転生先が平賀さんな件   作:スティレット

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 とあるご意見がありまして、要約すると「半端にやるから違和感が出るならいっそはっちゃけたら?」と言った感じなのでサイト君の素の戦闘力を型月基準でウェイバー以上舞弥以下くらいに設定しようと思います。

ガンダールヴのルーンは魔術刻印レベルの代物なので総合的には現時点で切継には迫らないもののそれなりに善戦できる形で。魔力のある地球から来た設定でもありますし、これで行こうと思います。

 それと感想欄から移住しなくてもいいんじゃない?って言ってくれた方々が居るので、一区切り着くまではしばしこちらでやっていこうと思います。


別に倒してしまっても構わんだろう?

 あれから10日。その間にも色々あった。

 

 まず、ギーシュだが、ようやく金属の違いが分かってきたので青銅から銅を抽出させたり、簡易型ワルキューレ「ドール」を作らせた。装飾を一切省き、球体関節による人体の動きを無視した稼動域を実現。これを可能な限り早く動かすことによって、後の大きなゴーレムでも鈍い動きを克服してもらおうと思っている。当然見た目に難色を示したが、メリットを盾に渋々作らせた。後は土中に極少量含有しているチタンをひたすら集めさせ、鎖帷子を作ったくらいか。錬金はまだ出来ないらしい。ステンレスだと重いし、集める金属の種類が地味に多い。結局すごく疲弊していたが、エアカッターくらい耐えられるだろう。

 

 ロングビルには休暇を取ってもらい、情報収集だ。念の為ワルドの動向を探ってもらい、一度アルビオンに帰る事を許可した。ただし、レコン・キスタには深追いせず、いつでも逃げられるように配慮しておいた。やはりレコン・キスタとなんらかの接触があるみたいで、ワルドは黒だ。せめて王宮所属のグリフォンは使い道があるから出来れば殺したくは無いんだけどな。

 

 ルイズには今回結局シュヴァリエの授与の許可が下りなかったので、代わりにもう少し王家に貸しを作ってから「始祖の祈祷書」と「水のルビー」を貸与してもらう形を取るべきと進言しておいた。恐れ多いとか言っていたが、どうせ片方はもうすぐ手に入るんだ。手紙奪還の報酬に祈祷書も引き出せば良いさ。

 

 俺は昼間は必要そうな授業を受けたり、それ以外はトレーニングとこちらの術式をアレンジした魔術の改良、単体で使う水の秘薬と、埋火を作っていた。最後のは物騒だが、足止めには最適だし馬車に乗せる予定でどんどん作った。

 

 それ以外のことと言ったらデルフリンガーに原作知識をフルに使いひたすら思い出してもらう作業だ。最初は要領を得なかったりしたが、たとえば「ブリミルの使い魔にサーシャって居ただろう?」とか関連付けしながら根気強く続けていたら真の姿を取り戻した。魔法の吸収も問題ない。ただしこのことはデルフリンガーに硬く口止めし、ルイズには絶対漏らさないようにOHANASHIした。

 

 そして現在、俺はギトーの授業に出ている。運がよければ偏在が見られるかもと出張ってきた。

 

 ただし、今回も原作通りでキュルケが返ってきた火球に巻き込まれそうだったため、デルフで風ごと斬り散らしたらまたなんかまわりからぎゃーぎゃー言われた。フーケ相手にしてたんだ。いまさらだろうに。

 

 その後コルベールがベートーベンみたいなヅラを被って王女が来るから授業は中止と通達し、俺達はそれを迎えるため表に出た。

 

 

 

「あれがトリステインの王女殿下? あたしの方が綺麗じゃない?」

 

「少なくとも俺は他人より友人の君の方が好感度が高いよ」

 

「ダーリン、もっとあたしを見て!」

 

 くだらないことを言いながら人ごみの中鳥の骨さんと殿下、ついでにワルドの顔を見に来た。ああ、敵情視察って意味ではむしろメインはワルドか。

 

「主よ。あの目で追っている方が主の好みなのですか?」

 

「あら、なかなか良い男じゃない」

 

「婚約者よ。ワルド様って言うの。小さい頃会ったっきりだけど・・・・・・」

 

