更新遅くなってしまいました。すいませんでした。
「うぃーす!」
「おそくなりました〜」
対照的な挨拶とともに入ってきたのは俺や杉崎と同じ二年生にして副会長の椎名深夏とその妹にして会計の椎名真冬がいた。
しかし毎回2人を見るたびに思うんだが本当に血の繋がった姉妹なのだろうか?
どちらも美少女なのは同じだが、姉は強靭な肉体に対し妹は病弱。姉はアウトドア派で妹はインドア派。おまけに髪の毛の色まで違う。もしもどちらかが拾われた子だと言われたら納得するくらいだ。
「おい、涼。今なんかすげー失礼なこと考えなてなかったか?」
「イイエ。ナニモ」
だからなんでここの奴らは心の声がわかるの?エスパーなの?
というかマジであなたの拳は致命傷になりかねないので引っ込めてくれませんかね?椎名さんや。
俺は全力で目を逸らしながら逃げ道を探す。敵前逃亡。俺が得意とすることの一つである。
「ん?椎名妹。なんか昨日の時とカバンについてるストラップが違ってないか?」
俺は話を逸らすために目を逸らした先にいた椎名妹を見て気づいたことを指摘する。確か昨日までのはリスだったのが今日はウサギになっている。
「あっ本当だ。昨日あったやつと違うね真冬ちゃん」
杉崎も俺の言葉で気づいたのだろう。早速椎名妹のそばにより訪ねる。というか速すぎじゃね?今お前瞬間移動並みの速さで移動してたんだけど。
「あっはい新作なんです」
「へえかわいいね。まあ真冬ちゃんはもっとかわいいけどね」
「えっ……」
「おい馬鹿杉崎。今そんなことしたら……」
「あたしの前で真冬を口説いてんじゃねぇ!」
「ぐぼばぁ!!」
椎名妹を口説いてるところを見つかった杉崎は椎名の華麗な踵落としで床に顔をめり込ませていた。
おいおい。流石にこれはやりすぎだ。仕方が無いので俺が注意しておこう。
「おい椎名。床の修理代がかかるからやめろ」
「ん?ああわるいな。涼」
「わかればよろしい」
「いやよくないから!心配するとこおかしいから!これ普通に致命傷だからね!?」
「黙ってろ杉崎。というか死んでくれ」
「急すぎるストレートの罵倒!えっ俺なんか怒らすようなことってしたっけ?」
「存在が俺の怒りに触れるんだよ」
「理不尽すぎる!」
素晴らしいまでのオーバーリアクションである。取り敢えずこれ以上相手するのはマジで疲れるのでやめよう。
「なあ椎名姉妹。お前ら『初めての時はあんなにおもしろかったのに』ってことなんかあるか?」
「なんだよ藪から棒に」
「いやな珍しく会長が『世の中がつまらなくなったんじゃないの!貴方がつまらない人間になったのよ!』なんて珍しくいい言葉を言ったからよ」
「地味に会長さんの声真似うまいですね笹鳴先輩」
「ちょっと笹鳴!珍しいってどういう意味よ!」
会長が何か叫んでいるが無視。騒がしい奴の相手は同じく騒がしい杉崎にでもやらせておけばいいのである。
しばらく2人とも「う〜ん」と考えていたが、しばらくして椎名妹がおずおずと手を上げながら答えた。
「まっ真冬はお化粧……コスメですかね」
「化粧?」
「はい。真冬、小学校のときはお母さんがしてるのを見て真冬もやりたいなぁと思っていたんです。それで真冬、中学のときに初めて自分のコスメを買ったときはうれしくてたまらなかったんですけど……。よくよく考えたら真冬、自分を着飾るのが好きじゃなかったみたいで。最近だと、最低限のことしかしたくないといいますか……」
なるほど確かにそれも『初めて』だから感じた喜びだ。それに確かに椎名妹の顔を見ても化粧をそこまでしていないのがよく分かる。まあ、そこまでする必要がないというのもあるんだろうが。
「なるほどね。真冬ちゃんらしいなぁ。大丈夫!真冬ちゃん元々可愛いいんだからその美貌を引き立てる分のほんの少しのメイクで充分だよ」
「あっありがとうございます」
「だからあたしの前で口説くんじゃねえよ!」
「がはあ!?」
感心しながら口説きにかかる杉崎だったが一瞬で椎名の見事なボディーブローを喰らいうずくまる。この男に反省の2文字はないのだろうか?
