雪の駆逐艦-違う世界、同じ海-   作:ベトナム帽子

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 第2回は深海棲艦と艦娘の詳しい設定です。
 オリジナルな設定しかないのでそういうのが嫌いな方は注意です。

 5/22 陸上型深海棲艦に輸送型を追加。
 10/24 陸上型深海棲艦に工場型、同化型を追加。


深海棲艦・艦娘

深海棲艦

 2000年に太平洋地域で確認された生命体。2015年現在では北極海、南極を除く全世界の海で確認されている。

 形態は様々で、一般的に魚のような外見をした駆逐艦級が多く確認されているが、重巡洋艦級や戦艦級、空母級のようにヒトの姿をとるものまでいる。そして、姫や鬼と呼ばれる最上級の深海棲艦に至っては、島などと同化し、飛行場や基地としての能力を持つものも存在している。他にも陸上での活動に特化した深海棲艦も確認されている。

 深海棲艦の体には砲や魚雷などの武器のようなものが存在している。これは小型でありながらも、大口径砲並みの威力を持つ。肌は鋼並みに硬く、銃弾、小口径の砲弾すらを弾く。中には透明な大口径砲弾ですら射通さない障壁(バリア)を展開させるものも存在する。

 能力、外見別に分類されており、駆逐艦級、軽巡洋艦級、重巡洋艦級、戦艦級、空母級、潜水艦級、姫級、鬼級と複数ある。とくに姫級、鬼級は個体差が大きいが、他の深海棲艦とは並外れた能力を持っている場合が多い。障壁を展開できる深海棲艦は重巡洋艦以上でしか確認されていない。

 海洋生物を除く海上物体を捕食または攻撃する性質があり、深海棲艦が出現した2000年代には商船、軍艦問わず大きな被害が出た。

 兵器のコピー能力も存在し、通常兵器(ミサイルなど)により攻撃を受けたうえで生存した場合、攻撃を受けた兵器と同じ攻撃を習得する。これにより各国海軍はミサイルなどの最新鋭兵器での攻撃が難しく、さらには深海棲艦は小さいため、レーダーに映りにくく、光学照準による砲戦を余儀なくされた。これと後述の空母級深海棲艦が飛ばす深海棲艦航空機が各国海軍が壊滅した大きな理由である。

 

 深海棲艦はオーラのようなものがあり、赤、黄色、青といった様々な色のオーラを纏っている。このオーラは撃破した途端に消失するので発生する原理は分かっていない。このオーラは能力の高さを示しているようで、赤、黄色、青と後ろの色になるほど能力が高い。

 

 深海棲艦が水上を滑走できる原理、小型ながらも高い威力を持つ原理は解明されておらず、解剖してもそれにあたる器官は見当たらない。砲弾等の炸薬は通常爆薬と同じ成分であり、別の原理が働いて、高い威力を発揮すると考えられている。

 

 深海棲艦が何を食べるのかは完全には分かっていないが、解剖した遺骸からは魚や鯨などの海洋生物、人間などの肉、その他コバルト、銅などを含有した深海泥、元艦船と思わしき鉄片などが見つかっている。人間や海洋生物が見つかっているは他の生物と同じようにエネルギー源として取っていると考えられているが、金属系のものが見つかるのは砲弾や体の強化などに使うためだと考えられている。

 

 深海棲艦自体の存在について、「古代生物の生き残り」や「深海生物の生息範囲の拡大」などの説が挙げられている。しかし、この2つの説では砲や魚雷のような武器を持っていること、小さいながらも高い火力、コピー能力という生物としてはあるまじきものが説明ができず、船乗り達の噂である「過去に沈んでいった艦の怨念が実体化したもの」も有力な説とされている。深海棲艦を信仰対象とする信仰宗教などでは「地球を汚す人間への地球の反抗」とされている。

 遺伝子学的には今まで確認されている生物のどのDNAにも似通っておらず、2015年現在でも正体は不明である。

 ちなみに「深海棲艦」という命名はの「深海生物の生息範囲の拡大」という説と「過去に沈んでいった艦の怨念が実体化したもの」という噂から来ている。

 

 最初に深海棲艦の存在が確認されたのは2000年9月だが、1999年7月の日本原子力潜水艦「保3」の消失にも深海棲艦が関係していると考えられており、深海棲艦出現は1999年だと言われることも多い。

