ワイルドハント異伝   作:椿リンカ

14 / 51
ロッドバルト「今回はセシルさんターンです。あぁ、影の薄いキャラがどうしてもいますよね。自己主張が弱い人間ということですね。ではいいではありませんか。自己主張の弱い人間は御しやすくて皆さま好きでしょう?自分のいうことを聞いて怯えてくれる人間をいじめるのが好きな人間はたくさんいますからね。・・・それではどうぞ」


「生きていてほしいと願うのは」

今日は6回目の【転生者会議】だ。今日はリンネさんは不在らしい。

 

あの人は大臣の息子としてもワイルドハントのリーダーとしても事務作業や文官としての仕事を全部こなしているから仕方ないだろう。

 

僕らは姉さんたちの監視を任されているから仕方ないけど・・・リンネさんはかなり無理をしている気がする。

自分だけで全部背負い込んでる感じがして気が気でならない。

 

・・・監視も大事かもしれないけれど、もっと僕たちのことを頼ってほしい

殺すかどうかは抜きにしても・・・同じ転生者として、仲間なんだから・・・

・・・これも僕のわがままなのかな

コスミナ姉さんと一緒に生きて死にたいっていうわがままと同じぐらいのわがままなのかもしれない

 

 

 

「っていうかさ、おかしくない?」

 

コハルさんが全員に聞こえるように、なおかつ少々イラついた声で尋ねた。

なんのことだろうか?何かおかしいことってあったかな?

・・・まだ、コスミナ姉さんたちを殺してないこと、かなぁ・・・

 

「あのさ、原作の流れと全然違うって気が付かないの?」

 

そう言われ、僕は一生懸命アカメが斬る!の原作を思い出そうとする。

転生してから十何年も経過してるし、大体の流れは覚えているけど細かいところまではさすがに覚えていない。

 

残りのメンバーも一生懸命思い出しているようだ。

やはり原作を何度か見直さないといけないことってあるよね・・・手元に無いけれど、どうだったっけ・・・

 

「タツミはアリアに誘われて、帝都の闇を知るはずでしょ?なのにこの間、アリア一家を私たちは殲滅した」

「そういえば、確かそんな感じだったな」

 

アオイさんも思い出したように頷いている。

・・・そういえば1話目はそんな話だったっけ?

 

「エアちゃんとファルちゃんとルナちゃん、この3人はタツミがナイトレイドに入って、しかもイェーガーズが結成されてから人身売買されたわよね。でも・・・その、この間助けたわよね?」

「・・・そういえばそうだっけか」

 

エリオットさんも渋そうな顔をして同意する。

・・・確かそんな展開だったっけ・・・

 

「・・・ワイルドハントとイェーガーズが同時期に設立されたのはいいわ。あたしたちがいるんだから多少、原作と展開が違うかもしれない。けど、エアちゃんたちが帝都にやってくる時期も早いし・・・何かおかしくない?」

 

コハルさんの問いかけに、誰も答えない。

原作の流れがごちゃごちゃになっている・・・おかしいとは思うが、自分たち転生者が介入しているのだから順番がおかしくなってしまってもおかしくはないだろう。

 

「これじゃあ原作の流れが変わるよな。誰が死ぬのかタイミングが掴めなくなる。なるべくならイェーガーズとナイトレイドの死亡者は減らしたいんだが・・・」

 

オリヴァーさんが疲れたように大げさにため息を吐いた。

コスミナ姉さんたちの悪事をどうにかするのもそうだけど、なるべくなら原作のキャラクターの死亡は回避したいところだ。

 

「っていうかよぉ、リンネの奴はなんも言わないし、アリア一家を粛正したのもあいつの指令じゃねーか。チャンプの奴もそうやってさっさと殺せばいいのにしないしよー」

 

「・・・殺すかどうかはともかく・・・それもそうだな。エリオットのいうことも一理あるかもしれない。リンネのほうが記憶力は良いはずなんだが・・・おかしいな。コハルもオリヴァーもどう思う?」

 

アオイさんに問われ、コハルさんとオリヴァーさんは互いの視線を合わせて、言いよどんでしまった。

 

「・・・もしかして、リンネってあたしたちに何か隠してるのかな」

「・・・考えたくはないが、もしかしたらワイルドハントで悪事を働いた人間をすぐに始末できるようにしているのかもしれないな」

 

そんな二人の意見を聞きながら、僕も一生懸命考えてみた。

 

どうして原作の流れと違うんだろう

原作と違う流れを作った一部の要因はリンネさんが作ったのは確かだし

リンネさんはあまり僕らに自分の意見を言わない。ただ「殺すときは殺す」ぐらいだった・・・

 

・・・僕らは、信用されていないのだろうか

 

そう思って、なんだか僕は悔しくなった。

あれだけリーダーとしてまとめられる素質があって、この中では強いはずなのに・・・なんでちゃんと、僕らと腹を割って話してくれないんだろう。

 

みんなの意見が、バラバラだから

生かしたいと思っている人が、いるからなのかな

・・・生きていてほしいと願うのは、悪いことなんだろうか

 

 

「おーい、今帰ったぜー」

 

 

詰所の玄関あたりで、シュラさんの声が聞こえた。

自分たちの会議がバレてはいけない。すぐに詰所の玄関前まで行くことにした。

 

・・・玄関前には、シュラさんたちと、一人の男の子がいた。

 

「エリオット、見回りから帰ったぜ」

「今日の見回りは楽しかったでござるな」

「セシルちゃん!コスミナちゃんたちに後輩ちゃんができましたよー!」

「うむ、リンネが忙しそうじゃし、ワイルドハントにも補欠は必要じゃからな」

「シュラの奴が勧誘したんだよ。ま、お前らも仲良くしろよ。特にコハル、お前新人いびりとかすんなよ?」

 

楽しそうに話すコスミナ姉さんたちだったが、僕らはそれに返答もできなかった。

 

 

「あとで兄貴にも紹介してやるつもりだ。・・・おっと、その前に自己紹介だな。ほらよ」

 

 

「あ、えーっと・・・タツミです!よろしくお願いします!」

 

 




ロッドバルト「さて、次回は誰のターンになるでしょうかね。この通りキャラが動いてしまって・・・あぁ、メタ的に言えばプロット変更ということです。ふふ、次回をお楽しみに」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。