俺が心底呆れた目で杉崎を見ていると袖を引っ張られたのでそちらを向くと椎名妹が俺の袖を指先で引っ張っていた。
「どうした椎名妹」
「えっと……。笹鳴先輩。持ってきてくれましたか?この前頼んでおいたものなんですけど……」
……ああ。そういえばそんなことも頼まれていたような気がした。この前買った記憶があるので鞄の中を探ってみる。おお。あったあった。
「これであってたよな?黒◯のバスケの同人誌」
「はい!これですこれです!途中で作者さんがご病気のためわずか30部しか発売されなかったんです!苦節九ヶ月。ようやく手に入れる事が出来ました!ありがとうございます。笹鳴先輩!」
「おっおう。よかったな……」
あまりにもハイテンションになっている椎名妹に思わず引いてしまう。なんだろう……どこか発売延期されていたギャルゲを手に入れた杉崎を彷彿させるんだが。
と、そんなふうに椎名妹の隠された一面に戦慄していると杉崎がまた椎名にぶっ飛ばされていた。……この短時間でなにしてんのあいつ。
しかしぶっ飛ばされた杉崎は椎名がなにをされたのかは謎だが怒りに震える中、平然と立ち上がりそして満足そうに生徒会室を見渡した。
「ううん、ハーレム万歳。いつ見てもいい光景だなあ。約一名余分なのがいるのは残念だけど生徒会に頑張ってはいってよかった」
「余分なのがいて悪かったな」
「そういえばキー君って《優良枠》で生徒会に入ったんだったわね。……とてもそうは見えないのに」
「むしろ《監視対象》として扱われそうだしな」
「どういう意味だよそれ!?」
「そのままの意味だが?」
他にいったいなにがあるっていうんだ。
そんな俺に対して杉崎が反論を述べようとした時、会長がバンッと机を叩く。……絶対に痛がっているがそれは言わぬが花というやつだ。
「そもそもこの学校の生徒会役員選抜の仕方からしておかしいわよっ!人気投票からしておかしいけど、《優良枠》にしても、成績だけじゃなくてメンタル面も評価に加えるべきだわっ!」
「俺はこの生徒会役員選抜、最高だと思いますがね」
「俺からしたら最悪だけどな」
会長と杉崎のセリフに思わず返す。
ここ、碧陽学園の生徒会役員選抜はかなり変わっている。
まず、基本的に役員は人気投票で決定される。立候補を立てないのだ。
こうしたやり方だと大抵、美少女に票が集まるのだ。イケメンは男子からの支持を失うが、美少女は大抵の人間から支持される。男子はもちろんのこと女子からも集めることができる。つまりある種のミスコン状態になってしまっているのだ。
しかし、このやり方は決して悪いやり方ではない。こういった純粋な人気投票で決まった人物は人望がありカリスマ性を持った人物だからだ。ようするにトップカーストの人間である。
実際のところ生徒会の仕事は誰にでも務まる。必要なのは最低限のやる気と先ほどあげたカリスマ性だけだ。
その結果、生徒会はこのように美少女の集まりとなる。
しかし、やはり妥協点、つまるところPTAなどの外側からの印象を良くするための処置が必要となってくる。それが《優良枠》だ。各学年ごとの年度末試験のトップ成績者は、本人の希望があれば生徒会に入れるのだ。
これにより優秀な人材が生徒会に入れることができるのだが……普通、トップ成績を取るような頭のいいやつは勉強以外の行為をしようとしないわけで、ほとんどかなかったように扱われていたルールである。
だが、それを使って生徒会に入ったのがこの杉崎鍵という男と、断りの返事をしていなかった俺である。
「しかし、鍵もよくやるよなあ。そのパワーは尋常じゃねーぞ」
「まあ俺は《自分以外全員美少女のグループ》に入るためならなんでもやるぞ。たとえ入学成績最下位近くの成績でも、一年で一位になるくらい朝飯前です」
「お前のその力はどこから沸くんだよ……」