 2015年現在では後述する艦娘などの活躍などにより生息範囲を確実に狭めているが、小型ゆえに警戒網を突破されることも多く、シーレーンや陸上施設の安全を脅かしている。

 

深海棲艦航空機

 2002年に確認された深海棲艦の一種。航空機と名前が付いているように空を飛ぶ。

 これもまた他の深海棲艦のように武装を装備している。深海棲艦航空機の中にも種類があるようで、機銃のみを搭載し、制空行動を行う戦闘機型。爆弾や魚雷を搭載し、艦艇を攻撃する攻撃機型の2種類がある。2014年までは烏賊や虫のような外見をした種類(以下、虫型深海棲艦航空機)のみであったが、2014年以降は白い球状の深海棲艦航空機も確認されている。能力は圧倒的に白い球状の深海棲艦航空機(以下、白玉型深海棲艦航空機)が上である。

 大きさは一般的に20㎝ほどであり、密集している場合はレーダーでも確認することができるが、散開した場合レーダーで捉えることは不可能になる。対空迎撃も20㎝という小ささ故に不可能に近く、各国の海軍が壊滅した理由の1つに挙げられる。

 飛行速度は虫型深海棲艦航空機で約時速500㎞、白玉型深海棲艦航空機で約時速650㎞程度であるため、ジェット機が振り切ることはたやすい。そのため、航空機の被害は地上待機中の時が多い。

 深海棲艦航空機が飛行できる原理は不明であり、捕獲したものを解剖してもそれらしい器官は存在しない。

 搭載している機銃の威力は高くても20㎜弾ほどであり、爆弾も最も威力のあるもので500㎏爆弾程度だが、艦艇や地上施設に対しては大きな脅威になる。

 

陸上型深海棲艦

 陸上で活動すること特化した深海棲艦。主に駆逐艦級、輸送艦級が上陸して変化、または繁殖するため、魚とも虫の中間のような外見をしている場合が多いが、飛行場姫や湾港棲姫などのヒト型の陸上型深海棲艦も存在している。

 他の深海棲艦と同じように砲などの武装、鋼並みに硬い肌を持っているが、陸に上がった影響なのか、能力等は著しく低下している。

 種類は芋虫型、戦車型、砲台型、輸送型、ヒト型の5種類に大別できる。

・芋虫型

 名前の通り、芋虫に似た外見をしており、色は灰色。火力はライフルや機関銃並み。防御力はないに等しく、拳銃弾や砲弾破片程度でも殺すことができる。大きさは長さ70㎝、幅50㎝ほど。上陸した輸送艦級が繁殖させるため、輸送艦級は優先撃破目標になっている。

・戦車型

 芋虫型を先導している大型の陸上型深海棲艦。主に陸に上がった駆逐艦級などが変化して、戦車型になる。上陸したばかりの個体は火力も防御力もかなり低く、図体も大きいうえ、機動力も低いため、撃破は容易である。上陸してから時間がたつと姿が変化し始め、旋回砲塔や履帯、タイヤなどが発生し、能力も上昇し出す。上陸してから2年ほどした個体は体が小さくなり、旋回砲塔、履帯を備え、火力、防御力、機動力ともに1970年代戦車(こっちの世界での1945年末期のドイツ戦車クラス)ほどまで大幅に向上。個体によっては障壁を展開するものもおり、撃破が困難な場合もある。2014年のダンケルク追撃戦では対空射撃に特化した戦車型も確認されている。

・砲台型

 名前の通り、砲台のような役割をしている陸上型深海棲艦である。主に芋虫型、戦車型の支援、後述のヒト型の防衛などを担っている。火力は様々であり、50㎜砲程度の軽砲クラスから155㎜砲程度の重砲クラスと幅が広い。対空射撃に特化した砲台型も存在する。機動力、防御力はないに等しいが、ごく稀に戦車型なみの機動力を備えた砲台型も確認されている。

・輸送型

 名前の通り、戦闘を行う芋虫型や戦車型、砲台型に栄養分などを輸送している陸上型深海棲艦。大きさは全長5m、高さ3mほど。外見は海上の深海棲艦のワ級に酷似している。触手で地面をつかみ、体を引っ張ることで移動を行う。輸送しているものは芋虫型や戦車型の栄養分ではあり、航空写真などからの戦車型や砲台型などに触手を繋げている様子から栄養分などを注入していると考えられている。芋虫型は体の下の方にある乳首のようなものに吸い付き、栄養分を補給する。基本的に前線に出てくることはなく、戦闘に巻き込まれたときも触手で叩くなどの単調な攻撃しかできない。

