転生提督・副官のマルタ島鎮守府戦記   作:休日ぐーたら暇人

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更新遅れて申し訳ありませんでした。

さてはて、どうなるやら…。


130 非正面戦 6

翌日 マルタ島鎮守府

 

 

「で、大丈夫そうか?」

 

 

「筑波なら大丈夫だ。山本大佐にやられた事が効いたのか、今朝から静かだ」

 

昨日の一件は既に山本大佐を通じて知らされていた。

本来なら、これまた何かしら言っていたであろうが、民兵隊でのあれこれで懲りただろう、と判断し、今回は保留するつもりだった。

 

 

「それよりも、マフィアの件なんだよな」

 

 

「そろそろ、山本大佐あたりから情報が入っても…」

 

 

「やあ、同志よ。イタリアマフィアだけでなく、チャイナマフィアも話に加わって来たそうだね?」

 

 

「…その様子だと、色々とお見通しなご様子で」

 

 

「いやいや…なら、ちょうどいい。あとで会議室に来てもらえないかな? 最新情報が入ってね、情報共有をしておきたい。無論、カラビニエリ等々の方々も一緒にね」

 

 

「わかりました。他の面子も集めます」

 

 

「では、一時間後に我々の会議室で」

 

 

 

一時間後 会議室

 

 

高塚・滝崎以下、松島宮、レナータ、エーディット、イメルダらの主要メンバーが揃っていた。

 

 

 

「それで山本大佐、新しい情報とは?」

 

 

「まずはこれを見てほしい。うちの偵察班と無人偵察機からの写真だ」

 

スクリーンには小屋が点在する小基地のような場所の写真とその小基地のサーマル・イメージが写されている。

麻薬の積み換えや再包装に使われているらしく、そこそこの人の動きがある。

 

 

「これは1週間前のものだ。そして、こちらは今朝撮ったものだ」

 

新しい写真では敷地内の人間が急増し、敷地内とその周囲を大勢の男達が見張っているのがわかる。

 

 

「明らかに『何かあります』な写真ですね」

 

 

「その通り、麻薬カルテルの通常の活動にはそぐわない何かがおこっている。ここにあるこの建物が」

 

そう言って山本大佐は敷地の中央に固まっている建物の外れの1つを示した。

 

 

「おそらく、今回の取り引きの商品…拉致した女性達を閉じ込めて場所だ。この建物には24時間人の出入りがあった。したがって、女性や艦娘がここに居るとすれば、この建物に閉じ込められ、絶え間なく監視されて居ると考えられていたが…」

 

 

「「屑共だ!」」

 

 

「「「殲滅! 殲滅!」」」

 

 

「……えっと、話の続きを」

 

高塚・イメルダの怒髪天、松島宮・レナータ・エーディットの殲滅コールが入ったが、滝崎は冷静に話の続きを促す。

 

 

「今朝早く、携帯電話を傍受し、艦娘がこの小基地に居る事が判明した」

 

 

「「「「「早速乗り込んで救出して、奴らを殲滅!!」」」」」

 

 

「……まあ、待て」

 

5人の殲滅コールにも滝崎は冷静に抑えに入る。

 

 

「言うの容易な事だが、ここに乗り込む訳ではない。何故なら、ここに例のベストが無いからだ」

 

 

「あぁ…流石にベストは分けたか」

 

 

「まあ、一緒にはしないわな」

 

 

「先日、ベストを保管していると思われた場所を空挺軍が制圧したが既に運び出された後だった」

 

 

「それを言うなら、アテは付いてるみたいね」

 

山本大佐の言い様にイメルダが言った。

 

 

「携帯電話の傍受によって場所は判明している。取り引きは4日後、この町のホテルで行われる」

 

 

「何処ですか?」

 

 

「クロアチアのクルク島だ」

 

 

「「「「「「はぁ!? クロアチア!!」」」」」」

 

 

「クロアチアのクルク島だ。大事なのでもう一度、クロアチアのクルク島だ」

 

いつの間にかスクリーンの映像が『クロアチア クルク島簡略図』に変わっていた。

 

 

「ちょっと待って! クロアチアならアドリア海を挟んで隣国だけど、色々と問題ありありよ!」

 

 

「幾らなんでも、ギリギリ問題よ」

 

 