あまりにも馬鹿らしい話に思わずため息をつく、最下位から一位ってとんでもない進歩だぞ。
「あのぉ、杉崎先輩はわかるんですがなぜ笹鳴先輩は生徒会に入ったんですか?真冬から見てもそういったことはしないタイプだと思うんですけど……?」
「そういえばそうだな。鍵はともかくとして涼はなんで入ったんだ?」
俺が感心半分、呆れ半分の目で杉崎を見ていると、椎名姉妹が訪ねてきた。まあ、普段の言動と行動を見てれば当然の疑問だよな。
「俺も入るつもりはなかったんだ」
「ではなんで……?」
「いや実はだな。俺、年末試験の成績発表の前日に交通事故にあってな。一週間入院してたんだ。しかも、生徒会とかに興味がなかった俺は《優良枠》のことを知らなくてな。断りの返事をしてなかったら勝手に決められたんだ」
「それは不幸だったな」
「まったくだ。後で断りの連絡したけど、もう資料を作っただのなんだのと言われた挙句、最後は杉崎一人じゃ不安なんだなんて泣き付かれちまったから断れなかったんだよ」
「杉崎先輩のせいでもあったんですね……」
俺の不幸すぎる出来事に思わず同情する生徒会のメンバー達。いや杉崎、お前が同情する資格とかないから。原因の半分はお前にあるから。
「やっぱり成績いいってだけで入れちゃうのは、おかしいよ!こうした被害者もいるんだし!」
「そうですね。こうして生徒会のメンバーを俺への恋の被害者にしてしまったことは悪いとは思っていますが……」
「何を急におかしなことを言いだしてるのよ!誰も杉崎に恋なんてしてないよ!」
「ええっ!」
「なにその新鮮な驚き!自信過剰も甚だしいわね!」
「そんな!じゃああの時の出来事は何だったんですか!」
「なっなによそれ……」
「あの夜、皆夢の中で俺のことをあんなにも求めていたじゃないですか!」
「ここに犯罪者予備軍がいるわ!ストーカーの卵がいるわ!」
「警察呼びましょう」
思わずケータイを出して110を押していつでも通報できるようにしておく俺。こいつの発想マジで危ないんだけど。いつでも通報できるようにしておこう。
こうして俺が防犯対策に務めていると、紅葉先輩が嘆息しながら杉崎に注意を促していた。
「キー君、私は別に貴方のこと嫌いじゃないけど、もうちょっと誠実に立ち回ったほうが利口じゃないかしら。ハーレムを作るにしても宣言するんじゃなくて、誠実さでオトしていくのが王道だし、確実だと思うんだけど」
「確かに知弦さんの意見も一理あります。ですが、どう繕っても、これが俺ですから!この欲望に満ちた姿が、本当の俺ですからっ!自分、不器用ッスから!」
「芯からこってり腐りきってるなお前」
「取り敢えずこれ以上俺に近づかないでくれ。腐臭が移る」
椎名と一緒に冷たい目で見る。こんなんだから教師たちが不安がるのだろう。
「ふふふ……。これから生徒会メンバーは次々と俺の魔の手に落ちていくのさ」
「魔の手とか自分で言い始めちゃいましたね」
杉崎の言葉に椎名妹も思わず苦笑する。
「ま、あんまりデレないと、学園陵辱ものに早変わりするプランも……」
「清々しいまでに外道だな、てめぇ」
「取り敢えず各生徒一人に防犯ブザーを持たすようにしておくか」
学校内にそれも生徒会に不審者が常にいるとかシャレにならない。生徒の安全を守るのも生徒会の仕事のひとつなのだ。
「なーに、安心しろ深夏、涼。そうならないように、手は考えてある。実はこういう系統の物語は、全員の好感度を一緒に上げるんじゃなくて『一人一話』形式で上げてくんだよ」
「なんだよ、それ」
「ほら、ギャルゲのみならず、学園ドラマだってそうだろ?一話で生徒一人の悩みを解決して、徐々にクラスに溶け込んでいくんだ。そして最終回でクラス全員で先生に感謝しまくるというある意味ハーレムEND」
