ワイルドハント異伝   作:椿リンカ

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ロッドバルト「料理というのは人間には欠かせないものですね。同じ釜の飯を食う、なんて言葉もあるぐらいですし、料理を共に食べることは親密感や相手を推し量る意味でも大事です。それではどうぞ」


「いつの間にか、当たり前に」

 

ワイルドハントで試用されることになってから、俺は自主的に食事の準備を手伝うことにした。

これが兵士での起用だったりしたらこんなことはしなかったんだろうけどな。

でも、このワイルドハントでどれだけ自分が良い人材かをリンネさんにわかってもらうためには必要なことだ。

 

「毎日ありがとうございます」

「いえ、これぐらいはできますよ」

 

今日も食事を担当しているオリヴァーさんの料理の手伝いだ。

彼の作る料理は一般向けの料理が多くて助かった・・・見た目が貴族に仕えてる執事っぽいから、こう、小難しい料理ばかりかと思ったけど・・・

 

「それにしても、いつもオリヴァーさんが料理を作ってるんですね」

「えぇ、いつもドロテア様にお作りしていたのですが、シュラ様が気に入ってくださったので・・・」

 

「へぇ、確かにオリヴァーさんの飯って美味いからなぁ。シェフとか、料理人みたいな職業だったのか?」

「いえ、ドロテア様に拾われただけの・・・何も無かった、ただの人間です」

 

そう答えて苦笑いをするオリヴァーさんに俺は曖昧に返事をするしかなかった。

エリオットさんと違って、オリヴァーさんとドロテアさんはあまり自分のことを話さないよなぁ・・・

 

「あの、昔何かあったんですか?」

「・・・えぇまぁ。ただ、ドロテア様に拾われてから自分の視野の狭さに気が付いたといいますか・・・」

 

「視野の狭さ?」

「要するに、自分の世界が広がったんですよ。恩人みたいなものです」

 

恩人、かぁ・・・

ドロテアさん、いつも飄々としてるけど、良いところもあるってことだな。

 

 

 

 

 

そうこうして夕食の時間帯になった。

案外、この組織は食事は一緒に食べるらしいが、シュラさんとリンネさんは宮殿に出入りしていることもあるからか、いないことも多い

・・・というか、リンネさんはまず見たことがない

 

「うーん、相変わらずオリヴァーの料理はとっても美味しいわね!いくらでも食べれちゃう!」

 

コハルさんはスレンダーに見えて、結構大食いらしい。

いつもごはんも2,3杯はおかわりして食べている。

 

「そんなにバカスカ食うなよ。年中冬支度してる熊かなんかかお前」

 

エンシンさんがコハルさんに皮肉を言いつつも、コハルさんと同じぐらいご飯を食べている。

二人とも海賊出身だったからか、見回りでもよく動くし、よく鍛錬もしているからおなかも減るんだろうな・・・

 

 

 

「つーかよ、野郎に飯作ってもらうとか恥ずかしくねぇのかよ。こういうのは女がやるもんだろ」

「お前なぁ、無理にやらせるこたぁねぇだろう。美味い飯ならいいだろ、それで」

 

エリオットさんは女性陣に文句を言いながら、さりげなく嫌いな食べ物を皿の端に寄せたりしている。

案外好き嫌いが多いんだよなぁ・・・実はオリヴァーさんがどうやって食べてもらえるか考えてるの、気が付いてないよな・・・

 

いやでも、エリオットさんもチャンプさんもよく食べてくれるから作り甲斐があるけれども。

 

 

 

「イゾウ、これは美味しかったぞ」

「あぁ、いただくとしよう」

 

アオイさん・・・は、なんというか、これでイゾウさんの奥さんとか恋人なんだろうか・・・?

いやそれよりも、イゾウさんのごはんは普通なんだけど・・・

 

「しかしアオイ殿、いつも同じご飯で飽きないのか?」

 

・・・アオイさんの白飯の上にはたっぷりの小豆餡が乗せられている。

おはぎを作ったつもりはないんだけど、アオイさんはなぜかいるも白飯の上に餡子を載せてセルフおはぎで食べてるんだよな・・・

 

ツッコミできなくてしてないし、それに関してはコハルさんたちも視線を逸らしてるけど

 

「あぁ、おはぎと同じで餡子とご飯の組み合わせは最高だぞ。これで栗きんとんもあればいいのだが・・・」

 

それはもうご飯というかおやつなのでは?

 

「アオイ殿は甘党だな。そういえば先日、見回りで美味しいあんみつ屋を見つけた。一緒に行かないか?」

「!!・・・いっ、いいのか・・・?」

 

「かまわないが。いつもアオイ殿には世話になっているからな」

「それじゃあ行く!ふっ、ふ・・・二人で、だよな?」

 

「?あぁ、二人だが」

「・・・あぁ、そうか」

 

アオイさん、こころなしかニヤけてるな・・・

というか、この二人って恋人とか夫婦じゃないって聞いたんだよな。でも、アオイさんの様子を見たら、アオイさんはイゾウさんが好きなのかな?

 

 

 

「今日もご飯が美味しいですね、セシルちゃん!」

「そうだね。オリヴァーさんもそうだけど、タツミ君のごはんも美味しいよ」

 

コスミナさんとセシルさんに話しかけられ、「ありがとうございます」と礼を言った。

 

「タツミちゃん、お料理もできて戦えるし、何よりかわいいですよね!」

 

そういいながらコスミナさんに抱きつかれる。

 

う、腕に・・・胸の感触が・・・

 

「あ、あの、その、コスミナさん・・・」

「もー、せっかくコスミナちゃんがお胸を当ててるのにつれないのはだめですよ?」

「姉さん、タツミ君が困ってるよ」

 

セシルさんが止めてくれたけど、コスミナさんはよくスキンシップをしてくるから心臓に悪いというか、いや、その・・・悪い気はしないけどさ

 

少しずつ俺も慣れてきたけど、まだまだこれからだ。

 

リンネさんに正規メンバーとして認めてもらわないとな!




ロッドバルト「次回はイゾウさん回です。皆様、お待たせしてすみません。それではまた次回」
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