転生提督・副官のマルタ島鎮守府戦記   作:休日ぐーたら暇人

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本日は大逆転!の方も更新いたします。
今日は日本海軍では絶対に外せないお方。


44 灯台下暗し

1週間後……マルタ島鎮守府

 

 

「一進一退か……まあ、当然か」

 

本日の出撃報告を受け取った滝崎はそう呟くと報告書を処理済みの箱に放り込んだ。

地中海西部中央海域は一進一退の泥沼の膠着状態に陥っていた。

互いに譲れぬ為に双方総戦力戦となり、負傷して帰ってくる艦娘が多い。

とりあえず、此方も無茶をしない様にしつつ、敵に何か変化は無いかとさぐる毎日であった。

しかし、敵も大西洋から増援を得ている以上、空いた孔を塞ぐのは早く、結局は決定打に欠ける日々を送ることになってしまっていた。

 

 

「無理無茶は出来ないな。ここで誰かを失えば今の均衡を崩す事になる。均衡を失えば、後は砂上の城だな」

 

そう呟いて滝崎はこれ以上の海域制圧に関する思考を中断する事に決めた。どうせ、いま考えても打開策は見出せていないのだから。

 

 

その日の夜……居酒屋鳳翔

 

 

 

「あら、滝崎副官に羽黒ちゃん。いらっしゃいませ」

 

 

「どうも、鳳翔さん、こんばんは。自分は何か見繕って下さい。羽黒は好きなのを注文して」

 

 

「は、はい。じゃあ、えーと…」

 

羽黒が注文をとる間に滝崎は周囲を見渡す。

何時も来ている訳ではないが、やはり客足は少ない。

 

 

「最近は客足は少ないな。まあ、そうさせてる本人が言うと恨み言が飛んできそうだがね」

 

 

「あらあら、副官の自虐は辛辣ですね」

 

 

「まあ、いつの間にか出来てしまった性格ですよ」

 

そう呟きながら滝崎は鳳翔が注いでくれた焼酎を一口飲む。

 

 

「副官さん、どうにかなりませんか?」

 

 

「大西洋側で何かあれば、一時的に援軍派遣が止まり、そこに出来た孔を突けば状況の打開にもなりますが…さて、この状況でそんな事が発生するかは奇跡に等しい確率ですな。偶然の産物とも言うべき、雪風が受ける女神のキスを受けたかどうかに気付くぐらいだな」

 

 

「「…………」」

 

滝崎の呟きに鳳翔と羽黒が滝崎を見ながら沈黙する。

 

 

「……うん、自分が空気読まずでした。すみません」

 

とりあえず謝罪する滝崎だった。

 

 

 

「どうすりゃ〜〜いいのかね〜、本当に」

 

 

居酒屋鳳翔を出て、羽黒と別れてから滝崎は鎮守府内に残る小さなビーチで腰掛け、夜の海を眺めていた。

 

 

「どうした物かね〜、敵さんは絶対にスキを見せない様に布陣させてるのにな〜。このまま根くらべをやるわけにもいかないし〜」

 

そう呟きながら滝崎はビーチに寝転ぶ。

 

 

「策がねー。策が無いから考えろったって、その策が思いつかね〜」

 

そんな事を呟きながら必死に思考を張り巡らすが……やはり、堂々巡りに終わってしまう。

 

 

「あっ、副官だ。何してるの?」

 

横から声が掛かり、首を横に振ると川内が居た。

 

 

「なんだ、川内か。夜戦がやりたくて部屋を抜け出して来たのか?」

 

 

 

「むう、副官も酷くない?」

 

 

「いや、夜の8時…2000から「夜戦!」って叫ぶ奴にそれ以外に何があると?」

 

 

「盗み聞きなんてしてたんだ」

 

 

「ほう、姉妹だけでなく、松島宮から駆逐艦の子まで知っているなら、全員が盗み聞きしてた事になるな。で、弁明は?」

 

 

「はいはい、散歩してただけよ。副官こそ、打開策でも考えてたの?」

 

 

「あぁ、まあ、何も浮かんで無いけどな」

 

 

「で、ここで油売ってると」

 

 

「ある意味、否定出来ない事だがね」

 

実際、打開策を思い付いてないのだから、そう言われたって仕方ない。

 

 

「これが反対の立場なら、漸減邀撃作戦で叩けて、私も存分に夜戦が出来るのにな〜」

 

 

「結局、夜戦かいな、まった…く……」

 

 

「ん? どうしたの、副官?」

 

川内の物言いに何故か固まった滝崎。

不思議そうに訊いてきた川内の声も無視…と思いきや、いきなり起き上がった。

 

 

「あはは…なんて、馬鹿だ…大馬鹿野郎だ! その作戦の為、御得意の筈で、育成された事をスッカリ忘れてたなんて、超大馬鹿野郎じゃあないか、あははは!」

 

突然の事ながらも狂った様な笑い声をあげる滝崎の様子に引き気味の川内。

すると、滝崎は川内の両手を掴んだ。

 

 

「ありがとう、川内! 灯台下暗しを思い出させてくれたおかげで、策が思い浮かんだよ! よし、後は整理して、形にしないと!」

 

そう言って滝崎は走って執務室に戻って行った。

 

 

「……なんか、今夜は寝れそうだから、帰って寝よう」

 

滝崎の後ろ姿を見ながら、川内は1人呟いた。

 

 

 

翌日

 

 

 

「区分は以上だ。なお、川内、神通、那珂は打ち合わせたい事がある為、副官執務室に来てくれ。解散」

 

区分発表後、滝崎にそう言われた川内型三姉妹は滝崎の執務室にやって来た。

3人を入室させると滝崎はわざわざ部屋の前を確認し、鍵を閉めてから本題に入った。

 

 

「さて、3人を呼んだのは他でもない。帝国海軍が誇る第二、三、四水雷戦隊を率いる戦隊長として、今から述べる地中海西部中央海域攻略作戦における現状の『打開策』を聞いて貰いたいからだ」

 

真剣な表情での物言いに3人も緊張した面持ちで頷く。

 

 

「昨夜、川内と話していて思い出したと同時に思い付いたんだ。だが、危険であり、実効性に関して不安がある。故に水雷戦隊の教育も引き受けているベテランな3人の意見を聞きたい」

 

 

「副官、前置きはいいから、早く打開策を聞かせてよ」

 

 

「姉さん、それは…」

 

 

「あはは、いや、すまない。さて、打開策だが…」

 

 

 

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