転生先が平賀さんな件   作:スティレット

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 毎日更新しようとすると何故か文が短くなんですよ。謎だ。

 しかし軽い気持ちでさきに用事を済ませようとしたら原作でビダーシャルが出てくる場面まで読み進めてた。何を言っているか(ry


芸は身を助く

 ドーモ、皆さん。ヒラガサイトです。

 

 タルブから無事帰った俺達は、課外授業の報告をし、ついでに地方領主の感謝状を貰ったため翌日まで休暇が出た。その際にコルベール先生へゼロ戦を見せに行ったら、ものすごい興奮でこちらがお願いするどころかむしろ整備を志願してきた。そりゃ中世から20世紀のものに一気に飛躍するような代物だから機械好きにはたまらんだろうよ。その際に俺も一緒に整備を手伝うことにした。現地修理とか機銃の弾が余ったら取り外して使いたいのよ。

 

 そして、翌日。

 

「主、お願いがあるのですが」

 

「何?昨日の今日で今度はお願い?まあいいわ。言って御覧なさい」

 

「タバサのご家族が病気らしくて、私にそれを診て欲しいとのことで、しばし暇をください」

 

「ふぅん、病気ね。ちなみにどんな?」

 

「なんでも精神的な病だとか。それ以上は詳しく診てみない事には」

 

 いちいち説明がめんどい。病気と聞いてカトレアでも思い出したのだろうか。

 

「まあいいわ。戦争までには帰ってきなさい」

 

「はい、それでは失礼します」

 

 この間も訓練をしていたが、今回の疲れもあるので軽く流し、余った時間で秘密兵器を作っていた。ヒントは洗剤と言うか石鹸を作ったときに出る副産物だ。

 

 その後、さほど時間はかからなかいので安定剤を調合し、翌々日にタバサと二人で向かうため(ルイズは授業があり、タバサは余裕のサボり)先にシルフィードと合流したので戯れていた。

 

「おーよしよし、いつもご苦労だった・・・・・・と言いたいところだが、君には消えてもらう」

 

「きゅいっ!?」

 

「冗談だ。だが、この最終鬼畜兵器をもって貴様の罪に私自らが処罰を与える」

 

「きゅ、きゅいい!?」

 

「時々相棒が何言ってるのかわからねえよ」

 

「同感だ」

 

 この後戦争でリアルにシューティングしなきゃいけないから大佐ごっこでもして現実逃避してたんだよ。あれより弾幕は薄いだろうけど。

 

「まあいいや、お前女の子か。よく見りゃ丸っこくて可愛い顔してるもんな」

 

「きゅい」

 

「いいものをやろう。ほれ、あーん」

 

「きゅーん」

 

 と、持ってきた干し肉をやったり撫でてやったりしてた。ドラゴンってなんて言うか男の子だよね。こいつメスだけど。

 

「お待たせ」

 

 しばらくするとタバサが来た。寝起きなのかまだ寝癖が付いてる。それはまだいいのだが何故かキュルケも付いて来た。

 

「ダーリン、来ちゃった」

 

「はあ、仕方が無い。今回は遊びじゃないから着いたら静かにお願いするよ。じゃ、行こうか」

 

 タバサとキュルケと俺はシルフィードに乗り、ついでに手のひらを水魔術で湿らせてから寝癖を整えてやる。まだ眠いのかタバサはされるがままだ。

 

「タバサ、君は可愛い顔をしてるんだからもう少し頓着するほうがいいよ」

 

「・・・・・・」

 

 なんか静かだと思ったら眠気をこらえてるようだ。お前15だろうに。昨晩眠れなかった小学生か。

 

「まあいい、シルフィードが場所を覚えているなら着いたら起こすから、それまで寝てていいぞ」

 

 そう言ってみるが、こらえている。まだ無意識下の警戒心が抜けてないとかか?

 

「ほれ」

 

 肩を軽く引き寄せ、タバサの頭を俺の胸に抱いた後、風除けにタバサの着ているマントで前を閉じる。

 

「目を瞑っているだけでも大分楽になるらしいから、警戒するなとは言わないからそうしとけ」

 

「・・・・・・わかった」

 

 そうしてしばらくすると風に紛れて寝息が聞こえてきた。実年齢より幼く見えるが、その寝顔はそれよりさらに幼く見えた。

 

「なんか最近のダーリンとタバサって兄妹みたいね」

 

 

 

 で、現在地、ガリアのどっか。確か旧オルレアン領だっけ?まあタバサの実家って言っておけばいいか。の前に到着した。

 

 そのままタバサに連れられ、扉を開けると執事と思われる男が一人出てきた。

 

「シャルロットさま、おかえりなさいませ!ツェルプストーさまもいらっしゃいませ!」

 

「ただいま。ペルスラン」

 

 ああ、そうそう、そういう名前だっけ。

 

 と、てきとーな事を考えているとペルスランとやらが訝しげな顔を向けてきた。

 

「シャルロットさま、こちらの方は?」

 

「母様の治療に来てくれた」

 

「そうだったのですか・・・・・・よろしくお願いします」

 

