ワイルドハント異伝   作:椿リンカ

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番外編

リンネの帝具になっているメフィストフェレスの話


ワイルドハント本格始動編
「双子の片割れが愉悦しながら私に連絡してきた」


 

私の双子の片割れは株式会社の経営者である。

 

細かく言えば、最近流行の『異世界転生』とか『異世界トリップ』とやらを実際に商売にしているのだ。

なんというか、「それって稼げるのか?」と思ったりしたが、案外稼いでいるらしい。中には他人の命でチートを得ているお客さんもいるとかなんとか。

 

いや~、人間社会っていつの時代も闇が深くて最高ですね

 

・・・というか、株式会社ってことは株式あるんですね・・・

株主がいるというのもにわかに信じがたいところではあります。

 

 

ん?あぁ、ご紹介が遅れました。

 

私、メフィストフェレスと申します。

 

真名はもう少し長いですが、短い名前のほうが世間では馴染みがきっとあるでしょう。

ゲーテ氏の『ファウスト』が一番有名でしょう。実はドイツに伝わる伝説が元なのですよ。ファウスト伝説と呼ばれるものですね。

いやー、あの頃は楽しかったですよ。結末に関しては黙秘しますが。

 

ファウスト伝説を知らない?教えてくれ?

貴方の目の前にある機器はなんでしょうかねぇ・・・検索エンジンって知ってますぅ?

 

 

閑話休題

 

 

片割れであるロッドバルトとは一緒に暮らしているわけでもないのですが、好きな時にお互いの家を出入りする程度の仲です。

 

私が秋葉原でメイドカフェで楽しんでいるところ、珍しく電話をかけてきました。

 

 

『くくくくっ、メフィストですかぁ?今どこにいます?』

「絶賛メイドカフェ満喫してます」

 

『メイドカフェって、自宅にメイドいるじゃないすか』

「自宅のメイドとメイドカフェは別物ですよ。それで、電話なんて珍しいですね」

 

『あぁ、それです!ちょっとしたお願い事がいくつかあるんですよ。どうせ暇ならちょこっと手伝ってください』

「いいですよ。それで私はどこに行けばいいんですか」

 

『私の自宅の自室でいいですよ。ちょっとそこにいますから』

「はいはい、すぐに行きますよ」

 

 

ロッドバルトが笑いながら楽しそうに愉悦している時は、大体めちゃくちゃ面白い事件が起きている。

 

それが分かっていたので私もすぐに向かいました。

私もそういう面白いことは死ぬほど好きですからね。

 

 

 

ロッドバルトの自宅に上がり、自室に入ると見慣れない内装・・・どこか違う空間と繋げていることはすぐに理解しました。

どうやら貴族階級か、それ以上の人間が使っている部屋・・・置いている調度品や内装からして、現代ではないみたいですね。

 

ロッドバルトと見慣れない人間の子供がいました。子供のほうは褐色で顔に十字傷があるようですが・・・ふむ、着ている服の生地は中々上質なものですね。

 

あと、気になるものはベッドの上には魘されている子供でしょうか?

 

「ようこそ来てくれましたね!ほら、ご挨拶をしてください」

「・・・」

 

十字傷の子供は私を警戒しているようです。

かといって、ロッドバルトも警戒しているのか、距離を離して立っていましたが。

 

「それでお願い事とは?」

「1つ目はベッドで寝込んでいる子供を治療してほしいのです。魔術でできますよね?」

 

・・・それを言えば、片割れも魔術で治療できるはずだ。

 

しかもロッドバルトのほうが残念ながら魔術のセンスは私より上である。認めたくないというか、本当にそこらへんは腹が立ちますが。

 

「2つ目はこのベッドで寝ている子供の武器代わりになってほしいんですよ」

「・・・・・・はぁ?」

 

「ちゃんと説明はします」

「なるべく短めでよろしくお願いします」

 

 

 

かくかくしかじかまるまるうまうま

 

大体の経緯をロッドバルトから聞きました。

 

どうやら会社のキャンペーンと称して転生者を集めて右往左往するのを楽しんでいた。

 

転生者の一人が流行り病に掛かった。

 

 

そして、転生者が殺す予定の相手が・・・ロッドバルトと契約した結果、私が『帝具』とやらになってくださいってことでした。

 

 

「いやいや、なんで私が『帝具』として監視を?」

「だって私と彼の契約がバレたら面倒ですし、バレたらちゃちゃっと忘却魔術使ってくいいですよ。出来るだけ今日のことは秘密にしておきたいのですので」

 

「それはいいですが、私は武器のままでずっと過ごせと?」

「いえ、今の姿を晒してもいいですし、適当に騙して、疑心暗鬼になっている転生者さんを裏で笑っていてください」

 

「ゲス極まりないですね、そういうの大好きですよ」

「ですよね!貴方なら分かってくれると思いました!」

 

「イェーイ!」

「イェーイ!」

 

ロッドバルトとハイタッチをした後、ロッドバルトと契約したという少年へと視線を移した。

 

「貴方も、よくもまぁ・・・悪魔と契約しようと思いましたね」

「・・・」

 

「いえいえ、責めるつもりは毛頭ございません。私も悪魔ですし、悪魔と契約したい願いがある人間なんて星の数ほど存在してます。だから気に病むことなく、契約したことを誇りに思ってください」

「・・・そうか」

 

「さてと、私は適当に認識改竄の魔術でもかけておきます。これで私が『帝具』になっても、誰も不思議に思いません。話を合わせてくださいね?」

「わかった」

 

「そういえば・・・貴方の名前、聞いてませんでしたね。貴方のお名前は?」

 

 

 

「・・・シュラ、でいい」

 

 

 

 




ロッドバルト「契約内容?・・・ひ・み・つ、です(はぁと)」

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