転生提督・副官のマルタ島鎮守府戦記   作:休日ぐーたら暇人

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艦これ2次作の第三弾です。
こっちも更新は亀さん以上ですね…。



鎮守府正面海域
1 地中海の最重要拠点


地中海 マルタ島

 

 

 

「ほう…なあ、滝崎。本土の方では現役の女性憲兵提督が不届きな提督を叩きのめしているそうだ」

 

 

車中で海軍公報を読んでいた女性将官が運転する副官に言った。

 

 

「へぇ、なら、本土は大丈夫だね」

 

そう言って笑いながら副官は運転を続ける。

 

 

「そうだな…まったく、国の危機と言うのに皇族を中央の置物にするなど、言語道断であろう」

 

 

「あはは…仕方ないよ。『皇族が戦死しました』なんて事になったら、大事だし」

 

 

「ふん、戦死の覚悟なら既に前世で出来ている。お前もそうだろう、滝崎?」

 

 

「そうですね、松島宮殿下」

 

 

「……ムカついた。一生コキ使ってやるからな」

 

 

「了解です。松島宮少将」

 

そう言って滝崎はニコリとわらった。

 

 

 

深海棲艦の被害は太平洋だけでなく、大西洋・インド洋の三大洋を含んだ海と言う海で発生していた。

もちろん、内海と言われる地中海も当然の如くだった。

ただ、地中海の場合は内海と言われる故に狭く、深海棲艦の拠点はある程度把握出来た。

この為、地中海周辺国が総力を挙げた反攻作戦『ハンニバル』を決行、艦娘を保有しない中での反攻作戦の為、所有艦船を全力投入した結果、参加戦力大半の損失の代償を払いながらも地中海より拠点破壊・深海棲艦を掃討するに至った。

しかし、その後の制海権維持とスエズ運河・ジブラルタル海峡からの深海棲艦侵入防止となると既に限界があった。

ここで周辺国は艦娘を保有する日本に助けを求めた。

なぜ日本か……これは簡単な話で日本は艦娘を大量に保有し、克つノウハウがあったからだ。

対し、ドイツ・イギリス・アメリカ・フランスは艦娘も少なく、ノウハウもなかった。

つまり、日本しか頼る所がなかった。

これに対し、日本は渋々了承、外交事情を考慮した結果、皇族である松島宮少将と副官の滝崎大佐の派遣が決定された。

そして……この2人には秘密があった。

2人はある種の『転生者』であり、彼らは大東亜戦争・第二次大戦の英雄と言われた『松島宮徳子』『滝崎正郎』だった。

転生した松島宮は松島宮孝子(たかこ)、転生から帰ってきた滝崎は元の滝崎正義と名乗り、共に海軍士官として世に出ていた。

 

 

 

マルタ島鎮守府前

 

 

車でホテルを改装したマルタ島鎮守府までやって来た2人。

車から降りた松島宮は海軍公報を小脇に挟み、降りてきた滝崎に言った。

 

 

「あるイギリス人宗教学者がこう言ったそうだ。『日本に艦娘が居て、イギリスに居ないのは当然の事である』とな」

 

 

「ほう…で、その学者の見解は?」

 

 

「学者曰く『日本は八百万の神がいる。対し我らは一神教。これでは来れる訳がない』とな」

 

「つまり、日本には受け皿が有るけど、自分達には無いと…ドイツやイギリスは妖精やら何やら事欠かないのに? 特にイギリスは幽霊に住民票を出した国だぜ? 本場のブリテン・ジョークかい?」

 

 

「さあな…まあ、私はあながち間違っては無いと思うぞ。勘の類いの話だがな」

 

そう言って松島宮は滝崎を伴い鎮守府の中に入って行く。

元がリゾートホテルだった為か、その情景は付近の風景にマッチしていた。

 

 

「深海棲艦がいなければ、いい場所だったんだろうな」

 

 

