秘密警察ワイルドハントにタツミを加入させることにした。
本来ならばナイトレイドに入るべき人間だったが、本人がどうしてもここがいいと言って聞かない。
仕方ないので入隊させることにした。
・・・どうせ悪人を先々始末して、原作から逸脱しているのだ。
それならばタツミを手元に一時期置いて、内部から悪人を殺させればいいだろう。
どうせそのうち、ナイトレイドへと寝返るはず・・・
タツミという人間は、それだけの正義感と熱血の持ち主だからだ。
こんな帝国内部で最後の決戦までいるはずもない。現実に耐え切れずに、外部から壊すことを最後には選ぶはずである。
・・・それでいい。
むしろ、そうでなくてはいけない。
「兄貴、タツミの奴に帝具は持たせないのか?」
「持たせる。こっちにこい」
「は、はい!」
シュラもついてくるらしい・・・面倒だな。まぁいい。
タツミを連れて、宮殿内にある帝具保管室へと向かった。何人か侍女や兵士とすれ違ったが、相変わらず大臣の息子として恐れているらしく、表情が硬い者が何人もいる。
オネストやシュラと同じように見られるのは気に食わないが、言ったところで変わるわけもないだろう。
帝具保管室に現在保管されている帝具は仮面の帝具「超力噴出バルザック」ともう一つ・・・原作では見かけなかった帝具の二つのみとなっている。
ダイリーガーや芭蕉扇はセリュー・ユビキタスが革命軍側に寝返った際にそのまま奪っていったため、あれらは回収できていない。
ベルヴァーク、スクリーム、ブラックマリンはエスデス将軍管轄の三獣士が持っているし、他のいくつかの帝具も所有者がすでにいる状態だ。
「大体の奴が持ってるもんなぁ・・・この仮面はどうだ?」
「いまいち・・・もう一つはどんなものですか?」
「・・・これだな」
保管室の奥にかけられていた剣をタツミに見せる。
帝具の一つらしいが、原作に出てきていない帝具のせいか、性能はよくわかっていない。
「へー、剣の帝具か。タツミにぴったりだな」
「だが、鞘から抜けないんだ」
俺がそう言うと、タツミとシュラは顔を見合わせて、俺へと視線を向けた。
「・・・・・・所有者と認められなければ、鞘から本体が抜けないんだろう」
俺はすでにメフィストフェレスを持たされていたから抜けなかったが、タツミにこれが合わないならば、帝具無しで活動をしてもらうことになるだろう。
そうでなくとも、タツミは成長すれば将軍クラスの器を持っているのだからかまわないとは思うが。
「それじゃあ無理だったら抜けないんですか!?」
「物は試しってやつだな」
「抜けなかったら嫌だなぁ・・・俺も折角帝具が持てれるなら持ちたいですし」
「帝具ってのは相性があるもんな。な、兄貴?」
「・・・そうだな」
俺の帝具は、本当は帝具じゃないがな。
相変わらずメフィストはシュラやタツミが見えないだろうと、部屋の机に座ってこちらを眺めている。
腹が立つから持っているレイピアで刺し殺してやりたいが、我慢しておこう。
「俺が試しに抜いてみよう」
ぐい、と鞘から本体を出そうとしてもビクともしない。鞘から本体が抜けないのだ。これはシュラも同じらしく、シュラも同じようにしてタツミに見せてみた。
「ほらな?どんなに力を入れても抜けないだろ?」
「そうですね・・・」
「っつーわけで、お前も抜いてみろよ。抜けたらそいつはお前のもんだぜ」
「・・・や、やってみますね」
タツミが帝具を受け取り、鞘から本体を抜こうと構えた。
ス・・・と自然に抜ける。
現れた刃は夜闇を思わせるような、不思議な色合いの刃であった。
だが、不思議とずっと見ていられる・・・夜空の色。とても美しい刀身だ。
「・・・・・・抜けました!抜けましたよ俺!」
「すっげぇな!へぇ、こんな刃なのか。初めてみたぜ」
「・・・本当に抜くとはな」
本当に抜けるとは思ってなかった。
原作にも無いような帝具なのだから、タツミが使えるわけがないと思っていたのだが・・・
・・・これも原作から逸脱した影響か?
まぁいい。使える帝具ならば使ってくれたらいいのだ。
「・・・すごい綺麗な刃ですね」
「刀身の色合いも変わってるよなぁ。そういや、これって名前なんだったっけか」
シュラに問われて、その帝具の名前を俺は答えた。
「星霜千巡(せいそうせんじゅん)アルファルド、それがその帝具の名前だ」
帝具の名前だけしか図鑑に載っていない。
少なくとも、ここ数十年、数百年の間使われていないらしく、ろくな文献が残っていないのだ。
・・・原作に無い帝具とは言え、コハルたちが持っている帝具は、まだ図鑑に記載されていたり、古い文献に記載されている。
これは転生させた悪魔の辻褄合わせなのか、そういう帝具があるという”設定”なのかは分からないが・・・
少なくとも、性能も何も分からない帝具なのだ、タツミが持っているアルファルドは・・・
「へぇ、アルファルドかぁ。いい名前ですね」
「今日からこいつの持ち主がお前だぜ。帝具が持てて良かったな」
「・・・」
「はい!今日からこいつと一緒に頑張ります!」
帝具「星霜千巡アルファルド」
説明は帝具を使用した時に記載いたします。