転生先が平賀さんな件   作:スティレット

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 思った以上に読者のみなさんにうけていただいてるので元々執筆している作品より優先してこちらを執筆しています。これは予想外。けど、私も書いてて楽しいし、みなさんにも楽しんでもらえるならこんなにうれしいことは無いです。ガンバルゾー!ガンバルゾー!


いいのかい?ホイホイ呼び出して。

 あれから一週間経った。現在の俺は――。

 

「これで良いのかい? サイト」

 

 なんかギーシュに懐かれた。後、火トカゲのストーカーがこっちを窺っている。

 

 

 

 あれから夕食を食べに厨房に行ったら大賑わいで、マルトーのおっさんが「我等の剣」とかこっ恥ずかしい事言い出すわ、シエスタはぽーっとした表情でこちらを見てたかと思えばちらっと視線があったら真っ赤になって全力で目を逸らす。一応シエスタはルイズとの摩擦が無いよう配慮しているんだけど、依存度とかが高くなったら独占欲から面倒なことになるから慎重に動かざるを得ないんだ。

 

 刀は青銅を斬ったと言うのに刃こぼれすら起こしておらず、あのガンダールヴの性能をそのままの状態で出すことが出来れば使われている魔力を他に運用出来るんじゃないかと思っている。こっちでは精神力って言うけど、それ燃やして動かしてる節があるんだよね。

 

 ギーシュは謝りに行った次の日に頭を下げて「強くなりたい」と言ってきた。強化すれば今後楽になるし、恩は売れるし、個人的には嫌いじゃないので了承した。今は軽い運動と、純金属と合金の違いを教えている。ついでにワルキューレ改修案として、プラモサイズの青銅のフルプレートを共同で製作し、関節部分とかゴーレム操作で強引に稼動させるのではなく、理に適った動きをさせ、中は土くれを詰めて斬られても再生させる案とか検討中だ。ギーシュは数を指揮するのが得意そうなので、これでラインになったら14体のゴーレムを操れるだろうし。斬っても再生し、数は2桁を超える金属製ゴーレムなど対人戦だったら結構脅威なんじゃないかと思う。一段落したら大きいのも教えるけど。

 

 あとは、なんかチラッチラッと物陰からサラマンダーがこっちを何度か窺っていたが、そのたびにじっと見つめていたらそさくさと逃げていったのでキュルケからのアプローチはまだ無い。・・・・・・イグアナは美味いらしいけどサラマンダーはどうなんだろうな。食いでがありそうだけど。

 

 一方貴族方に関しては風当たりが強くなっている。

 

 無傷で一方的になぶるような戦いをしたからね。平民に舐められて堪るかって一部の奴らが気炎を上げていたりしたけど、そういう奴に限って闇討ちとかしてくるから隠し持っているナイフとかグローブが早速役に立っている。基本的に服を破かせるわけにもいかないので余裕を持って避け、カウンターで一撃加えるかナイフを首筋に当ててちょっと赤い筋を刻んでやればすぐに降参する。悪意も度が過ぎれば呪いになったりするのでそういうのにも事前に察知出来たりするんだ。

 

 他にはタバサと知り合いになったくらいか。

 

 ルイズの授業中文字を覚えたり、学院の近くの森で衛兵から借りた弓を使って獲物をしとめておすそ分けしたり、ポーションの原料になるハーブなどを覚えていた。ポーションの原料などは始めの授業は出ていたのでそれを近場で取ってきたり図書館で覚えた。

 

 その過程で図書館にタバサが居て、なんかじっと見てくるから事情を一部伏せて説明したら届かない位置の本とか持ってきてくれた。武器装備してるから垂直跳びでも届くには届くんだけど、目立っているけど必要以上には目立ちたくないからね。

 

 お礼に暗示や再洗脳からの正気の戻し方が話の流れの中でうっかり漏らしたらすごい食いつきようだった。俺では一度で洗脳や心を壊した人間を元に戻すことは出来ないが、段階を踏んでいけば症状は軽くなるとつい剣幕におされて白状してしまった。図書館でウインディ・アイシクルを唱えようとしないで下さい。いくら寸前で情報をお預けされた状態だったとは言え。目撃者が居るから反撃するわけにもいかないし、タバサは一度引いて恩を売っておいた方が得だと思ったからね。