・ヒト型

 装甲空母姫などのヒト型深海棲艦が海岸沿いの基地や島々に取り付いた個体。芋虫型、戦車型、砲台型の指揮官ともいえる個体である。ヒト型に取り付かれた基地や島々は白化現象が見られており、草木や動物などの生態系は壊滅する。ヒト型が本体であるが、島や基地と同化することの弊害なのか、白化現象が起きたところを攻撃すれば本体のダメージにもなる模様である。しかし、耐久力、自己修復能力が高く、戦艦艦娘に何十発撃たれても撃破できない場合もあり、50㎏爆弾程度の損傷ならば瞬時に修復、機能回復する。航空機運用能力を持つ個体がほとんどで空母級などとは比較ならない数の深海棲艦航空機を発進させる。また強力な砲台を持ち、場合によっては30㎝砲クラスの火力を持っている。他の陸上型深海棲艦の母体にもなっており、脅威度は一番高い。

・工場型

 戦車型や砲台型などを生産・繁殖させる陸上型深海棲艦。基本的には人間の放棄した工場に輸送型などが取り付くことによって発生する。戦場近くの工場型は見た目はもとの工場と変化はないが、戦場から離れた工場型は輸送艦ワ級に似た頭部を生やしたものが多い。大規模な生産能力を持つ工場型は重要な存在であるためか、ミサイルや爆弾をも弾く強力な障壁を発生させる個体が多い。この障壁は低速なものならば通過することができ、艦娘の近接攻撃などで撃破した例が多い。

・同化型

 陸上深海棲艦が撃破された現代兵器などと同化した陸上型深海棲艦。同化元の兵器とほぼ同じ性能を持つことになり、シルエットも現代兵器と同じになるため、戦場では味方と見間違えたりして脅威になる。

 

 余談だが「陸上型深海棲艦」という名称には批判も多く、「深海」棲艦ではなく、別に新しい名称を付けるべきという議論もされている。しかし、「陸上型深海棲艦」という名称が世界的な物になっている上、名前から深海棲艦の発展系、敵というイメージが湧きやすいため、「陸上型深海棲艦」という名前で通っている。

 

艦娘

 2013年に日本海軍が開発した海上兵器。深海棲艦と同じ能力を持っており、深海棲艦に唯一対抗できる兵器でもある。日本海軍が全世界に建造技術を伝授し、現在では世界の海軍で運用されている。

 兵器と言っても外見は思春期の少女であり、それぞれの艦娘で違う意識が存在し、実際、生物学的にも人間と差異はない。

 種類は駆逐艦、軽巡洋艦、重巡洋艦、戦艦、航空母艦、水上機母艦、揚陸艦、潜水艦、工作艦、潜水艦母艦など様々であり、それぞれ異なる専用の装備(以下艤装)を装着することで、様々な能力を獲得することができる。

 艤装は様々であり、大砲、魚雷、航空機と多々あるが、艦娘個人個人で装備できるものが違う(しかし、同じ艦種では共通の艤装も多い)。

 また艤装を装着することによって、海上においては水上に浮くことができ、アイススケートのように海上を滑って移動できる。また艤装の武装は小型の大砲や機銃、魚雷、航空機であるが、深海棲艦と同じように大口径砲や実際の大型爆弾、長魚雷と変わらない威力を持つ。深海棲艦とは異なり、駆逐艦娘でも障壁を展開できる。

 防御力に関しては艦級によって違いはあるものの、障壁のみである。艦娘の障壁は深海棲艦の障壁が一重なのに比べ、二重である。意識的に展開する外部障壁と常時展開されている体表障壁に別れている。これが空間装甲的な役割を果たし、外部障壁で砲弾が炸裂しても、破片、爆風を遮り、破片が貫通した場合でも体表障壁が体を守る形になる。障壁のエネルギーは動力艤装の燃料であり、砲弾を障壁で防ぐと大幅に消費する。燃料が欠乏した場合は障壁の展開維持が難しくなり、場合によっては小銃弾すら防げない場合もある。

 人間と同じ大きさであるため、艦艇などの水上レーダーには映りにくい。そのため、通常艦船と行動するときは位置情報などは緊密に無線で知らせている。しかし、艦娘が装備するレーダーでは艦娘、深海棲艦が確実に映る。