 実際若くても高い実力があるタバサや、その父、オルレアン公でも思い出したのだろう。少し考えるそぶりを見せたが深々と頭を下げられた。

 

「それで、今、母様は?」

 

「まだ、お休みになっておられます。お起きになられてもあの日以来とても痛ましいお姿のため、無理に起こしておりません」

 

「分かった」

 

「寝ているなら好都合だ、タバサ。いや、シャルロットが本名か。ここは学院じゃないから本名で呼ばせてもらう」

 

「・・・・・・まだ、私はシャルロットに戻るわけにはいかない」

 

 無能王か。

 

「分かった、タバサ。でも、頼れそうなことがあったら遠慮なく言え。出来る範囲なら聞いてやるから」

 

「・・・・・・うん」

 

 どうもまだ頼ることに戸惑いがあるようだ。まあ、仕方ないね。この執事さんじゃ力不足だろうし、王族相手にはどうしようもない。

 

「それじゃ、案内してくれ。早速施術する」

 

「ダーリン医学にも心得があったの?」

 

「いや、別方面から切り込む」

 

「こっち」

 

 タバサは口短く促し、そのまま奥へ通される。ペルスランは朝食の準備とかで引っ込んだ。

 

 そこには歳の割にはやつれているが、それでも綺麗と言える女性が眠っていた。

 

「では、始める。これより私語は慎むこと」

 

 起こして発狂されたくないので、そのままわずかに口を開かせ、薬を一滴垂らしてから水差しから水を少しコップへ移し、溶かしてから少しずつ流し込む。喉が渇いてたのか飲んでくれたので、次に移る。

 

「二人とも耳を塞いで」

 

 タバサとキュルケはおとなしく俺の言葉に従い、俺は聴覚への暗示を使う。

 

「「タバサはシャルロットでは無い。シャルロットがタバサに見えるだけだ。あなたは今疲れている。だからありえないものでも見えたのだろう」」

 

 いっこ○堂を見て前世で練習した腹話術を利用し、増幅した暗示を使う。

 

「「そう、今のあなたは疑心暗鬼になっているだけなのだ。起きたら両方ともタバサに見えるかもしれない。もしくは両方ともシャルロットに見えるかもしれない。しかし、それならば言葉を発する方がシャルロットなのだ」」

 

「「さあ、起きよう。そして、久しぶりに娘と会話するといい。私から今言えるのはここまでだ」」

 

 ここまで言って二人へ振り返る。

 

「ではタバサ、この後は任せる。キュルケ、御母堂が目覚める前に行こう」

 

「え、ええ」

 

 やったことと言えば薬を飲ませて、少し語りかけただけだ。聴覚だけの暗示は視覚を併用しない分効きが悪く、拒絶の意思で跳ね除けることが出来る。だからギーシュの時のように意識を誘導したり、視線を合わせる必要があるのだが。あの時はワルドにばれたくなかった為小道具を使った。

 

 キュルケと部屋を後にし、ペルスランに客間に案内してもらい、一息吐く。

 

「ねえ、ダーリン、さっきのは何?」

 

 暗示はあまり魔力を使わないからな。こっちの魔法使いからすればあからさまでも無い分分かりにくいか?

 

「ああ、催眠術と言ってね。簡単に言うと相手に言うことを聞かせる術だよ。前にギーシュを落ち着かせたことがあっただろう?あれと同じ」

 

「え?それって水魔法じゃないの?」

 

「うん、俺の国で学んだものだからね。こっちに有るかどうかは分からないなあ」

 

 そういうとキュルケはあからさまにほっとした様子を示した。

 

「なんだ、先住魔法じゃないのね。よかった」

 

「確か亜人たちが使う精霊の力のことだね。俺にはそんな大層な力は無いよ」

 

 小細工上等。

 

「多分タバサはしばらく時間がかかると思う。それまでチェスを俺の国のルールでやってみようか」

 

「あら、面白そうね。どんなの?」

 

「奪った敵の駒を使えるんだよ。それから―――」

 

 タバサが来るまで穴熊で粘ってみた。

 

 

 

 タバサがペルスランを伴い、客間に来たときは目が赤く、若干腫れぼったくなっていた。

 

「お疲れ。では、ペルスランさん、状況が進むまで俺は来れないので、薬を渡しておきます。朝、起きたときに一滴、朝食や飲み物に混ぜても大丈夫です。眠るまでこれで落ち着くと思うので、何かあったらシャルロット経由で承ります」

 

「かしこまりました」

 

「それと、もし効きが悪い場合、この香を焚いて下さい。こちらは効き目は薄いのですが、併用しても大丈夫なので、あなたが吸い込んでも問題ないです」

 

「はい」

 

「収穫はあったみたいだから、根気良く行こう。だから、せめてここに帰ってきたときくらいはタバサからシャルロットに戻るといい」

 

「・・・・・・うん!」

 

 その顔はいつもの無表情ではなく、雪解けのような笑顔だった。




 仲間が意外とサポート上手くて短弓さん使う暇が無い。どうしよう。

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