

 深海棲艦により各国との貿易が途絶えた後も、国内の高い食料生産量により食糧不足は起こらず、多くの国が統制経済を行ったのに対して、アメリカの資本主義経済を続行できた。しかし、貧富の格差は拡大し、銃社会であったことも災いして政治家へのテロ、無差別テロがたびたび発生した。それでも深海棲艦という明確な敵が存在していたため、統制は取れていた。

 2011年にサンフランシスコ、2013年にノーフォークに深海棲艦が上陸するも、当初から水際防衛を諦めていたアメリカ軍はロッキー山脈、パラチア山脈に要塞を築き、深海棲艦の侵攻を食いとどめていた。それと共に深海棲艦の行動調査などを行っていた。

 2015年1月に日本から第十一駆逐隊、艦娘技術者30名が渡航。艦娘技術が伝えられ、その1ヶ月後に独自に艦娘を建造。五大湖への入り口であったセントローレンス湾を奪還した。

 そしてイギリス領土であり、大西洋の真ん中にあるバミューダ諸島を深海棲艦の対応速度を見極めるために強襲作戦を実行。その作戦によって、多くの陸上型深海棲艦のサンプル、深海棲艦の対応速度、規模について知ることができた。

 5月にはノーフォーク奪還を目的とするレコンキスタ作戦を実行。たったの一週間でノーフォークまで到達するが、泊地水鬼を取り逃がし、スターゲイザー作戦にて撃破する。

 


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