「それはそれは。妬けてしまいますな。今まではせっかく私を見ていてくれていたというのに」

 

「そ、そんなことないわよ!」

 

「名前は聞いたことがあります。確か魔法衛士隊の隊長でしたか? 二つ名は「閃光」、風メイジの中ではトップレベルだとか。まあ、一番は主の御母堂でしょうが」

 

「いつの間にそんなに詳しくなっているのよ。ってかなんでお母様の事まで知っているのよ」

 

「いかなる状況でも主をお守り出来るように少々情報を収集してみました。私は主の味方なので、例え政略結婚を強制されたとしても例外として最強と謳われる御母堂にも命令とあらば反抗する所存です」

 

 ギーシュに対するのと言っていることが違う? そりゃ贔屓するよ。人間不公平なのが当たり前だ。

 

「それはお母様のカッター・トルネードを受けてから言って頂戴」

 

「ははは、不意打ちでもなければ大きな魔法を撃たせる前に妨害しますのでそれはご勘弁願いたいです」

 

 ふむ、原作よりは憧れより現実を見ているのか? 少なくとも小さい頃会ったっきりでそれ以降放置だもんな。とはいえウェールズを生き残らせるならばこの先、生きていてもらっては困る。襲撃かけてくる偏在はただ仮面着けてるだけのお粗末な仮装だからそこで指摘するか。

 

「では、周りより一足先に戻りましょうか。これだけの人数に流されると面倒ですので」

 

 ようやく激減したとはいえ、自信過剰な馬鹿が今度はルイズを狙ってこないとも限らないし。

 

 

 

 あれから部屋に戻り、その後はルイズに侍っていた。いつ王女殿下が突撃してきても良いようにだ。ルイズには「何かが来る予感がするので」で強引に通した。

 

 そして夜が更け始める頃、俺とは違う記号めいたノックの音が響く。

 

「お客様です。通しますか?」

 

「ええ、昔の友達よ。丁重に扱いなさい」

 

 鍵を開け、頭を下げる。

 

「ようこそいらっしゃいました。主がお待ちです。どうぞ」

 

 フードを被った殿下は無用心にも杖を取り出し、サイレントをかけた。これが王女じゃなかったら警告入れてるか無力化するところだ。

 

「どこに耳があるか分かりませんからね」

 

 そりゃ確かにな。

 

「アンリエッタ王女殿下。このような下賎な場所に、このような時間にどのような御用で?」

 

「ルイズ! ルイズ・フランソワーズ! そんな他人行儀はやめて頂戴! 幼い頃あんなに仲良く遊んだ仲じゃない!」

 

 なんかルイズは若干白んだ目をしている。中の人は勇ましい騎士王やっていたりしたけど、この殿下は脳内お花畑だもんな。教育が生きている。

 

 この後昔話に花を咲かせていたけど、唐突に殿下が暗い声色で切り出してきた。

 

「結婚するのよ。ルイズ」

 

「おめでとうございます。殿下。して、お相手は?」

 

「ゲルマニアの皇帝よ」

 

「主、お耳を」

 

 まだアルビオンの情勢を知らない場合があるので補足しておく。ついでにマリアンヌ大后が未だにわがまま言って子供に迷惑かけてることも。

 

「そうでしたか。恐れながらも親の不始末を子が拭わなければならないとは・・・・・・その上相手はあの成り上がりのゲルマニアとは、おいたわしや」

 

「言わないで、ルイズ。決まったことなの・・・・・・」

 

 なんか悲壮感漂わせているけど、貴族、さらに上の王族が義務を果たさないと示しがつかない。ルイズも納得いかない顔をしてはいるが、原作よりもリアリストになっているので必要以上に慰めもせず、友人には乗り切ってもらいたいと言った風だ。

 

 それからしばらく口数が少なくなり、ぽつりぽつりと会話しているのだが、煮え切らないし、ルイズがキれそうなので(貴族の義務云々な意味で)助け舟を出すことにする。

 

「恐れながら申し上げます」

 

「あら、あなたは?」

 

 うん、使用人の扱いなんてこんなもんだからいまさらだよ。

 

