転生先が平賀さんな件   作:スティレット

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才人「ルイズ、オリョクル行くぞ!」


番外編 4話

 日本へ戻ってきて一週間が過ぎた。その間にも色々なことがあった。

 

 まず一つ目、知人友人への説明だ。特に一度振ったのだが、友達付き合いが続いている女友達には泣かれてしまった。あの当時俺はハルケギニアで死ぬかもしれなかったので恋人を意識してこちらで作ろうと思わなかったのだ。ハルケギニアでは死亡の理由は判明してそこの恋人が知ると思っていたので出来れば出来ても構わないと言う気持ちだったが。

 

 二つ目、学校への説明と通信制への移行だ。こちらはまだ手続き中。来週通信制の学校へ説明を受けて、それから編入試験と言ったところか。なのでみんなが日本語を勉強している間俺も勉強中だ。

 

 三つ目は警察機関などへの説明。失踪していたわけだから、当然なんらかの処置が行われている。と、言うかされてた。帰ってきて魔術メンバーとチャットをしていたらハルケギニア魔法の開示は総スカンを食らったので却下となってしまった。だが、師匠をはじめとしたメンバーにハルケギニアの魔法式を教える代わりに警察機関への捜査の指し止め、暗示などによる事態の収束を手伝ってくれるらしい。と、言うか新しい魔導の究明にみんな話を聴かない状態なので、半ば強引にそうなってしまったのだ。ルイズ達になんて説明しよう・・・・・・。

 

 他にはダイヤを換金した金が全員分(特に貴族)の服代で溶けたり、残りを敷金礼金が高い代わりに引き払ったときの費用があまり請求されない分類の部屋を借りたりしていた。また炭買ってきて錬金しなきゃ。

 

「才人、休日になったけど、今日はどうするの?」

 

 ルイズがそう俺に聞く。一応一週間が七日で、一番最初の日が休みと教えておいたのだ。カレンダーも赤く表示されているから分かりやすい。

 

「服を選んだときについでにあっちに戻ったとき着る水着を選んだだろう。どうせだからプールにでも行ってみるか」

 

 まだまだ薄着で過ごせる気温だが、シーズンは既に外れている。くらげなどの心配もあるため、無難にプールを提案してみた。

 

「温水プールって言うの?そっちのほうがしつこい男が居なさそうでいいわね」

 

 キュルケはどこでも声をかけられる運命だが、断るのもこちらでは魔法なしの為、最近はそれに辟易としている。

 

「他に行きたいところがあるならそちらにするけど、どこかあるか?」

 

「この間てんぷらも食べましたしね。もうちょっと庶民的な食べ物が食べれるところならプールへ行きたいです」

 

 シエスタにはフードコートでたこ焼きをおごってやろう。

 

「早く小説が読みたいから勉強する。だからどこでもいい」

 

 シャルロットは休日だろうが勉強漬けだ。ちなみに小説と言えばクトゥルフ的なものはこちらだとガチで呼んでしまうため、魔導書としてしか出回っていない。俺も狂気が相当薄まった英語版を読んだが、正気度がガリガリけずられてしばらくは部屋の隅を石膏で埋める作業をしたものだ。思えばあの時期が魔術に関わって一番やばかったな。

 

「わ、私はあんまり胸を見られなければ・・・・・・」

 

 テファはその双子山に視線が集まるのが嫌なので身体のラインがあまり出ないゆったりとした服を着ている。それでもスタイルは隠しきれていないが。

 

「今は時期が外れているからそこまで人は居ないと思うよ」

 

 皆無とは言わないけど。

 

 休日は勉強なしと決めているので、そうして遊ぶことになった。

 

 

 

 で、やって参りました。全天候型温水プール。ハルケギニア人は本格的な競泳とかしないので、こういうところでいいだろう。

 

「改めて自分の身体を見るとよくあの修羅場を潜ってこれたな」

 

 水着を着て鏡を見ると、身体のあちらこちらに薄い蚯蚓腫れのような跡が残っている。戦場では水の秘薬とヒーリングで一気に治していたが、こういうのはやはり残るか。特に痛まないからいいのだが。昔古代ローマでは箔を付ける為に刺青を入れる感覚で傷跡を敢えて入れる奴もいたとか。ただし背中は不名誉らしかったのでNG。

