とある日 マルタ島鎮守府 工廠
「パンパカパーン! パン、パン、パン、パンパカパーン!」
「……いや、わざわざ、愛宕を呼ばなくても…」
「「いや〜、こんぐらいしてもいいでしょう」」
「…愛宕、後で間宮券あげるね」
明石と夕張に呼ばれ、工廠に来てみた滝崎と高塚はいきなり愛宕の『パンパカパーン』に出迎えられ、高塚がツッコミ、明石と夕張がカマシ、滝崎が呆れながら愛宕の労を労う。
「で、明石に夕張、工廠妖精勢揃いな上に愛宕にファンファーレ出迎えまでして、俺らを呼び出した理由は?」
「ふっふっふ、我らマルタ島鎮守府工廠の実力をとくと刮目せよ!」
意味有りげにそんな宣言した明石に夕張と工廠妖精達が白布を払い除ける。
すると…………そこから現れたのは装軌車両2台と装輪車両1台。
「……高塚、これは…」
「装輪車両は軽装甲機動車だから、まだいいよ……問題はこっちだよ、バカヤロウ!」
堂々と旧海軍の錨のマークが書かれたイギリス製FV101スコーピオン軽戦車、フランス製AMX-13軽戦車を見て滝崎に話を振られた高塚が盛大にツッコミを入れる。
「あぁ、ついに恐れていた事態が…工廠が軽戦車を作っちまった!」
「冗談が現実ってどんだけなんだよ…はぁ…」
工廠組の満面の笑みに対して、頭を抱える2人だった。
暫くして 松島宮執務室
「それで、反省は?」
「「申し訳ありませんでした」」
あの後、執務室に引っ張り込まれた明石と夕張は大淀の説教を受けた。
「まあまあ、大淀、予想されてた事だし、今更仕方ないって」
「そうそう、仕事は多少増えるが、まあ、大丈夫、大丈夫」
そう言って苦笑いを浮かべながら、滝崎と高塚は関係書類をパソコンで作っていく。
「このままいくと、ホントにMBTを作りそうね。推奨はしないけど」
「「ですよね〜〜」」
「2人共…」
松島宮の言葉にハモる2人と呆れる大淀。
「で、どうなんだ?」
「乗員3名×2だから、運用出来るよ。弾も部品も工廠で用意出来るなら…まあ、いざとなったら、本家本元に頭でも下げるよ」
「あー、ところで、派遣人数の件だが…」
「あぁ、すまない。纏まったから、これで」
そう言って高塚は滝崎に書類を渡した。
「……将校×1、准尉or曹長×1、一般隊員×12、衛生隊員×1、戦車兵×6(陸曹込み)、計21名。火器は持ち込み不要。装具は弾倉入れ不要。数名の女性隊員込み(必須)…結構な人数だな」
「それぐらいは要るでしょう。軽戦車も出来たし…これでも人数抑え気味だよ」
「まあ、それは見ればわかるが…どうせ、大所帯だし、いいか」
半分投げやり気味に言いながら、滝崎は書類を松島宮に渡す。
「やれやれ、陸軍部が聞くかどうか怪しいが…いや、案外聞き入れるか? まあ、向こうから言い出した事だし、少しくらいは注文をつけてもよかろう」
「あはは…君も図太いね…あっ、明石達に訊きたいんだが、装備の開発・充実率はいまどれくらいなんだ? 特にボファースの40㎜は単装・多連装問わずに『要望』殺到中なんだが?」
ついでに、と言わんばかりに滝崎は明石達に訊く。
「えっと、ボファースについてはフル回転中ですね」
「実際、あの3台もその『要望』の残り品のリサイクルなんで」
「マジか…でも、『足りない!』だからな」
「五十鈴やアトランタ、ハーマイオニーさんも投入しても足りなくて、朝顔さんや睦月ちゃん達にも手伝ってもらってるんですけどね」
「……後で間宮チケット配ってやろう」
明石と夕張の返答に滝崎は頷きながら懐から間宮チケットの束を取り出し、確認しながら呟く。
「対空火器だけじゃあないだろう。ウチへの小銃は…まあ、とりあえず定数あるから大丈夫か。主砲とか、魚雷とか、艦載機とか」
「そっちの心配は無い。そちらの定数は満たしてある。だがな、ボファースだけは話が別でな」
「何処ぞの憲兵さんが何の気がね無しに対空乱射してくれたので、いい宣伝になったんですよ。特に残存参加組を中心に話が広がってしまいましたからね」
松島宮の言葉に大淀が付け加える。
「チンドン屋みたいに言わないでくれ…なら、それに付属する射撃指揮装置やら何やらの周辺設備や装備だろうに」
「それの諸々の大丈夫です。何故なら、それが『マルタ島鎮守府工廠』です」
「やれやれ、MBTを作るなら経過報告を俺と滝崎、松島宮にしてくれよ」
「ふん、許可なぞせんぞ。それより、他の兵器・装備の開発に重点を置いてくれ。クレタ島奪還で大半が終わるが、他所ではまだまだ続くんだ。その時、マルタ島鎮守府工廠開発陣の開発した兵器・装備群が後々の深海棲艦との講和に繋がる。まあ、下手な兵器は使わないにこした事は無いが……皮肉にも、そうならないと歴史が証明しているからな」
「まったくだ。まあ、そこは頭と人の使いようだしな」
「お前が言うと安心していいのかわからんな。仕方ないがね」
高塚の言葉に松島宮は嫌そうな顔で話を変え、滝崎は笑いながら答え、それに高塚は苦笑いを浮かべながら言った。
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