 

 いつか病気になった人を診る約束をさせられ、代わりに「地下水」と言う言葉を聴いたらそいつが持っているナイフを魔封じの魔法陣を書いた布で直接触らないようにして持ってきて欲しいと頼んだ。不審な目をしていたが、現段階で地下水の情報自体タバサは知らないわけだからちょっと考えた後、了承してくれた。

 

 こないだ飯を食っていた時に考えていたスパークリングワインはノーパソから手書きで写して、それを正しいハルケギニア語か見て貰ってコルベール先生のところに持っていった。エンジンの原理と用途をエサに。翻訳はルイズに手伝ってもらった。タバサと知り合いになったのは知っていたらしく、多分そっちに頼っていたら癇癪起こしていたんじゃないかな。まだまだ好感度が足りない。なんちゃって。

 

 

 

 とある日、少なくとも護衛の実力はドット以上と言うことで女子棟への出入りを許可された俺はルイズの送迎を行い、部屋に戻ってから素振りを行い、次に何をするか考えながら寝ようかと思っていたらキュルケのところの火トカゲがチョコチョコと歩いてきた。

 

「どうした? 俺になんか用でもあるのか?」

 

「キュルキュル」

 

 頭を撫でてやると温かい。爬虫類のくせに恒温動物か。まあ、それは良いとして、袖口を咥えてどこかに連れて行こうとしてくるのでおとなしく従う。

 

「わかったわかった。付いて行くからひっぱるのはやめてくれ」

 

 そう言うとおとなしく口を離した。ある程度頭も良いみたいだ。

 

 で、付いていった先がキュルケの部屋と言うわけだ。

 

「ボンソワール」

 

 とてもうさんくさい口調と音程で言ってみた。俗に言う賢者(サヴァン)だ。これで引くもよし、あえて押してくるも対処してやろう。

 

「扉を閉めて?」

 

 音も無く閉める。

 

「ようこそ、こっちへいらっしゃい」

 

「いいのですかな? こんな夜更けに私みたいな者を部屋に入れて」

 

「いいのよ」

 

 指を弾く音と共に手前から灯りがともる。どうでもいいけど竜の冒険3のラスボス思い出した。

 

「そんなところに突っ立ってないで、こちらに来て?」

 

「ふむ」

 

 俺は微笑を浮かべながらゆっくりとキュルケの前まで歩く。

 

「座って?」

 

 対するキュルケもにっこり笑いながら促すが――。

 

「ミス・ツェルプストー。今はこれでご容赦を」

 

 と、ベッドに座るキュルケの正面に片膝を付く姿勢で体面した。これでルイズが来た時もいつでも距離を置ける。

 

「お堅いこと。・・・・・・あなたはあたしのことをはしたない女だと思う?」

 

 ちょっと寂しそうな微笑を浮かべて問われる。

 

「とても魅力的だと思いますよ?」

 

「そう、あなたはきっとあたしのことを許して下さるでしょうね」

 

「何の話でしょう?」

 

 あくまですっとぼける。

 

「恋、あなたに恋しているの」

 

「光栄です」

 

「あなたが魔法も無しにギーシュを倒したのを見て・・・・・・、とても格好良かったわ。伝説のイーヴァルディの勇者みたいだった! あなたは私の情熱に火を点けたのよ!」

 

「私の「二つ名」は微熱。あなたは私の微熱を燃え上がらせたの。毎晩あなたが夢に出てきて・・・・・・。あたし、マドリガルを綴ったの。恋歌よ。それでも我慢できなくてフレイムに様子を探らせたり。みっともない女だと思うでしょうね。でも、あなたの所為なの」

 

 実際にやられると破壊力すごいな。しかし肉体年齢はともかく精神年齢はいい歳なんだ。反撃といこうか。

 

「ミス・ツェルプストー。いや、キュルケ」

 