「学園ドラマの最終回をえらく汚された気分だぞ、おい」
「取り敢えず杉崎はこれまでに学園ドラマを作ってきた人たちに今すぐ謝罪をしてこい」
全学園ドラマの制作者たちに喧嘩を売るような発言である。
「そうさな……まず現時点で好意的な真冬ちゃんを皮切りに、会長、深夏、そして知弦さんと徐々に難易度が上がっていく感じに問題を解決していけば、あら不思議。気づけば皆俺のハーレムに」
「寝言は寝てから言うようにしろ杉崎」
あまりに酷い構想、いや妄想に頭が痛くなった。
見ろ、椎名妹なんて怯えてるじゃねえか。あれ、どう見ても不審者に襲われそうになっている被害者の目だぞ。
「なんで私が真冬ちゃんの次にオトしやすいのよ!納得いかないわ!」
「えっ?だって会長、もう既に俺のことを気になり始めているでしょ。たとえば俺が他の美少女と二人でいるとこ見たら嫉妬するレベルでしょう?」
「杉崎が他の美少女といたら、速やかに警察に連絡してその美少女の保護を要請するわ!」
「いえ、現行犯逮捕は一般人でも可能なのですぐに捕まえましょう」
「いやー、会長は嫉妬深いなあ」
「……あー、杉崎を一番惨いバッドENDに送りたい」
その時、俺はゾッとするような寒気に襲われた。まさか、これは殺気!?……どんだけ怒ってるんだよ会長。
「でも、俺が一番恐怖していることは最初に会長が言ってたことなんですよねー」
「どういうこと?」
「つまらない人間になる……つまり恵まれた環境にいるのに、恵まれていると感じなくなる。たとえば、今俺はこのハーレムな状況にとっても満足してるんですけど、いつか……そういつかこの状況が当たり前と感じるようになったらと……」
「あーそれはわかるかも。私の家経営者だからよくも悪くも浮き沈みが激しくてね。一度上がった生活基準ってなかなか下げられないのよねー」
「なるほど。それで会長はいまだに美少年を金ではべらす趣味をやめられないと……」
「杉崎と一緒にしないでよ!私とんだ悪女じゃない!」
「そんな、会長は純粋な存在だと思っていたのに……」
「笹鳴も笹鳴で信じないでよ!なんだかリアリティがでちゃうじゃない!」
「そして貧乏な今は蟻や蝶々の脚をむしるのを趣味にしていると……」
「それってただの根暗じゃない!」
「人は皆、その心に残酷さを秘めているいるのか……」
「なんで急にシリアスに語り出したの!?しないよ!私そんなことしないよ!?」
「そう、ですよね。会長がそんなことするわけないですよね。俺、信じてますから!」
「だからもうやめてえぇええええええ!」
俺と杉崎の織りなすボケの連発に全力でツッコンだ会長はとてもお疲れになっていた。……やばいな会長弄りクセになるかもしれん。気をつけなければ。
しかし、話は戻るが確かに、杉崎が言わんことはわからなくもない。人は一度上に昇るとそうそう自分から下に戻ることはできない。これが杉崎が言うところのつまらない人間というやつなのだろう。
感じていた満足は当たり前となり、新たな満足を得ようと上を目指す。しかし、いつかは限界がやってきて停滞を余儀なくされる。こうやって停滞しまった人間が全てをつまらないと感じる「つまらない人間」というやつなのだろう。
「真冬も、そうはなりたくないですけど……。どうすればいいのかわかりません」
椎名妹は困った顔をしてそう言った。まあ誰でもそうはなりたくてなっているわけではないだろう。
「まあ、一部の、いわゆる勝ち組って奴はどんどん上に突き進んで行くんだろうがな。ほとんどの奴は悟りを開くというか、上に行くのを諦めてそこそこの幸せでやっていくのさ」
「えーなんかつまんねえな、それ」
「そこそこの幸せね……ダメだな」
「ん?どうしたんだ杉崎?」
俺が椎名妹に現実を教えていると、急に杉崎が何かを呟き出した。なんだ?ついに頭がイッちまったのか?