「我が主、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔をしております。サイト・ヒラガと申します」

 

「まあ、昔から変わっていたけど、人を使い魔にしたのね。ルイズ」

 

「ええ、不本意でしたが、助かってはいます」

 

 こんなに尽くしているのに主は含みのある言い方をする。

 

「恐縮ですが、アンリエッタ王女殿下には頼みたいことがある御様子。しかし、この度の出来事はお友達からの「お願い」では手に余ります。しかるに王族として「命」を授けるのがよろしいかと」

 

 言外にお前の親と同じだよ。と言っているのだが、いまいち伝わっていないだろうな。付き合い浅いどころじゃないし。

 

「そう、そうよね。ありがとう、使い魔さん。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。アンリエッタ・ド・トリステインが命じます。アルビオンまで赴き、ウェールズ様に送った手紙を回収してきなさい」

 

「御意」

 

 ようやく話が進むよ。しかし意味が無いと思うけど釘刺しておかないとな。

 

「アンリエッタ王女殿下。今回の任務はとても難易度が高いと思われますが、アルビオンでの内乱を見るに、どこに間諜が潜んでいるかも分かりません。そう、たとえ上層の貴族でさえも。よって、今回は私と主の2名のみでの任務の遂行を進言します」

 

「そのようなことが・・・・・・貴女達には辛い任務を与えることになるけど、わたくしからは始祖へ成功を祈ることと、これくらいしか出来そうもありません。ルイズ、手を」

 

 アンリエッタはその指に嵌っていた指輪をルイズに渡した。

 

「殿下、これは?」

 

「これは「水のルビー」です。困ったら路銀の足しにしても構いません」

 

 改めて聞くとなんだかなー。始祖から伝わる国宝なんぞその辺の商人が鑑定しきれるはずが無かろうに。幸いルイズも俺も懐に余裕があるからいいが。

 

 さて、そろそろこそこそしているモグラを叩くか。

 

 寝る時以外低出力とはいえ常時ガンダールヴを発動している所為で、筋肉の付き方や身のこなしなどに一段と磨きがかかっている俺は音も無く扉に近寄り、一気に開いた。

 

「ギーシュ、俺は悲しい。友がそんな出歯亀行為を、それも王族相手に働くなんて・・・・・・せめて介錯は任せろ。苦しまずに送ってやる」

 

「ま、ま、待ってくれ! これには深い訳が!」

 

「よかろう、言ってみろ」

 

「このような夜更けに不審なローブ姿が忍び込んでいくのを見て、これはいけないと思い、追跡してきたんだ! 決してアンリエッタ王女殿下かもしれないなんて思って追ったわけではない!」

 

「と、申しておりますが、王女殿下、主、どう致しましょう? 一応紹介しておきますと、この者はギーシュ・ド・グラモンと申しまして、我が友でもあります。寛大な処置をお願いします」

 

 原作より強化しているけど、まだラインまで行っていないし、フーケも出てこないからぶっちゃけると今回役に立つのはこいつじゃなくてこいつの使い魔なんだよな。

 

「まあ、あのグラモン伯爵の?」

 

「はい! 四男です!」

 

「王女殿下。こいつはこのような狼藉を働きましたが信用できる男なので、この度の罰として今回の任務に同行してもらうというのはどうでしょう?」

 

「それは良い考えですわ。ギーシュさま、よろしくお願いしますね」

 

「王女殿下が! アンリエッタ王女殿下が僕の名前を!」

 

 そう言ってギーシュは失神した。しょうがないのでブランケットに包んで転がしておこう。

 

「では主よ、共に殿下を送りましょう。ギーシュにばれていたということは他にもばれている可能性が高いので」

 

 その後、出来るだけアンリエッタにサイレントをかけ続けてもらいながら送り届け、ルイズにはこれから追加される同行者はどのような者でも疑いを持ってかかるよう言い聞かせるのだった。




 探しても2巻だけ出てこないので、うろ覚えとWiki情報をまとめて執筆しました。難産だった。

 サイト君には本当の意味でのガンダールヴ(魔法を使う小人)でもなってもらいます。ただし、魔法のメイン火力は呪殺。デバッファーです。

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