 

 別に傷は刺青と違ってお断りされてないのでそ知らぬ顔でプールサイドに出る。今日の俺は荷物番をしながらシャルロットの家庭教師かな。

 

 いきなり腹が冷えても困るので、時間つぶしの飲食とかはしない。せいぜい気配を読みながら文庫本に目を落とす。

 

「おまたせ」

 

 しばらくして、ルイズ一行がやってきた。

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

 ここでルイズ達の水着を羅列していこう。

 

 ルイズは黒いローレグのツーピース。おい、それ誰に勧められた。

 

 キュルケは大胆な赤い花柄のモノキニ。今の時期なら言い寄ってくる男も居ないにしても、大胆すぎだろう。

 

 シャルロットはシンプルな白のワンピース。端っこでひょろい男二人組が「綾波だ」「メガネ綾波だ」と言っているが、キュルケと俺の筋肉の迫力に声まではかけてこないだろう。

 

 シエスタはパレオの付いたビキニ。鮮やかな青と白がまぶしい。

 

 テファは大人しめなセパレートタイプの水着だ。だが、それが腰の細さと胸を圧迫して逆にエロい。

 

「素晴らしい眺めだな」

 

 俺は煩悩に負けないようアルカイックスマイルを意識しながら無難な答えを出す。

 

「だれが一番?」

 

 キュルケが悩殺ポーズを取りながら聞いてくる。くそっ、負けてたまるか。

 

「結論から言うとそれぞれの方向性が違っているから比べられない。ルイズは背伸びした可愛らしさが、キュルケはむせるような色気が、シャルロットは着飾らないのびのびとした可愛さが、シエスタは敢えて隠すことによる扇情さが、テファは大人しめだが、その線が強調されててすごい」

 

 ぶっちゃけみんな押し倒したくなる。が、我慢だ。顔面の筋肉を総動員して真顔になる。

 

「そ、そう。そこまで真剣に実況されると逆に恥ずかしくなるわね」

 

 よし、乗り切った!

 

「俺は荷物番をしながらシャルロットに勉強を教えてるよ。何か買いたかったらお金を渡すから、ここで食べてくれ」

 

「なら、あたしはダーリンとシャルロットと一緒に日光浴でもしてるわ。サングラスも買ったし、ルイズ達は?」

 

「私はちょっと体を慣らしてから泳ぎたいわね。シエスタは大丈夫だと思うけど、そういえばテファはアルビオン出身だったわね。あまり経験が無いならシエスタと一緒に泳ぎを教えましょうか」

 

「そうですね。ルイズ様と一緒にティファニアさんの泳ぎを見てみましょう。足の付くところで浮くところから始めるのがいいと思います」

 

「アルビオンの川は下流まで流されちゃうと落ちちゃうから泳いだことは無いの。ルイズ、シエスタ、お願いできる?」

 

「任せなさい」

 

「任せてください」

 

 みんな決まったようだ。

 

「一応みんなに助言しとくと、冷たい飲み物はトイレが近くなるからポカリをあらかじめ買って常温で置いておくよ。12時になったらみんなで何か食べよう」

 

 方向を決めて、各自遊ぶことになった。

 

 

 

「周りにある程度日本語が分かるアメリカ人やイギリス人が居たら、「How do you say...」から日本語で聞いてみるといい。それでも分からなかったら似た言葉を上げて行くのがいいかな」

 

「分かった」

 

 俺は観光地で使えそうな英語からピックアップしてシャルロットに教えていた。教科書通りだけの内容は日本じゃ頭でっかちだから、他の方面からも切り込むのだ。

 

「あなたたち本当に熱心ね」

 

 となりでキュルケが洋楽を聴きながらそう言ってくる。自覚は無いと思うがそれも十分勉強になるんだぞ?

