1週間後 マルタ島鎮守府
「霧島、並びに二航戦、出撃します!」
霧島の申告の横で飛龍・蒼龍が先に海面に降りて行く。
「あぁ、何時もの事だが、気を付けて。蒼龍、相棒の飛龍を頼むぞ」
「もう、副官は心配し過ぎです」
「そうそう、二航戦のコンビが復活したんだから、ドンと構えておけばいいの」
そう言って飛龍と蒼龍は先に行ってしまう。
「よろしいのですか?」
「あぁ、いいよ。やれやれ、逆に心配されたか…じゃあ、霧島も気を付けて」
「はい、では、出撃します」
そう言って霧島、飛龍、蒼龍、青葉、時雨、夕立の艦隊出撃を見送る滝崎。
「あら、キリシマ達は出撃したの?」
「えぇ、霧島隊で今朝のアフリカ沿岸攻略担当の3隊は全て出撃しました」
ヴァリアントの問いに答える滝崎。
なお、ヴァリアントの後ろには暁、響の他に雷、電の第六駆逐隊の面々が居た。
「ヴァリアントの区分は第六駆逐隊と共に哨戒でしたね」
「マルタ島排他的経済海域での哨戒よ。ゆっくりとやらせてもらうわ」
「あぁ、イギリスからの返答がないと、下手に前線任務に就かせる訳にはいかないからね。すまないが頼む」
「わかったわ。副官もね」
そう言ってヴァリアントは第六駆逐隊を率いて哨戒海域へと体を向ける。
「さて…部屋に戻って執務でもするかな」
そう呟いて滝崎は踵を返した。
マルタ島排他的経済海域
「こちら、ヴァリアント。これより、哨戒を開始します」
『こちら鎮守府、了解です』
ヴァリアントの報告に大淀が応答した。
そして、哨戒範囲を確認すると第六駆逐隊の方を向く。
「さてと…貴女達、哨戒を開始するわよ」
「「「「はーい」」」」
……一見、哨戒の始まりとは思えない光景である。
まあ、編成が第六駆逐隊なので仕方ないのだが…。
「……本当に、あの副官は曲者ね」
第六駆逐隊を横目で見ながらヴァリアントが呟いた。
実は飛龍と共に雷、電が配備された事により、第六駆逐隊が編成され、ヴァリアントを第六駆逐隊に預けた……いや、第六駆逐隊にヴァリアントを預けていた。
本来なら、扶桑などの同世代・同艦種艦に預けたかったのだが、主力メンバーである為にその余裕はなく、彼女達に預けていた。
よって、今のところヴァリアントは第六駆逐隊と過ごす時間が長かった。
暫くして
「複数の推進音?」
「うん、海中に複数、海上に大小の反応。大きいのが1つ、小さいのが2つ。なお、海上の推進音は艦娘の模様」
哨戒中に響のソナーが何かを探知した事を報告されたヴァリアントは詳細な報告を求めたところ、上記な返答が帰ってきた。
(艦娘……でも、今のところ、攻略組や他の任務部隊からの異常の報告はない…まさか、浄化体が潜水艦に捕捉された…なら)
考えを纏めたヴァリアントは無線機のスイッチを入れる。
「こちら、ヴァリアント隊。一個潜水隊の接近を確認。これより、牽制攻撃に入ります」
艦娘の事は伝えず、あえて潜水艦の接近を報せてるヴァリアント。
そして、響のソナーを頼りにそちらに向かう。
「こちら、マルタ島鎮守府哨戒隊。そちらの艦娘、聞こえるか?」
『……ヴァリアントさんですか? 私です、アークロイヤルです!』
「アークロイヤル!? なぜ…いや、待ってなさい! 直ぐに行くわ!」
既に全速の24ノットで走っているヴァリアント。
そこから機関関連艤装の故障覚悟で出力を限界に上げ、25〜26ノットで走る。
「アークロイヤル、そっちの状況は!?」
『こちらはリージョイとラフォレイが牽制してくれてる…でも、私が魚雷攻撃を受けて…』
「馬鹿! なんでそれを先に言わないのよ! 被害は!?」
『……艤装に亀裂、浸水中よ。まだ機関は無事で浮力もあるけど、何れは…』
「なに悲観的になってるのよ! それとも、悲観癖でもついたの!?」
『……ヴァリアントさん、自分の不幸話をネタにしてましたよね』
「そんな事は関係ないでしょう! 諦めたら、絶対に許さないわよ!!」
なんでこんなに感情的になってるんだろう…そうヴァリアントが思った時、思い出した、自分がアレキサンドリアで寝込みを襲われ、大怪我で途中退場した時、アークロイヤルは沈んだ事に。
『……ヴァリアントさん、イザとなれば貴女で私に止めを刺して下さいね』
「っぅ! そんなの願い下げのお断りよ!!」
アークロイヤルは知らなさ過ぎる。貴女を守れなくて、救えなくて、何人が悲しんだかを…それを知るヴァリアントは唇を噛む。
「諦めちゃ駄目なのです! 私達が必ず守るのです!! 救いに行くのです!!」
後ろにいた電がヴァリアントから無線を取ると叫んだ。
「あーあ、妹が言っちゃったわ」
「まあ、レディが救いに行かないとね」
「少しは生還者の思いも汲んでほしいよ」
雷、暁、響の順番で電の言葉に答える。
その頃……
「アークロイヤルさん、また私を後悔で悩ます気ですか!?」
「私も、貴女の乗組員を助けました。でも、貴女を助けられず、死ぬその時まで苦悩したんですよ!」
ヴァリアントとアークロイヤルの会話を聞いていたラフォレイとリージョイがアークロイヤルに言った。
「貴女達…」
「自分が死ねば2人を逃がせるなんて…もう、守れなくて後悔したくありません!」
「今度は我が身に代えても守ってみせます!」
リージョイとラフォレイはアークロイヤルの両隣に立ち、防御態勢をとる。
そこに高速で近付く4つの影。
「広域対潜制圧戦、始め!」
「響、探知は頼んだわ!」
「ダー、任せて」
「味方は…絶対に助けるのです!!」
暁四姉妹の第六駆逐隊が到着した。
そして、響を中心に対潜制圧戦を開始する。
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