「それは認めるが…仕方ないとは言え、少し豪華過ぎだ」

 

 

「まあまあ…急造の建物より、こっちの方が艦娘達にもいいよ」

 

そんな事を言いながらホテルに入る2人。

すると玄関ホールに1人の少女がいた。

 

 

「貴方が提督ですか? 初めまして、秘書艦の白露型駆逐艦の五月雨です」

 

そう言われて滝崎はマルタ島到着前に確認した携帯タブレット端末に掲載されていた情報を思い出す。

白露型駆逐艦六番艦五月雨、マルタ島鎮守府の初期配属艦で秘書艦だ。

 

 

「あぁ、提督はこっちじゃあなくて、あっち。松島宮少将が提督で、俺は副官」

 

 

「…ふぇぇぇ!! またドジっちゃったよぅ…」

 

滝崎の指摘に涙目になる五月雨。

 

 

「女の子を泣かせてどうする」

 

 

「いや、泣かせるつもりはまったく無いんだが……五月雨、泣かなくていいから、間違いは誰でもあるものだし…」

 

暫くの間、滝崎は泣きそうな五月雨を慰めるのに必死だった。

 

 

 

暫くして……

 

 

 

「さて…五月雨は元呉鎮(呉鎮守府)所属か…Lv25、改装済みで戦闘回数は3桁か。秘書艦の経験もあるんだな」

 

 

「はい! よろしくお願いしますね」

 

端末から五月雨の情報を引き出してきた滝崎は頷きながら五月雨の事を頭に叩き込む。

「じゃあ、当分の旗艦は五月雨で大丈夫だな。ん? そう言えば他に艦娘は?」

 

 

「私の他には明日到着ですが明石さんと間宮さんが着任されます」

 

 

「間宮と明石か…上もかなり奮発したな。まあ、遠い欧州の地中海だから、奮発するのも当然か。五月雨、鎮守府設備の状況は?」

 

 

「ドック・工廠は何時でも稼働可能です。妖精さん達が頑張ってくれたお陰です」

 

 

「そうか…なら、さっそく建造だ。五月雨だけではやれる事が少なすぎる」

 

 

「数値はどうする? オール30の最低レシピ?」

 

 

「そうだな…資源量も解らないから、最低値で建造するか」

と言う事でオール30で建造を試みる。

そして、出た建造時間は……

 

 

「15分か」

 

 

「15分?」

 

 

「……15分!?」

 

平然とする松島宮、首を傾げる五月雨、驚き慌ててタブレット端末を確認する滝崎。

 

 

「なあ、五月雨。通常建造で15分のレシピなんてあったか?」

 

 

「えーと…私が知ってる限りですけど…ありません」

 

「……ん? じゃあ、この建造時間はいったい…?」

 

 

「………」

 

 

「………」

 

 

「「「…………」」」

五月雨、滝崎の沈黙に松島宮も沈黙する。

そして、滝崎が口を開いた。

 

 

「こ、高速建造材はあったかな?」

 

 

「は、はい! 初建造用に一個だけあります」

 

 

「で、では、さっそく使うか」

 

そう言ってさっそく高速建造材(バーナー)を使う。

そして、時計が0000を指した時、ドック(カプセル建造機)の蓋が開いた。

 

 

「若竹型駆逐艦五番艦朝顔です。二等駆逐艦だからって舐めてると痛い目見るわよ」

 

睦月型駆逐艦(1・2番艦)の服装に類似しているが、襟とボタン部位、スカートの色が緑では無く水色で身長もちょっと低い若竹型駆逐艦五番艦の朝顔。

レシピにも載っていない若竹型の出現に五月雨が驚いているが……それ以上に驚いているのは松島宮と滝崎だった。

 

 

「艦長、副艦長、お久し振りです。フィンランド湾の時みたいに暴れましょうね!」

 

 

「あぁ、そうだな」

 

 

「やれやれ…着任早々驚かされるな」

 

 

 

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