 そう言ってすぐ近くでじっと目を合わせる。あくまで胸とか見ないのがポイント。

 

「私、いや、俺は構わない。だが、ここから先は本気になってもらう。無理なら大人しく帰ろう。お嬢さんにはまだ早い。でも、もし、本気だと言うのなら――」

 

 ごくっと唾を飲み込む音。

 

「窓に固定化と、部屋にサイレントをかけてもらおう。野暮な出歯亀に邪魔されたくあるまい?」

 

 顔の輪郭に沿って顎を撫でてみる。びくっとした。

 

「え、ええと」

 

 うろたえている。所によっては草生えてるところだ。

 

「さあ、夜は短い。それに、いつ邪魔が入るとも限らない――」

 

「キュルケ、待ち合わせの場所にいつまでも来ないと思ったら」

 

 窓を叩く音で外を覗いて見たら、ギーシュとは違ったベクトルでハンサムな男が。

 

「ペリッソン! ええと、2j、いえ、とにかく後に」

 

「話が違う!」

 

 それでもしばらく言い争いをした後、業を煮やしたキュルケがろうそくの火から大蛇を作り、ペリッソンと呼ばれたハンサム君を撃墜した。

 

「無粋なふくろうね」

 

 TAKE2をご所望らしい、が。

 

「ミス・ツェルプストー。貴女は恋多き女性のようだ。そちらが本気だったのならば私も全力で応えようと思っていたが、今はその時ではない」

 

 きびすを返し、部屋から去る姿勢を取る。キュルケはすかさずロックを唱えようと杖を向けるが――。

 

「キュルケ! そいつは誰だ!」

 

「スティックス!」

 

 第二のハンサム君に対応を追われ、それどころではなくなってしまう。

 

「では、ごゆっくり」

 

 そのまま部屋を出た。

 

 

 

 その後男のまくし立てる声と女の弁解する声、さらにマシマシで男が乱入する声が聞こえたが、あちらは対応に精一杯になっているのでルイズの部屋のドアの前まで来た。

 

 トン・トントントン。

 

 今のところ俺だと分からせ、且つ周りには分かりにくいリズムでノックする。ガチャっと鍵が開いたので、夜更けなので小声で「失礼します。主よ」と言って部屋に入る。

 

「何? なんかツェルプストーの部屋が騒がしいけど、なんかあったの?」

 

 怪訝な表情でこちらを見てくる。

 

「はい、ミス・ツェルプストーの使い魔に袖口を噛まれ、部屋まで連行されました。学友の使い魔を怪我させては主に責任を被せてしまうと思い、部屋まで付いて行きました。申し訳ありません」

 

「そ、そう。あのツェルプストーの部屋まで大人しく付いてったのは気に食わないけど、そういうことならしょうがないわね! それで? それからどうしたの?」

 

「端的に言うと、からかわれたのでからかい返しました」

 

「・・・・・・どういうことなの?」

 

「彼女の周りには男性が多いのはご存知ですよね?」

 

「そうね」

 

「この間の決闘で私が目を付けられたようで」

 

「え? まさか、あいつとなんかしたわけじゃないでしょうね!?」

 

「刀に誓ってありません。それにあの方は「恋多き女性」でしてね? 「無粋なふくろう」さんが何羽も現れまして、それであの騒ぎです」

 

「そ、そう、ならいいわ」

 

「夜更けの報告申し訳ありません。ですが、放置できる問題でもなかったので火急お耳に入れて頂きたいと思った次第です」

 

「分かったわ。ご苦労様」

 

「それでは失礼します。おやすみなさいませ」

 

 流石に寝る前で疲れているだろうからいつもみたいにいじらない。あ、スパークリングワインだったら試供品だけ作れたらタルブの村に委託するのも良いな。

 

 寝る前にいつものように鳴子と、窓際にソーラーパネルと充電器を置いたら日課をこなして眠るのだった。




 この時点でギーシュは触媒有でアイアンゴーレムが1体製作できるレベル。思い込みが邪魔してまだ複数できません。ドットだし。魔改造次第では人形師や一人軍隊と呼ばれるところまでいけるかも。

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