 

「やっぱり酔ってない時のドラフォはいいな。キュルケ、次はラプソ辺りとかどうだ?」

 

「ダーリンって物語的な歌好きよね。あたしもあの熱い歌詞好きだけど」

 

「わたしも嫌いじゃない」

 

 シャルロットはタバサ時代イーヴァルディの勇者を心の支えにしてたしな。

 

 そうそう、最近テファのイヤリングが外れる危険があったのでピアス穴を空けて、一番小さなサイズのピアスを作ってやった。こっちは髭剃りの刃とかにチタンが使われているので収集しての錬金が楽だ。念のため火で炙って熱消毒し、抽出で余分な成分を飛ばして錬金をかけている。ハルケギニアに戻ったらルイズ達の社交界の為にアクセサリー一式作ってやるか。オーダーメイドで婦人方から受注生産すれば儲かるし、男でも妻や恋人のプレゼントに売ってくれと言うかもしれない。あちらではチタンなんて水精霊騎士隊の十手くらいにしか使われて無いからな。コルベール先生のような天才でも無い限り複製は出来まい。

 

「そろそろ昼だけど、焼きそばとラーメン、ホットドッグやたこ焼きとかがあるな。一旦ノートをしまって、他の3人が戻ってきたらみんなで昼食を買いに行こう」

 

「最近こってりしたのが多かったから軽めのがいいわ」

 

「ノート取りながら片手間で食べれるのがいい」

 

「だったらホットドッグとかかな。二人は水に入ってないから冷たい飲み物でもおなかを冷やしたりはしないだろう。飲み物は何がいい?」

 

「ジンジャー」

 

「ドクペ」

 

 シャルロットはハシバミ草といい、結構ピーキーな味が好きなんだよな。

 

「なら、夜はいつも通り軽めにサラダをメインにしておこうか。麦や米ばかりだと太るからね」

 

 女子に甘味を断てと言うのも酷だろう。それにしても最近外来語交じりで話せるから楽でいい。ハルケギニアに戻ったらこれも戻さないといけないな。

 

 昼食について話し込んでいると、ルイズ、シエスタ、テファが戻ってきた。

 

「おかえり。どうだった?」

 

「テファは飲み込みが早いわ。すぐに追い越されちゃった」

 

「それはルイズの水着より私の水着の方が泳ぎやすいのもあると思うわ」

 

「そんなことないです。ティファニアさん」

 

 原作でも何故か泳ぎが上手かったからな。

 

「さて、そろそろ昼だ。一応ここに居た二人には何が食べたいか聞いたけど、三人も何が食べたい?焼きそば、ラーメン、ホットドッグ、たこ焼き、お好み焼きとかあるけど」

 

「お好み焼きはハルケギニアに居た時に作ってもらったから、焼きそばにしておくわ」

 

「わたしはたこ焼きで」

 

「私もたこ焼きがいいな」

 

「ルイズは焼きそばにシエスタとテファはたこ焼きね。ところで、今度タコの泳いでいる様子を見せてあげよう」

 

 水族館とかペンギンの触れあいショーがあったはず。でもデビルフィッシュを見たみんなの反応が楽しみだ。

 

「お寿司にもお刺身にも出てきましたよね。不思議な触感でしたけど美味しかったからどんな姿をしているのか楽しみです」

 

「そうかそうか。ついでにイカも見れるかもしれないな」

 

 ゲテモノ系って当たり外れがあるけど美味しいのが多いイメージ。だからオーク肉も試しにと食ってみた。トロルは脂っこくて、オグルは筋張ってるから合い挽きにしてハンバーグにするとちょうどいい。

 

「食べた後才人が泳いでる姿を見てみたいわ」

 

「速度を出せばいいのか?」

 

「得意なのでいいわよ」

 

 そうか。(前世で)部活に入っていた実力を見せてやろう。バタフライでいいや。

 

「なら、昼食を買いに行こう。三人はポカリか氷抜きの飲み物がいいだろう」

 

 昼食を食べて、その後メチャクチャ競泳した。




 クトゥルフは魔力と正気度を消費して召喚する方式。マスタークラスはSAN値がゼロです。才人君は一番リスクが低いツトゥグアが得意。それでもハルケギニアではやばすぎるので呼べませんでした。いっぱいたべるきみがすき。

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