「ウチも…うん、無理ね」

 

流石の国外にレナータ・イメルダ・エーディットも困惑する。

 

 

「俺も最初は疑ったが、どうやら本当らしい。どうも、『まさか近場で取り引きされるとは思わないだろう』という考えらし」

 

 

「いや、あの、深海棲艦が跋扈する状況だと近場取り引きにはなりますが」

 

 

「問題はイタリア国外、である事かと」

 

 

「そこについては現地政府から許可が降りた。クルク島は現在、マフィアや麻薬カルテルが蔓延っており、徹底的に掃除してほしいそうだ」

 

 

「クロアチアって元ユーゴスラビア圏だよな?」

 

 

「あぁ。1990年代ならユーゴスラビア紛争やらなんやらでバルカン半島もゴタゴタしてたからな」

 

 

「だが、それならクロアチア軍はどうした? それなりに装備は整っているだろう?」

 

 

「深海棲艦との戦闘で疲弊、かつ、治安維持やら何やらで手一杯だと」

 

 

「アドリア海の残党は少ない気がするが…」

 

 

「まあ、それなら仕方あるまい」

 

 

「ちなみに敵は重武装だ。RPGやM2 50口径もあるだろう。敵は低空飛行を警戒しているから、制圧の第一段階は別働隊をフリーフォール・ドロップすることからになるだろう」

 

 

「うーむ、島をお掃除とは言うが、島ごとお掃除は無理だな」

 

 

「今回はベストの回収と救出を最優先したい。何か質問は?」

 

 

「……無し」

 

山本大佐の問いに高塚が皆を代表して答えた。

 

 

「どんな小さな事でもいいが……質問が無ければ、このまま作戦会議といきたいのですが?」

 

 

「目的が決まっている以上、あとは手法だけであろう」

 

エーディットが言った。

 

 

「草案としては作戦の第1段階として先行している別働隊が本隊の侵入経路を確保する。第2段階は本隊がヘリより降着し、対象を確保する。第3段階で地上部隊と合流し撤退…こんなところですが」

 

 

「ふむふむ」

 

 

「まあ、物の確保が優先だしな」

 

山本大佐の草案に高塚と滝崎が頷く。

 

 

「ヘリ部隊は我々から出します。地上部隊はカラビニエリや海兵隊との混成部隊となると思われます。戦車を投入したいところですが、民間人への被害を最小限とする為に装甲車のみを投入し、戦車は緊急事態のみ投入しようと思います」

 

 

「戦車なら、我々ドイツ海兵隊だな」

 

 

「我々の戦車も出します…T-34ですが」

 

 

「まあ、出せる物は出しましょう」

 

エーディットの言葉に山本大佐が応じ、滝崎は苦笑いで言った。

 

 

「別働隊は本日の深夜に降下させ、現地で情報収集にあたらせたいと考えています。問題を同志…憲兵殿をヘリに乗せるか、地上部隊に同行させるかですが」

 

 

「ヘリで」

 

 

「言うと思った」

 

山本大佐の問いに高塚はスンナリ答え、滝崎も予想出来ていたらしく、再び苦笑いを浮かべる。

 

 

「確かにそれが理想だが…実戦でのリペリング経験は?」

 

 

「同志、今更それを訊きます?」

 

今度は高塚が苦笑いを浮かべる。

 

 

「……失礼した。憲兵殿のヘリは着陸させます。もちろん、護衛もつけます」

 

 

「それより、滝崎。そっちは?」

 

 

「天龍達がいるなら出すよ」

 

 

「緊急事態に備えて待機をお願い出来ますか? モガディシオの二の舞は避けたいので」

 

 

「了解です。レナータ、いいよな?」

 

 

「ウチの機動部隊が必要ならね」

 

 

「では、最後に質問、もしくは提案はありますか?」

 

 

「いや、後は現地での動き次第であろう」

 

最後の問いに松島宮が答えた。

 

 

「では、これで会議を終了します。各自、人事を尽くして天命を待て。 以上!」

 

山本大佐の締めの言葉の後、バラバラと全員が出て行く。

 

 

「さてはて、どうなるかな?」

 

 

「それはわからん…だが、いよいよだな」

 

 

「あぁ、いよいよだ」

 

高塚と滝崎は頷きあった。

 

 

 

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