 

 水上を浮遊できる力を発生させる機構は軍事機密であり、世に知れ渡ってはいないが、脚の裏側から何らかの斥力が発生していると考えられている。この斥力と障壁は同じ類いとも考えられている。

 また建造方法に関しては各国の軍事秘密であり、世に知れ渡ってはいないが、各国で共有されている。日本海軍においては艦娘建造部という部門が設立され、艦娘自体と根幹艤装(動力部等)の製造を全て司っている。内情は不明であり、艦娘が生まれた当初から艦娘を運用してきた橫須賀鎮守府の提督ですら知るところではない。軍部高官ですら知っている者は少ない。

 しかし、砲や魚雷、航空機などの艤装に関しては開けっぴろげであり、軍に限らず、民間企業が開発製造している艤装も多い。

 武装艤装に関しては妖精が開発に大きく関わっている。妖精は伝説や神話、物語などの小人に近い存在で、艦娘用の小さい兵器などの開発製造が機械なしでできる。しかし、妖精はかなり気まぐれであり、安定生産はできない。そのため、妖精が開発、軍、民間企業がコピー生産という形を取っている。妖精の中には艦娘の艤装や航空機を操作する妖精もいる。

 

 艦娘は水上でのみ、その能力が全力で発揮することができ、陸上においては全力の600分の1程度の能力しか発揮できない。その為陸上で運用されることはない。しかし、陸上でも常人離れの力は出せるので荷物運びや力仕事などを手伝ったりすることもあるが、艦娘は士官待遇であり、推奨はされていおらず、普通の兵隊達にとっても少女達を肉体労働させることには抵抗感があるため、頼まないことが多い。

 

 艦娘の能力は軍事機密で不明な部分も多いが、艦娘に用いられている技術を流用すればより強力な兵器を開発できるとして、艦娘技術を通常兵器に流用する研究は多く行われているが、現在の所成功した事例はない。しかし、通常兵器の技術を艦娘兵器に流用することには成功している。試作であり、性能にはかなり不安定なところ(1000個作って1つも動かないとかざら。動いたとしても性能は実用レベルよりかなり低い)があるものの、ホーミング魚雷、短魚雷、誘導爆弾などの開発に成功している。

 

 艦娘は個々で意識があるのが兵器としての一番違う点であるが、彼女たち自身は「個々とは違う世界で艦だった」と証言しており、軍人顔負けの知識、技術を持ち、全員が同じ世界観を話すをため、これは真実であると考えられている。そのため、艦娘達の証言をまとめたものも編纂されている。

 まれに艦娘は人間か人間ではないか、という議論が発生する。これは艦娘が人の手によって作られたものではないか、という疑いがあるためである。宗教的な観点から人間ではないということも言われていたりもするが、それぞれで意識もあり、外見も生物学的にも人間であるため、人間として考える人が多い。しかし、深海棲艦と同じ能力を持つことから、深海棲艦のスパイではないか、という声もあり、軍内部では艦娘に反対する派閥が存在する。現在では艦娘の活躍、艦娘暗殺未遂事件などもあって鳴りを潜めている。

 ちなみに艦娘の外見は美少女であるため、男性からの人気は高く、「お近づきになりたい」という理由で海軍に志願するものも多い。これを逆手に取り、日本海軍は広報と志願者確保のため、ある艦娘にアイドル活動をさせている。

 

補足 障壁について

 艦娘、深海棲艦が発生させる力。特に防御に使われる物を言う。

 無色透明ではあるが、砲弾の着弾時に軽く白色に発光したりする。艦種にもよるが最低でも10㎜程度の防弾鋼板ほどの耐弾力はある。

 艦娘が意識して展開する外部障壁は慣れれば自由な角度で展開できるため、砲弾に対して斜めに展開して受け流すなど、耐弾力を越えた芸当もすることができる。




 こんな設定です。時々内容を変更、追加することがあるのでたまに見に来てください(露骨な閲覧数稼ぎである)。
 色々と考えてみましたが、やっぱり分からないところもあったりして、そこは「軍事機密」、「解明できてない」ということでお茶を濁すことに。「軍事機密」、「解明できていない」と書いたものでも、いくつかはちゃんと設定練っています。ただ、こればかしはネタバレになってしまうので設定集であるこの章外でも書きません。

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