転生提督・副官のマルタ島鎮守府戦記   作:休日ぐーたら暇人

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今回は暁がメインになります。
レディー言うけど子供、でも、芯は強い長女の暁です。


48 罰

数時間後………マルタ島鎮守府内

 

 

既に昼間になろうと言う時刻に関わらず、マルタ島鎮守府内は誰も居ないかの様に静かであった。

検索・掃討戦後に後をスペイン・フランス海軍に引き継いだマルタ島鎮守府部隊は帰還後、参加艦娘の大半が自室のベッドか布団に飛び込むと、すぐさまスヤスヤと寝息を立てて眠っていた。

残りの艦娘も報告書などの提出物を提出すると、寝床に飛び込んだ。

故に鎮守府は静かである……が、滝崎の執務室は違った。

何故なら、滝崎の執務室の前に羽黒が暁を連れてきたからだ。

 

 

「羽黒、暁ちゃんを連れて来ました」

 

 

「どうぞ、開いてますよ」

 

普段と変わらぬ滝崎な物言いである筈なのに羽黒は緊張の表情を隠さない。

そして、羽黒がドアを開けると暁も続けて入る。部屋の中には滝崎の他に那珂が居た。

 

 

「疲れているところにすまないな、暁。だが、レディならなんで呼ばれたかぐらいはわかるよね?」

 

 

「………」

 

 

「沈黙は肯定、として受け取ろう。だが、念のために言うと独断専行と命令違反だ。まあ、命令違反は微妙な話だけどね」

 

そう言って滝崎は暁を見る……暁本人に異論は無いらしく、普通だった。

 

 

「まあ、アトランタを救いたいが為に独断専行をしたのは心情的に解る。だが、一つ間違えば那珂戦隊を危機に陥れる可能性もあった。そんな中で加賀戦隊が駆け付けてくれたのは結果論だが……まあ、危なかった事には変わりないし、本来なら、那珂に一言言えばよかったんだがね……何か言いたい事はあるかな?」

 

 

「私はレディだから、罰はちゃんと受けるわ」

 

 

「なるほど、では、処分を述べる。暁には無期限の謹慎を命ずる。謹慎中、出撃はもちろん、緊張時並びに点検等以外での艤装装着を禁止。その後については後に下達する、以上。退室してよし。但し、羽黒が退室するまで、部屋の前で待っていなさい」

 

 

「……失礼します」

 

暁が退出した後、那珂が口を開いた。

 

 

「プロデューサー! 無期限の謹慎はやり過ぎだよ!」

 

 

「そうです、確かに暁ちゃんの行動は危なくて、結果的に助かった事とは言え、無期限の謹慎だなんて」

 

那珂に続いて羽黒が滝崎に抗議してきた。

 

 

「じゃあ、那珂を謹慎にするのか? 指揮下の艦娘の暴走を止められなかった、と言ってか? それは御門違いだろう。それにそんな事が出来る程、ウチの鎮守府に余裕は無いぞ。それに、これは見せしめの意味合いもある、抗議は却下だ」

 

滝崎の言葉に那珂と羽黒が反論しようとした時、懐のタブレットが鳴り響いた。

 

 

「はい、滝崎……えぇ、どうぞ。あっ、羽黒に一言言わせますので」

 

何か含みのある笑みを浮かべながら、滝崎は電話の相手に言った。

 

 

 

その頃、暁は滝崎に言われた通りに廊下で待っていた。

そんな時、暁の所に明石が近付いてきた。

 

 

「あら、暁ちゃん。いま、いいかな?」

 

 

「羽黒さんを待ってるんだけど…」

 

そう言ってドアを見た時、ドアが開いて羽黒が顔を出した。

 

 

「ごめんね、暁ちゃん。ちょっと長引きそうだから、先に行ってて……あっ、明石さん?」

 

 

「あっ、いいよ、羽黒ちゃん。暁ちゃんは私が送るから。ちょうど用事もあるしね」

 

 

「す、すみません、お願いします」

 

 

「いいの、いいの。さて、暁ちゃん、行こっか」

 

 

 

暫くして………医務室

 

 

 

「大淀、交代要員を連れて来たよ」

 

 

「はい…暁ちゃん? 大丈夫なの?」

 

 

「大丈夫、大丈夫。暁ちゃん、アトランタは検査が終わったんだけど、疲れて寝ちゃってるの。まあ、大丈夫だと思うけど、とうぶん診といてくれない?」

 

 

「れ、レディだから、当然診ておくわ」

 

 

「ありがとう、ほら、大淀、貴女も寝てないでしょう? いくわよ」

 

 

「わかりました。では、暁ちゃん。お願いね」

 

そう言うと明石と大淀は医務室から出て行った。

そして、暁は先程のぶきっちょ面をやめて、笑みを浮かべると眠るアトランタの頭を撫でるのだった。

 

 

 

医務室の外の廊下

 

 

 

「「…………」」

 

 

「明石、アトランタの具合は?」

 

 

「とりあえず、身体的後遺症は出ませんね。でも、暫くはリハビリが必要かと」

 

外でこの光景を見ていた那珂と羽黒は唖然とする横で滝崎は明石にアトランタの様子を訊いていた。

 

「なるほどね……よし、リハビリ要員がいるなら、ちょうど空いている暁を任命するか。うん、謹慎とは言え、人手が無い以上、仕方無いな。働かざる者、食うべからず、と言っているし」

 

 

そう言うと滝崎は懐からクリアファイルに入った命令書を取り出した。

その命令書には『暁をアトランタの看護役に任命するか』と書かれ、署名は松島宮と滝崎の2人の連署であった。

 

 

「プロデューサー、やっぱり策士だね」

 

 

「策士? いやいや、只の馬鹿野郎だよ。今回も偶々、偶然さ。さてと、後はよろしくね、羽黒」

 

そう言って命令書入りのクリアファイルを羽黒に渡すと滝崎は手を振って部屋に戻って行った。

 

 

「……えっと、どうゆうことなんですか??」

 

 

「つまり、これは滝崎副官のお芝居だったの。暁ちゃんをアトランタさん看護役にする為のね」

 

 

「副官は暁とアトランタが因縁の仲と知って、下手に他人を付けるより、顔見知りの暁を付ける事にしたの。だから、無期限の謹慎はその為のお芝居、って訳よ」

 

那珂の言葉に羽黒げ疑問を持ち、大淀と明石が種を明かした。

 

 

「……やっぱり、副官さんは優しい人ですね」

 

 

「あっ、羽黒ちゃん、いま気付いたの? 副官はね、超がつくぐらい、とーーーても優しい人なんだよ」

 

 

 

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