転生提督・副官のマルタ島鎮守府戦記   作:休日ぐーたら暇人

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まあ、何故かこうなってしまいました。
次はいよいよ、カチコミ(の手前)になる予定。


129 閑話 『怨嗟が故に』 後編

暫くして……

 

 

「くそ、一筋縄ではいかないとは思っていたが、それをすっ飛び超える人とは思わなかった…」

 

高塚のもとから退出した筑波はそんな事を呟きながら廊下を歩いていた。

筑波は派遣の際、陸自上層部から高塚の同行監視を言い付けられており、ある程度は高塚の行動等々は聞いていた。

だが、その『ある程度』がホントに『ある程度』であった事に困惑していた。

しかし、今まで第一線の海軍志望を陸軍に配置されてからの鬱憤もあり、勢い勇んでマルタにやっては来たものの、これまた高塚の思考と現状が筑波の思惑とかなりかけ離れた事になっていた。

 

 

「……とは言え、艦娘にしろ、深海棲艦にしろ、信じる気はまったくないが…どうしたものか…」

 

漸く得た前線勤務、密かに狙っていた復讐の機会を失う気が無い筑波は考えを巡らせるのであった。

 

 

 

 

 

「高塚少佐のご機嫌を取る方法?」

 

 

「あぁ、何か浮かばないか?」

 

甘味処『間宮』に富山と共に来た筑波はそう質問してみた。

 

 

「あー…筑波三尉、私も出来るならどうにかしたいけど…」

 

 

「けど…なんだ?」

 

 

「……多分、なにもしないで、じっとして仕事してる方がいいと思う」

 

 

「……はあ??」

 

富山からの返答に疑問符を浮かべながら筑波が間抜けな声を出す。

 

 

「三尉、この鎮守府の中でワーストワンは誰だと思う?」

 

 

「……まさか、俺?」

 

 

「うん、艦娘・人員・妖精、全ての意見を掻き集めたら、多分」

 

 

「…………」

 

ショック過ぎて唖然とする筑波。

 

 

「まあ、酒飲みとかなんかで迷惑掛けてる奴はいるよ。でも、三尉ほどのブッチギリは無いね」

 

 

「……あー、マジか、ガチか!」

 

短い頭髪をギュッと掴み、机に突っ伏しながら呟く筑波。

 

 

「…まあ、三尉にもなんか事情があるのはわかるけどさ…いまのままでいると、ホントに高塚少佐からポイされる…前に闇討ちされるかもな」

 

 

「…うごごご…」

 

 

「(あっ、ダメだ、今は聞いて無い…)すみませ〜ん、モナカ追加お願いしま〜す」

 

 

「はーい、お待ち下さ〜い」

 

なお、モナカ等は筑波の奢り(相談の対価)である。

 

 

 

 

暫くして……民兵隊待機所

 

 

余り心情的には近付きたくなかった筑波だが、民兵隊の待機所に来ていた。

理由はもちろん……

 

 

「……つまり、話を要約すると、同志である高塚少佐を『今後の指揮統制統一の為』に説得してもらいたい、と?」

 

 

「えぇ、まあ、そう言う事です」

 

 

「それは個人としてですか? それとも、組織の為に?」

 

 

「…両方です。このまま上位と末端でバラバラに動いている事は統制面から見て不味いのは明らかですので」

 

 

「ならば、協力は辞退させていただく」

 

 

「何故ですか!?」

 

 

「簡単な事ですよ。その話を聞く限り、貴方も陸自も何も反省してない。反省をして無い人間に協力する程、我々もお人好しでは無いですからな」

 

 

「ぐむ…だが、我々も何かしていなかった訳では…」

 

 

「その『何か』とは『何であるか』を説明出来ますかな? 海軍の粗探しや対馬・岡山市での教訓をひた隠しにするのは『何かした』事にはなりませんがね…あと、スパイと監視も」

 

 

「ぐ…こちらが下手に出てれば好き勝手に…」

 

 

「筑波少尉、いい加減にしてもらえませんかね? ここは日本ではないし、我々は自衛官ではない。ロシアの民兵隊だ。わかってますか?」

 

 

「そんな事はわかっている。だが、援軍として来ているなら我々自衛隊の指示に従うべきでしょう? 貴方も元自衛官なら解るでしょう?」

 

その言葉に深いため息を吐いて山本大佐は答える。

 

 

「もっともなご意見ですが日本とロシアでは法律が違う。それに私は大佐であなたは少尉…本当にわかっているんですか?」

 

 

「わかっている! しかし、今の階級がどうだろうと在隊時代は陸士長だった! 黙って私の指示に従え!!」

 

この言葉に再び深い溜め息を吐きながら山本大佐は冷静に答えた。

 

 

「ロシアには『自分の顔が歪んでいるなら鏡に腹を立てるな』と言う諺がある。意味がわかるかな? 『本当の事を指摘された時、指摘した人間に腹を立てるのは見当違いだ。事実がそうなんだから仕方ない』と言う意味だ」

 

その言葉に筑波は思わず山本大佐の胸ぐらを掴む。

その瞬間、周りに居た民兵達が条件反射で迷いなく筑波へ銃口を向ける。

 

 

「Руки вверх(手を上げろ)!!」

 

この動きのヤバさに気付き、筑波は怯む。

そんな中、山本大佐は冷静に、且つ冷酷に言い放った。

 

 

「筑波少尉、これはロシアに対する宣戦布告と受け取りますが? よろしいですか?」

 

 

「い、いや、これは…」

 

ようやく事の重大さに気付いた筑波は手を離す。

 

 

「国際問題になる前に解決したいなら、方法は1つ」

 

そう言って山本大佐は自らのホルスターからMP443グラッチを抜き、筑波に銃口を向ける。

 

 

「死ぬ事ですわ。シナリオとしては『責任を感じて拳銃自殺』こんなところですかな」

 

山本大佐はニヤリと笑い、笑顔で、ゆっくりとトリガーを引く。

そして……

 

 

「バーン!! ………ハハハッ! 今日はやめておこう」

 

そう言ってホルスターに拳銃を納め、山本大佐は民兵達と共に訓練場へと行ってしまった。

 

 

「……くそ、あっちはあっちでおかしい奴ら、ってか」

 

1人残された筑波は捻り出した様な呟きをこぼした。

 

 

 

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