転生提督・副官のマルタ島鎮守府戦記   作:休日ぐーたら暇人

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仕事の都合で少し遅れて投稿しました。すみません。
なお、本日は前回書いた短編の一部詳細編を出します。



108 思惑と射撃

数日後 マルタ島鎮守府 高塚執務室

 

 

 

「高塚、陸軍部から……」

 

とある書類を持って入って来た滝崎は電話をしている高塚を見て一旦話をやめた。

 

 

「ふむふむ、提督の女性口説きが止まない。まあ、大丈夫だと思うが…ん? 嫁艦だから、当たり前だ? あぁ、すまない、すまない。にしても、その女性提督も策士なのか、恥ずかしがり屋なのか…あぁ、いや、独り言だ、すまない…仕事みたいだから、また、時間を作って話そう。じゃあ…で、どうした、滝崎?」

 

 

「ん、あぁ、陸軍部から提案書なんだが…誰と内線で話してたんだ?」

 

 

「違う所の男勝りな長女の秘書艦とね。最近、ケッコンカッコカリをしたそうなんだが、あいも変わらず、提督が他の艦を口説いてるんだとさ」

 

 

「おいおい…いったい、どうやって繋がったのか聞きたいところなんだが…まあ、それは置いといて、端的に話すと『現状を考え、高塚少佐への増員派遣を提案したい』、なんて、『提案書』が来てるが、どうする?」

 

陸軍部から『珍しく』提案書を読んでみた滝崎は高塚に視線を向けながら訊いた。

 

 

「へぇー、陸軍部がね。マルタの活躍に背乗りする気か、俺と鎮守府への監視か…まあ、後者だろうけど」

 

 

「まあ、そうだろうな。で、どうする? 拒否するか?」

 

 

「いや、受け入れてよ。但し、人数はこっちで指定するから…返事は少し待ってくれ」

 

 

「わかった。だが、早めに出してくれ」

 

親戚の相変わらずな言いようにも慣れた様子でそう言うと滝崎は部屋を出て行った。

 

 

 

 

暫くして 鎮守府内

 

 

 

「陸自からの増員? あぁ、また馬鹿をやらかしにきたのか」

 

偶々出会った民兵隊の山本大佐に提案書の話をすると、呆れた様に呟いた。

 

 

「大佐、流石にそれは…」

 

 

「副官殿、同志の親戚で知識がお有りだから分かるでありましょうが、陸自の旧世代ぶりはご存知でしょう?」

 

 

「………えぇ、まあ」

 

色々と兼ね合いがあるので微妙な返事を返す滝崎。

 

 

「同志だけならなんとかなる事でも、同志と鎮守府の監視の為に送られてくる人員…特に幹部・軍曹クラスは…まあ、期待しない方が良いですな」

 

 

「海外派遣経験のある軍曹クラスは来るのは? それなら…」

 

 

「『自衛隊常識』の連中が来ただけでは死体の山ですよ。マルタでよかった、と思えたら良いですが、我々やドイツ海兵隊、カラビニエリと対峙出来ますかね?」

 

わざとな口振りで訊いてくる山本大佐に滝崎も苦笑いを浮かべるしかなかった。

 

 

 

暫くして 松島宮執務室

 

 

 

「…って言われた」

 

 

「元陸自だけに散々な言い様だな、まあ、相変わらずだが」

 

高塚の返事と山本大佐の『お言葉』を松島宮に言ったところ、何時もの事過ぎて呆れた。

 

 

「ホントに陸自に怨み有り有り過ぎだ、と言いたいぐらいだな。まあ、色々とあったんだろうが」

 

 

「あはは…まあ、高塚が意味合いわかってもやるって言ってるんだから、なんかあるんだよ」

 

互いにわかっているので、『まあ、好きにやらしておくか。その方が面倒が少ないし』と黙認する。

そして、『未処理書類』の箱に『提案書』を放り込むと、別の仕事に取り掛かった。

 

 

 

その頃 マルタ鎮守府 屋外射撃訓練場

 

 

 

「「「「「「うわー…」」」」」」」

 

200メートル先に波間に揺れながら浮かぶ小銃用標的とAK-47を持ちながらドヤ顔をする響、そして、響と標的を互いに見合う集まって見物人達。

 

 

「200メートル先の揺れる標的に反動が強いAK-47で標的の中心に集弾させてるな」

 

 

「それって、結構凄くない?」

 

 

「しかも、試し射ち一回で」

 

民兵隊・海兵隊・カラビニエリの隊員が標的を双眼鏡で見ながら言った。

 

 

「スパシーバ」

 

 

「おうおう、やってるな、チビ達」

 

そう言って天龍が後ろから響の頭に手を置いて撫でる。

 

 

「やあ、天龍さん。今日は慣らし?」

 

 

「あぁ、高塚少佐からの指示で。とりあえず、こいつの調子を見ながらな」

 

そう言って後ろから龍田と共にやって来たあきつ丸が持っていた物を指差す。

それは…日本帝国陸軍97式20㎜自動砲(対戦車・対物ライフル)。

 

 

「高塚殿曰く『武闘派な天龍なら使い熟すのに時間はそれ程掛からない』との事であります」

 

 

「まったく、世界水準越えの俺に陸戦隊の真似なんてさせる憲兵ってのも珍しいが…まあ、高塚少佐の周りに居ると、この類は触れ放題、試し放題だしな」

 

まんざらでもなさそうに言うと天龍は脚を立て、寝撃ちの姿勢を取る。

 

 

「標的は?」

 

 

「1㎞先の浮き標的。『ドラム缶の陰に低姿勢で隠れてる人型』が標的だ」

 

私物の双眼鏡で標的を覗きながら響は天龍に質問すると、天龍は先程とはうって変わって真剣さが入った口調になる。

 

 

「龍田さんは撃たないの?」

 

 

「私は天龍ちゃんの護衛役よ〜。まあ、後で撃つけど〜」

 

そう言って何時もの槍(薙刀?)では無く、着剣状態(銃剣は鞘に収めたまま)のベレッタSCS70/90(レナータのコネでイタリアから提供)を持っている。

 

 

「最近は一部艦娘に陸戦関係の訓練指示が高塚殿から出されているであります」

 

 

「あの憲兵さんの事だから、クレタ戦で陸戦でもやらすのかな?」

 

 

「否定は出来ないわね〜。まあ、それは神通ちゃんと付き合いのある憲兵さんらしいわね〜」

 

龍田の言葉の次の瞬間、発射音と共に『弾丸』はドラム缶を貫通し、曳光弾を使った為か陰の標的が焦げていた。

 

 

「なあ、世界水準を軽く越えてるだろう?」

 

ニヤリと笑いながら、天龍は言った。

 

 

 

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