「ハーレム王に俺はなる!」
「何で急にワン◯ース風に頭悪いこと宣言してんだよ。お前」
なんか急に立ち上がって叫びだした杉崎。他の役員たちも俺同様に呆れた目で杉崎を見ていた。
「妥協はするが高い位置で妥協してやる!美少女をはべらせて『美少女にも飽きてきたなあ』って言えるまで上りつめてから妥協してやる!」
「ふふっそうね。私、キー君のそういうとこ好きよ」
「まあ、目標はともかくそのスタンスはわるくねぇよな」
「そうですね。いまからうじうじ考えてるよりはいいかもしりませんね」
どうやら紅葉先輩と椎名姉妹達には好評なようだ。杉崎の好きな美少女ゲーム風ならここで好感度が上がった音でもしていただろう。
しかし、そんな中俺と会長は……。
「えーがんばるのはつかれるよー」
「右に同じく」
見事なほどにだらけていた。
他のメンバー達にも呆れた目を向けられる。
まあ、あれだ。所詮幸せなんて各個人が感じるものなのだから現状で幸せならそれでいいのだ。そして俺と会長は現状で幸せなのだ。つまりノープロブレムってやつだ。
そう、俺が結論づけている時、会長が実にだらけた態度でこう言った。
「今日の会議は終了ー。みんなお疲れー」
どうやら飽きてきたらしい。そう言って会長は帰る支度をしていた。
さてと、俺も帰るか。明日の朝も早いからな。
*
「でっ結局杉崎は今日も一人で残ってるんだ」
「だから対応に困るんだよな。あたし達と長時間駄弁るために生徒会よ雑務を全部片付けて、なにごともなかったようにするんだからな……」
「笹鳴も笹鳴で朝早くに来て杉崎の手伝いしてるみたいだし……」
「どうせあいつのことだから『自分の仕事をしているだけ』って思ってるんだろうけどな」
「まっ真冬はお二人のこと嫌いじゃないですよ?」
その言葉に思わず苦笑する三人。わかっている。自分たちが少なからず彼らに好意を抱いていることを。
しかし、それを制しているのは他でもない杉崎と笹鳴なのだ。
一人はハーレムを主張することで、一人は孤高を主張することで。
「まったく、あれでハーレムやらぼっちやらを言わなければ彼女の一人くらい簡単に手に入るだろうに……」
「あれ?アカちゃんまさかキー君とリョウ君のこと……」
「なっ!?そんなわけないじゃない!?」
両手と首をぶんぶんとふって否定する桜野。そんな彼女を見て微笑ましく笑う三人……いや二人と恍惚の表情を浮かべる一人。
「……まあ、ああ言うことだけあってあの二人は生徒会の大黒柱なのかもね」
「大黒柱……?」
「ええ。その……私、いいえ私たちってどこか複雑な過去、傷跡って言えばいいかしら。そういったものを持っているでしょう。……でも、生徒会で駄弁っている間は救われている。それを作っているのは間違いなくキー君とリョウ君なのよ。……だから大黒柱」
「まったく、あれじゃ本当に学園ドラマの先生よね」
「まあ、問題を解決しようと、出張ってるんじゃなくて、安息の場所を与えてるだけだけどな」
「でっでも、真冬はすごく感謝しています」
「まあね。だから杉崎や笹鳴が困っているときは、全力であいつらの力になりましょう」
「会長さん……」
「でも、キー君と付き合ってあげないのよね。アカちゃん」
「それとこれとは話が別よ。誰が、あんな浮気性なんかと……」
どうやら杉崎のハーレムへの道はまだまだらしい。
そうして、道が別れるまで話した四人はそれぞれの帰路へ行く。
桜野のはそんななか今残っている一人と朝早くに来るであろう一人。そして今日までの自分たちを振り返って思う。
「………つまらない人間も、案外悪くないかもね」
私立碧陽学園生徒会。
そこでは、つまらない人間たちの楽しい日々が繰り広げられている。
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